金色のガッシュ!!~Replay~   作:心身新

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LEVEL.18 第三の呪文

コルルたちとの騒動を終えて翌日。

清麿たちは、だだっ広い草原に来ていた。

 

「よし、ガッシュ。行くぞ?」

 

「ウ、ウヌ!」

 

眼前には大きな岩。

 

「第三の呪文!」

 

目標をしっかりと見据えて、力を入れ唱える。

 

「《ジケルド》!!」

 

「「わぁああああああああ!!」」

 

重なる悲鳴と、小鳥の声。

 

「...ウ、ウヌ?何も、起こらぬぞ?」

 

「ふむ、ジ...」

 

姿勢をただし、腹式呼吸を意識して。

 

「ジウィ〜~~~ケリュードゥオォ〜」

 

「それは違う!清麿!そーゆー問題ではないと思うぞ!?」

 

「だよな、試しただけだ」

 

「マジメにやっておるのか!?」

 

「いや逆にやっておかなきゃと思って」

 

ともあれ、新しく発現した第三の呪文《ジケルド》は、心を込めて唱えても発動はしなかった。

 

「何か他に発動条件があるんだろう、思えばこれまでの戦いも同じ技ばかりではなかったしな」

 

例えばレイコムの《ギコル》と《フリズド》。

ブラゴの《レイス》と《グラビレイ》。

スギナの《ジュロン》と《ラージア・ジュガロ》。

それぞれ違う効果を持った術だった。

 

「コルルの《ゼルク》と《ゼルセン》もそうだしな。」

 

「うっ...」

 

「...悪い。まぁそんな訳だから、少しづつ探っていこうって話さ」

 

と言って話を締めると、清麿は持ってきた荷物からブルーシートを取り出して、広げ始めた。

 

「検証も...検証らしい検証は出来てないが、とりあえず終わった事だし。ピクニックと行くか!」

 

そう言って各々持ち寄った弁当を出し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても凄いね、毎回あんな事をやってるの?」

 

と切り出したのは近くの高校に通うしおりだった。

今日は休日、昨日のこともあり、とりあえず親睦を深めてお互いの信頼を得ようという事で、怪我した体を推してピクニックを敢行。

しおりは肩に負担がかからないよう首から腕を吊っている状態だ。

 

「いや、今回が初めてだな」

 

「え、そうなの?意外だね。清麿くん事前準備はしっかりやるタイプだと思ってた」

 

「まぁ、今までは準備する前に襲われてたってのもあるが...」

 

清麿は、昨夜の話し合いを思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「清麿、私は...」

 

少し俯いて、何かを考えるように間を取ってから、ガッシュは言った。

 

「私は、王になるつもりも、王になれる気もしなかった。しかし、泣いていたコルルたちを見て...もう、本を燃やすしかないと思ってしまって......」

 

顔を上げたガッシュは、泣いていた。

 

「......とても悔しかったのだ」

 

「...ガッシュは、どうしたい?王になりたいか?」

 

「私は...」

 

「王にも色々な在り方がある。荒くれ者共を殴って黙らせる強き王、1番前で両手を広げて弱き者を守る王、人に寄り添い支える優しい王。ガッシュは、どんな王様になりたい?」

 

「...私は、私は王にはならない。」

 

「え...」

 

「私は、支える者になりたい。王が倒せない者も、守れない人も、一緒に成し遂げて、王が倒れそうな時にそばで支えられるような。」

 

「ガッシュ...」

 

「だから清麿、私は強くなりたい。時に支え、時に手を引き導けるような強さが欲しい。...できるかの?」

 

「...あぁ、出来るさ。俺がならせてやる」

 

「ウヌ、頼むぞ清麿!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この魔物の王を決める戦いで、ガッシュは明確な目標を持てていなかった。しおり達にはあまりいい事じゃないかもしれないが、今回のおかげで、ガッシュは成長できた。」

 

ガッシュとコルルは早々に食べ終わって、二人で遊びに行っている。

ティーナとバルカン300が仲睦まじそうだ。

 

「だから迷惑かけたとか、思わないでくれよな」

 

今回の親睦会を提案したのは、しおりからだった。

自分が安易に呪文を読んだから、コルルが轢かれそうになったのも、自分が慌てて放ったボールが原因だった。

今回持ってきた弁当は、しおりのお手製だったりする。

 

「...うん、ありがとう清麿くん」

 

再び取れたバルカン300の腕を、ティーナが優しく拾ってあげていた。

時間は穏やかにすぎて行く。

その影で、戦いの運命は着実に迫ってきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここがモチノキ町か、ここに敵がいるんだな?」

