基本的に登場する艦娘は加賀と榛名になります。理由は筆者が好きだからです(きっぱり)
まあ基本はほのぼのしてると思うんで見ていってくださいまし…
「……またね」
昼を過ぎて太陽の日差しが窓から差し込み始めている執務室に入った瞬間にその黒髪のサイドテールに青い袴、左肩に飛行甲板を纏った女性は小さく呟いた。その女性が発した言葉は別れるような時に使うものではなく、今自分の目の前で起きていることにはもう慣れているの意味が正解であることがいかにも呆れた口調からして明らかだった。
「加賀さんじゃないですか。どうされました?」
「榛名さん、提督はどこにいったのかしら」
執務室の机で書類の整理をしている榛名に加賀は尋ねた。どうやら加賀は本来だったら榛名と一緒に仕事をこなしているであろう提督を探しているみたいだった。
「たしか…お手洗いに行くといってでていったような…」
「そう、ありがとう」
それだけ聞くと加賀は執務室を後にした。榛名と最低限の会話を済ませて廊下を早歩きで歩く姿からそんなに急ぎの用でもあるのかと思わせたが少し違った。
「またね」
先程と同じ言葉であるが若干苛立った口調に聞こえたのは気のせいだろうか。不機嫌なしわを眉間につくっているのものも気のせいだろう。
加賀が向かった先はお手洗いではなく鎮守府の正面玄関だった。外に出るや否や加賀は自分の艦装である弓を空に向けて放った。その弓矢は空中で数機の艦載機に分裂して四方に散っていった。
「さあ、提督を探してくるのよ」
普段執務室の仕事は提督とその補佐である秘書艦の二人で行っている。二人でやることによる仕事の効率化を図る反面、提督が途中で逃げないように監視しておくのもまた役割であった。その秘書艦は榛名と加賀が一日おきに交代で行っているが一つそれには問題が生じていた。榛名が秘書艦を担当した日の提督の脱走率が極めて高いのだ。その原因ははっきりとしている。榛名は提督に対して甘すぎるのだ。提督の言うことには全て賛同し反対しないのがモットーである娘の弱点をうまく利用されていた。まあそこが榛名のいいところであったりするのだが加賀は頭を悩ませていた。
今回もそのケースであることを加賀は先ほどの行動からしてわかっていたのだろう。提督はいつもトイレに行く口実をつけて逃げ出す。いつもこのワンパターンであるのに榛名は信じて承諾してしまうから困ってしまうものである。そして加賀が提督を探しにいくのがお決まりだった。
しばらくして加賀のもとに先程飛ばした艦載機から少々雑音混じりの無線が入ってくる。
『今日も昼寝するには最高だなー』
おそらく原っぱにでも寝そべって空を見上げているであろうとても呑気な台詞が彼女の耳に入ってくる。加賀はその声の主が今現在探しているターゲットのものだと認識するや否やその現場に向かって直行していった。
艦載機からの無線が入る。それは提督が見つかった合図のようなものだ。そうとなったら後は位置情報を特定して現場に向かうだけ。そんなことは加賀にとって手足を動かすようなものである。
『いやー、本当にいい天…ん?艦載機?……やば』
どうやら提督も艦載機の存在に気付いたようだ。加賀の無線からも慌てて逃げる音が聞こえてくる。しかし時すでに遅し。次の加賀の一言でこの脱走劇は終わりを迎えることとなる。
「確保」
午後の日差しが照りつけるコンクリートの上で彼はあぐらをかいて座っていた。こんなに硬いところでは寝られるはずがないのだが、今は動きたくても動けない状況にあった。
「本当、加賀さんはおせっかいだな」
そこには艦載機から放たれた捕獲用の網に引っ掛かって身動きがとれない状態の提督の姿があった。何度かもがいた形跡が見受けられたががっちりと絡まっていてしまっていたので観念したらしい。
「おせっかいで悪かったわね」
「げっ」
声がしたほうを提督が振り返ると加賀が立っていた。榛名とは違い加賀は提督の中でかなり厳しめのイメージがある。実際榛名が甘すぎるだけなのだが。
「さあ戻るわよ」
提督の網を解くといつものたんたんとした声に戻っていた。もういらついてはいないようだ。
「加賀さん怒ってる?」
「もう慣れました」
提督がおそるおそる尋ねるのを溜息混じりで返答する加賀。それでもって特におとがめはなし。これがいつものやりとりになっていた。加賀のそんなところに彼はやさしさを感じつつ二人は鎮守府に戻っていった。
字数が伸びないのが悩みどころです…今後努力します。