いつもの部屋——第2多目的室。
俺が遅れて部屋に入ると、珍しいことに部員全員が揃っていた。
美華は少女漫画の単行本を読んでおり、詩帆もスポーツ雑誌を読んでいる。悠平は悠平で何やらリズミカルに両手を振っていた。その動きからして、おそらくドラムの練習をしているのだろう。こころは家でお留守番である。
一昨日も部員が全員集まっていたわけだが、実は部員が全員集まるのはあまりないことである(関係者が集まるのはもっと少ない)。というのも、悠平が他の部活から助っ人に呼ばれることが多いためだ。また、俺と詩帆も教師から手伝いを頼まれることが少なくない。
そんな理由で、集まりの悪い部員が全員集まっているわけだが、それぞれ別々のことをしているため、てんで集まっている意味がない。部長である詩帆も、今はまとめるつもりがない様子だ。
仕方がないため、副部長である俺がみんなに声をかける。
「さぁ、今日は何がしたい?」
「私は絵を描きたいかな」
俺が質問すると、詩帆が即答した。
昨日、俺は詩帆に『自分が普通じゃないことで嫌われるのが怖い』と考えていることについて話した。もしかして絵を描くことがその悩みの解決につながることなのだろうか?
詩帆の顔を見るが、何を考えているかはよくわからない。俺の悩みの解決法について考えているようにも、絵を描くことを楽しみにしているようにも見えた。
まぁ、過去には神の子の活動で絵を描いて、その絵がどこかのコンクールで最優秀賞を取ったという話もある。自由な部活動なのだから、絵を描くのも悪くはないだろう。
「わかった。絵を描くという意見が出たけど、2人は他にやりたいことあるか? 俺は特に意見ないから、絵でも良いと思う」
「なら、私も絵を描く」
「俺もそれで良いぜ。何をやっても一番だからよ」
……うぜー。
と、声に出そうになるのを飲み込む。
「決まりだな。今日の活動は絵を描くことだ。鉛筆と紙を——」
「ちょっと待った」
鉛筆と画用紙を用意しようとしたところで、詩帆がストップをかけた。
「頭の中で想像した物を別々に描いても勝負にならないから、モデルを決めよう。1人がモデルをやって、他の3人がその人を描く。モデルになった人が自分の絵の一番良いやつを選んで、勝者を決める。どう?」
なるほど、確かに良い提案だ。勝敗がはっきりとわかるし、投票だと起こりうる、全員が自分の絵に票を入れて同じ得票数になってしまうという現象を無くすことができる。これなら、負けても文句は言うまい。
「良い考えだと思う」
「私も」
「まぁ、良いんじゃね」
「んじゃ、決まりね。じゃあ、颯人! まずはあんたがモデルやって」
「は? 何で俺が……」
「私が描きやすいから」
「おいおい……」
そりゃあ、ちょっと不公平じゃないか。
と言いかけたところで、
「私もお兄ちゃんでいいですよ。小さい時からずっと一緒に暮らしているんです。私にとっても書きやすい人だと思います」
美華が自信満々に言った。
それに悠平も続く。
「俺も大丈夫だ。颯人は友達だし、何より俺が描くんだからな。順位は決まったようなもんだ。そう、俺が一番だ」
……やっぱりウザい。
ふと、悠平は何かに気づいたように口を開く。
「そういや、なんで俺がモデルじゃないんだ? 俺ほどモデルが似合う男、そうそういないだろ。映えるイケメンだぜぇ?」
「私、あんたのこと苦手だから」
「気持ち悪いから嫌です」
「うわーん、颯人ぉー!」
「キモい」
「酷くね⁉︎」
女子たちの言葉にショックを受け、抱きつこうとしてきた悠平を一蹴する。
「うおー! 俺のどこが気持ち悪いってんだぁー⁉︎」
……そういうところだと思うよ、悠平くん。
身体を仰け反らせて絶叫する悠平に、哀れみを込めた目を向ける俺たちだった。
「さて、とりあえず颯人はそっちに立ちなさい。ポーズとかはこっちで指定するから」
「わかった」
俺は頷き、詩帆が指差した黒板の前に移動する。同時に、詩帆たちも机を並べ、席に着いた。
「で、俺はどんなポーズを取れば良いんだ?」
画用紙やシャープペンシルを机の上に並べている部員たちに訊ねる。
「うーん、そうだなぁ……。美華ちゃんは?」
「いえ、特に。大國先輩は?」
「いや、俺も特にな。浅間は?」
「決まってない。美華ちゃんは?」
「決まってないです。大國先輩は?」
「いや、決まってねぇな。浅間は?」
「うーん……。美華ちゃん?」
「おい、ループしてるぞ。やめろ」
このままでは3人の中で質問がループし続けそうだったため、急いでやめさせる。
「ったく、ポーズくらい決めてからモデル選べよな……。まぁいいや、今回は俺がポーズ決める」
「あ、ちょっと待って! 私の中で決まってることは一応あるんだ!」
呆れて自分からテキトーにポーズを取ろうとすると、詩帆に慌てた様子で止められた。
……なんだ? ジョ○ョじゃダメなのか?
