バカと無双と下剋上   作:走り高跳び

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会話文多めです。


設備防衛編
設備防衛戦1


 体育大会が終わって少し経った日の朝のこと。

「おう、早いな吉継。」

「お前も早いな、雄二。」

すぐにでもAクラスが攻め込んで来ると踏んでいたが、そうでもないようだ。これは真偽の程は分からないが、以前言っていたAクラスの成績の二極化が原因で下位の連中を鍛えて元の成績に戻すまで時間がかかるからとの事らしい。

「ところで雄二よ。いい加減霧島や木下の態度に不満があるAクラス生が出てこないのか?」

「良く分からないんだよ…この前休日に久保と会って話した時には、アイツと工藤含めて10人弱は居るっぽかったんだがな」

進級早々豪華な設備が脚が折れかけている卓袱台と綿がロクに入っていない座布団に変わり、清涼祭ではクラスの代表が不良を呼んで悪事を働こうとし、木下と霧島の嘘に騙されたことで全クラスを敵に回した上に更に設備ランクを落とされるという目に遭っている。そろそろ霧島たちに文句の一つでも言いたいやつが出てきても良いんじゃないかと思っていたが、それよりも俺達から設備を取り戻したいという気持ちがあるのだろうな。まだ10人程度しかそういう奴が出てこないのはそういう事だろう。

「やっぱり俺達への反発が強いんだろうな。」

「俺達は学園の規則に従って戦っただけだ。翔子もそれは分かっている筈なんだがな…」

雄二は何だかんだ文句や言いたいことが沢山あるのだろうが、今までの付き合いもあって見切りを付けられないのだろう。霧島もその雄二の苦悩を分かってほしい所なのだが…

 「失礼するわね。」

教室のドアが開き、緑色の髪色をした少女が入ってきた。確か、Cクラス代表の小山友香だったか。

「どうした小山。」

「まずは体育大会でAクラスに勝てておめでとう。」

「素直に受け取っておこう。それでどうした?まさかそれだけを言いに来た訳じゃないんだろ。」

「ええ、じゃあ本題に入るわ。私達CクラスはFクラスに対して試験召喚戦争を申し込みます。」

まあクラス代表がわざわざ来たってことはそれくらいしか考えられん。なんにせよ俺達のほうが設備が上な以上受けて立つしか無いな。

「了解した。開始時刻はいつ頃だ?」

「私達も作戦をクラス全体に説明する時間が必要だから、10時以降が望ましいわ。」

「じゃあ10時半で良いか?」

「大丈夫よ。それじゃあまた戦後対談で会いましょう。」

そう言って小山は教室を去っていった。初めの印象は割とキツい感じのお嬢様みたいな感じだったが、そこまでではないな。

「さて、作戦を立てなきゃな。高虎が出たらお前が説明してくれ。」

「分かった。雄二はクラスの連中の点数をもう一度纏めておいてくれ。」

さあ、忙しくなるぞ。

 

~時間経過~

 

 「全員集まってるな?それじゃあ今回の作戦を伝える。」

朝礼を終えて明智先生が出ていった後、教壇に立った雄二が全体を見渡す。

「今回は今までとは違って防衛戦だ。Dクラス、Bクラス、Aクラス戦とは違って守りに徹するぞ。そして敵が少なくなったタイミングで総攻撃を仕掛ける。」

今回からは設備奪取ではなく設備防衛が目的だからな。積極的に攻勢に転ずる必要性はない。

「それだけで良いの?」

「ああ。打って出ても勝ち目は十二分にあるし、もしムッツリーニが根本にやったように奇襲を仕掛けられても撃退する自身はある。だがもう無理して勝ちに行く必要性は無いしな。」

「問題は小山がどこに本陣を置くかじゃな。それでわらわ達の防衛ラインも変わってくるであろう?」

玉の言うとおりだ。現在のFクラスとCクラスは教室が隣同士。そんな状況でいきなり総力戦は向こうもやりたくないだろう。

「そうなんだよな…この階の旧校舎側の空き教室に来てくれたら楽なんだがな。4階に行かれたら攻め上る必要があるから面倒だし。」

そう雄二が呟いたところで、長谷川先生がクラスの本陣の位置の確認にやってきた。どうやらCクラスは4階に行ったようだ。

「それにしても、そこまで単純な戦い方で良いんでしょうか?向こうは色々策を巡らせていると思いますし、にらみ合いになったらいつまで経っても勝敗がつきません。」

「姫路の思いも分かるが、向こうは攻めに来ている方だから、戦端を開く意思が見えなくなると自動的にアイツらの負けになる。今回はそうやって地道に勝とうと思う。」

「…だが、つまらないのは事実。俺や明久が陽動として動いてCクラスを撹乱したりはできるぞ。」

「それは吉継や高虎も言っていた。まあでも今回は採用しないぞ。」

面白そうではあるが下手に戦力分散はさせたくないだろうし仕方ないか…

「それなら雄二。総攻撃の段になったらやってみて良いんじゃない?うまく行けば近衛部隊を引きはがせるから楽に勝てるよ。」

「確かに一理あるな。どうだ吉継、高虎?」

「それなら良いと思うぞ。」

「吉継に同意だ。これから続く戦争の作戦を立てるときのデータにもなる。」

終盤なら敵の数も少ないしな。

「よし、それなら総攻撃時には二手に分かれるぞ。本体は俺が率いる45人で新校舎側の階段から攻め上る。高虎、明久、ムッツリーニ、近藤、英の五人は階段で俺達より先行して一度1階へ行き、旧校舎側からCクラス本陣を目指せ。行けるな?」

『おう!!』

「よーし、それじゃあ配置に付け!!守り切るぞ!!」

これから始まる他クラスとの長い戦争の日々が始まろうとしていた。

 


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