フィギュアヘッズ 〜鋼鉄の巨兵〜   作:レキュン

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需要があれば続きます、多分。


武器や装甲などの性能がゲームと異なる点がありましたら、こっそりご指摘お願いします。まあオンラインゲームであるため、性能の調整は頻繁に入ると思いますが。その際は後書きに注釈として追加します。


p1 廃墟の噂

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 20世紀の終わり──地球の衛星軌道上に接近した巨大隕石により世界は未曾有の恐怖と混乱を迎える。人類は迎撃ミサイルを用いて隕石に抵抗したが隕石の破片は地球へ落下し、人類の居住区は壊滅した。

 

 落下した隕石により地上は有害な成分で覆われ、人類は地下シェルターでの生活を余儀なくされた。そこで地下から地上を管理するべく「無人ロボット」の開発に注力。その技術はめざましい進歩を遂げたのであった。

 

 地下での生活に退屈した若者は「2Foot」と呼ばれる無人ロボットを操作して戦わせる遊びに興じていた。「BOTgame」と呼ばれるその遊びは世界中で流行の兆しを見せる。そこに目をつけた企業連合は一大娯楽産業としてスタジアムや競技規定を整備し「W2BF」という運営組織を設立。競技性を高めた「BOTgame」は世界中の人々を熱狂させている──

 

※W2BF公式サイトより抜粋。

 

 

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「"幽霊街(ゴーストタウン)"にさ、出たんだって」

 

 自動運行機能を利用した地下鉄の一等車。ランクス(Ranks)一人につき一部屋充てがわれている特等室で読書に勤しんでいた俺は、分厚い本に落としていた視線を声の主へと向けーーすぐに活字へと戻した。

 

「ちょっと!? どうして無視するのさ! アーデだってちょっとくらい興味あるでしょ!?」

 

「そんなことよりどうやってこの部屋に入った? 鍵を掛け忘れた覚えはないのだが」

 

 はぁ、と溜息を吐いて今では珍しい紙製の本を鞄に仕舞う。俺の耳元で叫ぶアホが簡単には引き下がらないことくらい知っているので、これ以上の無視は不毛な抵抗でしかない。

 

 仕方なく顔を上げれば、若葉色の髪と瞳に端整な貌立ちの中性的な少年がにへら、と変な笑みを浮かべて立っていた。もっと健全な笑顔なら万人から人気が出そうなものなのだが、この笑顔のせいで大人のお友達なファンが多かったりする。

 

 名はリツカ=カガミヤ。旧アジア、オセアニア圏を拠点とする大企業、サリオ(SALIO)所属のランクスである。

 

「それは勿論、相棒に頼んでだよ。ねーリリカ」

 

「はい! リツカ隊長の為にリリカ、一肌脱ぎました!」

 

 陽気な声で同意を示し、机上のモニターからホログラムとなって姿を現すピンクの髪をツインテールに纏めた少女。青とピンク色を基調とした服に身を包むホログラム(立体映像)の彼女は、サリオが開発した新世代型のフィギュアヘッズ・〈リリカ〉だ。

 

「……犯罪だよな? それ」

 

「そんなことないですよ! リツカ隊長とアーデさんはご友人ですから、プライベートを共有しても何らおかしなことはないと思いまーす!」

 

明朗快活、真面目で頑張り屋と素直な性格のフィギュアヘッズなのだが……、主人から悪影響を受けてないか?

 

「鍵付きの部屋にコールなしで入ることを友情とは呼ばないかならな? レティシアも見過ごさないでブロックしてくれ」

 

「でも、ずっと読書をしていては健康に悪いのです。それに私もリリカちゃんとお話がしたかったのです!」

 

 リリカの隣に新たなホログラムが出現する。ウェーブのかかった銀の長髪に、小柄な肢体を南国風の衣装に身を包むお嬢様風の可愛らしい容姿。

 

 《Zendel & sons》、通称Z&Sの開発した新機軸フィギュアヘッズであり、俺の相棒でもある。多少世間知らずな面もあるからか、今回のように相手に丸め込まれたりするものの、基本頑張り屋な良い子だ。

