問題児たちが異世界から来るそうですよ?~全裸王(ユウシャ)異世界に起つ 作:固竜
さて、今回の智樹の車窓からは・・・あえて、あっちに目を向けてみました。
前回、難なく飛鳥の身体を堪能しまくったトモキスポンジだったが自分が手足動かぬただのスポンジだと言う事に気が付いた。どんなに―――そう、どんなに女の子の指が柔らかろうがどんなに女の子の柔らかいお肌に押し当てられようが所詮はスポンジ。お風呂の時にしか出番がない究極のお留守番、最悪のお預け状態だと理解した。後、スポンジ故に水を吸い込んで体が重く感じた。これでは意味などない・・・!
さて、果たして今回は桜井智樹はどんなモノに変身するのだろうか―――
*
「・・・んっ!・・・んぁっ・・・!」
「・・・ひゃっ! や、やめっ・・!」
「・・・あっ!・・・あぁっ・・・!」
少女達の奏でる甘い声が女湯に響く・・・! その声は聴く者を惑わす魔力を持つような印象を抱かせた。
浴槽のお湯が不自然に揺れ動く。
どうしてそうなったかと言えば、つい先ほど5分くらい前の事でした―――
「今日は本当に長い一日でした。まさか新しい同士を呼ぶのがこんなに大変とは、想像もしておりませんでしたから」
今日一日の苦労を振り返るように両腕を上げて背伸びをした黒ウサギ。その時、腕を伝って落ちてくる滴は黒ウサギの大きなお胸に辿り着く。童顔にあの胸の大きさは恐ろしいほど黒ウサギの魅力を引き立てた。
今、黒ウサギ達、女湯メンバーは湯船に浸かっていた。
「それは私達に対する当て付けかしら?」
「め、滅相もございません!」
「ニンフ先輩と黒ウサギさんって似てますよね(声が)」
「そ、そう? ありがとう(体型的な意味で) 」
「 (ふにゃぁ~) 」
むぅ、といった表情で飛鳥がからかう。それに対してパシャパシャと湯に波を立て、慌てて否定する黒ウサギ。ニンフとアストレアは互いに微妙にずれている会話を交わしいる。その横では耀がとってもふやけた様にウットリした顔で湯に浸かっている。誰一人として機嫌の悪そうな顔の者はいない。美少女達のお風呂とはとても美しいものなのだ
耀がふやけたままの顔で呟いた。
「このお湯・・・森林の中の匂いがして凄く落ち着く。三毛猫も入ればいいのに」
「そうですねー。水樹から溢れた水をそのまま使っていますから三毛猫さんも気にいると思います。浄水ですからこのまま飲んでも問題ありませんし」
「うん。・・・そう言えば黒ウサギも三毛猫の言葉が分かるの?」
「YES♪ “審判権限”の特性上、よほどの特異な種で無い限り黒ウサギはコミュニケーション可能なのですよ」
「ニンフ先輩!『じょうすい』ってなんですか?」
「え?そうね、簡単に言えば綺麗になったお水の事よ」
「(綺麗なお水・・・という事はおいしい!) 黒ウサギさん!美味しいんですか!」
「はい!黒ウサギは美味しいと思いますよ」
何故だろう、もの凄くブラックラビットイーターを突撃させくなるセリフである。
その時、不意にお尻を撫でられたような感触が黒ウサギを襲った。
「・・・ひゃっ!?」
「あら、どうしたの黒ウサギ?」
「い、いえ。なんでもないのですよ」
思わず変な声が出てしまった黒ウサギは、怪訝な表情で訪ねてくる飛鳥を慌てて言い繕う。
「・・・きゃっ!?」
ふやけた顔を途端に驚きの顔に変えて湯船から跳び出たのは春日部 耀だった。
「ど、どうしたの春日部さん!?」
「どうかしましたか!?」
「え、あ。・・・えっと」
自らの奇行によって全員の視線を集めてしまった耀は、何を言おうか戸惑っていた。何が起きたかと言えばお腹を撫でられたような感触がしただけだ。しかし、それを説明するのは難しい。なぜなら、撫でた犯人を見つける事が出来なかったからだ。
「(今のは、一体?)」
「とりあえずお風呂に戻らない?風邪ひくわよ、ヨウ?」
「う、うん」
ニンフに言われて、湯船へ戻る耀。その時、お湯の中に何かいないかじっと見つめた。しかし、人間離れした五感を持つ耀であっても何も違和感を感じる事がなかった。
(ウヒョ、ウヒョヒョ!)
