特典は仮面ライダー剣? いいえ、ラウズカードです。   作:世間の窓

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約一ヶ月ぶりの投稿です。申し訳ありません。
色々と用事が重なりまして……。

とまぁ、言い訳はここまでにして、それでは本編をどうぞ!



三枚目 『出会った少女は』

 ラウズカードの力を使うことで無事に妖怪を倒した一成。転生直後に前世では決して味わうことがなかったであろう衝撃的な出来事を経験し、一成がぼうっと空を仰いでいると

 

「お兄さん、終わったの……?」

 

 背後からか細い声でそう尋ねる声が聞こえ一成は、そういえば、と思い出す一成。振り返るとそこには、木陰から不安そうにこちらの様子を伺っている少女の姿が。

 

「ああ、終わったよ」

 

 笑みを返し、一成は少女の元へと歩み寄る。

 

「……あ、ひぃっ!?」

 

 だが何故だろう。近づくに連れて少女の顔が恐怖に染まっている気がする、というか完全にびびっている。妖怪も倒したというのに、何故こんなにも驚いているのだろうか。首を傾げ、腰を低くし少女と目線を合わせる一成。

 

「どうした、そんなに泣きそうな顔して。もうあの妖怪はいねぇぞ?」

 

 落ち着かせようと声をかけるも、少女はより一層恐怖するだけで逆効果になってしまう。

 

「ふぇ……うわぁああああん!」

 

「え、ちょ、なんで泣くの!?」

 

 最終的に泣き出してしまう少女。それもそのはずだろう、今の一成の顔や服は妖怪の返り血で染まっているのだから。血で染まっているだけでも絶叫ものだというのに、さらにそこへ笑顔を浮かべられてはたまったものではない。もはや一種のホラーの域である。未だ幼い少女に怖がるなと、そう言う方が無理な話ではなかろうか。

 対し、少女が泣く理由が自分にあるのだということに全く気付いていない一成はというと、ただただあたふたと困惑することしかできなかった。

 

 すると二人の近くの茂みが、ガサガサッ、と揺れる。風の仕業などではない、奇妙な揺れ方をする茂みに気付いた一成は視線を凝らし、睨みつけるように見る。そしてさらに2・3度揺れたかと思うと、茂みはその動きを止め、それ以降ピクリとも動か泣くなった。

 野生の動物の類かと疑う一成は、音を消しソロソロと茂みへ近づく。そして茂みとほぼ正面という場所まで到達した一成は、茂みを覗き込もうと顔を近づける──その刹那

 

「成敗ぃぃいいいい!」

 

「ぶへらっ!?」

 

 謎の掛け声が聞こえるのとほぼ同時に、顔面に強い衝撃を感じ取った一成。気づけば己の瞳は晴れ晴れとした晴天を捉え、体を浮遊感が襲っている。ああ……吹っ飛ばされたのか、と状況を把握する。無論、この後に起こりうる事も想像がついている。

 ズジャアアアッ!──プロ野球選手も真っ青なほどに綺麗な背面ヘッドスライディングを成功させる一成。そしてそのまま大木へ激突、まさに泣きっ面に蜂状態だ。頭頂と顔面から襲い来る二つの激痛に悶え、地面を転がり回る。

 

「村の連中から頼まれて来てみれば案の定だったな。覚悟しろよ、妖怪!」

 

 転げ回る一成の耳に届いたのは、先ほどの掛け声と同じ声。勝気そうな口調だが、その主が女性、延いては少女のものだと推測する。さらに暴力系ヤンキー少女(憶測)の先の発言から、彼女は自分が妖怪だと勘違いしている。このままでは痛い目どころか冤罪で殺されてもおかしくはない。というかこの少女ほぼ殺る気である。

 

「ま、待て、俺は人間だ! 一回落ち着け……」

 

 声も辛々に、一成は暴力系ヤンキー少女(憶測)を制止する。頭頂と顔面から襲い来る痛みを堪えながら体を起こすと、視線の先には綺麗な銀色の髪を持った少女がいた。

 思わず息を飲む一成。目の前の少女の容姿は俗にいう美少女と呼べる類のものであり、かつ一成がこれまで見てきたどの女性よりも可愛らしく、また美しかった。そして現実というものを嘆く。なぜ美少女と呼べる類の少女が、男一人を吹き飛ばせるような一撃を放てるのかという事を。

 

「お前みたいな人を襲う妖怪なんざ、この藤原(ふじわらの) 妹紅(もこう)が退治して地獄に叩き落としてやる!」

 

