何でも屋エリスでございます   作:魔帝

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長らくお待たせしてすみません。今回でいよいよ物語が進みますよ。


第三章第九話

 ミルティリアが産まれて早数ヶ月。蓮夜達は中学三年生になった。そしてミルティリアはというとすくすくと成長して、今やもう幼稚園児になった。―――身体がだが。

 人間とユニゾンデバイスの成長過程は違うといってよいかもしれない。すくなくとも、ミルティリア、愛称ミリィにとっては。

 ミリィは身体は幼稚園児ぐらいの大きさに成長し、ユニゾンデバイス故に頭脳も明晰である。ただ心はまだまだ子供である。現に今もイヴァとリインと手を繋いで楽しそうに街を散歩しているのだから。

 

 

「あ、ワンワンですー!」

 

「っと、こけるなよー」

 

 

 ミリィは散歩している近所の犬を見つけて駆け寄る。

 その犬の飼い主は優しいおばさんで、ミリィに犬を触らせてくれた。

 ミリィは一通り撫で回したあと、バイバーイと手を振ってイヴァとリインの下に戻ってきた。

 

 

「パパ、ママ! ミリィもワンワン欲しいです!」

 

「ん~、ザフィーラで我慢して」

 

「……彼は一応、狼なんですが」

 

「でもザフィーラなら背中に乗せてくれるぞ? 帰ったら頼んでみ」

 

「はいです!」

 

 

 ミリィは二人の手を握って散歩を再会する。ニコニコと可愛らしい笑顔を浮かべて歩く姿はまるで天使のようだ。イヴァとリインは互いに顔を見て笑顔になる。この子が自分達の娘なのだと、幸せを胸いっぱいに感じた。

 

 散歩の終着点は近所の公園である。公園に辿り着くと、そこにはミリィと同い年ぐらいの子供達が沢山いる。中にはミリィの公園デビューの時に知り合った親御さんたちと、その子供達がいる。

 

 

「あ、ミリィちゃんだー!」

 

「おーい!」

 

「あーそーぼー!」

 

「はいですー! 行ってくるです!」

 

「ああ、行っておいで」

 

「くれぐれも気をつけなさいね」

 

「はいです!」

 

 

 ミリィは子供達に混じって一緒に遊び始める。イヴァとリインは他の親御さん達に挨拶をしにいく。

 

 

「こんにちは」

 

「あら、イヴァさん! 今日も夫婦揃って、仲がよろしいですわね~!」

 

「まあ、それが私達の取り柄ですから」

 

 

 と、イヴァはリインの肩を抱き寄せ、リインは顔を赤くして笑顔を浮かべる。

 

 

「あらあらまあまあ! 若いって良いわね~! 私もあと二十若ければね~」

 

「あ、そうだわ! 最近、近所で不良たちがたまってるのよ! 何とかして下さらない?」

 

「家の主人に言っても足臭いだけで何にもしてくれないもの! イヴァさんだけが頼りなのよ!」

 

 

 イヴァは何でも屋をやってる故に、近所では人気者である。何でも引き受けてくれて、誰でも助けてくれる。偶にサービスでただで引き受けてくれたりと、サービス精神もある。加えて凛々しい顔立ちであり、逞しい。老若男女を虜にしてしまうイヴァである。そんな彼の妻であるリインも、美人であり夫を引き立てるその精神、カッコいい女性、女神様と、最後のは兎も角、リインも人気者である。

 

 

「そうですか。確かに、それは子供達が心配ですし何とかしましょう」

 

 

 この後、この近所からは見た目は不良だが、中身は良い奴の人たちが沢山現れる事になるのが、それはまた別のお話。

 その後、イヴァとリインは親御さん達と他愛無い会話をし、帰る時間になるまで公園にいた。

 

 

「ミリィ、今日はお友達と何をしたのだ?」

 

 

 リインが帰り道でミリィに何をして遊んだのか聞いた。するとミリィは楽しそうに話し出しす。

 

 

「えっと、おにごっことかくれんぼにおままごとです!」

 

「そうか。楽しかったか?」

 