この時、この悪意あるエロ思考に気が付く者が居ればあんな事には成らなかったかもしれない。だが、悲しき事に量子変換機はあの黒ウサギの特性にさえ悟らせないほどに優秀だった。
(異世界だもん、お湯が動いても不思議じゃないです!!)
一人の男が、新大陸を目指す戦いへと挑んだのでした。
*
所変わって、女性陣が入浴を開始する40分くらい前の事。
“ノーネーム”の敷地外にある森にてとある一団が居た。人数は9人ほど、うちの8人は黒い服を着ており目立たないようにしているのが分かる。だがよく見ると8人はそれぞれの容姿が、人間と一部がかけ離れていた。犬の耳を持つ者や大きくてごつい手足を持つ者、いろいろな生物を組み合わせたかのような者まで様々だった。
「おぉい、お前ら。ガルド様の命令だ。いつも通りあそこから取ってこい・・・文句がある奴はいるか?いないよなぁ!いつもの事だもんなぁ!」
そう言って声を上げたのは―――筋肉だった。極限まで鍛え上げられたかのような筋肉がそこには居た。この男は大きい瓶に入れられた酒を飲みながら筋トレをしていた。
「さっさと終わらせて来い・・・すぐに終わらなかったり出来なかったら分かってるよなぁ!? 一緒に飯に行こうぜ!美味い肉を食わせてやるよぉ!」
その男は笑顔だった。殺気でもなく、敵意でもない・・・・・・何かよく分からない圧迫感の様なものがその男から発せられた。
「熊はよう、一度味を覚えると忘れられなくてよぉ!アハハハハ!」
言い表わすとするならば狂気だった、この男は人間の思考回路など持ち合わせてはいないのだ。
*犬の様な耳を持つ男side*
俺達は連絡を受け、この場所へと集まった。
今日行う仕事はあるコミュニティの子供の誘拐だ。
いつもの通り、同じ事をすればいい。
あの熊の様な男以外とは全くの初対面だった。
名前も顔も知らない彼らとの仕事に慣れ合うためのコミュニケーションなど必要ではない。
俺達はただ、与えられた仕事をするだけだ。
―――――不意に考えてしまった。
俺は何時からこんな事をやり始めたんだったか。
―――――やめろ
もう3年も前の事だった気がする。
―――――思い出すな
俺が所属していたコミュニティはあの時、創立20年記念とか言って朝からとても小さなパーティーを開いていた。
―――――何も考えるな
交流の有ったコミュニティとかも呼んで皆でどんちゃん騒ぎして、悪ガキどもの世話とかもして、ガキどもを寝かしつけようとしてたら “いっつもありがとう。これからも頑張ってね!アニキ” なんて言われて泣いちまったり、目が赤いとかで兄貴や姐さんにからかわれたりして・・・いつも通りの明日を迎えるはずだった。
―――――・・・あぁ
いつも通りの明日を迎えているはずだったのに。
―――――また、思い出してしまった・・・!
朝、目が覚めると子供達が居なくなっていた。
―――――どうにかしないと・・・ドウニカシナイト!
俺はあと何度こんな事をすればいい?
なんでこんな風に顔も知らないような子供を攫って来なきゃいけない?
俺がなんでこんな屑の様な行為を犯さなきゃいけない?
こいつ等みたいな屑な連中と同じ仕事をしなけりゃならないんだ?
もしかして、俺は屑なのか?
こんな屑の様な行為を犯す俺はこいつらと同じ屑なのか?
いや、違う! そんなはずない、俺は悪くなんかない・・・!
悪いのは、屑なのは、フォレス・ガロだ。ガルドだ、周りのこいつらだ!
俺が悪い訳がない、俺は悪くない、悪くないんだ。
仕方がないんだ、子供達を人質に取られてるんだから。
言われたとおりにしないと人質は殺されてしまうんだ。
子供達を死なせないためには俺が頑張るしかないんだ。
子供達を無事助けるためには俺が頑張るしかないんだ。
だから、俺は悪くないし正しい。
俺はずっと正しい事をしているんだ。
周りのこいつらとは違って俺には明確な理由があるんだから!!!