 

「はぁ……。で、特に用がないならさっさと帰ったらどうだ。ここの冷蔵庫に入ってるものはお前の部屋にも入ってるだろ?」

 

 俺がフィギュアヘッズの二人と話している間に、リツカは当たり前のように冷蔵庫を漁っている。行動の速さに呆れつつもそう苦言を呈すると、先月Z&S傘下の企業が発売したアイスを咥えたリツカが何か思い出したかのように両手をポンと合わせた。

 

「ふぁぃふぁっふぁ。ほぉーふ「すまん、何言ってんのか全く理解できない」

 

 口にアイスを咥えたまま話すな。お前は子供か……。

 

「──ごくん。えーとね、今日試合をやる"幽霊街(Ghost town)"に幽霊が出たんだってさ! ね、アーデも興味湧いたでしょ?」

 

「ああ。ここに来る度に毎回同じ話をしていなければ、だがな。ちなみに今回で666回目だ」

 

 地上が人が踏み入ることの叶わない廃墟と化した現在、地上の廃墟を流用したBOTgameの試合会場である"幽霊街"も当然人の立ち入りが不可能な地域だ。

 

 誰も住まなくなった不気味な廃墟。しかも名称が「幽霊街」ともなれば、怪談好きからすれば垂涎ものの格好のネタになるのだろう。

 

 曰く、試合中に建物の中で本を読む少女を見ただとか。

 

 曰く、突然壁に女性の笑みが浮かんだかと思うと、2Footが突然動かなくなったとか。

 

 曰く、リペアキットで休んでたらコアをブチ抜かれただとか。

 

 ……ほとんど、撃破された時の言い訳なんだが。最後なんてただの愚痴じゃねーか。

 

「むう、アーデつまんなーい。遊ぼうよ〜」

 

「せめて会場に着いてからにしろ。試合終わったらゲーセンで遊んでやるから……」

 

「やったー! アーデ大好き──ぶべっ」

 

 抱き着こうとダイブしてきたリツカの顔面をキャッチ。そのまま腕に力を込める。

 

「イダッ、痛い痛い痛い!? 可愛らしい男の子の顔が歪んじゃうよ!?」

 

「自分で可愛い言うな。ほら、そろそろ自分の部屋に戻っとけ。夕方には試合なんだから、今のうちに体を休めとけ」

 

「はーい。じゃ、試合で会おうね〜」

 

「失礼しました、アーデさん。レティシアちゃんも今日の試合、頑張ろう!」

 

「はい! また後で、なのです!」

 

 リツカはブンブンと手を振り回して扉の向こうへと去って行った。結局、読書の妨害しかされてないな……。

 

「はぁ。……レティシア、少し休むから着いたら起こしてくれ」

 

「分かりました! 現在の到着予定時刻は一五〇〇。二時間の快適な休息をお楽しみください」

 

 ぺこりと一礼してレティシアはホログラムの姿を消した。元の静寂を取り戻した部屋に一息ついた俺は、ベッドで横になる前にちらりと、地下鉄の窓に写る景色を眺める。

 

 ──大空洞に広がる鋼鉄の街並み。地下世界に造られたミニチュアのようなそれは、地上を追いやられた人類が逃げ込んだ、最後の安住の地。

 

 いつか戻れる日が来ることを願い、荒廃した地上を管理する為、今もなお地下世界の開拓を進める為に人類は、その先駆けとして「2Foot」──遠隔操作の無人ロボットを造り出した。

 

 そして、その飛躍的に向上したロボット技術の進歩を、人が遊びに利用し始めるのはそう遅いことではなかった。

 

 陽の光が届くことのない薄暗い地下世界に鬱屈とした人々が、娯楽を求めて生み出した遊びこそがBOTgame。通称、──「フィギュアヘッズ」。

 

 世界を牛耳る企業連合がスポンサーとなり、ランクス選手が2Foot同士で戦い互いの技量を競い合う、新たなゲーム(戦争)だった。




第1話にロボ要素が無い……。


こちらには基本フィギュアヘッズ内の用語を入れる予定です。
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