 

「ええそうよ、何度も何度も力を感じてる」

 

降り立った2人組。

貴族然とした格好の、うねる髪が特徴的な子供と、ソフトモヒカンに、首から掛けたネックレスが目立つ男。

 

「おい兄ちゃんお勘定!四国から乗って来といて、払わんきやないやろな!?」

 

「うるせぇなぁ、力もねぇオヤジがよぉ《ウイガル》!!」

 

車は浮き上がり、電話ボックスやガードレール、花壇をなぎ倒しながら

辺りに破壊をもたらした。

 

「いい...いいよなやっぱ...この力、スカッとするぜアレコレうるせぇヤツを簡単に黙らせられる。誰も逆らえねぇ」

 

男は恍惚とした笑みを浮かべながら本をたたむ。

 

「もっと力をつけて、もっとスカッとしねぇとな…なぁ、フェイン?」

 

「えぇ...その通りよ。そして私は王になる。力をつけて、誰も逆らえない王になるの」

 

「で、どうなんだ?ヤツらの力は」

 

「少し前は強い力の波動もあったけど、今はわずかな力しか感じない。我々で充分倒せるレベルよ」

 

「よし、じゃあ後は詳しい位置だな」

 

「ええ、もう探り始めてるわ。奴らが力を使い始めれば、それもすぐに分かるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は昼過ぎ、清麿たちはピクニックを切り上げ街の方へと戻ってきていた。

この後はショッピングだ。

ティーナを見たガッシュが、バルカン300の改修をねだった。

手先が器用でない清麿はその提案を渋ったが、助け舟を出したのはしおりだった。

 

「ロボットは作れないけど、簡単なお人形さんなら作れるよ?」

 

との事で、材料集めに街へとやってきた一行。

生地とビーズ、骨組みに使う針金を求めて手芸店へと向かう。

 

「布なんかは分かるけど、針金も必要なのか?」

 

「ただの人形なら要らないけど、男の子はポーズとか取らせたりするかなって思って。針金を中に仕込めばある程度は固定できるからね」

 

「なるほど、ちゃんと相手のことも考えてたんだな。素直に尊敬するよ。」

 

「それほどでもないよ。私が嬉しいと思ったことをしてるだけだもん」

 

「ウヌ!とっても嬉しいぞ、しおりちゃん!ありがとうなのだ!」

 

「フフ...どういたしまして」

 

「良かったねガッシュ、ティーナもお友達が増えて...」

 

「《ウイガル》!!」

 

「!SET!!」

 

声が聞こえた方に指を向け叫ぶ。

反射的にガッシュがその方角へ顔を向けた。

 

「《ラシルド》!!」

 

少し上向きに出された雷の盾、向けられた風の弾丸は何も無い上空へと跳ね返された。

 

「いきなり何!?」

 

「コルル伏せてて!」

 

「清麿!これは!!」

 

「敵襲だ!しおりさん達は避難してくれ!」

 

「攻撃してきたの!?こんな街中で!!」

 

「ハッハー!いたぜ!本の持ち主だ!!」

 

「さぁ!大人しく本を焼かせて!王になるのは私なの!!」

 

(この者が...王?)

 

「ガッシュ走るぞ!近くに廃ビルがあったはずだ!」

 

清麿はガッシュを連れて走り出し、しおり達は反対方向に逃げていく。

清麿に抱えられたガッシュは、襲撃者をキツく睨みつけていた。

 

 

しばらく行った所にある廃ビル内で、ガッシュと清麿は敵が来るのを待ち構えていた。

 

「ハッ...こんなとこに逃げ込みやがったか、どこに逃げたって死ぬのは同じだぜ!」

 

「...おい!魔物の方!」

 

「!......何?」

 

「お前は、どんな王を目指しているのだ?」

 

「どんな、王?」

 

「そうだ、お前は王になって何をしたいのだ」

 

「クハッ!アーーーーッハッハッハッホ!!何を言ってるの!?王様って何か知ってるの!?」

 

頭を抱えて笑い出すフェイン。

何も分かってないと言いたげな、侮辱するような表情で叫ぶ。

 

「支配者の事を言うんだぜ!?誰も逆らえねぇんだ!強ぇ奴も弱ぇ奴も、私の気分次第で叩きのめせるんだ!!それでいて誰も文句が言えない!それが最高なんじゃないの!!」

 

「そうか、よく分かった。...ならば私は、お前を倒す!お前を王様にする訳にはいかぬ!!手を貸してくれ!清麿!」

 

「あぁ、当たり前だぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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