「はいです! ミリィ、おにごっこもかくれんぼも一番です!」

 

 

 ミリィの容姿はリインにそっくりである。空色の髪と蒼い瞳を除き、リインをまるっきり子供にすれば、ミリィになってしまうほど酷似している。つまりリイン似なのである。

 しかし、内面的にはイヴァ似である。身体能力がとても高く、イヴァの得意な技、瞬間移動を使用することが出来たり、気配を察知したりと、何ともまあスペシャルである。

 因みに一度、蓮夜と剣誠と神楽と比べてみると実はミリィが一番力が強かったりする。戦いになると当然ミリィはまだ無力であるが。

 

 

「そうか、凄いなミリィは。流石俺とリインの娘だ」

 

「えっへん!」

 

「ふふっ、ではおままごとでは何をしたんだ?」

 

「えっと……『嫁と嫁の妹との三角関係に悩む夫のお話』という遊びです!」

 

 

 ピシっと、二人の笑みが引き攣った。

 

 

「み、ミリィ? そ、それはどういったおままごとなのだ?」

 

「ミリィが妹で、ネネちゃんがお嫁さんでマサオくんが夫です! ミリィはマサオくんをゆうわく? するです!」

 

「……ミリィ、まさかその、誘惑をしたのか?」

 

 

 イヴァは恐る恐るといった感じでミリィに聞く。するとミリィは可愛らしく首をかしげて答えた。

 

 

「ミリィ、あんまり分からなかったから、ネネちゃんがただくっ付くだけで良いって言ってたです! だからずっとマサオくんの隣に座ってたです!」

 

「よし! ミリィはそのまま純粋に育ってくれ!」

 

 

 イヴァは最近の子供達は昼ドラを日夜追い求めているのかと考える、今日この頃だった。

 その後三人は楽しい会話をしながら家に帰宅した。

 

 

 

 

「フェイト、バルディッシュの振りが遅い。もっと早く、迷い無く振るえ。迷えばそれだけで振るう速度が落ちる。それでは高速戦闘の意味が無い」

 

「はい!」

 

「なのは、お前は本来味方がいて力を発揮する固定砲台型の筈なんだが、その域を越して一人で力を発揮しだしている。それは凄い事だが、本来の仕事を忘れるなよ? もっと味方との連携を学ぶんだ」

 

「はい!」

 

「はやて、お前は完全支援型、指揮官タイプだから今の役割で正しい。だが王とは時には自分が動き、戦況を変えるものだ。王が動かないと民はついてこない、そういう事だ」

 

「なるほど……」

 

 

 イヴァはエスティが用意した結界内で子供達に恒例の稽古をつけている。結果内は大きな武家屋敷であり、広い中庭で稽古をつけている。何故武家屋敷なのかは、それはエスティのみぞ知る事である。イヴァの教えはなのは達を確かに成長させ、いまではなのは達は管理局内でエース級になっている。勿論、蓮夜も。

 

 

「で、蓮夜だが……技が力任せすぎると、何度言えばいい」

 

「別に良いじゃねぇか。キレもあるんだしよ」

 

「何で豪快なのにキレがあるのか不思議でたまらんが、とにかくお前はもっと戦いにおいてもっと細かい部分を学ぶべきだ。相手の出方を見切ったり、受け止めるのではなく受け流す、ジャブとストレート。多くあるからな」

 

「ヘイヘ―――」

 

「あん?」

 

「イエッサー!」

 

「ったく……。で、剣誠だが……その不幸をどうにかしろ」

 

「してぇよ! 滅茶苦茶してぇよ! でも出来ないんだよ! この右手がある限り!」

 

 

 剣誠は手袋をした右手を見せながら訴えた。目には涙まで浮かべている。

 

 

「それさえどうにかしたらな~……………消すか?」

 

「消さねぇよ! 消してたまるかってんだ!」

 

「んで、神楽は……」

 

「あれ? スルーぶふっ!?」

 

 

 剣誠がイヴァに訴えようとすると、神楽が剣誠の顔面を殴り飛ばしてイヴァの前に出た。

 恐らく邪魔されたくなかったのだろう。哀れ、剣誠。

 

