金色のガッシュ!!~Replay~   作:心身新

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LEVEL.16 魔物の涙

(どうしてこんなことに...なんなの...あの姿は?なんなの...あの力は?)

 

家の前には警察が立っており、近所の人が昨夜の通り魔の話をしている。

思い出されるのは、血だらけで倒れている人達、返り血で染まり気を失ったコルル。

 

(助けて...誰か...)

 

目に涙を貯めて、祈るように願う。

 

(優しいコルルを助けてよ!!!)

 

 

 

 

 

バン

 

と、通り魔の現場に降り立ったガッシュと清麿。

事件の報道をしていた映像を見た清麿は、その犯行が魔物の、もっと言うとコルルのものであると気付いていた。

 

「清麿...なぜこんな所に来たのだ?遊びに行くのではないのか?」

 

「ん?あぁ...」

(ガッシュが優しい王様を目指すきっかけになった子、またここに居てくれるかは分からないが...どうにか助けてやりたい)

 

現場の傷跡を辿りながら歩き、2人は公園に差し掛かる。

警官が立ち、散歩中の老人やストレッチをしている若者の姿もチラホラと。

 

その中にコルルとしおりの姿もあった。

 

「しおりねーちゃん、いくよー! えい!」

 

「お!うまいうまい!それが「トス」よ!」

 

「フフフフフ...じゃあもう1回!もっとうまくやるわ!」

 

(そうね...これでいいのね...本を読まなきゃいいのよ

本さえ読まなきゃコルルは、ずっとやさしいコルル

本さえ読まなければ...ずっと...)

 

思い出されるのは昨夜の事。

コルルの静止が間に合わず、呪文を読み切ってしまった時のこと。

 

ーーーー「ダメ!!本を読んじゃダメなの!!」

 

「ゼ...ル...ク」

 

「あ...あぁ...」

 

あぁぁあぁぁあああ!!!!!!

 

「コル...コルル?」

 

呼び掛けには答えずその身を変貌させていくコルル。

丸くカールしていた髪は立ち上がり、鋭利に尖っていく。

爪は鋭く伸び、小柄な体は筋肉質なものへと。

 

「キ エ ェ ェ エ エ エ エ エ エ ッ!!!」

 

「コ...ルル...」

 

「おおおおおおおおおおお!!!」

 

もはや人語を解さず、ただ絶叫するだけになってしまったコルルは、そのまま窓を突き破り、辺の人を傷付けて暴れ回り始めた。

 

しおりはそれをただ震えて見送ることしか出来なかった。

 

 

 

夜が明けた頃、ようやく動けるようになったしおりは、被害のあった場所を辿ってようやくコルルの元にたどり着いた。

全身を返り血に染め、息を荒らげているコルルに優しさの面影はない。

 

「お前は誰だ...」

 

「え...な...?分からないの!?しおりよ...」

 

「......本の持ち主か...」

 

「本の持ち主って?...あなた...あなた本当にコルルなの?」

 

「ええ、コルルよ...私はコルル!」

 

そう言ってコルルは狂気的な笑みを浮かべた。

 

「さあ、早く呪文を唱えて!もっと心を込めて!!もっともっと暴れたいの!!!その本を読んで、私に力をちょうだい!

 

「な、何を言ってるの?元に戻って!元のやさしいコルルに戻って!!!」

 

「...?...あぁ...それより早く読んで!読んでくれないと...」

 

そう言ったコルルの爪が消えていく、逆だった髪も鋭さを失い元の柔らかい髪へと戻っていく。

 

(も...元に戻るの!?そうか、このまま何もしなければ...)

 

「なぜ呪文を唱えない!?あなたまさか戦わない気なの!?」

 

しおりは本を抱えて口を引き結び黙っている。

元に戻れば、また楽しい日常がやってくると信じていた。

 

「無駄よ。」

 

そんなしおりに、コルルは静かに告げる。

 

「この戦いからは...運命からは...」

 

 

 

 

 

 

(決して逃げることは出来ないんだからね!!)

 

(ウソ...よね、そんなの...そうよ!本さえ読まなければ...)