 ルビーのように赤い双眸で一成を見下ろし、右拳を握りしめる少女。するとその右拳が突如発火し紅蓮の炎を纏う。普段ならその超現象に驚きの一つや二つほど見せただろうが、生憎とこの状況だ。驚いている暇など無いのである。

 

「いやだから! 他人(ひと)の話を──」

 

「覚悟しろ、妖怪!」

 

 一成の制止の声も虚しく、銀髪の少女──妹紅は紅蓮を纏った拳を構え、一成めがけて突撃する。

 

「だから、話を聞いてくれぇええええ!!」

 

 澄み切った青空の下、青々と茂る森の中に一人の青年の絶叫と崩壊音が響き渡る。

 

 

 ──これがこれから先、決して忘れられないであろう一成と妹紅の、鮮烈で、そして最悪な出会いだった。

 

 

 

 〜♦︎〜

 

 

 

 その後、なんやかんやあり自分は人間だということ、そして返り血は妖怪から少女を守った時に浴びたものだと伝え、なんとか妹紅を納得? させた一成。どうやら彼女は村人に頼まれ、少女を捜索しに来たとのことだ。それは好都合とばかりに、一成は妹紅に少女を預ける。そして妹紅の後に続き、一行は少女の暮らす村へと歩き出した。

 

 夕暮れ、茜色に染まりゆく空の下、妹紅の背中を追う一成の視界に例の村が見えた。すると村の入り口らしき場所にて、大勢の大人たちが集まって何やら話しあっているのを見つける一成。彼らの内の何人かが、一成と妹紅に手を引かれるようにして歩く少女の姿に気づき、集団の中から一人の妙齢の女性が三人の元へと駆け寄ってきた。すると少女もまた、走り寄ってくる女性の元へと走りだす。

 そして抱擁。きつくきつく、これでもかというほど強い力で抱き合う少女と女性。涙を流しながら抱き合う二人の会話を聞くに、どうやら少女と女性は親子らしい。無事に親子が再開できたことに一成はうんうんと満足そうに頷く。その隣では、妹紅が一成へどこか猜疑的な視線を向けているのだが、親子に意識が向いている一成がその視線に気づくことはない。

 

「娘を助けていただき、本当にありがとうございます」

 

 しばらく抱き合った後、女性は少女から体を離すと一成と妹紅へ深々と頭を下げ謝辞を述べる。

 

「なに、私はそこまでのことはしちゃいないよ。礼ならこっちに言ってくれ。私が来る前に襲ってきた妖怪からその子を守ってくれたんだ」

 

「そうなんですか、ありがとうございます」

 

 再び頭を下げる女性。次いで「あの……」と、女性は一成へと顔を向け、心配そうな声音で尋ねる。

 

「その顔のお怪我は、もしかして妖怪との戦いで……?」

 

 そう、一成の左頬は現在、これはもう見事なほどボッコリと腫れ上がっていた。言わずもがな、先ほどの妹紅の鉄拳によってできた傷である。その傷を妖怪のものと勘違いし心配そうにする女性、そんな彼女を落ち着かせるように一成は冗談めいた口調で

 

「いやーこれ妖怪じゃなくて、通りすがりの謎の暴力女につけられた傷なんでご心配なく。いやもう、お子さんの件とは全く無関係ですから」

 

「暴力女……? それってやっぱり妖怪か何かなんじゃないんですか?」

 

「あー、よく考えたら男一人を殴り飛ばす馬鹿力を持った女なんているわけないですね。うん、あれはやっぱ妖怪です。ったく、いきなり殴りかかってくるとか仮にも見た目女なんだから、少しはお淑やかにしろって感じだよ。…………な、お前もそう思うだろ?」

 

「……あぁそうだな」

 

 ニコリと、満面の笑みで妹紅に同意を求める一成。妹紅はそんな一成から目を逸らし、ぶっきらぼうな口調で呟くように言う。一成の言葉の端々には棘があり、そして満面の笑みの裏にはドス黒い何かを孕んでいる。

 なにやら険悪な雰囲気が流れるのを感じ取った女性は、話題を変えようと二人に提案を持ちかける。

 

「あの、今夜はこの村でゆっくりしていきませんか? その、お礼もしたいですし」

 

「あ、はい。それじゃあお言葉に甘えさせてもらいます……お前もそれでいいか?」

 

「ん? あぁ……」

 

 話は決まった。一成と妹紅は女性に連れられ村の中へと向かって歩き出す。そして木製のやや大きな門をくぐり中に入った一成は、目の前に広がる光景を見て少しばかり目を見開かせる。

 一成の眼前に広がるのは、前世では当たり前だったコンクリートの家々ではなく、人の手で一から作られたのがわかる木造の平屋達だった。

 