 

「お前はもうちょっと能力を生かして敵を撹乱すべきだ。自身を含めて触れた物を大きさによるが何でも転移させるんだから、頭を使え」

 

「は~い!」

 

「うっし、あとは各自で特訓しろ。ペアを組んでやるのも良し、個人でやるのも良し。どうしても分からなければ聞きに来い。明日は特訓の成果を見せてもらうからな」

 

 

 イヴァはそう言い終えると、縁側に腰を下ろして何時の間にか隣に現れたエスティからお茶を受け取る。お茶を啜り、子供達の特訓を見守る。父親としてこれは幸せ者なのだろう。

 

 

「パパー!」

 

 

 自慢の嫁と、自慢の娘も居ることだし。

 イヴァは屋敷の中から出てきたミリィを抱き止めて膝に座らせる。ミリィの後ろからはヴォルケンリッター達がやって来た。

 

 

「んれ? リインは?」

 

「PTAの会議だと言っていました」

 

「ああ、そう言えばそうだったな」

 

「……イヴァ、そのだな……」

 

 

 シグナムが落ち着きの無い様子でチラチラとイヴァを見ながら話しかけた。

 イヴァはそれを見て察したのか、笑って刀を出した。

 

 

「別に良いぞ。子供達の特訓が終わるまでの間、相手になってやる」

 

「感謝します!」

 

 

 シグナムは目を輝かせて剣のデバイスである『レヴァンティン』を構える。

 その姿はまるで父に相手をしてもらって嬉しそうな子供のようだった。

 

 

「うわ、でたよ。シグナムの子供化」

 

「シグナムったらもう、大人げないんだから」

 

「……輝いてるな」

 

 

 ヴィータはイヴァの代わりにミリィの相手をしながらシグナムを呆れた表情で見て、シャマルは苦笑し、ザフィーラは狼の姿でその光景を冷静に見ていた。

 

 

「むぅむぅむぅ! シグナムがパパ盗ったです~!」

 

「えっと、ミリィちゃん? シグナムさんは別にそんなつもりは……」

 

「そ、そうだよ。今は訓練の時間だからお兄ちゃんもそっちを優先しただけだから、ね?」

 

「むぅ~!」

 

 

 なのはとフェイトがミリィを宥めようとしたが、ミリィはプクーと膨れて二人を涙目で睨み上げる。それになのはは心にくるものがあり、胸を押さえた。

 

 

「フェイトちゃん……何だろう、この気持ち。今すぐお持ち帰りしたい……」

 

「落ち着いてなのは。そんな事したらお兄ちゃんに殺されちゃうよ?」

 

 

 そう言うフェイトも拳をしっかりと握って何かに耐えていた。きっとなのはと同じ気持ちなのだろう。だが、次のミリィの一言でその気持ちは失せた。

 

 

「ミリィはパパと一緒にいたいです! フェイト“叔母ちゃん”だってずっと一緒にいたです!」

 

「っ―――!!!」

 

「お、落ち着いてフェイトちゃん!!」

 

「そうだ落ち着けフェイト!」

 

「早まっちゃ駄目よ!」

 

「いかん! バルディッシュを離せ!」

 

 

 なのはとシグナム以外のヴォルケンリッター達に羽交い絞めされながら、フェイトはバルディッシュをザンバーフォームにしてミリィに鉄槌を落とそうとしていた。

 ミリィはイヴァとリインの娘。フェイトはイヴァの妹的な存在。つまり、フェイトはミリィの叔母に当たり、家族構成をしったミリィがフェイトの事を叔母ちゃんと呼んでしまった。

 若干十三歳の女の子に叔母ちゃんという呼ばれ方はご法度。フェイトはそれをとてもとても嫌う。例えミリィであったとしても、教育的指導としてバルディッシュを振り下ろしてしまう。

 因みにそうなると、蓮夜、剣誠、神楽、蓮夜に嫁入りする予定のはやてにとってもフェイトは叔母ちゃんになってしまうのだが、バルディッシュの餌食になりたくないので誰も口にはしない。

