さて、ここからが本番。吉と出るか凶と出るか、それともカオスが出るか。
タグで出してる通り、他の原作作品から色々なキャラが出てきます。
知ってる人がいたら幸いです。
最近、イヴァの様子がおかしい。リインがそう思うようになったのは秋になる頃だ。地球ではなくミッドチルダでの仕事が多いのか、ずっと向うの世界に行っている。そして帰ってくるのも遅い。普段なら日付が変わる前には絶対に帰ってきていた。なのに今は朝になっても帰ってこないことが多い。それに元気がない気がしてならない。一度リインはイヴァに何かあったのか尋ねたが、はぐらかされて結局何も聞けなかった。
「では蓮夜、頼むぞ」
「ああ」
そこでリインは管理局の仕事でミッドチルダに行く蓮夜とはやてに、ミッドでのイヴァの行動を調べてもらう事にした。子供達もイヴァの様子のおかしさに疑問を持っており、迷い無く引き受けた。
「私はリンディに聞いてくるから」
「気をつけろよ。アイツ、ぜってー何か取引してくっから」
「何言ってんの。リンディさんがそんなことするはずが………あるかもしれんな」
蓮夜のリンディに対しての認識を訂正しようとしたはやても、そこは同意しざるを得なかった。あの悪魔のような女性、イヴァを扱き使う悪魔。何があってもおかしくは無い。
「大丈夫だ。あの人はそんな事はしない」
「だと良いけどよ。んじゃ、行ってくる」
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
二人を見送ったあと、リンディはヴォルケンリッター達にミリィの面倒を頼んで、シグナムと一緒にリンディの下へと訪ねることにした。
何故シグナムと一緒なのか。それはシグナムが一緒に行くと言いだし、リインが別段断る理由も無かったので承諾したからだ。二人はリンディが住んでいるマンションに到着し、インターフォンを押した。
『は~い』
ドアが開き、リンディの顔が出てきた。
「あら、どうしたのかしら?」
「突然すみません。少し、イヴァの事で相談が……」
「まぁ……。良いわよ、どうぞ入って」
「お邪魔します」
二人は中に入り、リンディが二人にお茶を出した。
「ごめんなさいね、こんなものしか出せなくて」
「いえ、私達が何の連絡もなしに来たのですから」
「ええ。気を使わないでください」
「ありがとう。それで、どんな相談かしら? 彼が浮気したとか?」
「………」
「ちょ、まさか本当に……!?」
リインとシグナムの雰囲気でただ事ではないと感じ取ったリンディは、普段の明るい雰囲気から真剣な表情に変わった。
「実は……最近イヴァの様子が変なのです」
「変……。それはどんな風に?」
「帰りが遅いんです。普段なら日付が変わる前には帰っていたのに、今では朝になっても帰ってこない時が多くて……。それで一度聞いたのですが、はぐらかされてしまい……」
「それに、どうも元気が無いようなのです。イヴァならば、どんな仕事でも疲れなどを見せずに済ましてしまわれる。なのに家に帰るなり倒れるようにして眠りについてしまわれる」
「そう……」
「それで、少し尋ねたい事が……」
「何かしら?」
「イヴァはミッドの方で仕事があるとだけ言っていました。リンディは今でも本局で働いていますし、何か知りませんか?」
「う~んそうね~……」
リンディは腕を組んでイヴァに関する情報を頭の中から引き出そうとするが、結局何も出なかった。
「ごめんなさい、何も分からないわ」
「そう、ですか……」
「……本当ですか?」
「え?」
シグナムがリンディの眼を見つめた。何かを確信しているような、そんな眼でだ。
「シグナム、何を……?」
「どういうことかしら?」
「私はこれでもヴォルケンリッターの将であり、我が主、八神はやてを守るべく日々を過ごしている。つまり常に周りに気を張っている。故に今回の件、気付かぬはずが無い」
「………」
「イヴァの様子が変だと感じた私は、その日からイヴァの周辺を調べていた。まあ、大々的に出来なかったから時間が掛かったが……。それでもやっと私はある情報を掴んだ」
