何でも屋エリスでございます   作:魔帝

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 どうも、初めましての方々、お久しぶりの方々もいるかもしれませんね。
 魔帝です。すぴばる小説部で投稿していて、はやりハーメルンでも書いてみたいと思い、マルチ投稿させていただきました。

 どうかこの作品を、暖かい目で見守って下さい。


序章第一話

 

 

 

 古代ベルカのとある場所。戦乱の地で埋め尽くされたこの世界の何処かに、彼はいた。

 家もボロボロで小さく、お世辞にもお金があるとは思えない感じだった。

 黒髪紫目の彼はそこで己の商売道具でもあり一生の相棒……今の時代には似つかわしくない質量兵器である、黒い刀身の刀の手入れをしていた。

 

 

「………うん、今日も綺麗だ」

 

 

 少々長いめの刀を黒い鞘を納め、壁に立て掛けた。彼は黒いインナー姿に黒の長ズボンに姿でおんぼろのベッドに寝転んだ。

 

 

「あ〜……仕事ねぇかね〜……」

 

 

 彼の職業は所謂傭兵、何でも屋のようなものだ。依頼があれば戦場に赴き、敵をバッタバッタ斬り伏せ、報酬を貰う。ただ……。

 

 

 ジリリリリ……!

 

 

「はいはい、こちら『エリス』でございまーす……そこはもう敗戦まじかだろ。金にならん……何? 報酬ははずむだと? 敗戦国にそんな金は無いだろ。さいなら〜」

 

 

 と、このように自由気まま、気分屋、面倒くさがりなのだ。だから仕事が無い。ただ、実力はある。だから依頼の電話がくるのだ。

 

 

「まったく……毎日が退屈だな」

 

 

 このご時世、そんな事を言うのはもの凄く場違いなのだが、彼には関係ない。

 

 

 ジリリリリリ……!

 

 

 そしてまた電話がかかる。

 

 

「はいはいこちら『エリス』……拠点に籠った敵の殲滅? 相手は数百人? 金払えんの? ……オーケー、受けてやる」

 

 

 彼は電話を切り、掛けてある刀と黒のロングコートを取り、外に出た。

 

 

 バキッ!

 

 

「………あ〜……」

 

 

 彼がドアノブに手をかけてドアを開くと、ドアが壊れて取れた。

 

 

「………後で直さないとな」

 

 

 ドアを立て掛けて彼は戦場に赴いた。

 

 

 

 

 どっかの研究施設。そこに今回の依頼国側の敵が潜伏している。

 

 

「ふんふ〜ん♪」

 

 

 そこに彼が現れた。彼は鼻歌を歌いながら施設の前まで歩き、敵を視認した。

 

 

「止まれ!」

 

「と言われて止まる馬鹿はいないと」

 

 

 見張りの兵士達だろうか。その兵士達が杖を彼に向けていたが、彼は臆することなくご機嫌に施設へと近付いた。

 

 

「このっ……撃て撃てぇ!」

 

 

 彼に向かって一斉に魔力弾が放たれた。

 

 

「遅いっつうの」

 

 

 彼はその場から消えた。そして兵士達の後ろに現れた。彼の手は鞘から少し抜かれている刀の柄を握っていた。

 

 

「取り敢えず、死んどけ」

 

 

 チン…っと音を立てながら鞘に納めると、兵士達の身体が言葉通り両断された。

 

 

「さてさて……敵さんは何処ですか〜?」

 

 

 彼は優雅に施設内を歩き始めた。そして見つけた敵から片っ端に斬り伏せて行った。

 

 

「どいつもこいつも骨の無い奴だな。誰かいないのか?」

 

「ここに居るぞ」

 

 

 彼の前に一人の女騎士が現れた。ピンクのポニーテールにアームドデバイスである剣を持った騎士。

 そしてその横にはオレンジ色の髪で鉄槌をもった紅い女の子。短い金髪の女性。白髪で筋肉モリモリの長身の男性。

 

 

「———ほぅ?」

 

 

 彼は不敵に笑った。まるで発売数か月前に予約したゲームを手に入れた様な顔だった。

 

 

「女が相手か……だが強いな。そっちの子供も、男も。……アンタは……まぁ攻撃には向いていないな」

 

 

 一人一人を分析し、己の相棒に手をかける。騎士たちも剣を、鉄槌を、拳を、指輪?を構えた。

 

 

「行くぞ、手加減は出来んからな」

 

 

 彼は地を蹴った。

 

 

 

 

「チッ……」

 

 

 結果的に彼は勝った。だが彼が騎士たちを殺してはいない。騎士たちは撤退していったのだ。そして彼も肩に一筋の切傷を付けられていた。

 

 

「ふぅ……まさか俺が傷を負うとはな。中々強い相手だ」

 

 

 彼は走った。それも肉眼では捉えきれない程の速さで。

 

 

「こんな楽しいのは久々だ。絶対に逃がすもんか」

 

 

 彼は本来の目的を忘れ、騎士たちを待ち伏せする事しか頭になかった。

 

 

 

 

 彼は走っている途中、とある一室から声がするのが聞こえた。彼はそれで本来の目的を思い出し、まぁ見つけたからやるかといった感じで扉を開けた。

 

 

「ハロハロ、『エリス』で〜す。お命頂戴……い?」

 

「っ! 貴様は!」

 

 

