超中学生級の介入   作:雨の日

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秘密の発表後 涌井との初接触

 秘密の発表が終わり苗木たちは食堂に戻ってきた。その中の数人は顔色を悪くして腐川を見ている。腐川の秘密であるジェノサイダー翔に怯えているようだ。

 

「腐川さん、私はあなたのことをどうこうとかは言わないわ」

 

「僕もだよ! 腐川さんは腐川さんでジェノサイダーはジェノサイダーなんでしょう?」

 

「えっええ。私にあいつになった時のおこなったことの記憶はないの」

 

「嘘じゃねえべな?」

 

「こっこんな状況で嘘をついても仕方がないでしょ!」

 

「渡っち達が腐川っちに接触したのには理由があったんだべな」

 

『その通りです・・・・・・私は腐川さんがジェノサイダー翔になっているときに会ったことがあるんです』

 

「えっ!」

 

『殺されかけてぎりぎりで助けてもらったんですよ』

 

 腐川の顔色は渡の話を聞いて悪くなっていった。そんな腐川の様子を見て苗木が腐川とモニターの間にまるで腐川をかばうように立った。

 

「渡くん腐川さんを責めないでよ! 腐川さんは何も悪くない! 悪いのはジェノサイダーだよ!」

 

『・・・・・・そうですね、すいません。こんなんじゃ交渉人失格ですよね。少し頭を冷やしてきます』

 

 渡も言わなくていいことを言ったと思ったのか苗木に言われてすぐにモニターから消えた。そしてモニターには向井と苗木たちが知らない男性が映しだされた。その男性を見て江ノ島は思わず顔を強張らせた。

 

『渡もまだまだ経験が足りないな』

 

『いやあの歳でよくやっていると思うぞ』

 

「えーと・・・・・・」

 

『ああ、自己紹介をしていなかったな。俺は涌井修。ここにいる奴らをまとめているものだな』

 

「あなたが!」

 

 涌井を初めて見た苗木たちは驚いた。格好としては黒いシャツに黒いズボンを着てその上に白衣を纏っているという普通の科学者とかが来ていそうな格好だが髪型がおかしい。右半分は黒髪が逆立っていて左半分は金髪のストレートになっているのだ。

 

『で? 秘密を聞いてお前らはどうするんだ?』

 

「それは・・・・・・」

 

『ジェノサイダー翔だから隔離する? そんなことしたら黒幕の思惑通りじゃねえか。ついでにつまらない』

 

『つまらないとかいうな、修。彼らにとっては重要なことなんだぞ』

 

「涌井さんのおっしゃる通り隔離なんてしませんわ」

 

 涌井の言葉にかえしたのは腐川と接触することが少ないセレスだった。これに苗木たちは驚いた。セレスから隔離しないといいだすなんて思ってもいなく、逆に説得しないといけないと思っていたのだ。

 

『ほう? それはどうしてだ?』

 

「セレス殿」

 

「決まっているでしょう? そのほうが面白いからですわ」

 

『面白い?』

 

「ええ。このゲームに最後に勝つのは私です。なら、その過程でどんな障害が現れても問題はありませんわ」

 

「・・・・・・黙って聞いていれば好き勝手なことを。この十神白夜を甘く見ているな。最後に勝つのはそいつではなく俺だ」

 

「あら? どこかで負け犬が吠えていますわね」

 

「貴様!」

 

 十神は思わず立ち上がりセレスを睨みつける。セレスはそんな十神の様子を微笑みながら見つめていた。十神の睨みつけはセレスに何のダメージも与えられなかったようだ。

 

「なんでセレスさんは十神君を挑発しているの?」

 

「セレスさん、数日前に十神君とポーカーをやって大勝したらしいよ」

 

「そうなの?」

 

「うん、それからセレスさん。十神君をあんな風に挑発するようになったの」

 

 苗木はこっそり隣に座っていた朝日奈から事情を聞いて十神の方に顔を向けた。朝日奈との会話は普通の声量で行われたから十神にも聞こえていたはず。それでも否定しないということは朝日奈の話は事実なのだろう。

 

 十神は素直にお礼を言ったりできないひねくれた性格をしている。そんな十神をセレスは挑発して勝負に持ちこんだのだろう。そしてセレスが勝った。超高校級のギャンブラーの肩書きは伊達ではないのだ。

 

『で? 結局どうすんだ? さっきのはそこの嬢ちゃんの独断だった見てえだが』

 

「・・・・・・隔離はしないわ」

 