「へぇ、何が決まってるんだ?」
気になったから訊いてみた。
「服を、脱げ……!」
妙にドスを効かせた声で、そんなとんでもないことを、詩帆は言った。
その一言で詩帆と俺以外の部員たちが固まった。
そして、注文を受けた俺自身も、
「……は?」
そう聞き返すのがやっとだった。
一瞬遅れて、固まっていた部員たちが復活した。
「うぎゃー⁉︎ 先輩が、先輩が変態になっちゃったぁー⁉︎」
「颯人の裸だとぉ⁉︎ それより、お前が裸になれやー! そーれ、おっぱいおっぱい!」
「誰があんたなんかのために脱ぐかぁ!」
「「うわぁー⁉︎」」
……カオスだ。
詩帆のとんでもない発言のおかげで、美華は混乱し、悠平は変態発言をしている。……あ、悠平はもともとか。
「おーい、落ち着けー」
「2人共落ち着いて」
「「うぎゃー!」」
「だから落ち着け。やめろ……」
「ねぇ、2人とも……」
「「ヒャッハー!」」
……こいつら、わざとやってないか?
そう考えるとイライラしてきた。
「ね、ねぇ……」
しかも、詩帆を混乱させているという事実が余計に俺をイライラさせる。
他の人に迷惑をかけるなよ……。
仕方ない。これはアレをやるしかあるまい。
なるべく嫌なことを思い浮かべ、ドスの効いた、怒気を孕んだ声を出す。
「お前ら……」
……あ、思ってたよりも怖い声が出た。
瞬間、部室内の空気が固まった。
先ほどの詩帆の発言とはレベルが違う。人間が固まったのではなく、部屋の空気が固まったのだ。
美華と悠平は、まるでブリキの人形のように、ゆっくりとこちらに顔を向けた。その目は恐ろしいものでも見たかのように見開かられ、唇は震えていた。
これだけやれば充分だろう。
「静かになったな。さっさと部活するぞ」
「う、うん……」
俺がいつもの表情になって言うと、詩帆は驚いた表情で頷いた。
美華と悠平は頭を抱えて怯えていた。
……2人共、ごめんな。
「で、まぁ……。今、服を脱げと言われたわけだが。他に案はないか? と言うか、何故脱ぐという案が出た?」
俺は黒板の前に座り、足を組みながら訊ねる。
「いやー、絵を描くときに身体を描いてから服を着せるって方法があるじゃん。それをやってみようかなぁ、って思ってさ」
「確かにそういう描き方もあるけどな……。それを現実でやろうとするなよ」
俺を変態にするつもりか? やめてくれ、変態は悠平で間に合ってるから!