 その部屋には先程の騎士たちとここの研究員らしき人物が数人と、一人の銀髪の女性と一人の女の子がいた。

 女の子はボロボロの服を着ており、食事を与えられていないのか痩せ細っていた。

 

 

「ほら見ろ! 貴様らが役立たずのせいでここに来てしまったではないか!」

 

 

 一人の研究員が騎士たちに向かって叫ぶ。銀髪の女性は女の子を後ろに俺を警戒し、騎士たちに指示を出した。

 

 

「騎士たちよ、我が主を守るのです!」

 

 

 騎士たちは武器を手に彼を取り囲んだ。

 

 

「あ〜……取り敢えず、そこの女性は誰ですか?」

 

 

 彼はそんな状況は知ったこっちゃないと言わんばかりに、銀髪の女性を指した。

 

 

「ふん! 貴様が知る事ではない! さっさとやれ!」

 

「わーわー喚くな。煩い」

 

 

 彼がそういうと、黒い魔力で出来た短剣が部屋中を埋め尽くした。切っ先は騎士達と研究員たちに向いていた。

 

 

「ふぅん……状況から察するに、ここの研究員がその女の子に暴行を働き、その子を守るためにこいつらが働いている……そうか?」

 

 

 彼は銀髪の女性にそう尋ねた。しかし女性が口を開く前に研究員の一人が開いた。

 

 

「何を馬鹿なことを! こいつらはただの道具に過ぎん! 我々の指示通りに動く兵器だ!」

 

「……あっそ。なら壊して良いよな?」

 

「壊せるものなら———」

 

「はい、死んだ」

 

 

 黒い剣が研究員を蜂の巣にした。続いて彼は他の研究員を睨みつけ、睨まれた研究員は逃げ出すか、騎士達に命令しだした。

 

 

「な、何をやっている!? は、早く殺せ!」

 

「お助けぇ!!」

 

「チッ———無に返れ」

 

 

 黒い剣が一斉に研究員に向かって射出された。全ての剣は研究員を貫き、切り裂き、串刺しにする。

 やがて全てが終わると、今度は銀髪の女性とボロボロの女の子を見た。女性は彼に向かって拳を構えた。

 

 

「………」

 

 

 彼はそんな女性にふっと笑って見せ、ゆっくりと近付いた。騎士達は彼を近づけさせまいと襲い掛かったが、彼から発せられた魔力波により近づけなかった。

 

 

「……よう、嬢ちゃん」

 

 

 彼は女性と女の子から少し離れた場所で腰を低くし、女の子の目線に合わせた。

 

 

「こんな所にいて楽しいか?」

 

「……(ふるふる)」

 

 

 女の子は首を振った。彼は優しく微笑み、手を伸ばした。

 

 

「じゃあさ、俺の子になるか?」

 

「「「「「……は?」」」」」

 

 

 その場にいた彼と女の子以外が間抜けな声を上げた。襲撃してきた男がいきなり俺の子になれと言ったのだから無理も無い。

 

 

「ただし、働かざるもの食うべからずだ。嬢ちゃんにはウチの受付嬢でもしてもらおうかな」

 

「……な、何を言い出すのだ!」

 

 

 ポニーテールの騎士が怒気を含めた声で尋ねた。

 

 

「アンタらも、こんな湿気た場所で暮らすのも嫌だろ? 俺の家も大概だが、ここよりは断然マシだ。衣食住付けるぜ?」

 

「うっせぇ! どうせテメェも闇の書の力が欲しいんだろ!」

 

 

 鉄槌の女の子が怒鳴った。

 

 

「闇の書? んじゃそら? 俺は本なんて興味がねぇよ。眠くなるし」

 

「ざけんな!」

 

 

 鉄槌の女の子が彼に向かって鉄槌を振り下ろす。が、彼は突如出現させた黒い剣でそれを受け止めた。

 

 

「うんうん、子供は元気が一番だ」

 

「アタシを子供扱いするなーーー!」

 

「嫌だね。子供は子供だ」

 

 

 彼は鉄槌の女の子の後ろ襟を掴むと、ポニーテールの騎士に向かって放り投げた。彼は放り投げた後、再びボロボロの女の子に振り返った。

 

 

「で? どうする?」

 

「……みんな……一緒?」

 

「ああ。大歓迎だ」

 

「……じゃあ……なる」

 

「我が主!? 本当に言っているのですか!?」

 

 

 銀髪の女性は驚き、女の子を見た。

 

 

「うん……。もうみんながおこられるのみたくない……」

 

「我が主……分かりました。あなたの言うとおりにします」

 

「闇の書! 何を言っているのだ! こんな得体の知れない奴に……!」

 

「ですが、ここにいるよりはずっとマシでしょう。……貴方」

 

「ん?」

 

 

 銀髪の女性は彼を真剣な表情で見つめた。

 

 

「我らを傍に置くと、貴方までも狙われますよ? それでも宜しいのですか?」

 

「狙われるね〜……。俺ってさ、傭兵みたいなのしてるからさ、敵が世界中にいるんだよね。だから狙われるなんて慣れっこさ」

 

「……そうですか」

 

「ああ、でも……」

 

「……?」

 

「お前らを守り通すくらい、朝飯前だ」

 

 

 彼は女性に手を差し出した。女性は少しだけその手を見つめると、彼の手をそっと握った。

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