これからAクラスの攻撃で、一番は工藤愛子。保健体育を得意としているが、どれ程の点数だ…?
『 Aクラス 工藤愛子
保健体育 569点 』
「…ちっ。」
雄二が舌打ちをしてこちらを向き、アイコンタクトを取る。
(敬遠で良いか?)
(仕方無いだろう。)
正直雄二の点数で太刀打ち出来るとは思っていない。
『 Fクラス 坂本雄二
保健体育 226点 』
上がったとはいえAクラストップ層にはまだ遠い。妥当な判断だろう。
そして四球とも完全に外して工藤を歩かせた。
次の打者は佐藤美穂。メガネが特徴の女子でいかにも勉強が出来そうな見た目だ。
『 Aクラス 佐藤美穂
保健体育 304点 』
さあ、雄二はどう出るか…低めに投げたか。これは打てないな…って、打ってきたか。大きく上がってセンターのムッツリーニがしっかりと捕球する。これで1アウトだ。
さて、三番は木下。一体どんな点数が飛び出してくる?
『 Aクラス 木下優子
保健体育 383点 』
「おお…」
霧島とほとんど同じ位取っているのか。他の教科もこれ位取っているだろう。かなり苦しい戦いを強いられるのは確実だな。
「木下姉。俺は直接お前と勝負する気は無い。どうせ勝てないからな。だから…歩いてもらう。」
工藤の時と同じく敬遠して歩かせる。別に構わんがランナーが一、二塁だぞ?次はエースの霧島なのにどうするんだ?
「審判、タイム。Fクラス、集まれ!」
雄二が皆を集める。
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「次の向こうのバッターは翔子。で、ランナーは一、二塁。それが今の状況だ。」
「うん、それがどうしたの雄二?」
「正直ここでスリーランホームランを食らう可能性は高い。どうやってこの危機を乗り越えるか、お前らの意見を聞きたい。」
コイツまさか何も考えてなかったのか。何も考えずに歩かせてたのか。
「打たせて取る方法も無くは無いが…俺の見立てではそのままホームランになる。」
高虎の推測は恐らくほとんど間違えていないだろう。150点以上差があれば軽く触れただけでも相当飛ぶ。ならどうしたら…
「ま、テキトーにやったら良いんじゃない?ウチらも頑張るから。」
「ま、島田の言う通りか…済まなかったな。自分の守備位置に戻ってくれ。」
~~~~
雄二が一球目を投げる。微妙な所だな、ボールかストライクか…
『ストライク!』
お、入ったか。
続いて第二球、外角低めの…カーブ。召喚獣、変化球も投げられるのか。
「…っ!」
霧島が振る。大きく右に逸れてファウルになる。ファウルだったとはいえ、あれだけ飛ぶのか。上手く打たれたらひとたまりも無いだろう。
第三球、同じく外角低め。これは…打たれた。レフト方向に飛んで…姫路がキャッチする。これでツーアウトか…あ、工藤が飛び出している!
「姫路、セカンドにボールを送れ!」
「え?は、はい!」
姫路がセカンドの木下に送球し、飛び出た工藤の召喚獣をタッチ。これでスリーアウトだ。
「あちゃ~、完全に忘れてたよ。」
頭を掻きながらAクラスのベンチに戻る工藤。そこまで悔しさが窺えないな。まあそんな事は良い。取り敢えずしっかりと二回の攻撃をしないとな。教科は…日本史か。