と、シグナムは全員に見えるように画面を空中に展開した。それは何かの通信記録だった。その記録を見た瞬間、リンディは顔を強張らせた。
「これが何か、分かりますか?」
「………」
「シグナム、これは……」
「すまない、リインフォース。隠すつもりは無かったのだが、言うタイミングを見つけられなかった」
「いや、それは……」
「……これを、一体どこで?」
「イヴァが寝ている間に、イヴァの通信端末からデータを抜き取った。デバイスではなかったからな、簡単に出来た」
映し出された通信記録。それはイヴァとリンディの、仕事のやり取りの記録だった。その仕事の内容とは……。
「第一級危険生物の掃討、次元犯罪者の抹殺、戦争地域への武力介入、大犯罪組織の壊滅、その他諸々……。何ですか、この危険極まりない内容は?」
「ど、どういうことですか、これは!?」
「そ、それは……」
二人はリンディに詰め寄った。リンディは珍しく焦り、どう説明しようか考え出した。しかし、どう説明しようと恐らく納得しないだろう。現にシグナムはリンディを敵意向き出しの眼で睨み、リインもリンディを怒った眼で見ていた。
「答えぬと言うのならば……」
シグナムの両手に紫色の魔力剣が出現し、リンディの首に当てる。これはイヴァの技であるが、イヴァから教わり使用できるようになったものである。イヴァのようにいくつも展開して放つことは出来ないが、こうやってデバイスが無い状態でも扱えるようにはできる。
「力ずくで答えてもらうが」
「……貴女はまだ闇の書事件の刑があるのよ?」
「我らにとってイヴァは主はやてと同等の価値がある! 何もせずにおれるか!」
「シグナム! 落ち着け!」
「落ち着いていられるものか! このままではイヴァに何があってもおかしくはないのだぞ!」
「そんな事は分かっている! だが今以上に立場を悪くしては助けようにも助けられない!」
「……くっ!」
シグナムはリインの説得により剣を消してリンディを睨むだけにした。リインはシグナムが武器を収めるのを確認してからリンディに改めて問う。
「リンディ、答えて欲しい。イヴァは何故このような危険な事をしている? そして何故、貴女がイヴァに依頼している?」
「………」
リンディが答えるかどうか迷っている時、リンディに通信が入った。
「………出ても良いかしら?」
「構わない」
「ありがとう」
リンディは通信を開いた。
★
蓮夜、はやて、フェイト、なのははミッドチルダで仕事をしながらイヴァの事について調べていた。だが何も情報を得られず、今はちょうど全員本局に用事があったので、そこの休憩室で集まっている。
「何で何にもあらへんの~!? 一つぐらい出て来てもええやろ!?」
「はやてちゃん、大きな声ださないで。周りに迷惑だよ」
「チクショウ……もしかして親父って嫌われてんのか?」
「そ、そんな事ないと思うよ?」
蓮夜とはやては情報が見つからないことに苛立ち、なのははそんな二人を宥める。そんな中フェイトはずっと何かを考えていた。そして何か思いついたのか口を開く。
「ねぇ、皆」
「あん?」
「私達さ、荒削りだけど、ミッドチルダのほぼ全域を調べたよね?」
「そやで」
「でも何にも出なかったね」
「そこだよ」
「ふぇ?」
フェイトはなのはの発言を指摘した。
「何も出なかった。これが最大のヒントじゃないかな?」
「どういうことだ?」
「……お兄ちゃんはミッドで仕事なんかしていなかった。もしくは誰にも見つからないようにしていた」
「……ちょい待ちいな。お義父さんが仕事してない? そんなワケあるかいな。せやったらお義母さんから離れへんで?」
「でも、お兄ちゃんはミッドに仕事に行くって言っていた。でもミッドで姿を見た人はいない」
「……なるほど。だったらこの世界に来ていないか、誰にも見つからないような仕事をしていたか。確かに、的を得てるな」
「で、でもどうして? 皆に嘘をついてまですることって何?」
イヴァのあの様子からしてサプライズとは言い難い。何かとてつもない事を隠している。そんな気になってきて不安になっていく四人。そんな時、はやてに通信が入った。相手はクロノだった。
『はやて、他の皆はそこにいるかい?』