とりあえず、色々と理由をつけて断ることにする。
「第一、俺の裸に何の価値があるっていうんだ? 見たくないもん見るだけだぞ」
具体的には言えないが、男のシンボルとかな。
「あー……うん、それなら大丈夫」
詩帆は少し恥ずかしそうしながら、
「だって、昔よく一緒にお風呂とか入ったよね。だから、今更裸くらい別にどうってことないよ。平気平気」
「待て待て、あの頃とはわけが違うんだぞ?」
「大丈夫だよー。小学校6年生と高校2年生なんて大した違いないからー」
「いや、大した違いあるから!」
ないわけがない。
実際、あの頃に比べれば色々と変わった。例えば、女性である詩帆は女性らしい身体つきに、男性である俺は男性らしい身体つきに成長した。
詩帆の身体は、出るところは出て引っ込むところは引っ込んでおり、非常に良い身体つきだと思う。……詩帆は小学6年生の時点で、年齢の割にはなかなかと言った感じの大きさの胸があったが。
まぁ、こういう考えが出るのだから、こういうことである。
持て余すほどじゃないにしても、俺にも多少の性欲は存在している。あの頃は別に裸を見られるなんて特に恥ずかしくはなかったが、今はやっぱり恥ずかしさがあるのだ。
詩帆も男の裸を見るなんて、今は恥ずかしくないにしても、見たら後悔するに決まっている。
成長とはとても嬉しいことであり、同時にとても悩ましいことでもあると思う。
「ちょちょちょ、ちょっと待て! い、一緒に風呂入ってただって⁉︎」
慌てた様子で質問してきた悠平。
それに対し、
「そうだが?」「そうだけど?」「そうですけど?」
俺たち3人はさも当然のように答えた。
「はあぁぁぁぁ⁉︎」
「何をそんなに驚いているんだ?」
「……まぁ、颯人と美華ちゃんは兄妹だから別におかしくないかもしれないぜ。……だけどな、なんで家族でもないのに颯人と浅間が一緒に風呂入ってんだよ⁉︎ しかも、さっきの話からすりゃあ小学6年生でも一緒に入ってたってことだよなぁ⁉︎」
「何? 確かに、颯人とは小学6年生まで一緒に入ったこともあるけど、そんなにおかしいわけ?」
「いや、おかしいだろ! 小学6年生って言ったら思春期真っ盛りじゃねぇか! そんな
「あー……うん。それなんだが、俺たちは思春期が来るのが遅くてな……」
「そうそう、だいたい中学入ってからなんだよね。思春期来たの」
「…………はい?」
悠平は呆気にとられた様子で、目をパチクリさせる。
……なんだろう。悠平がちょっと可愛く見えた。
「えーと、話を整理するぞ。つまり、お前らは思春期が来てなかったから、特に恥ずかしくなることもなく、一緒に風呂入ってたんだな?」
「そうそう、そういうこと」
悠平の言葉に詩帆が頷いた。
……まぁ、そういうことだ。俺も詩帆も思春期が来るのが遅かったから、恥ずかしがることなく、仲良く一緒に風呂に入ってたわけである。……今思い返すと、なかなか恥ずかしいことをしていたと思う。
「はっはっはー……、お前らピュアだなー。……羨ましい」
「あ、ちなみに私は中学1年生までお兄ちゃんと一緒に入っていました。シャンプーが目に入るのが怖かったので、自分だと上手く洗えなくて」
「さらに羨ましいなこの野郎!」
悠平は絶叫した。
「で、俺はどんなポーズ取れば良いんだ? このまま案が出なければ、別に脱いでもいいけど」
「いいのかよ!」
「ああ、いいぞ。確かに恥ずかしいけど、どうしてもって言われたら仕方ないからな」
「……これでお前が美少女だったら最高なのにな」
「もしも俺が美少女だったら、お前のためには脱がねえよ」
心底残念そうに呟いた悠平に対し、笑いながら否定する。美華と詩帆も頷いていた。
……まぁ、絶対に脱がないってわけでもないけどな。
