ワタル
「貴様以外、手掛りがないからな。仕方あるまい」
事態が飲み込めない雛と葵は、呆気にとられている。
どうやらピカチュウとワタルは知り合いらしい。
彼は、ポケモンリーグの頂点に立つ四天王の長。
この世界でドラゴン使いのワタルと言えば、知らぬ者はいないだろう。
そのプレッシャーは立っているだけで伝わるほどだ。
雛「木星から帰還してきたキノコみたいなプレッシャーね」
葵「 キノコ?」
雛「昔、赤いキノコと紫のキノコの壮絶な戦いがあったのよ…」
葵「???」
雛は感じていた。
戦うことになれば、勝ち目は無いに等しいことを。
嫌、ゼロと言っても過言ではない。
ピカチュウもドラゴンタイプでは相性が悪いのだから………
ぴ(さしあたって、どうするか…)
今、ピカチュウは高度130万フィートの絶対閉鎖空間
にいるような感覚さえしていた。
雛(ソウルリンクか!モノローグにまでつっこませないでよ!)
申し訳ない。
こほん。取り直して。
ドラゴンポケモンは天候すら操る。
この異常気象もワタルの傍にいる2匹のハクリューによるものだ。
ワタル
「抵抗せず大人しくしていれば、こちらも攻撃を加えないが?」
ぴ「誰が大人しくするって?」
ワタル
「まぁ、そう言うとは思ったがな。
ギャラリーが集まる前に終わらせる。ハクリュー」
待機させていたハクリュー2匹が戦闘体制に入る。
ぴ(人が集まれば、撤退してくれるか……?)
四天王であるワタルが一般のトレーナーとバトルしているとなれば、
騒ぎになることは予想できる。
そうなれば、ワタルが撤退する可能性も有り得る。
だが、それすらも難しい事はピカチュウも重々承知していた。
勝ちの見えない戦いが始まる。
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ワタル「ハクリュー、竜巻」
2匹のハクリューが巨大な竜巻を発生させる。
葵「やばいよね、あれ 」
ぴ「まぁ、→↘ ↓↙ ←+BorD って入力してくれれば俺も」
雛 「どこの旋風脚よ! まったくこんな時に」
ぴ「そんなに怒るなよ。
殺意の波動に目覚めたら、それこそヤンデレだ」
雛の瞳から光が消える。
何故か冬服に…
笑顔が揺らぐ
その手にはノコギリが
ぴ「悪かった。 俺はツンデレ属性です」
雛「分かればいいのよ、分かれば」
葵「それ知ってる。放送中止になったヤツ。
最後ボート?に乗ってたよね」
ぴ「それテレビ版な。 Niceboat.」
アレな会話をしているが、ピカチュウは光の壁で防御体制を整えていた。
ワタル
「悪あがきだな」
ぴ「へっ、何もしないで終われるかよ」
次第に防御壁である光の壁は削り取られてゆく。
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ぴ(さすがにやばいな…)
2匹のハクリューによる竜巻で、徐々に光の壁は削られゆく。
ぴ「ったく、
ワタル
「ハクリュー、雨乞い」
雨乞いにより天候が雨となり、竜巻と合わせ暴風となる。
ぴ「雛につっこみくらい入れさせろよな。ちッ、手加減無しかよ」
雛「ピカチュウ!こっち!」
ぴ「なっ!?」
ピカチュウの視界が一瞬ぶれる。
足が地面を離れ、身体が宙に浮く。
光の壁が割れる寸前で竜巻を回避した。
葵「ろこたん、煙幕」
ワタル
「くっ、こざかしい真似を」
辺りに黒い煙が立ち込める。
葵「戦略的撤退みたいな」
雛「…………何踊ってんのよ?」
ぴ「ほら、お前たちも一緒に。逃げるは恥だが(ry」
葵「なにそれ、可愛い(*´Д`*)」
雛「ったく。いいからじっとしてなさい」
ピカチュウは雛のフシギダネのつるのむちに引き寄せられ、
脱出したのだった。
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葵「ピカチュウ、大丈夫?」
ぴ「葵が、 ”にーにー∞好き” でも歌ってくれれば元気100倍なんだが」
雛「キャラソンとか分かり難いわよ。
って、葵ちゃん、スマホで探さなくていいから」
ぴ「祟殺しの沙都子は嫁に欲しいぜ」
雛「むぅ。ファンとして否定しないけど」
スマホで試聴し終えたのか、葵が微妙な顔で雛を見た。
葵「…………………後半どうなってるのこれ?」
雛「ですよねー」
葵のポケモン、ロコンの煙幕に紛れ、
雛と葵はピカチュウを連れて逃げている。
ぴ「……こんなにも早く来るとはな」
雛「あんた、ワタルと何があったのよ」
葵「四天王が直で来るとかただ事じゃないかも」
ぴ「すまない、今は話せない…」
いつになく真剣な表情のピカチュウを見て雛は
雛「……誰にでも、話せないことはあるわ。
話したくなったら話せばいいんじゃない」
葵「そうだね。今は全力で逃げなくちゃ」
その時だ。
辺りの気温が低くなるのを感じたのは。
その急激な気温変化にピカチュウ達は足を止める。
ワタル
「ギャラドス、
ぴ「マジかよ。 ギャラドスまで出してきやがった」
ワタルは、2匹のハクリューを自分の両脇に待機させ、
ギャラドス(凶悪なドラゴンのようなポケモン)を新たに出していた。
ワタル
「貴様達も邪魔をするなら排除するが?」
雛「今、ピカチュウのトレーナーは私よ。
簡単に自分のポケモン手離すもんか!」
葵「踏み出したばかりなのに、
訳の分からないまま終われないんだから!」
ぴ「雛、葵……」
ワタル
「用があるのは、その電気鼠だ。
未来があるトレーナーの命までは奪わぬが、それ相応の痛みは覚悟しろ」
ワタルの顔付きが変わる。
雛と葵は迎撃体制に入る。
次の瞬間、雛の身体に異変が生じた。
痛みは一瞬だった。
意識が遠くなる。
ワタルの攻撃ではない。
だとしたら、これは?
薄れゆく意識の中、雛は声を聞いた。
「わりぃな」
それを最後に雛は意識を失った。