それと、東方を知らない人は少しわかり辛い部分があるかもしれません。その場合、ご質問して下されば、必ずその点を詳しく明記します。一応、後書きにもある程度は書きますが。
第一問 白玉楼の従者
第一問 鍋の材料にマグネシウムを使ったが、火にかけると問題が発生した。その問題点と代わりに使うべき合金の例を一つ上げよ
合金の例 比緋色金
教師のコメント
その合金は伝説の中にしか存在しません。
霧雨魔理沙のコメント
火には強いけど、逆に熱を通さなくなっちまうぜ
西村先生のコメント
筆記用具は毛筆禁止。および、楷書で書くように
今の季節だと人里では桜が蕾となって、膨らみ始めている頃だろう。幻想郷にある白玉楼。つまりは冥界でもあるこの場所にも、春のうららかな陽気が流れ始めている。もっとも、いくら温かくなっても、命無き世界であるこの場所に、普通の花は咲かないのだが。
そんな事を考えながら、今日も今日とて門を守るための準備を終えて出かける寸前に、珍しく幽々子様から話があると告げられた。
一体何かあったのだろうか? そう思いながらも、言われた通りに、白玉楼の一室に向かう。障子には幽々子様の影が見えて、中に幽々子様がいる事がわかった。
「失礼いたします」
「良いわよ~」
間延びした声を聞きながら、静かに障子を開ける。開けた先には、妖怪栗饅頭がいた。栗饅頭が山となって重なりながら、異様な速度で消費されていく。どうやら朝食の後の、おやつの時間のようだ。しかし、あれだけ食べても太らないというのは、男の私ではわからないが、女性には羨ましいのではないだろうか。人里の女性全てに喧嘩を売っているような気がしないでもない。以前も、妖怪の賢者とそれが原因で喧嘩したという事もあったくらいだし。
「それで、話とは?」
関係の無い事をつらつらと思っていても、それは時間の無駄だろう。そう判断して、私は妖怪栗饅頭改めて、そこから顔を出された幽々子様に問いかける。
幽々子様は普段と変わらず、青色の“ふりる”とやらが沢山ついた着物を着ていらっしゃっている。妖怪の賢者より送られた贈り物で、特にお気に入りのようだ。本人曰く、同じ服はいくらでもあるけど、この服が一番お気に入りという事だが、私にはさっぱりその違いが分からない。
「少し、貴方に大切な話が合ってね」
「はぁ」
大切な話? 一体何が? ハッ! まさか! 幽々子様の食費で、とうとう白玉楼の貯蓄が無くなった!? だとしたら、確かに大切な話だ!
「貴方が考えている様なものとは多分違うわよ」
「え? では、食費で貯蓄がなくなるという事は」
「そんなこと起きる訳ないでしょうに。幾ら私でもそこまで食べないわ」
……如何しよう。幽々子様のおっしゃった言葉が、到底信じられない。このお方なら、悪い意味でやってしまえそうで非常に怖い。
「そろそろ本題に入りましょう」
「はい」
姿勢を正して幽々子様のおっしゃる言葉を待っていると、信じられない言葉を聞いたような気がする。
「信じられない、じゃなくて事実よ。今日を持って、しばらく魂魄妖灯の暇を出します」
暇を出された? 暇ってなんだっけ?
「口を開いたままでは見っともないわよ。閉じなさない」
「はっ! 失礼いたしました。ですが、お待ちください幽々子様! 何故私が暇を出されなければならないのですか!?」
「わからない?」
「はい」
ため息をつかれた!? 何故だ!? それほど私の勤務態度は悪かったのか? いや、紅魔館の門番と違って、私はきちんと職務を遂行しているはずだ。つい先日も、人間が白玉楼へ入ろうとしたのも阻止したはず。
「貴方は変わらなさすぎるからよ」
「変わらなさすぎる?」
「そうよ。冥界とはいえ、この地にも時間は流れている。時間が流れれば変化は起きる。けれど、貴方だけはいつまでも過去に縛られて、未来へ進み、変わるという事をしない。そんな頭の固い従者は、一度暇を出して、修行に出て世界を見てもらう事にしたのよ」
「ちょ、一寸待ってください、幽々子様! お言葉ですが、ここは死者の世界。変わる必要はありません。死した魂魄を集めて、使役し、変わらぬ日々を過ごせばよいのです」
「嫌よ、そんな世界。雅じゃないわ」
み、雅と言われましても。そもそもここ自体、昔はもっと狭く、庭などなかったような状態だったではないですか。
「それで貴方には少し世界を見てもらうわ。人間の作り出す世界を」
「いえ、幽々子様? 私の意見は無視ですか!? そうなのですか!? というより、何故そうなるのです!? 普通に、他の勢力を訪れて、見て回れば良い話では!?」
「うふふ、簡単な事よ。貴方の悪癖の一つの、人間嫌い。いえ、人間コンプレックスを治そうと思ったのよ。大体、妖怪は入っても良いけど、人はダメって基準が可笑しいもの」
「全く答えにはなっておりませんよ!?」
「というわけで、貴方には外の世界で高校生をやってもらいます。外で必要な事は紫がしてくれたわぁ」
抗議をしようと口を開いた瞬間、
「えっ?」
嫌な浮遊感がして、真下にぽっかりと黒いスキマが開いていた。飛ぼうと思う前に、私は落ちてしまった。何処につながるかわからないスキマの中に。
「良かったのでしょうか?」
「あら、良いのよ」
その様子を隣の部屋から確認していた、妖夢が顔を出してきた。あの子と本当にそっくりな顔立ちに、服。唯一の違いはもっている物が二振りの刀と、穿いているのがスカートという違いだけかしら?