悠平も別に悪いやつではない。彼には発言や行動がちょっとアレなところがあるが、すごく良いやつだということも知っている。……初めて会った時のシチュエーションと互いの関係は、はっきり言って最悪だったが。
ところで、最終的に俺の取るポーズは椅子に腕組みをして座り、更に足も組むというちょっと偉そうなポーズに決まった。
俺は「悪役っぽいから嫌だ」と反論したのだが、3人から「それだからぴったりなんだよ」と言われてやることになった。要は俺が悪役っぽいってことなんだろう。
……ちょっと傷ついた。
◇
静かな部屋に響くのはシャープペンの芯と紙が擦れる音だけ。部員たちは絵を描くことに集中し、モデルである俺はずっと同じ姿勢を保ったまま動かない。
……暇だ。凄まじく暇だ。
漫画とかアニメとかでは、めんどくさがり屋たちが「モデルは身体を動かさなくて済むから楽」という理由で絵のモデルをすることがよくある。しかし、この選択は絶対にしない方が良い。絶対に後悔する。
理由は簡単。暇すぎるからだ。
数十分の間、ずっと同じ姿勢のまま動けないなんて、非常に辛い。俺は今、身を以て実感している。
椅子が硬いせいでケツがとても痛い。姿勢が変えられるならまだマシだったかもしれないが、モデルである俺は姿勢を変えられない。
絵を描き始めてから、もうかれこれ40分くらいは経っただろうか。良い加減ケツの痛みが痺れに変わってきた頃、美華が手を挙げた。
「よし、できた!」
速いな。さすがは我が妹だ。褒めたい! 頭を優しく撫でてあげたい! でも、モデルだから動けない……。
この約10分後、詩帆と悠平がほぼ同時に手を挙げて、ケツの地獄は終わりを告げた。
「さて、それじゃあトップを決めようかな……」
俺は痺れてビリビリするケツを押さえながら、3人の絵を見て回る。
まずは我が愛する妹、美華の絵。
美華は漫画やアニメが大好きで、よくそれらの登場人物や風景の絵を描いている。そのため、彼女が描く絵は現実の人物でも、漫画やアニメのようになってしまう。もちろん、いつもそうだとは限らないが、今回描いた俺の絵もそういったキャラクターのようにデフォルメされていた。
しかし、デフォルメされていても別人が描かれているなんてことは全くなかった。髪の毛の色や目つきなどの特徴をしっかりと捉えており、一目で俺だとわかった。
「すごいな美華。超上手いぞ」
「えへへ〜」
絵の出来に感心して頭を撫でると、美華は嬉しそうに頰を緩ませた。
とても上手い。少なくとも、下手なんてことはありえなかった。デフォルメされているため、写真のようだとは言えないが、素晴らしい出来である。
正直、他を見なくても美華が一位でいい気がしてきた。
しかし、そんなの公平ではないため、とりあえず他の絵も見てみる。
「よーし、俺の絵を見ろー。よーく見ろー。目ん玉かっぽじってよーく見ろー」
違う。かっぽじるのは耳の穴だ。お前は俺を失明させる気か?
内心ツッコミを入れつつ、俺は促させるままに悠平の描いた俺を見る。
「…………」
俺は絶句した。
「へっへっへー、どうだ? 上手いだろぉ? 俺の最高傑作だ!」
悠平は得意げに胸を張った。
「……おい、これ本当に俺か?」
「ああ、もちろんだぜ! ……ちょっとワイルドになっちまったけどな」
悠平の画用紙に描いてあったのは、確かに俺の絵だった。おまけにめちゃくちゃ上手い。しかし、色々とおかしい点があった。
何故か、絵の中の俺は制服ではなく、スーツを着ている。椅子も豪華な物に描き変えられていた。さらに、ポーズもおかしい。
組んでいた腕は解けており、片方の手をどこから現れたかわからない下着姿の女性の頭の上に置き、もう片方の手には、これまたどこから取り出したかわからない葉巻を持っている。そして、俺自身はニヤリと言った感じの悪い笑みを浮かべていた。
これじゃあ、まるで悪役じゃないか! 悪役の大ボスだ!