「おるけど、どないしたん?」
『すぐに僕の部屋に来て欲しい』
「何なんだよ?」
『……来たら話す』
クロノは通信を切り、四人は不思議に思いながらクロノ部屋へと向かう。クロノの部屋に到着すると、中にはクロノ以外にも、一人の女性ともう一人の男性がいた。長い金髪で修道女のような格好をした女性。暗い茶髪で紺色のジャケットとズボンを着た若い男性。
「来たか。挨拶は無しで良い。座ってくれ」
四人は言われるまま女性の向かい側に座った。
「あの、クロノ提督。今日はどう言った用件で?」
クロノは提督になっており、管理局の上の立場になっている。はやてはこの部屋の異様な雰囲気に飲まれないようにクロノに尋ねた。
「その前に彼女を紹介しておく。彼女は聖王協会の騎士で……」
「初めまして、カリム・グラシアと申します。はやてさんとはお久しぶりね」
「はい、お久しぶりです」
「初めまして。高町なのは二等空尉であります!」
「フェイト・テスタロッサ二等空尉であります!」
「蓮夜・K・エラフィクス二等空尉であります」
三人は敬礼する。蓮夜はイヴァに組織に入るならば敬語は必須と叩き込まれたので、嫌々敬語で話している。するとカリムと後ろにいた男性が蓮夜の名前に反応する。
「エラフィクス? すると君はイヴァの……?」
「義理の息子です。 ってか誰ですか?」
「失礼。俺は“レオン・S・ケネディ一等陸佐”だ。聖王協会に所属している騎士で、イヴァの友人だ」
「お義父さんの?」
「………」
蓮夜はレオンを警戒していた。何故ならこの男は蓮夜が転生する前の世界で、あるゲームに出ていたキャラクターであるからだ。つまりこの男も転生者である可能性が高い。
蓮夜は嘗てのように自分が主人公だとかそんな事は考えてはいない。今はただ手に入れたこの幸せを壊されないように守ろうとしている。だから嘗ての自分のような転生者ならば、蓮夜は行動に出る。
「……本題に入ろうか」
『………』
クロノは蓮夜達の前にある画面を見せた。それは―――。
★
同時刻、リンディ宅。
リインとシグナムは驚愕の表情で染まっていた。リンディに入った通信。それは管理局からのある命令だった。それは―――。
「どう……して……!?」
「あり得ん……あり得ん!」
「っ………」
リンディは命令書を見つめながら唇を噛んだ。
「そんな……嘘です! 嘘と言ってください!」
「嘘に決まっている! 何だこれは!?」
「……!」
リンディは立ち上がり、至極真剣な顔で言い放った。
「これより私は、『イヴァシリア・ムトス・エラフィクスの管理役』として、作戦を実行します」
通信を繋ぎ、リンディは命令を下す。
「『ダモクレス全クルーに命じます。これより私達は処理作戦を実行。イヴァシリア・ムトス・エラフィクスの抹殺を開始します!』」
「貴様ぁ!!」
シグナムはリンディに飛び掛ったが、音も無く現れた大男によって抑え付けられた。
「ふっはっはっは! 活きの良い女よ!」
「くっ! 離せ!」
「シグナム!」
「動くな」
リインフォースの後ろに黒い衣を纏った男が現れ、リインフォースに短剣を突きつけた。
「二人をダモクレスに連行しなさい。“オーガス”、他の者達は?」
「今頃、突入して取り押さえているだろう。なぁに、向うには“ミュリオン”がいるが“ヤシャ”がいるから安心じゃい」
「っ!? まさか……!?」
「お前達……私達の家族に……私の娘に……!!」
「……!」
リインが魔力を溢れさした瞬間、後ろにいた男がリインに手刀を放ち、気絶させた。
「リインフォース!」
「お主も寝ておれ」
「ぐっ―――」
シグナムも気絶させられ、大男に担がれた。
「……行きましょう。早くしないと彼に逃げられるわ」
リンディは全員を引き連れてその場から転移した。
★
「何でや!? 何でお義父さんが殺されなあかんの!?」
「こんなのおかしいよ! お兄ちゃんは何もしてない!」
「イヴァさんが何したの!?」
「ふざけんなよ! おいクロノ! 説明しやがれ!」
四人もイヴァの抹殺の事を知り、クロノに詰め寄る。
「僕だって知りたいさ! 何でイヴァさんがこんな事にならなくちゃいけないんだって! でも命令が降りたんだよ! だから僕はこうして君達に知らせたんだ!」
