とある魔眼の概念殺し《完結》   作:黒須 紅

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一ヶ月もの間更新できず申し訳ございません。
それではお楽しみを


第八話 超能力者と魔術

――予想外に疲れる――

 

『魔術師』ステイル=マグヌスと『殺人貴』上条当麻の共通の意見だった。とは言えたかだかビルの階段を登る程度では、二人ともそう疲れたりはしない。《普通》のビルであるなら、だが。

このビル、錬金術師アウレオルス=イザードが結界を張ったこのビルにはある魔術がかけられていた。正式名称は不明ここでは『裏表』と呼ばせてもらう。

コインに例えて説明をするのなら、上条たちコインの《裏》の存在は、コインの《表》に存在するこの『三沢塾』の生徒や建物にはどんな力も加えることができない。

例外として『直死の魔眼』を使ったなら《殺す》ことは可能だが。

 

「しかし衝撃を反射されるのがここまで辛くなるのは予想外だった。アイツの能力が羨ましいね」

 

思い出すは白い彼。襲い掛かってくる不良たちを次から次へとなぎ払う様は爽快感すら覚えたものだ。

 

「アイツ?それは一体誰だい」

 

ステイルが問いかける。まぁこの様な状況(敵地のど真ん中)でいきなり呟かれれば誰だって気になるだろう。それにステイルもおそらく溜まっていく疲労にストレスを感じていたのだろう。

 

「アイツって言うのは、そうだなあんまり顔を合わせることが無い親友ってのが一番適した言い方だと思う。まぁそいつの能力が反則モンでな」

 

上条は少し頬を緩めて彼について語る。ステイルは口を挟むことも無くその言葉を聴いている。

 

「『ベクトル操作』ソレがあいつの能力だ。俺の『目』か『右手』くらいじゃないとダメージすら与えられないような奴だよ」

 

少し昔を思い出す。

上条が彼と出会ったのは中学三年生の夏、何人もの人間が倒れていた路地裏でだった。

このことについてはいつか話すこともあるだろう。今重要なのは『吸血殺し』の保護であり、彼との出会いは今はまだストーリーに関係しない。

 

そこで上条が思い出したかのようにステイルに質問する。

 

「錬金術師ってどんな奴等なんだ?師匠がシミュレートがどうのっていってたんだけど」

ステイルはすぐに話し出す。忘れてなどはいない。ただ、上条が聞かなかったから言わなかっただけである。

 

「まぁ簡単に言うと未完の学問を完成させようと何百年もの間研究を続けている馬鹿共さ」

 

錬金術師。イメージとしては不老不死の薬や鉛を金に換えるなどが挙げられるが、それは《過程》に過ぎない。彼等が目指す《結果》とは、

 

「頭の中で世界の全てをシミュレートすることさ」

 

「は?いやまてよ、そんなことできる訳無いだろ」

 

この世のすべてをシミュレートする。それはつまり約七十億人の人間の動きを、血の流れを、風の吹くタイミングを、波が陸に押し寄せるときの海水の量を、何もかもをシュミレートするできるだろうか?答えは簡単無理だ。

 

「いや、理論上は可能なのさ。そのための呪文も完成はしている」

 

「じゃあそんなことしてどうしようとしてるんだよ」

 

「頭の中身を現実に引っ張り出すのさ」

 

「は?」

 

魔術師にとってはそれ自体はおかしいことではない。そもそも魔術自体が思い込みのようなものである(と筆者は考えている)しエクトプラズマなど実例もある。しかしコレを『世界全てがシミュレートできる頭』で行ったらどうなるか。それは

 

「世界を思いどうりに操れるだろうさ。あぁけど安心して良いよ、さっき言った通りに錬金術は未完だからさ」

 

呪文はできているならなにが足りないのか、それは万物に平等に流れこの世で唯一無限であるかもしれないモノ。

 

「なるほど『時間』が足りないのか」

 

「Exactly(そのとおりでございます)」

 

世界全てをシミュレートするだがソレが百年や二百年でできるであろうか。答えは否。先人達が挑み、そのことごとくが失敗した大魔術。その名は

 

「『アルス=マグナ』と言う。まぁ今の奴にはこの『三沢塾』を要塞化することしかできないだろうがね」

 

