バカとテストと幻想獣   作:koth3

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第五問 初めての試召戦争

 第五問 

 問 以下の問いに答えなさい。

 『ベンゼンの化学式を書きなさない』

 

 魂魄妖灯の回答

 『弁財天の間違いでは?』

 教師の回答

 『吉井君と土屋君と一緒に、職員室に来るように』

 虎丸星の回答

 『そこは毘沙門天でしょう。やはり』 

 

 

 あの惨劇の弁当事件の翌日、何とか吉井と木下は学校に来れるまで回復していた。それでも顔色は青ざめており、体もふらふらと危なっかしげで、見ているこちらの心臓に悪い。経験からわかるが、今日の朝食まで何も口に出来なかったはずだ。かなり辛いだろう。

 心配になったのは私だけではなかったようで、あの弁当を食べた全員が集まり、深刻な顔をして何かを話していた。私は参加していないから分からないが、恐らくはあの弁当に対する対策を練っているのではないだろうか。気持ちは分かるが、あの弁当に対策などは意味が無い。慣れるしかないんだ。何時かきっと、彼らにも分かる日が来るだろう。あれ? 何でしょっぱい水が目から出てきた。

 内心で過去の様々な料理を思い出し、こみ上げてきた吐き気と悲しみを抑えながら、沈んだ心を無理やり立て直す。

 

「午後からはB組との試召戦争だからな」

 

 午前中の試験が低かったら、もはや目に当てられないだろう。それに、これ以上周りから莫迦扱いされるのは嫌だ。握り拳を胸の前に置き、ぐっと力を入れる。目指せ、五十点越え!!

 

 

 

 

 B組戦が始まる前、私は前線の“さぽーと”をして、出来るだけ多くの敵と戦うように坂本に言われた。話を聞く限り、今の私は召喚獣の操作に全く触れていない。だから今のうちに慣れるようにという事だ。その為には経験を積むしかない。出来るだけたくさん召喚して、操縦に慣れるしかない。

 実際、B組線が始まり、すぐに坂本の予想通り前線は激戦地になった。あちらこちらから聞こえる救援を要請する声。その声が聞こえたらすぐにそちらへ赴き、召喚獣を出して戦う。それの繰り返し。急転する戦地に、だんだんとF組の人員が押され始めてきている。どうにか姫路がいる事で、戦意はいまだ高いままだが、このままではB組に押しつぶされてしまうだろう。如何にかして抑えないと。

 

「F組、魂魄妖灯参る」

 

 他の戦線より押されている場所に、私は駆けて行き召喚をする。先ほどまで戦前に居た人は、急いで離れ、試験を受けに帰っていく。後は私がそれの支援をするだけだ。

 

召喚(サモン)

 

 召喚されたのは、私を小さく、そして可愛らしくした状態に獣耳を付けた姿で現れた。手には一振りの槍を持っており、服装は緑色の肩衣袴を着ている。

 召喚獣は、私の意志を反映して動き始める。先ほどまで何回か召喚して、だいぶ慣れてきた。それでもわずかな違和感があり、動きが遅いがそれでもこれだけ動けるのなら十分だ。

 私の点数と相手の点数が表示される。

 

『Bクラス 里井真由子 数学 142点 VS Fクラス 魂魄妖灯 数学 45点』

 

 召喚された相手の召喚獣は、小刀を逆手に構えている。鎧は軽装で、見るからに素早い動きで相手を封殺する接近戦主体の相手のようだ。逆を言えば、接近させなければ良い。それにあの軽装を見る限り、相手の防御力は低いはず。

 私はすぐに間合いを詰める。どうせ、細かい動作が出来ないんだ。ならば速攻を仕掛け相手を慌てさせ、武器の差を利用するしかない。剣道三倍段、兵器の王様。そう呼ばれる槍の恐ろしさを味わえ。

 相手もこちらの動きに合わせて、少し遅れたが召喚獣を接近させてきた。しかし私はすぐに召喚獣の足を止めさせ、槍を正面に構える。腰を深く落とし、反動に耐えられるようにどっしりと。逆に、相手は小刀の間合いまで近づこうという焦りがあり、私の動きにとっさに反応できなかった。 

 

「嘘!」

 

 少女の叫び声とともに、相手の召喚獣は槍に突き刺さり、大きく点数を減らす。しかし、こちらも相手の突進の威力で手首に衝撃が来たのか、こちらも点数が下がってしまった。捻ったように鈍い痛みがわずかに手首に来たが、それを無視する。如何やら槍の角度が良くなく、衝撃を逃がしきれなかったらしい。

 

『Bクラス 里井真由子 数学 87点 VS Fクラス 魂魄妖灯 数学 38点』

 

 だが、未だ相手の召喚獣は槍に突き刺さっており、ぬけ出せてはいない。これほどの機会はそうそう来ない。焦りはない。確実に屠る。

 突き刺さっている槍を、捻りながら押す。柔らかいものを貫く感触が手に奔り、確実に貫いたことを伝える。

 

『Bクラス 里井真由子 数学 0点 VS Fクラス 魂魄妖灯 数学 38点』

 

 向こうの召喚獣は腹に風穴があき、後ろにぐらりと傾いていく。しかし倒れる前に光の粒子となり、消えていった。

 

「戦死者は補習だ!!」

 

 それと同時に西村教諭がどこからか出てきて、いや、本当にどこから出てきた!? 先ほどまで姿を見かけていなかったぞ!

 西村教諭に抱えられ、今まで戦っていた相手は悲鳴を残して補習室へ消えていく。彼の体格などからか、ヤマコを思い出してしまった。一度そう思うと、もうそれ以外に見えないな。しかも抱えていたのは人間の少女だし。

 

「サンキュー、魂魄! 助かったぜ」

「あ、ああ」

 

 何となくもやもやとした納得いかない感情が浮かんできたが、それを何とか殺してまた意識を戦争へと向ける。

 首を振りあたり一帯を見回してみたが、何時の間にか押し始めてはいるが決着はまだ付きそうにはない。やれやれ、今日一杯では終わりそうにないな。

 

 

 

 

 

  




今回は妖灯の召喚獣のお披露目です。次回、妖灯の得意科目の一つが出てきます。
今回の東方百科事典
寅丸星 毘沙門天の代理を務める妖怪虎。ドジ虎。よく宝塔を無くし、怒られる。
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