「俺達に親父を殺せってか!?」
「違う! 君達はイヴァさんの家族だからだ!」
「カリム! 何でや!? 何でお義父さんが!」
はやてはカリムに説明を請うたが、カリムは至って冷静に答えた。
「彼は聖王協会、そして管理局に反逆したからです」
「反……逆……? お兄ちゃんは管理局に属してなんかない!」
「一般的に知られてませんから。執務官になりたての貴女では知る術はありませんしね」
「どういうことや、カリム? 何で……」
「彼とはある盟約を結んでいるのです。彼が聖王協会と管理局に極秘裏に所属する代わりに、ある二つの条件を呑んでいるのです」
「二つの……条件?」
「一つ。ユーフェルナル・フォン・メネラテスの安全。二つ。エラフィクスに連なる者達の安全」
「ユーフェルナル? 誰だよ、それ?」
「第一級危険生物……といったら彼の怒りを買うわね。そうね、貴方達の世界で言うならば、ヴァンパイア、吸血鬼、真祖というところかしら?」
「真祖だ!?」
「そう。それに、イヴァシリアの“幼馴染”でもあるの」
ワケが分からない。四人は、いやクロノを合わせて五人はカリムの言っている事が分からなかった。いや、カリムという女性が何者なのか分からなくなってきた。はやての知る普段のカリムは温厚でお淑やかな女性だが、今目の前にいるのは冷酷な女性だった。
「二つ目のは貴女達の事よ」」
「ど、どうして……?」
「イヴァシリアは危険極まりない人物……いえ、悪魔よ。一人で世界そのものを消せる力を持つの」
「ざけんな! イヴァシリアは聖王を導いた伝説の悪魔なんだろうが!」
「だとしても、その力は強大すぎるわ。だから手綱が欲しかったの」
「………つまり、人質」
フェイトがそう言った。
「ええ。管理局のトップがそう命令したの。だから、イヴァシリアに関係する者達は皆、イヴァシリアの行動しだいだったのよ」
「か、カリムは知ってたんやな……? 私達が人質やって事……」
「いいえ。私は彼が私の部下にいた事すら知りませんでした。知ったのはつい先日。この命令が公にされる直前でした。先ほどの事も全て知ったことを教えただけです」
「……本当だろうな?」
「ええ」
「もし嘘を付いてたら……」
蓮夜は紅蓮を出してカリムに突きつけた。しかしその前にレオンが銃で紅蓮の刃を受け止めた。
「疑うのは無理も無い。だがどうか信じて欲しい。彼女は本当に何も知らなかった」
「ケッ! テメェが言うと益々信じられねぇな! 俺と同じなんだろう!? 」
「……? 何を言ってるんだ?」
「しらばっくれんな!」
「やめぇや!!」
はやての怒号が響き、蓮夜は刃を収めた。
「今はそんな事どうだってええ! 分かっとるのは一つや! お義父さんの命が危ないって事や! やったらやる事は一つ!」
「うん。お兄ちゃんを助けに行く!」
「間違ってるよ、こんな事!」
「だが、もしそれをすれば君達は犯罪者として扱われるかもしれない」
「父親を見捨てる方が犯罪や! 私達は行くで!」
「……なら僕も協力しよう」
「ホンマか!?」
「だけど、あまり期待はしないでくれ。精々アースラを動かすぐらいしかできない」
「それだけで十分や!」
「……レオン」
「分かった」
レオンがはやて達の前に出た。
「俺も一緒に行こう。イヴァは俺の友人で恩人だ。この世界に流れ着いて拾ってくれなければ俺は野たれ死んでいただろうしな」
「……良いぜ。けど、もし変な真似でもしてみろ。その首切り落とすからな」
「ああ。大丈夫だ。だが気をつけろ。恐らくこの作戦には『十三騎士団』の何人かが参加している。カリムの命令無しにだ。多分、独断で動いている」
「『十三騎士団』やて!? えらいモンが来たなぁ……」
「だが此方にも二人つくさ」
「二人? 誰や?」
レオンは胸にしている剣を模したバッジを見せた。するとはやて達は表情が固まった。
「俺は『十三騎士団のナンバー9』だ。もう一人はナンバー8の……アスラさ」
今、戦いの幕が開いた。どんな未来が待ち受けるかは、誰も知らない。
やっちゃった? やっちゃったかな? でも良いんだ。面白ければ!