 

 

「ミリィちゃん、フェイトお姉ちゃんだからね!?」

 

「プイ、です!」

 

 

 

 

 とある世界の町。そこは緑豊かな森に囲まれ、そこから恩恵を受けて不自由なく人々が暮らしていた。

 しかし、その町は今、赤く染まっていた。逃げ惑う人々たち、怪我をして動けないでいる者達、泣き叫ぶ子供達。そんな彼らを襲うのは巨大な魔法生物達。四本足で地面を蹴り、頭にある巨大な角で家々を破壊し、巨大な口には巨大な牙があり、それで人々を喰らう。

 

 

『ガアアアアッ!!』

 

「――――!」

 

 

 その魔法生物の一体に、一つの黒い影が襲い掛かり、魔法生物の角を斬りおとした。

 

 

「――――!」

 

 

 更に魔法生物の周りに無数の紫色の魔力剣を展開して魔法生物を串刺しにする。

 

 

『グギャアアアアア!!!』

 

「――――!?」

 

 

 影は別の魔法生物の前に、一人の子供が恐らく母親であったであろう肉の塊にしがみ付いて動かないでいるのを見つけた。このままでは子供は魔法生物の餌食になってしまう。

 影はその場から消え、子供と魔法生物の間に現れる。影は斬撃を放ち、魔法生物を両断した。が、影の横から無数の光の矢が飛来し、影は攻撃を繰り出した直後であったが故に反応しきれず直撃してしまい、大きく吹き飛ばされた。しかしすぐさま地面に着地し、未だ襲い来る矢を避けながら子供に駆け寄り、子供を包み込むようにして守った。

 矢は影に触れる前に掻き消されていくが、ほんのいくつかは影に直撃していき、最後には影は光の矢で埋め尽くされた。

 

 

「――――!!」

 

 

 しかし影は動き出し、矢が飛来して来た方向に無数の剣を射出してその隙に子供ごと姿を消した。後に残ったのは破壊しつくされた町と、何体もの魔法生物の死骸だけだった。

 

 

 

 

「………」

 

 

 この日の晩、プレシアは食器を片付けていた。

 娘のフェイトは今は部屋で勉強中。時間的にもう直ぐ寝る時間になり、お休みの挨拶をしてくるはずだ。自分も片付けが終わればすぐに眠るつもりである。

 

 

「……?」

 

 

 プレシアはベランダの方から赤黒い光が漏れ出しているのに気がつき、すぐにそれが魔力光だと理解する。その瞬間デバイスである杖を展開し、何時でも魔法を放てる準備をした。

 しかし、すぐにその魔力の反応が自分の知る人のものであると気がつき、警戒は解かないで窓のカーテンを開いた。

 

 

「なっ……!?」

 

 

 ベランダには珍しく焦っている表情をしたエスティと、ぐったりしてベランダの足元を血で真っ赤に染め、エスティに抱えられているイヴァがいた。プレシアはすぐに窓を開けて二人を中に入れる。

 

 

「一体何が―――」

 

「しっ……」

 

 

 プレシアが大きな声を出そうとした時、エスティがプレシアの口を塞いで声を出すなと目で訴える。プレシアが頷くとエスティは手を退かしてイヴァを床に寝かせた。

 

 

「何があったの?」

 

 

 プレシアは小声でエスティに尋ねた。

 

 

「それはあとで話します。今はイヴァの治療が先です。プレシア、貴女は治癒魔法が使えますか?」

 

「ええ。そこまで大掛かりな魔法はもっていないけど」

 

「それで十分です。ある程度まで回復させれば、あとはイヴァが勝手に治します」

 

 

 プレシアはイヴァの服を脱がし、怪我をしている箇所、主に背中に治癒魔法をかけた。

 傷はある程度まで癒されていき、ある程度を過ぎると急速に傷が『消えていった』。

 

 

「さ、これで話してもらえるかしら?」

 

「………良いでしょう。しかし、誰にも教えてはなりません。これは貴女だからこそ教えれるのですから」

 

「いいわ」

 

 