ステイルが安心させるように言う。だが、上条はわずかな引っ掛かりを覚えていた。魚の小骨がのどに刺さったような妙な感覚を。だが、関係ないと思って無視したのが今回の彼等の敗因だったのだろう。

彼の直感は正しかったのだ。彼は思い出すべきだったのだ師の言葉を。魔術師の基本であるのだから。『魔術師の工房とは敵を生かして返さないためにある』そして『足りないものがあるのなら、他の場所から持ってくればいい』この二つは。

 

図面にあった『吸血殺し』が居るであろう隠し部屋を発見したが、『コインの裏』に干渉できない二人にはどうしようもなかった。

どうにかする方法を探して隠し部屋の壁を伝った先に部屋があった。その部屋は食堂だった。

 

「誰も自分を見てないってのは案外新鮮だな」

 

暗殺術を使い、人の気配や敵意などに敏感な上条には分かる。この部屋の誰も自分達を認識していないことが。などと考えながら食堂に入った瞬間

 

食堂に居る八十人近い生徒が上条を見た。

 

「ちっ逃げるぞステイル」

 

出口へ走った二人が見たものは魔術を詠唱する生徒達と、何百という青白い光の弾だった。

 

「クソッ、上条当麻『アレ』をなんとかできないのか!」

 

「質はともかく量が絶望的だ、あれじゃあ捌ききれなくなるのが目に見えてる!」

 

「ちっ『グレゴリオの聖歌隊』をレプリカと言えど使ってくるとは、僕は奴を過小評価していたようだ」

 

ローマ正教の最終兵器である『グレゴリオの聖歌隊』は、本物であればビル一つ消し飛ばすような代物だ。

 

「だけど、この魔術は生徒達の同調の鍵となる『核』を破壊すればなんとかなるだろう」

 

もうすぐ階段が見える位置にいる二人は、作戦を定めた。

 

「だから僕が『核』を破壊するまでの間『幻想殺し』をonにして囮になってくれ」

 

その言葉を聞くと、上条は階段を飛び降りた。ステイルは階段を上っていき、光の弾は上条を追ってくる。

この建物を絵だと考えて欲しい。絵は一つの色(アウレオルスの魔力)で染まっている。その絵の中に違う色(ステイルの魔力)が混ざればすぐに気付くだろう。だがもっと分かりやすいのが『幻想殺し』である。簡単に言うならば修正液なのだ。満ちた魔力が消されていくのだから当然違う色よりも目立つことになる。

 

迫る『球体の洪水』を避け下の階に降りた上条の目の前には、ひとりの少女が居た。少女の額にある光は、彼女の言葉とともに風船のようにふくらむ。

上条は『幻想殺し』をonにした右手を握り締める。そして

何の前触れも無く少女の頬が弾けた。

少女が言葉を続けるたびに彼女の体は破裂し続ける。

 

『超能力者に魔術は使えない』

 

脳の回路を薬物などで『送信』に開いている超能力者は、魔術師が使うマナの生成による外界への力の『送信』や『魔術回路』を流れる魔力が発する力の『送信』が影響しあう。それでも無理に使ったらどうなるのか。答えが上条の目の前にあった。

 

電圧の違う電流でも機械は動く。代償として回路を焼ききりながら。

 

そしてブチッ!とゆう言葉とともに少女は糸の切れた人形のように倒れた。

 

上条は少女の前に立ち球体を排除することを決めた。傷ついた少女を置いていくなど、どんな人間であろうと許されるような行為ではない。

 

目の前に球体が迫り上条は眼鏡を外しポケットに手を入れる。

 

世界に黒い罅が入り、球体の『死の点』を右手のポケットに入れた『七ツ夜』で穿とうとして止めた。

球体はビデオの一時停止のように止まっていた。七ツ夜をポケットにしまい、眼鏡をかける。

と同時に彼の聴覚は一つの音を捉えていた。

 

カツン、カツンと、出入り口に繋がる下の階から音が聞こえてくる。彼が警戒しながら下の階を見るとそこには、

 

紅い夕焼けに照らされながら、『吸血殺し』姫神秋沙が立っていた。




本当申し訳ございませんでした。
テストや、委員や色々会って遅れました。
学校なんてクソくらえ!!
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