―――――心を乱すな
―――――心を落ち着かせろ
―――――仕事の事だけを考えろ
―――――頼むから落ち着いてくれ
―――――失敗は許されないのだから
―――――覚悟は出来ているはずだ
―――――俺達、大人の責任だ
―――――子供に押し付ける訳にはいかない
―――――・・・あぁ
何とか落ち着いた。
いつもの発作の様なものを乗り越えれば後は仕事をこなすだけだ。
何も考えずにいればいい。
これは何時もやっているただの作業なのだから。
辛いなどと思う訳がない。
「人質なんていなくなってしまえばい・・・・・・ッ!」
無意識に口から洩れた言葉を止めるため、急いで口を右手で抑えて左手で頬を殴った。
口の中を鉄の味が支配していく、それがとても気持ちが悪かった。
だが、そんなことは今どうでもいい。
俺は今何を言わんとした・・・?
心は落ち着いた筈だと言うのに、いったい何を考えてしまっている。
馬鹿な、俺がそんなこと思う訳がない。
子供達は俺達の大切な仲間なんだ、その仲間を。
仲間を居なくなってくれたらいいとなんて思う訳がない!
今日は疲れているんだ。そうだ、きっとそうに違いない。
この仕事が終わったら、すぐに帰ってシャワーを浴びて寝る事にしよう。
俺は樹の根に腰掛け、しばらく目を瞑っている事にした。
「な、なに!それは本当か!?」
「あ、あぁ。そうらしい。街を少し歩けば分かるが、噂にもなっている」
「ば、馬鹿な!あの蛇神をただの人間如きが打倒するなど!?」
「しかも、たった一発のパンチで倒してしまったそうです!」
「とても信じられる話ではないが・・・」
「だが、実際にあの蛇神は倒されている」
「相当の実力者が居ることは確か」
「ガルドの野郎をぶっ殺す事も出来そうだね!」
「でも、そんな人が私達の力になってくれるかしら」
「同じ、旗を奪われてしまったコミュニティ同士なのだから力を貸してくれるに決まっている!何を言っているか!?」
「そうだろうか、蛇神を倒すような者がそう簡単に力を貸してくれるだろうか」
「貸してくれなければ別の手段を探すしかないか・・・」
「それに仮に力を貸してもらえたとしても問題はあります!」
「“ノーネーム”所属の人間である事」
「私達は”ノーネーム”の傘下になるのかしら」
「そんなことあってたまるものか!?」
「でも、他に方法も無いね。ガルドの野郎をぶっ殺す方法はね!」
「我々には元から選択肢など無いも同然なのです!」
俺は眼をすぐに開いた。
数分だろう、どうやら寝てしまっていたようだ。
大分スッキリとした。
これならば、何も問題は無いだろう。
俺は立ち上がって最終確認を開始する。
侵入経路や子供部屋の場所をしっかりと確かめた。
あの熊の様な男は何処かに行ってしまったらしい。
これはいつもの事なので何も不思議ではない。
あれは何時も酒を飲むか筋トレだけして俺達の報告を待っている。
今はおそらく、新しい酒瓶でも買いに行ったのだろう。
不思議なのは、他の7人の奴らだ。
何やら、楽しそうに会話をしている。
今から、子供を攫おうと言うのにのんきな奴らだと思った。
俺の見立てでは、あの中の2人が今日初めての奴らだと思っていたというのに。
だが、あんなにのんきに話しているという事は違ったのだろう。
俺の見立ては当てにならないようだ。
これでは前回の予想も外れているのだろうか。
「少しよろしいですか?」
奴らを見ていると、うち一人がこちらに気が付いて話しかけられてた。
仕事の効率が悪くなると困るため、最低限のコミュニケーションは取る事にしている。
軽く頭を下げてそいつを見た。
いろいろな生物を組み合わせたかのような奴だった。
「実はですね。皆さんと先ほど話し合っていました。“ノーネーム”所属の人間の少年が神格持ちの蛇神を倒してしまったという噂についてです!」
「―――な!?そんなことがあり得るのか」
「しかもですね。その倒し方というのが―――
そう言って、そいつは俺に説明してきたのだ。
人間というものは単純だ。
目の前に救いの手が差し伸べられたならば迷う事無く掴んでしまう。
