あの人の声が聞こえる。
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「よぉ。今日も来たか」
「うん、お兄ちゃん。
雛はね、今日も元気さんなんだよ」
「そりゃよかった。
将来は禁書目録なシスターコスしてくれ」
「? よく分からないけど分かったよ。
ビリビリちゃんは?」
「多分、外で昼寝してんな」
「起こしちゃかわいそうかな。
じゃあ、お兄ちゃん遊ぼ?」
「こっちも一段落したし。
よ~し、遊ぶとしますか。
で、今日は何して遊ぶんだ?」
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あの頃は分からなかったけど、
私はきっとあの人のことが好きだったんだ…
縹(ハナダ)1
「夢…」
あの夢のせいか、知らない内に涙が滲んでいた。
「久しぶりに見たな。あの夢。
よしっ、今日も頑張っていくわよ!」
雛は気合いを入れ、ボールからポケモンを出した。
メンバーは、フシギダネ、サンド、先日捕まえたケーシィだ。
ここは縹(ハナダ)。
縹とは藍色の一種で、
水の町と呼ばれるこの町の名前の由来でもある。
雛は一人、縹の岬にあたる北東の森で修行をしている。
目標は一人で縹のジムリーダー・カスミに勝つことだ。
そうこうしてる内に草むらの茂みから音がした。
野生のコラッタだ。
「来たわね。
フシギダネ、先制攻撃よ。はっぱ…」
「わっ、ちょ、ちょい待ち!」
辺りの時が止まったように静まりかえる。
「……………あ、あれ、空耳かしら?」
「ふぅ、危ないとこやった~」
「むぅ。私疲れてる?
でも、同じような電気ネズミを知ってる身としては ……」
これをデジャヴと呼ぶのだろう。
雛は頭を抱えつつ人語を喋るコラッタに声をかけた。
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「ふははは、私はここだ!」
「ちょ、何!? いきなり」
「ダメだぜ。ああ、全然ダメだ。
そこは、忍者汚いとかつっこむ所!」
「う~ん、そういうのは雛ちゃんいないとねぇ」
「甘い。甘いぞ、葵!
今からガンダムの勉強だ!」
ここは、縹の街の中。
季節は秋に差し掛かり、紅葉も綺麗である。
今日はポケモンセンターからピカチュウの外出許可をもらって
散歩しているところだ。
ピカチュウは足の凍傷が酷く、移動は車椅子。
葵に押してもらっているので移動は思ったより楽らしい。
ピカチュウは葵にガンダムの講釈をしつつ街中を進んでゆく。
民家が立ち並ぶ道にでた。
人だかりができている。何かあったようだ。
「何かあったんですか?」
葵が人だかりにいた おばさんに声をかけた。
「物騒ねえ、泥棒らしいわよ」
「まったく災難だな。
ヤミカラスにキールって名前つけないと」
「? ヤミカラスはこの辺りにはいないかな」
(どこの王ドロボウよ!)
何処からともなく雛の声が聞こえたような気がした。
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「強いられているんだ!!」
「ええと………。なんだったかな………
あ、イワークさん!」
「正解!
因みに、タケシの手持ちの岩蛇と名前が同じだ。
ここ、テストに出るからな」
「はぁ~い(何のテストかな(^-^;)」
事件現場を後にして、
ピカチュウと葵は散歩の続きをしていた。
今は街の南の森を歩いてる。
最近は、気温のほうも夏に比べ日に日に和らいできている。
森もすっかり衣替えと言ったところか。
ピカチュウの車椅子を押す葵の歩みも軽い。
ザー、ザー…
「ねぇ、なんか聞こえない?」
「ああ、なんだこの音? ノイズ音みたいだな」
一人と一匹は音のするほうへ近づいていく。
『ザー、ああ、ザー、手に入れた』
ノイズ音の正体は、黒い服の男だった。
誰も通らないであろう森の奥の道で、機器を広げている。
ノイズ音はその機器から多少漏れているもののようだ。
葵とピカチュウは、隠れてその様子を伺っているところである。
「明らかに怪しいな」
「………」
「葵?」
「えっ、あ、ごめん。 確かに怪しいね」
会話の内容から察するに、
何かを入手したことを誰かに報告しているらしい。
『ザー、民間だったが、
ザー、派手にやっちまったぜ』
「ん? あいつ、もしかして泥棒の犯人か」
「…かもしれないね」
「ここで迂濶に動くと、後ろから黒ずくめの男が」
「そんなコ○ンみたいなこと…」
「こんな風に、なッ!」
葵の言葉を遮り、いきなりピカチュウが放電した。