(なんか、昔話とかで出てきそうな風景だな……)

 

 女性の後ろを歩きながら、一成はキョロキョロと村のあちこちを観察する。やはりあるのは平屋ばかりで、ビルのような高層の建物はおろか、二階建ての家すら見当たらない。さらに通りすがる人は皆、麻だか木綿だかわからないが質素な衣を身にまとっている。

 このことから、一成はなんとなくだが自分が転生した場所がどこなのかを予測した。おそらく、自分の予想が正しければ

 

(ここは何百年も前の日本……ってところが妥当か)

 

 住居も縄文時代や弥生時代のような竪穴式住居ではないところを見るに、平安時代かそこらだろう。

 見事な転生という名のタイムスリップを果たした一成。その見慣れぬ光景に目を奪われつつ歩いていると

 

「どうぞこちらです」

 

 女性の声に顔を向けると、そこには他の木造平屋よりも少しばかり大きな家が建っていた。

 

「ここは村の集会所です。一応、一通りのものは揃っているので、今夜はここで過ごしてください」

 

「ありがとうございます……でもいいんですか? 勝手に集会所を寝床にしちゃって」

 

 少しばかり不安そうな声音で尋ねる一成。女性の自宅に泊まるのならいざ知らず、村の集会所を借りるとなれば村の長となる人物に断りくらい入れるものではないのだろうか、と。そんな一成の心配を悟ってか、女性は一成へ朗らかな笑顔を向け

 

「そのことならご心配なく、父へは私から伝えておくので」

 

 彼女の言葉にいち早く反応を示したのは、先ほどからずっと黙っていた妹紅だった。

 

「父ってことは、あんたこの村の長の娘か?」

 

「はい、ですので心配はいりません。それに父だって、孫を助けてくれた恩人を無下にはしないでしょうし」

 

「なるほど……だったら遠慮なく泊まらせてもらいます」

 

「はい。では私達は父の元へ行ってきますので、どうぞくつろいでいてください」

 

 そう言い残し、女性と少女は集会所から離れどこかへと歩いて行った。そんな二人を見送る一成と妹紅。二人が角を曲がりその姿が見えなくなるのを確認すると、一成は妹紅へと顔を向ける。一瞬、二人の視線が交差するもすぐに妹紅は、ふい、と視線を逸らす。未だ二人の間には不穏な空気が流れているが、しかしこのままでいるという訳にもいかない。一成は頭をガシガシと掻くと

 

「あー……とりあえず中に入るか?」

 

「……ん」

 

 気まずそうながらも妹紅へそう尋ねる。妹紅もまた小さくそう返し、返事を聞いた一成は集会所の扉へと手をかける。

 

 

 集会所の中は見た目相応に広く、やや殺風景ではあるが引き戸の中には寝具一式が入っており、厠や台所も付いているという豪勢な造りだった。

 

「あ゛〜……疲れた〜」

 

 よっこらしょ、と一成は床に腰を下ろし大の字で寝転ぶ。振り返ってみれば、今日1日だけで様々なことが起こったものだ。転生に始まり、妖怪とは生き死を賭けた戦いを、そして今現在 一緒にいる銀髪の少女には妖怪と間違われてぶん殴られる。挙げ句の果てには転生先がかなり昔の時代ときたものだ。

 

「本当、こっからどうするかねぇ……」

 

 ポロリと、無意識のうちにそんな言葉が漏れる。お先真っ暗という程ではないのだが、先行きが不安だらけだというのが現状である。いやもうほんと、誰か助けてと叫びたい。

 

「……おい」

 

 これからのことに頭を悩ませている一成に、妹紅が誰かを呼ぶ声が聞こえた。この場に二人しかいない以上、考えるまでもなく呼ばれた人物は一成だろう。

 

「んー、なんだ?」

 

 ゆっくりと体を起こし妹紅へ視線を向ける。少し離れた場所にいる妹紅は胡座という非常に男らしい座り方をしており、あの時と同様にその真紅の瞳を鋭く尖らせ一成を凝視する。やはり集会所前でのやり取りを怒っているのだろうか、一成は射殺さんばかりの視線に若干ビビりつつ、妹紅の発言を黙って待つ。

 体感で待つこと約30秒ほどだろうか、沈黙に包まれた空気の中でとうとう、妹紅がその口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前、本当に人間なのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 





ようやく原作キャラが登場です!

妹紅はかなり好きなキャラなので、早く出したいなって思いまして。
作者が好きなキャラは無理ない程度で出していこうと思います(数はかなりいる)

次話は今回よりは早く投稿するので、気長にお待ち下さい!

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