 目覚めないイヴァをソファーに寝かせて、エスティはプレシアに事の成り行きを教えた。

 

 

十三騎士団(サーティンナイツ)というのをご存知ですか?」

 

「確か、聖王協会に所属する騎士の中で最も実力のある十三人の騎士のことよね?」

 

「ええ。プレシア、貴女はイヴァの肩書きをご存知ですか?」

 

「肩書き? どうしてそんなもの………まさか」

 

 

 エスティは静かに頷き、イヴァの肩書きを述べた。

 

 

「『無と孤独を司る悪魔』、『何でも屋エリス店長』、そして……『十三騎士団ナンバー13(サーティーン)』イヴァシリア・ムトス・エラフィクス。イヴァは十三騎士団の一員であり、そのナンバー13」

 

「待ちなさい。イヴァが聖王協会に属しているの?」

 

「書類上は。何故、イヴァが今まで管理局に協力していたのか、分かりますか?」

 

 

 プレシアの件、闇の書の件、最近起きた大きな事件にイヴァは関わっている。管理局側として。

 

 

「……何かあるのね」

 

「はい。……イヴァは悪魔となった自分を受け入れる時、ある誓いを立てました」

 

「誓い?」

 

「『未来永劫、イヴァシリア・ムトス・エラフィクスはユーフェルナル・フォン・メネラテスを守り抜く』」

 

「「っ!?」」

 

 

 答えたのはエスティではなく、目覚めたイヴァだった。

 イヴァはソファーから起き上がり、立ち上がろうとしたがふらついて立てなかった。

 

 

「まだ駄目よ。治ったのは怪我だけで血が足りてないのよ」

 

「……そうか」

 

 

 イヴァはソファーに身体を預け、ぐったりとした。そこにプレシアが近寄り、デバイスである杖をイヴァの首下に突きつける。

 

 

「……何のつもりだ?」

 

「貴方が隠している事、全て話しなさい。さもないと、死よりキツイめに遭わせるわよ」

 

「………駄目だ」

 

「私は知る権利があるの。エスティから貰ったわ。その怪我を治したからね。それに、もしこれでフェイトに危害が及ぶような事があれば……」

 

 

 プレシアはデバイスを握り締める力を強めた。いまにもイヴァの首を刎ねてしまいそうだ。しかしそれでもイヴァは頑なに口を閉じて言おうとしなかった。

 

 

「………もういいわ。だけどこれだけは言っておくわ。もう二度とフェイトに近付かないで。あの子を必要以上に危険な目に遭わすわけにはいけないのよ」

 

「っ、プレシア、それは……!」

 

「いや、良い。寧ろちょうど良かった」

 

「イヴァ……」

 

 

 イヴァはベランダの窓を開けて外に出た。

 

 

「悪い、プレシア。それと、怪我治してくれてありがとな」

 

「………」

 

「……行くぞ、エスティ」

 

 

 イヴァはその場から消えた。エスティもプレシアに一礼をしてから消えた。それから入れ替わるようにしてフェイトがリビングに入ってきた。

 

 

「あれ? お兄ちゃんが来てなかった? 声が聞こえた気がしたんだけど……」

 

「……通信よ。少し話しがあったの」

 

「そう……。それじゃあ、私もう寝るね。おやすみなさい」

 

「ええ、おやすみ」

 

 

 フェイトは部屋に戻った。プレシアはソファーに腰掛けて一息ついた。

 

 

「……貴方は何を考えているの……?」

 

 

 

 

「………」

 

 

 夜中。イヴァは皆が寝静まっている時間に帰ってきた。エスティはそのまま部屋に戻り休んだ。イヴァもリインとミリィが寝ている寝室に静かに入る。寝巻きに着替えてからイヴァは寝ているリインとミリィを見た。

 

 

「………」

 

 

 抱き合って寝ている姿にイヴァはふっと笑みを浮かべて二人の頭を撫でる。

 

 

「……絶対守ってやるからな……今度こそ……絶対に……」

 

 

 悪魔の物語が始まろうとしていた。否、もう既に始まっている。

 その物語の行き着く先にあるモノは一体……。

 

 

 

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