俺はショックで黙り込んでしまう。
「おお、どうした? まさか、俺のあまりのセンスに言葉も出ないってか? だよなー。そうだよなー。俺ってば良いセンスしてるよなー。正に天才だ!」
「おい……なんでこんなデザインにした?」
「ああ? そりゃお前。似合ってるからに決まってんだろ? そういう悪役、お前のイメージにぴったりなんだよ。お前の顔怖——ぶふぅっ⁉︎」
気がつけば、裏拳をかましていた。
俺の拳は悠平の頰にクリーンヒットしたらしく、振り向くと彼は床で仰向けになって伸びていた。
……まったく、失礼なやつだ。普通に描けば、間違いなくトップだっただろうに。
「次は詩帆だな」
俺が呟くと、詩帆はこちらに絵を向けてくれた。
詩帆の絵は、3人の中で一番まともな絵だった。座っている俺を、まるで写真のように正確に描き写している。しかし、だからこそ何かが足りない気がした。
何かが足りないと感じる原因はすぐわかった。描かれている物は俺も椅子も、何もかもが上手すぎるため、その人特有の癖のようなものが感じられないのだ。写真で同じ物を写した時、違う人が撮ってもほとんど同じ写真が出来上がってしまうのと同じである。
詩帆の絵に個性はない。しかし、単純な上手さだけならトップだった。
「うーむ、悩むな……」
2枚全ての絵を並べて比べてみる。
……え、悠平? 知りませんね。
美華の絵も詩帆の絵も、一長一短で甲乙つけがたい。美華の絵はデフォルメされていることで、間違いなく人を惹きつける力があるが、リアルさがない。逆に、詩帆の絵はリアルに上手く描きすぎたせいで個性を失い、個人としてのすごさがなくなってしまっている。
……と言うか、こいつら絵上手すぎじゃね? 俺、こんなに上手く描ける自信ないんだが。
自分が上手く描けないのに、上手い絵を評価するというものはどこか引け目を感じる。大して上手くもない俺が、上手い2枚の絵の内から1枚を選ぶなんて、選ばなかった方に対して罪悪感を抱いてしまいそうだ。
しばらく悩んだ末、俺は美華の絵を選んだ。
◇
あの後、悠平が目覚めなかったため、俺たちは倒れている悠平の絵を描き、「先に帰る」という置き手紙と一緒に机の上に残して帰宅した。
そして翌日、
「悪かった。調子に乗りすぎた」
「いや、悪いのは俺の方だよ。ごめんな。痛かっただろ?」
「大丈夫だ。いつも先生のチョークくらってるから、身体の丈夫さには自信がある。あの後も普通に帰れたぜ」
「……さいですか」
悠平は問題なさそうだ。
「あ、そうそう。昨日の絵を描くってやつな。アレ、俺の絵で一番上手いのは、お前の絵だったぜ」
「……は? 何でだ?」
美華も詩帆も、俺よりは間違いなく絵を描くのが上手いのだから、俺が絵の上手さで勝てるはずがない。おまけに、あんな風にぶん殴られた後で、そんなに良い評価をつけてくれるものだろうか?
「だって、あの2人の描いたやつ棒人間だったからな。棒人間に比べたら、めちゃくちゃ上手いわけじゃなくても、しっかりと人間になっている絵の方がマシだろう?」
「まぁ……そりゃそうだな」
「ほら、信じられないなら見てみろよ。お前たち3人の描いた絵だ」
悠平に渡された紙には、俺の描いた絵と他2人の描いた絵が印刷されていた。アニメっぽくデフォルメされた悠平らしき男と棒人間が2人である。
……あの2人、苦手な相手に対してはなかなか酷い扱いをするな。
女子の恐ろしさを知った。……もしかしたら、ただ興味がなかっただけかもしれないが。
なお、この日の部活でもお絵かき大会があった。
結果として、詩帆の絵では悠平が、美華の絵では詩帆が一番に選ばれた。
そして、この日もまた、悠平は気絶することとなった。詩帆の絵で一番に選ばれたことで調子に乗ったらしく、その後の美華の絵でふざけて泣かせてしまったので、詩帆にしばかれて気絶した。……お前は少しくらい学習しろ。貧乳すぎてクレーターになったってなんだよ……。
ところで、結局それぞれが一度ずつ一番になってしまったため、全員が1位になってしまったのだが、これで良いのだろうか? ……まぁ、みんな楽しそうだったから良いだろう。
みんながみんな、オンリーワンでナンバーワンだ。