後先を考えずに目の前の希望だけを目指してしまう。
よく考えもせずに行動を起こしてしまうのだ。
その結果、自らに何をもたらすかなど知りもしないでだ。
例えるなら蜘蛛の糸に群がる亡者どもだろう。
悪人には決して救いなど与えられないのだと分からなければならなかった。
そうでなければ希望など簡単に絶望へと変ってしまうと言うのに・・・。
「おーい・・・・・・そろそろ決めてくれねえと、俺が風呂に入れねえだろうが」
今夜は十六夜の月だった。
”ノーネーム”の子供たちが眠っている館の周りを俺達は囲んでいた。
姿こそ、木々を使って隠してはいたが。
そして、そのままの状態で動けないでいた。
俺達は誰一人としてそこから動けなかったのだ。
ザァ、と風が木々を揺らした。
「ここを襲うのか?襲わねえのか?やるならいい加減出てきてかかってこいよ」
原因は目の前の少年だった。
ヘッドフォンをした少しばかり野蛮そうな少年だ。
そんなただの少年を視界に捉えた瞬間、俺達は動く事が出来なくなっていた。
と、そうはいっても別に石化された訳でも催眠術をかけられた訳でもない。
仮にも、俺達は数々のギフトゲームを経験してきた経験者だ。
フォレス・ガロに沢山の者を奪われたからといってもそれだけは変わらない。
ゲームによっては死ぬ一歩手前の経験をして生き残ったことだってあるだろう。
そんな俺達が身体を動かす事が出来ないほどの実力差をあの少年から感じていた・・・。
俺は戦慄した、こんな実力差はおそらく俺の一生をかけた所で少しも埋まる事は無いだろう。
これほどなのか、神格持ちを打倒する実力を持った者というのは・・・!
「―――よっ!」
「な―――!?」
痺れを切らしたのか、少年は石を拾って俺達の方へと投石した。
その石は少年の軽いフォームからは考えられない速度で接近し、広範囲に渡って木々を吹き飛ばした―――!
2人はそれに巻き込まれた、大地を揺らすようなデタラメな爆発音が響きわたる。
奇跡的に残った6人は様々な方向へと逃げる事で回避した。
だが、何処に避けようとも結局は無駄だった。
「ずッ―――!?」
少年は俺達が現れた瞬間、目の前へと迫りその圧倒的なパワーで空中高く蹴散らしてしまった。
少年の一撃は俺達の意識を容易に飛ばすほど強力なモノであり、結局俺達は誰一人受け身をする事無く大地とお見合いしてしまったのだ。
「ど、どうしたんですか!?」
「侵入者っぽいぞ。例の”フォレス・ガロ“の連中じゃねえか?」
地面との接触の痛みにより飛ばされていた意識が戻った。
なんとか立ち上がり、少年と新たに現れた子供を見る。
「こ、これほどまでにデタラメな力とは!?」
「蛇神を倒したと言う噂は本当なのだろう」
「ガルドより実力は上」
「比べる事もおこがましいです!」
「これならば余裕だろうが・・・」
「そうだね、ガルドの野郎をぶっ殺す事も出来るだろうね!」
「私達は解放されるのかしら」
後ろから7人の声が聴こえた。
俺と同じように意識は戻ったようだ。
意見交換をボソボソと行っている。
「なんだ、言いたい事があるならハッキリと言えよお前ら」
一斉に黙る。
「今度はだんまりかよ・・・で、何か話をしたくて襲わなかったんだろ?ほれ、さっさと話せ」
少年は最初面倒臭そうに、のちににこやかな笑顔で話しかけてきた。
だが、誰も喋らない。
まるで“誰かがやるのを期待している”状態だった。
誰かがやると思って自分ではやらないようでは育ちが知れると思った。
だが、そのままの状態が続いても話は終わらない。
だから、俺が言う事にした。
「恥を忍んで頼む!我々の・・・違う、魔王の傘下であるコミュニティ“フォレス・ガロ”を、二度と外も歩けなくなるほどに完膚なきまでに叩き潰してはいただけないでしょうかッ!!!」
あの獣共が二度と外に出る事も出来ないような恐怖を味あわせてやりたいと言う願いを包み隠す事無く発言した。
俺にとってそれは今まで憎しみを込めた決死の言葉だった。
希望を授けてくれる神のような存在を前にして告白したような俺の本心だった。
だが・・・
「嫌だね」
そんな俺の言葉は、少年のたった一言で一蹴された。