『そうか』

 

 霧切はもし自分たちと何らかのつながりがあるのならもう少し心配するなりなんなり反応があるはずなので涌井と自分たちはそこまで親しくなかったのだろうと頭の中で答えが出した。ただ、答えをだしてすぐにそれは違うとその推理を否定しようとしている自分に顔には出さないが驚いていた。

 

「・・・・・・質問があるのだけれどいいかしら?」

 

『構わねえぜ。言ってみな』

 

「貴方が結成した組織の名前は?」

 

『リジェネーションだがそれがどうかしたか?』

 

 話をいきなりぶった切って訊いてきた霧切に涌井は答えながら困惑した顔を向ける。ただ、霧切は涌井の答えを聞いた後何かを考えているのか腕を組み何かを考えはじめた。その様子に答えが返ってこないと涌井は悟った。

 

『他に聞きてえことはあるか?』

 

「外は荒廃してんだろ? なら外に出ねえほうがいいのか? ここにいたほうが安全なのか? ・・・・・・すまねえ、いろいろとこの短期間で起きすぎて頭の整理がつかねえ」

 

『ほう、大和田も成長しているようだな。確かにそこにいれば基本的に安全だ。ただ、それでも外に出なければならない事情がある』

 

「それって・・・・・・」

 

『そこにある食料は無限ではない。いつかは尽きる。そして今お前らを殺しあわせようとしている奴は世界をこんな風にした元凶だ。そいつに罪を償わせなければならねえ』

 

 涌井の言い分はもっともなことだった。モノクマがどこから補充しているのかは不明だが物資は有限だ。だからこそ苗木たちを殺し合わせて物資の使用量を節減しようとしているのかもしれない。まあ他にも理由があるのだろうけど。

 

「確かにな」

 

『他にもその学校に残っている資料から復興に役立つものを見つけたいとか戦力が少しでも欲しいとか細かい理由もあるがな』

 

「うぷぷ。うぷぷぷぷ。困るなあ。せっかく殺し合いが起きるかもって思っていたのに。余計なことをして」

 

『はっ! お前の都合など知るかよ。俺は俺のやりたいようにやるだけだ』

 

「そう! ならこれを聞いてもまだこいつらは殺し合いをしないかな?」

 

『どうせ裏切り者がいるとかだろ? そしてこっちの調べた限りだと裏切り者は大神だな』

 

「・・・・・・さくらちゃんがそんなことするはずないじゃん!」

 

 モノクマの言葉を遮って涌井が言った言葉に場は静まった。ここにいる誰もが涌井の言葉を理解できなかったのだ。それからすぐ朝日奈が怒鳴ったことによって全員の意識が戻ってきた。

 

『そうだな。普通なら大神もそんなことはしない。だが、人質がいるなら話は別だろ?』

 

「えっ」

 

『大神の道場の人間が全員モノクマに連れ去られたことをこちらは確認している。そして1人を除き全員死んだこともな』

 

「なに? それは本当のことか、涌井よ」

 

『ああ、ケンイチロウとかいう大神と同じくらいのスペックを持った人間以外死んだみたいだぜ?』

 

 涌井の言葉に大神は静かに涙を流した。その後、苗木たちに道場の人間たちを人質にとられ裏切り者になるように言われていたことを語った。

 

「大神さんの件はこれでいいわね」

 

「そうだね。大神さんの性格なら今後僕たちを裏切るとかできそうもないしね」

 

「念のために腐川さんと大神さんを一緒にしておけば問題が起きてもすぐにわかるでしょ」

 

「ちぇっつまらないなー」

 

『あいつの思惑通りに進ませるかよ』

 

「あいつ? 涌井さん。今回の件の首謀者について何か知っているの?」

 

『ああ。ただ今言っても意味がねえ』

 

「それはどういう意味?」

 

『首謀者はお前らのクラスの人間だ・・・・・・16人目のな』

 

「16人目!?」

 

 モノクマは不満をこぼしながら食堂から消えた。その様子を眺めながらつぶやいた涌井の発言に霧切がくいついた。涌井はめんどくさそうな顔になりながら正直に答える。その答えに苗木たちは驚く。自分たちの知らない16人目の人物。

 

「誰なの?」

 

『これ以上は自力でたどりつきな。お前らが俺の後輩だというのならたどりつけるはずだ』

 

 霧切の質問には答えず涌井はモニターから消えた。向井はそんな涌井の様子を苦笑いしながら見送り一礼してから同様にモニターから消えた。

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