それにしても、あの子は少し過去に囚われ過ぎている。これ位の荒療治は必要。そうでもしないと、巫女も普通の魔法使いも白玉楼に来れなくなっちゃうわ。
そうなってしまうと、私がつまらないし、暇を持て余してご飯を食べるしかなくなってしまうもの。
「それだけはおやめ下さい!!? そんな事が起きたら、白玉楼が財政難で潰れてしまいます!」
「貴方達兄妹は、どれだけ私を大食いと見ているの!?」
後々、魂魄家の二人兄妹、魂魄妖灯と魂魄妖夢が揃ったら、厳しく私をどう思っているか糾弾しましょう。
一人で、召喚獣システムの調整をしている時に、かつて慣れ親しんだ力を感じた。振り返ってみると、やっぱりあの人、いやあの妖怪がいた。
「あら、一寸見ない間に、随分と老けたものね」
「もう私から見たら久方ぶりさね。もう、何十年前だい? 私が幻想郷に迷い込み、外へ出るときにあった時以来さね」
「そうだったかしら。御免なさないね。私にとっては、高々数十年程度。人間には長すぎたみたいね」
まったくだよ。私よりはるかに長生きだというのに、未だに若々しい、それこそ十代でも通りそうな目の前にいる少女、八雲紫には、ある種の女特有の怒りが込み上げてくる。私はこんなに皺くちゃになったというのに、何でこいつはあった時から変わらないんだい。
「それが人と妖怪の違いだからよ。人間では決してまねできない何か。だからこそ、人は恐怖してそれに妖怪という枠組みを与えた。自分たちが理解できるように。そしてその枠組みの中には、長命というのも含まれていただけ。中には異常なまでに短命な妖怪もいるわ。
ふん。あれはどちらかというと、神の使いだろうに。
「それで、幻想郷の賢者、八雲紫が一体こんなババアに何の用だい?」
「あら、話が早いわね。少しだけ貴方に頼みたい事が有ってね。とある理由で人間不信になった幻想を受け入れてもらいたいのよ」
「無理さね」
「あら、何でかしら?」
分かり切っているというのに、一々言わせるつもりなのかね。そもそも、幻想と呼ばれるものは大概妖怪。人間に悪意ある存在が多いし、例え悪意がなくとも力が強すぎる。その妖怪にそんなつもりはなくとも、相手をさせられる人間の体がついていけずに壊される場合もある。それに、そもそも、そんな事はこいつ自身が一番よく知っているはずだ。
「そもそも幻想はこの世界に居れなくなったから、幻想郷に行く羽目になったんだろうに。短い時間ならまだしも、如何やって学校生活なんてさせるつもりだい?」
「それなら簡単よ。特殊な結界でね、その人物を人間に一時的にするの。私以外には発動する事すらできない特殊な結界よ」
「有り得ないね。性質ってのはそう簡単に変わるもんじゃない。aという物質をa’にするのに、力を加えなければならないが、それには正しい方法で、且つ正しい手順を持って始めて変化を促す事が出来る。さらに大前提としてその為には因子が必要。元々、人になれるという因子がね。妖怪にはそんな因子を持つ物はいないだろうに」
「ええ。確かにそうね。それが妖怪ならね?」
妙に含むさね。一体何を隠しているんだか。
「だけど、元々半分が人間なら話は別。力自体、人間よりはるかに優れるとは言っても、妖怪ほどではない」
「まさか、アンタ!」
「そう。私が生徒にしてほしいという相手は、魂魄妖灯よ」
……ハァ。こいつは本当に。
「断れないのはお見通しって訳かい」
「ええ」
「わかったよ。魂魄妖灯を入学させるさね」
「よろしくね~♪ あ、そうそう。幻想郷に住んでいた影響で、基本的に現代の技術云々は使いこなせないから、余計な機械は持たせないほうが良いわ。壊されたくないならね」
まったく、本当に困ったもんだよ。それにしても、まさかね。今頃縁が合うとはね。……ゃん。
できれば、一言でも良いので、感想を下さい。駄目だしオンリーでも良いです。むしろそちらの方が悪い点が分かるのでうれしいです。
東方知らない人へ
冥界 死んだ人が集まる世界です。
白玉楼 冥界にある建物。
西行寺幽々子 作中で幽々子様と言われた人。亡霊で、すでに死んでいます。のほほんとした呑気な性格に見えて、かなり辛辣な毒を吐く事も。
魂魄妖灯 半人半霊と呼ばれる人間と幽霊のハーフ。オリキャラ。
魂魄妖夢 妖灯の妹(オリ設定。二振りの刀を持っている。
妖怪の賢者 八雲紫と呼ばれる女性の事。幻想郷という村を博麗大結界で遮断して、幻想を守った妖怪。胡散臭い笑みを浮かべ続けている。
比緋色金 日本の神話に出てくる合金。とにかく熱に強い。
霧雨魔理沙 比緋色金を使われて作られた道具を持つ魔法使い。ただし、『普通の』という前書きが付く。