絶望した、というのはこんな時の言葉なのだと思い知らされた。
俺はたった今まで、断られるなどとは雀の涙ほども思ってはいなかったのだ。
希望を胸にして浮かれていたのだ。
これで、俺の苦しみは終わるのだと疑いもせずに思っていた。
―――――あぁ、これ以上の苦しみは無いな
目の前が真っ暗になったかのように感じた。
倒れそうになった、がそれに気が付いたのか後ろから支えられた。
これ以上何も考えたくなどなかった。
「どうせお前らもガルドって奴に人質を取られてる連中だろ、命令されてガキを拉致しに来たってところか?」
「は、はい。まさかそこまでお見通しだとは露知らず失礼な真似を………我々も人質を取られている身分で、ガルドには逆らうことはできないです!」
あぁ、誰かが会話を引き継いだらしい。
だが、もう俺には別の事しか考えられなかった。
人質になっている子供たちの事だ。
俺達は今回、仕事を完遂する事が出来ずに失敗した。
俺に何か罰が下る事だろう、だがそれはいい。
問題なのは子供たちに何かするかもしれないと言う事だ。
あの獣共は人間の思考など持ち合わせてなどいない。
人間の、それもただの子供などに腹いせに何かするかもしれない。
人質なのだから殺される事は無いだろうが、一生残るトラウマを負ってしまうかもしれない。
そんな事になったら俺はいったいどうすればいい。
今までミスも無く頑張って来たのに、たった一回の失敗で子供達を傷つけたら俺はいったいどうやって責任をとればいいんだ。
そんな事になったら俺は、罪悪感で子供達の顔を見る事が出来なくなってしまう。
“ありがとう”なんて言ってくれた子供達にどう接したらいいっていうんだ。
兄貴や姐さんになんて報告すればいいっていうんだ。
ちくしょう・・・!ちくしょう・・・!なんでだよ!なんでなんだよ!
子供達がいったい何をしたって言うんだよ・・・!
確かに悪戯好きの悪ガキだっていたよ!何度行っても悪戯をやめない馬鹿だったよ!
反省しないとダメだ、お仕置きしなきゃなって思ったさ。
だからってさ、何もそこまでしなくたっていいだろ・・・!
ただの悪戯じゃないか、俺がした事に比べれば可愛いもんじゃねえかよ・・・!
なぁ、神様・・・頼むよ!
一生分のお願いだからさ!
俺の事なんかどうでもいいからさ、子供たちの事だけは守ってくれよ・・・!
兄貴、俺これからも頑張るからさ!
姐さん、俺なんだってするからさ!
誰でもいいからさ・・・子供たちの事だけは守ってくれよ・・・!
「ああ、その人質な。もうこの世にいねえから。はい、この話題終了」
「――――――…………なっ」
「・・・・・・え?」
「十六夜さん!!」
今、なんて言った。
俺には理解できなかったな。
異国の言葉かな。
どうしよう、もっと勉強してればよかったな
言葉が分からないんじゃ理解できないよな。
そうそう、そうだよ
そんな人質はもういないなんて意味な訳ないよ。
子供達が死んでるなんてそんなことある訳・・・はは。
「隠す必要あるかよ?お前らが明日のギフトゲームに勝ったら全部知れ渡るだろ?」
「そ、それにしたって言い方というものがあるでしょう!!」
「ハッ、気を使えってことか?冗談きついぞ御チビ様。よく考えてみろよ。殺された人質を攫ってきたのは誰だ?他でもないコイツらだろうが」
は・・はは・・・ははは。
そんな…そんな訳
子供達が・・・?もういない?
バカも休み休み言えってんだ。
それなら俺達の今までってなんだったんだ?
人質がいないってのに子供を攫ってたのか?
そんな・・・そんなこと。
俺は脳がその言葉を処理する事を拒む。
身体は支えを失い崩れ去る。
目からは大量に涙が溢れ、止める事が出来ずに咽び泣く。
これ以上の苦しみは無いだと・・・!
いくらでもあったじゃないか、いくらでもあったじゃないか!
なんだよこれ、なんだよこれはっ!
なんでなんだよ・・・・・・
俺は既にいない子供たちを助けるために、新たな子供を攫ってきたってのか!
しかもその子供も死んでるだと・・・そんなもん、俺が殺したようなもんじゃないか!
