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インデックスを助けた次の日。上条当麻、インデックス、ステイル=マグネス、神裂火織は上条の部屋に集まっていた。
「さぁ話してもらおうか、上条当麻」
ステイルは上条を問い詰める。
「君の右手に『幻想殺し』とやらがあるのは認めよう」
しかし、と言葉を切り彼は言葉を続ける。
「君はこの子を助けるときにそんなものを使っていなかっただろう?」
そう、インデックスを助けるときに上条は『幻想殺し』を使っていなかった。
「だから教えてもらおうか」
上条の目を見つめ、彼は力強く言葉を紡ぐ。
「上条当麻、君は何をした?」
ステイルの目を見た上条はため息を吐き真実を口にする。
「誰にも言うなよ、俺には右手以外にも異能がある。ソレがこの『眼』だ」
『直死の魔眼』について説明する。
「けど、そんな眼どうやって手に入れたの?私の中の十万三千冊の中にもそんな情報無いんだけど」
インデックスが質問する。上条から説明されてからずっと情報を探していたが見つからなかったのだ。『魔道書図書館』であるインデックスにも、だ。
「それに聖人である私を圧倒する技もです。それになぜ貴方は眼鏡を外すと性格が変わるのですか?」
三人の視線が上条に集まる。
それに上条は苦笑して答える。
「分かった分かった、教えてやるから、そんな見るな」
そうして彼は語りだす。10年前の、始まりと出会いを。
――――
あれはもう十年前になるのか、死にかけたんだよ、俺。
「「「死にかけた!?」」」
黙ってろ、話の途中だろうが。
車に引かれて、三分間心臓止まって、三日間目覚めなかったんだ。
その時にさ、見ちまったんだよ。
「何を?」
話してやるから終わるまで黙ってろ。で、見たもんだったな。
黒い『虚無』だ。そのときに理解しちまったんだよ。『死』って奴をさ。
で、目ぇ覚ましたらさ、見慣れない兄さんと、黒い落書きみたいな『線』と『点』が見えたわけだ。
で、その兄さん、変わっててな、目に包帯巻いててさ。そんな怪しい人間に聞いちゃうぐらいにはその落書きに戸惑ってたんだよ。
「お兄さん、この気持ち悪い落書きは何?」
ってさ。そしたらその兄さん驚いた顔した後、包帯とって黒い線と点を指差して言うんだよ。
「この『線』と『点』のことかな?」
俺がそれに頷くと、悲しそうな顔して言うんだよ。
「そうか見えるのか……」
それでソレのこと聞いてみたらあっさり教えてくれたよ。
『直死の魔眼』のこと。聞いたときは、そうだな驚きもしたけど『線』と『点』の気持ち悪さに納得したよ。なんせ生物が恐れる『死』だ。人間に耐えられねぇよな普通は。
で、兄さんが言うわけだ。
「君のその『眼』は戦いを呼ぶだろう」
強い力は互いに引き寄せられるからな。なんて言う訳だ。いやぁ戸惑ったね。で、恥ずかしながら泣いちまった訳だよ。そしたら兄さんが言う訳だ、
「君の身を守れるくらいの力は教えて上げられるけどどうする?」
すぐに頷いたよ。ソレが俺に『業』を教えてくれた師匠との出会いだ。
名前は―志貴、七夜志貴だったと思う。
で、師匠が言うには俺の体は「 」と呼ばれる場所につながり、脳は『死』を理解しちまったらしくてな。繋がったせいで俺の脳は、歴代の直死の魔眼保持者の一人である師匠の情報も理解しちまったらしくてな。
脳が体を作り変えるって奴でな、俺はその一族しか使えないはずの『七夜の業』を使えるようになったんだよ。
眼と業は話したし後は口調だけど、コレは師匠の真似してたら定着した。
師匠に俺も気になったからなんで口調が変わるのか聞いたんだよ。そしたら
「当麻、俺は二人の人間の居場所を奪って生きてるんだ」
師匠が言うには、『七夜志貴』が死んで、幼馴染だった『遠野四季』の場所を奪って『遠野志貴』になり、彼に居場所を返すために『七夜志貴』になったらしい。
「四季には返せたんだけど、七夜には居場所を返せなかったからな、口調を真似て、忘れないようにしてるんだよ」
師匠は悲しそうだったな。
それで一年くらいたった時だったな。眼をある程度制御できるようになったときに、師匠が自分の世界に帰ったんだよ。平行世界ってところが故郷らしくてな。
そのときにこの『七ツ夜』と『魔眼殺し』を貰ったんだ。
「コレは平行世界の俺の家にあった、俺のと同じナイフで、こっちは恩人に貰ったもので、お守りみたいなもんなんだけど、弟子に何もやらないのはアレだからな。使ってくれ」
って言われたよ。
そして、師匠は自分の『通り名』を教えてくれたよ。
『殺人貴』、『貴く人を殺すから』らしい。長くなったがコレで終わりだ。
――――
「つまらない話だっただろう?」
疲れたように息を吐く上条。
「今日はコレで終わりだ」
そういって彼はベッドに沈んだ。
時刻は1時。話し始めた時間が十時だったから、三時間話していたことになる。
そうして、この話題は終わり、三人は寝た。
余談だが、神裂とインデックスがベッド、ステイルがソファー、上条が布団で寝ている。
――――
「どうしたの?志貴」
美しい金色の髪を持った女性が、眼に包帯を巻いた青年に質問する。
「いや、弟子がどうしているか気になっただけだ」
二人は、歩いてその場から去った。
頭上には、月が美しく輝いていた。
コレが、上条が魔眼、七夜の業を手に入れた理由です。
ではまた次回お会いしましょう。