雛ちゃんにココア送ってみよう」
ココアと言うのは、スマホアプリである。
心ぴょんぴょんしそうな名前なのは気にしない。
この世界のカ○オトークやラ○ン。
つまり、無料通話アプリだ。
「あ、返ってきた。
”ピカチュウはご褒美で釣るのよ。
萌え系だとなお良し▽・w・▽”
顔文字よく分かんないけど……
っと、萌え?」
一方、ピカチュウはというとー
「俺は、レンレンを推すぜ!」
「私は、榊原様だな。
ハマーン様、万歳」
「くぎゅ一択だろ!」
ロケット団の二人と議論を繰り広げている。
話はどこまでも平行線だ。
「むむむ、レンレンってどこかで聞いたような?
香蓮ちゃんがそんな呼び方されて………
はっ、これだ!」
葵は何か思いつくや否や、
ピカチュウを回収(車椅子)すると、ロケット団と距離を離した。
そして、おもむろにピカチュウにスマホを見せる。
「葵どうした?
…………な、なん…だと!?」
「レンレンとお友……むごご!?」
「実は、香蓮ちゃんとクラスメートなんだ。
話を進めてくれたら、電話させてあげようかな?」
「………っしゃあぁぁぁ!!
やぁ~てやるぜ!」
ピカチュウに見せたのは、三嶋香蓮とのツーショット。
三嶋香蓮ことレンレンは、声優である。
現役女子中学生ながら、声優業をこなしている。
アニメ主題歌なども担当し、コンサートも単独で行うほど。
歌のときのクールな感じと、
普段の舌っ足らずな喋りのギャップが魅力なのだとか。
ピカチュウは、ロケット団に向き直る。
「さて、縹の民家での窃盗事件の犯人はお前らか?」
「ご名答だ。電気ネズミ」
(なんだ?雰囲気が変わった?)
「我らの正体を知られたからには、
生きて帰す訳にはいかないな」
「はっ、テンプレみてーなこと言いやがって。
俺は生きて帰るんだ!
レンレンが俺を待ってる」
「やったよ、雛ちゃん」
(そして、ごめんね。香蓮ちゃん)
友人を出汁に使ってしまい少し後ろめたい葵であった。
かくして、ようやく本題に移る。
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「っお~~し。
この感じ、この感じ。懐かしいで~」
自分の身体が動くか確認するように
肩を回しながらマサキが言った。
雛の協力のおかげで、
なんとかマサキは人の体に戻ることができたようだ。
入れ替わってしまったコラッタも無事みたいだ。
今はぐっすり眠っている。
「ほんま、おおきに。助かったわ」
「べ、別に感謝されるほどのことじゃないわ」
「そや、お礼といっちゃなんやけど」
マサキはそう言うと、
奥の部屋からモンスターボールを持ってきた。
「今回のお礼や」
「いいわよ、そんなの 」
「義理と人情は大切にせなあかん。わいの気持ちや」
そう言われては仕方ない。
雛はマサキからモンスターボールを受け取る。
「ちょい、出してみ」
「ええ。それっ」
雛は言われた通り貰ったボールからポケモンを出してみた。
ボールから現れたのは………
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「この子は?」
モンスターボールから出てきたのは、
小さなウサギに似たポケモンだった。
首の回りにモコモコした毛があり、尻尾もふっくらしている。
「こいつはな、イーブイゆーんや」
「イーブイ」
「せや、こいつは特殊なやつでな。
なんと進化の可能性を8つも持っとる」
「そんなに!?」
「炎、水、雷、エスパー、
悪、氷、草、フェアリーの8つやな。
こいつはその中でも特殊で、内2つは標準装備や」
「それって、どういう?」
「まあ、ちょいと訳ありでな。
ある条件を満たすとタイプが変わってまうんや
基本は、この状態なんやけどな……」
「えぇ。…ポケモンにも色々あるのね」
(ん? それって、ピカチュウと似てる……ような…?)
フリーザー戦のピカチュウの変化が頭をよぎる。
あの時、タイプか変わっていたように見えた。
イーブイと何か関係があるのだろうか。
「そうやな…。
あと、ちょいと人間嫌いなんや。こいつ。
でも、ま。ちゃんとしてやれば、バトルでの切札になるはずや」
そう言うわりに、マサキにはなついてるようだ。
イーブイはマサキに首の下を撫でられ気持ち良さそうだ。
「ありがとう、大事に育てるわ」
「そうや、雛はポケモン修行中やったな。
せっかくや、手ぇ貸すで」
マサキは雛の手持ちを思い出し、あることを思いついた。
「頭数揃ってるからダブルバトルといこうぜ」
「望むところだ」
「と言わせて貰おう」
「抱きしめたいな、……っとまた脱線するところだった」
「よく出来ました」
なでなで
葵はピカチュウを撫でた。
ピカチュウは、勝ち誇った顔でロケット団に目をやる。
「あいつッ!
羨ましいな、こんちくしょーが!」
「くッ、こんなにピカチュウになりたいと思ったことはない」
本気で羨ましがる変態紳士が約2名。
こんなのが本当に悪の組織の一員なのか心配である。
「そろそろ始めようぜ、ハクリュー」
「キレイハナ、お願い」
「ゆくぞ、マルマイン」
「出番だ、ゴースト」
日が暮れゆく中、ようやくバトルが始まるのであった。