ピカチュウが雛に電撃を走らせたのだ。
気絶した雛を葵が支えた。
ぴ「悪ぃな、葵。俺のせいでお前達に傷ついてほしくない。
おい、ワタル。攻撃をやめて俺を連れていけ!」
ワタル
「懸命な判断だ」
ワタルはハクリュー、ギャラドスに待機命令を下す。
ぴ「葵、雛を頼む」
葵「………」
ピカチュウはワタルの方に向かう。
次第に遠ざかる小さな背中ー
葵「……もう、失わせるか」
葵の声が低くなる。
普段と感じが違う葵に、ピカチュウは振り返る。
葵はモンスターボールを投げた。
Hと刻まれたそのボールは、モンスターボールの
数段上の性能を持つハイパーボールと呼ばれるものだ。
高レベルポケモン捕獲などに使用される。
ボールからでたモンスターは光を放ち姿を確認できない。
そのモンスターの影響か、気温がどんどん下がってゆく。
氷点下まで下がっているのだろうか、吐く息が白い。
辺り一面が氷漬けにされてゆくー
草も花も大地でさえも。
大気が震えているのが感覚で分かる。
ボールからでたそれは、天空を羽ばたく蒼き翼。
ワタル
「これは、まさか!?」
光を纏い、現れたのは
伝説のモンスター
その名は フリーザー
その力は全てを凍てつかせるために
故に絶対零度
与えられた二つ名はー
フリーザーの影響で辺り一面は雪化粧に彩られ、銀世界と化していた。
ワタル「フリーザー…だと…」
流石のワタルも予想外のモンスターの登場に驚きを隠せない。
フリーザー
カントー地方に於ける、伝説として語られてきた3羽の鳥ポケモンの一角。
それぞれ
氷の力を司る、フリーザー
炎の力を司る、ファイヤー
雷の力を司る、サンダー
という3羽で構成される。
曰わく、
雪山で遭難し、死に直面した者の前にその姿を現すと伝えられてきた。
フリーザーの気分次第で、
命を救われた者
見捨てられた者
行方不明になった者
と様々な伝承が残っている。
葵「ピカチュウ、戻って!」
ぴ「まったく、とんでもないのを持ってたもんだ。
形勢逆転ってやつだな」
ピカチュウは歩みを止め、踵を返す。
雛と葵の元に戻ってきた。
ドラゴンに対して、氷タイプのポケモンは天敵とも言える存在だ。
つまり、ドラゴン使いであるワタルに対して大きな抑止力となる。
フリーザーであれば、ワタルを追い返すのも不可能ではない。
ぴ「伝説の氷タイプモンスターがいれば負けやしないぜ。
さぁ、ザーボンさん、ドドリアさんやっておしまいなさい」
雛は気絶しているが、魂の声が聞こえたような気がした。
雛(ここはナメック星じゃないし。そもそもあっちは”フリーザ”)
葵「……」
ぴ「どした?」
葵「う~ん。実は言い忘れてたことがあって、ね?」
ぴ「黒い月は出てないから落ち着け」
雛(
七惑七星が招きたる、
千歳の
………って長いわ!)
ピカチュウが聞いていたら、泣いて喜ぶ台詞(呪文)である。
残念ながら、今は届かないのだが。
葵「見ての通り伝説のモンスターな訳で。
まだ、あたしの言うこと聞かなかったり……」
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ぴ「こりゃ、まずいな」
理性を失っているフリーザーは敵、味方の判別ができない。
ワタルにとっても、ピカチュウ達にとっても状況は五分である。
ワタル「引き際か……」
ワタルが動いた瞬間、突如足下から
それは槍のように鋭利な代物。
まさに、ゲイボル
雛(ちょっと、心臓貫かれるわよ)
ワタルはその氷柱を危なげなく避ける。
ぴ「へっ、逃がす気まるでなしみたいだな」
その様子を見たピカチュウも同じように動いたが、
氷柱《つらら》に行く手を阻まれた。
それは槍のように鋭利な代物。
まさに、 突き穿つ死翔の
雛(読み方は変わらないでしょ。
あんまり気絶してる人間につっこませないでよね)
申し訳ない、戻ります。
葵「ごめんね。考えずに出しちゃって 」
ぴ「謝るなよ。 今はあいつ何とかしないとな」
天空を舞う氷の女王を見据えつつ、ピカチュウは思考を巡らせる。
フリーザー攻略には、本来なら強力な炎が必要になる。
もしくは、電気、岩、鋼の力ならあるいは。
前にも述べただろうか。
ドラゴンタイプは氷タイプの技を苦手としているのだ。
ましてや、伝説のモンスター。
ワタルであっても深手を負うことは予想できる。
かといって、ピカチュウ達も有利ではない。
ピカチュウの消耗具合。
他、モンスターのレベル差がありすぎるなど。
ぴ「おい、ワタル。ここは、一時休戦にしようぜ?」
ワタル
「こちらも同じ解に達した所だ」
ぴ「じゃあ、
⇨ まきますか
まきませんか
」
ワタル
「な、なんだ?」
葵「ええと、小さいお人形さんのアニメだったよね?」
ぴ「その通りだ、葵。
むぅ、どこかの世界の前首相でも知ってるはずなんだけどな」
ワタル
「失礼した。 こちらの勉強不足だったみたいだな。
”まきます” でいいのか?」
ぴ「ああ、おっけーだぜ。 契約成立だな。俺、真紅な」
葵「あたしは、ピンク色の小さい娘かな」
ぴ「雛苺か。ぴったりではあるんだが、
あちらのストーリー進行上、オススメしかねるな」
雛(あぁ、ツッコミたい。 もぅ、ほんとにほんとにお馬鹿さん!)
かくして、ピカチュウ、そして葵とワタルは一時的に共闘することになった。