俺はいったい何のために・・・・・・
なんだよ、俺は分かってたんじゃねえか。
やっぱり俺は屑だったんじゃないか、は、はは
屑に人を救うなんて出来なかったんじゃないか。
人間というものは単純だ。
目の前に救いの手が差し伸べられたならば迷う事無く掴んでしまう。
後先を考えずに目の前の希望だけを目指してしまう。
よく考えもせずに行動を起こしてしまうのだ。
その結果、自らに何をもたらすかなど知りもしないでだ。
例えるなら蜘蛛の糸に群がる亡者どもだろう。
悪人には決して救いなど与えられないのだと分からなければならなかった。
そうでなければ希望など簡単に絶望へと変ってしまうと言うのに・・・。
そう、こんな風に。
俺は耐えられなくなって意識を手放した・・・。
*犬の様な耳を持つ男sideout*
「早すぎたんだ、新大陸は・・・!」
桜井智樹に何があったのか、それを説明する事はとても簡単である。智樹はいつものように自らの内から湧きあがる性の波動に逆らう事無く暴走し、女性陣に正体がばれた。結果、ニンフの活躍によって“性の魔湯”智樹は撃退されたのだった。
(だが、夢はでっかくだぜ。そうだろ、じいちゃん)
智樹は女性陣にフルボッコにされてお風呂場に放置された。だが下水に流されなかっただけありがたいと思わないとならないだろう。この世界に来て僅か一日足らずで、ニンフやアストレア以外の女性陣の好感度が駄々下がりなのだから・・・。
智樹の眼が覚めたのは女性陣が女湯を出ていった後だった。ちなみに、イカロスはニンフ達に連れていかれた。
「なんだか、大切なシ―ンがカットされた気がする・・・まぁ、いっか」
智樹の活躍についてはまたいつか、語るとして。今は、智樹のポケットの中身についてだ。
「お!あったあった・・・じゃ、被ってとこれで安心だな!」
ポケットを叩くとブルマーが一着ありました。それを当たり前の様に被って外に出ます。
「うぅ、さすがにさむ」
水場にいたので服が濡れてしまっているので風が吹くと外は寒かった。なので冷やしたらいけないのでブルマーを頭に被った智樹。今の彼はなんでもできそうだった。
「とりあえず着替え取らねえと」
智樹の部屋は子供たちと同じ館だった。それは智樹にうまく使えるようなギフトがなかったからだ。だから、ギフトゲームにも基本参加しない事となった。
「案外遠いもんだな・・・畑、なんとかならないもんかね」
駆け足で服を取りに向かう智樹、だが不幸な事にすぐに着替える事は出来ないだろう。なぜなら―――
「おぉい、なんで誰も帰って来ねえんだぁ!逃げたか?しくじったか?・・・あぁ?なんだこのガキ」
「え・・・え?」
―――智樹は筋肉クマに出会ったのだから。
「なんだ、逃げたのかぁ!?美味い肉を食わせてやるって言ったのによぉ!」
「あ・・・うぁ」
「まあいいかぁ!美味そうな人の肉が手に入ったしよぉ!」
「な、なにいって・・・」
「んじゃあ、いただきまーす」
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
クマの行動は速かった。智樹を視界に入れた瞬間から首根っこを掴んで捕獲していたのだから。長年の食人の経験が生かされた瞬間だった。そしてクマは、なんと智樹を丸呑みしようとしていた。
「ん!?な、なんだこの光はぁ!?」
そして、それと同じ瞬間に智樹が被っていたブルマーが七色に光った。伝説のおっちゃんより授かったブルマーが!!!
クマは智樹を手放す。お尻から落ちた智樹。光ったブルマーは智樹の頭を離れ“着地した”
「な、なんだこりゃ!?」
智樹、そしてクマは眼を見開いた。それは何故か、なんとブルマーは女の子になってしまったからだ。上半身は皮の服、下半身は先程までのブルマーを着た一人の犬耳少女になってしまったからだった。
あぁ、とうとう『そらのおとしもの』が完結してしまいましたね。後は番外編があるだけだとか・・・寂しくなります。藤原ここあ先生の漫画『妖狐×僕SS』も終わってしまうそうで・・・
色々なすばらしい作品が終わってしまうのは寂しい事ですね。ジャンプとかサンデーとかでもそろそろ何かしら終わったりするんだしょうか・・・ハンター?
最新刊の問題児の日常買ったけれど、表紙の黒ウサギがかわいいんじゃよ。かわいいなぁ
さて、今回出てきたブルマー系少女は一体何なんだ。パンツおじさん(伝説のおっちゃん)の差し金か、ブルマーなのに?とか考えます。これからですよ