「やぁ、久しぶり。近頃来てなかったから元気か心配だったんだよ?」
病院の個室(費用はイギリス清教持ち)にて、ベッドにて横になっている少年に向かってカエル顔の医者が話しかけていた。
「いや、病院来てなかったら普通元気ですよ」
医者のジョークに少年―上条当麻は答える。ただ左手でこめかみを押さえながら。
「病状は、まぁだいたいいつもどおりだよ」
「だいたい?」
医者のあいまいな言葉に質問で返す。
「うん、だいたい。まず脳の過負荷による運動能力の低下とソレに伴う手足の一時的な麻痺。キミ、もう少しで一生寝たきりだったよ?確実に寿命が縮んでるから、その『眼』はあまり使わないほうが良いね」
にこやかに寿命が縮んでいるなどと言う医者に眼で続きを促す。
「で、これがいつもと違う箇所。キミの右腕は捻り切られてて使い物にならなくなっていた。骨が突き出て、肉が弾けとび、神経が千切れるなんてどうやったんだい?手首に縄つけて高速回転させてもああはならないと思うよ?」
その言葉に右腕があった場所を見る。そこには綺麗に何もなかった。
「まぁ、一般人には分からないような精巧な義手をつけてあげるから安心して良いよ」
そういって、医者は部屋から出て行った。
次に入ってきたのは魔術師だった。
「何しに来たんだよステイル」
「一応結末の報告と謝罪だね」
そう言うとステイルは上条に向かって頭を下げる。
「すまない、僕のせいで君は右腕を失った」
その言葉に上条は笑い出す。
「なんで笑う、こっちは真剣なんだが」
「ククッ、いや悪い悪い。気にすんなよステイル。コレは俺がしくじった結果なんだらさ」
そのままステイルは椅子に座り、林檎の皮を剥きはじめる。
「で、あの錬金術師はどうなった?」
「死んだよ、むしろアレで死ななかったら驚きだけどね」
心臓に刃物が突き刺さり、首がもがれて死なない人間は流石に居ないだろう。
「だよな、アルス・マグナはどうなった」
「不可能は不可能のままさ。彼の脳髄はなぜか潰されていてね、僕たち『必要悪の教会』でも記憶は読み取れなかった」
その言葉に上条は口の端を吊り上げ笑う。
「なぜか、か?」
「なぜか、さ」
剥き終わった林檎をさらに置いて、ステイルは部屋を出て行った。
次に入ってきたのは修道女だった。
「具合はどう?当麻」
心配そうに顔を覗き込んでくるインデックス。
「傷口も傷まないし、起き上がれないのと、手足が動かないだけだ、なんともないさ」
「あんまり無理しないでよ?心配、するから」
その言葉に上条は少しだけ表情を曇らせるが、すぐにいつもどうりの笑顔になってインデックスを励ます。
「あぁ、約束する。オマエを心配させない」
上条の言葉に笑ってインデックスは部屋を後にする。
彼等の物語は終わらない。
この物語は終わりますけどね。
こんな駄作を読んでくださった皆さん。ありがとうございました。お世話になりました!!