 

昨夜、コルルに言われた事が頭から離れず、こうして一緒に遊んでいてもどこか集中出来ないでいた。

 

「おねーちゃん...」

 

「!な、何?コルル...」

 

「どうしたの?今日はずっと元気ないね?」

 

様子のおかしいしおりに、コルルは尋ねる。

 

「昨日...私どうなったの?何か...あったんじゃないの?」

 

「な、何言ってるの?何もないって!」

 

取り繕うように笑顔を浮かべて、無理やり会話を切った。

 

「ホラ、コルル!トスよトース!」

 

「わっ、わっ、わっ。」

 

焦りを誤魔化すように放ったボールは、勢いがつきすぎてコルルを飛び越えていってしまう。

 

「ゴ...ゴメンネ、コルル...」

 

「うん!とってくる!でも、もうイキナリはなしよ!」

 

そう言ってボールを取りに行ったコルル。

見れば車道にまで転がっていってしまっている。

 

「気をつけてね、そっちは車道...」

(決して逃げることは出来ないんだから...)

 

聞こえてきたのはクラクションの音。

もうそこまで来ているかのような。

 

「ダメ!車道に出てはダメ!!コルル、クラクションが鳴ってるのが聞こえないの!!?」

 

「え?」

 

トラックは、もう目の前に。

 

「う...」

(運命からは決して逃げることは出来ない...)

 

「わぁあああああ!!」

(これしかない!)

 

本に飛びつき、ページを見もせずに開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴ シャ ア ア ア ア ア ア ア

 

コルルにぶつかるトラックは、圧倒的な暴力によって潰された。

暴走したコルルが次に向かったのは、公園でくつろいでいた一般市民のところだった。

 

その凶刃が、人を傷つける。

その瞬間。

 

「《ザケル》!!」

 

「ギャア!!」

 

「コルル!」

 

雷光がコルルを焼いた。

コルルが怯んでいる間に被害者を逃がし、清麿とガッシュは相対する。

 

「クソっ間に合わなかったか...!!」

 

「清麿!?あの者を...コルルを知っていたのか!?」

 

「いや...だが、爪で切り裂かれたかのようなアスファルトの傷...魔物による被害だとは思っていたさ。」

 

なにより、ガッシュが優しい王様を目指すきっかけになった事件だ。

忘れるわけが無い。

忘れるわけが無いが、公園内のどこかという事しか思い出せないでいた。

 

(出し惜しみせずに、アンサートーカーを使っているんだったな...!)

 

「じゃ...ジャマをするなぁあぁあ!!!」

 

「チィ...!《ザケル》!!」

 

「ギャアア!」

 

再度突っ込んできたコルルに、威力を抑えた電撃を喰らわせる。

されど2撃目、呪文で強化されていてもそれなりのダメージはあったらしい。

 

「は...早く呪文を......痛い...苦しい...」

 

「コ...コルル...」

 

「おいそこのアンタ!呪文を唱えるのをやめろ!!余計に辛い思いをさせるだけだぞ!」

 

「で...でも......」

 

これ以上の被害が出ないよう、これ以上、相手を傷付けないように清麿は説得を試みる。

 

「で、でも...だって...」

 

(あなたたちがいじめるから!!)

 

しおりの持つ本が、日時は強い光を放つ。

 

「!!コルル出たわ!新しい呪文が読めるわ!」

 

「く...!」

 

「!!早くそれを読めぇ!」

 

「う...うん!!」

 

鋭く伸びた爪が無くなり、各指の第3関節部分に石づきのような物が形成される。

 

「《ゼルセン》!!」

 

握りこまれた両腕が、恐ろしい速度で射出され、清麿たちが立っていた場所を大きく抉る。

 

「ぐおぉぉおおお!!」

(くっ...近距離では、避けきれないか......!)

 

アンサートーカーの力で、被害は最小限に。

しかし飛行速度が速く衝撃は逃せなかった。

 

「ガッシュ!大丈夫か!?」

 

「ぐ...お...」

(あの者たち、一体...)

 

傷だらけになりながらも、ガッシュは体を起こして2人をみた。

2人は...。

 

(あの者は...まさか...コルルのおねーちゃん!)

 

2人は、涙を流していた。

 

「き、清麿...あの子たちは...泣いておるぞ...。」

 

「...あぁ、そうだな。」

 

「なぜ、あの子達は...泣きながら戦っておるのだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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