何でも屋エリスでございます   作:魔帝

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遅くなってしまった。メリークリスマス。

リアルが忙しい……!!


最終章第二話

 

 

 

 巡行艦アースラは次元世界『アイセシア』に到着した。はやてを始め、蓮夜、なのは、フェイトの四人はアースラを降りて現地調査を行なう事にした。

 

 

「なんや、この感じ……」

 

「……結界、か?」

 

「でも、簡単に入れたよね?」

 

「……入れても出れない結界……。しかも広範囲、ううん、この世界を覆ってる?」

 

 

 フェイトは尋常ではない広さの結界に驚き、皆は辺りを警戒する。

 

 

「お義父さんの『ゼロ』やったら結界なんか消して出ていくんやろうやけど、まだ結界を張ってるっていうことは、この世界におるって事やな」

 

「だろうな。ワケあって出られねぇのか、ただ出てねぇだけなのかは分からねぇが、この世界にはまだいるだろうな」

 

「ええか。お義父さんが此処におるっちゅう事は、お義父さんを追ってきとる奴らもおるっちゅう事や」

 

「つまり、そいつらと鉢合わせしたら即刻戦闘開始ってワケか」

 

「それは最終手段や。先ずはお話や」

 

「……任せたぞ、なのは」

 

「ふにゃ!? 何で私なの!?」

 

「得意だろ?」

 

「そうなの!?」

 

「お兄ちゃんを見つけたらどうするの?」

 

「え、スルーなの!?」

 

 

 なのはの訴えをスルーして話を進める。お話と言えばなのはという暗黙の了解が世間一般に広まっているようだ。

 

 

「先ずは何でこんな事になったんか知る。それ次第で行動する」

 

 

 ジャケットを展開して行動を開始しようとした時、アースラにまだ残っているレオンから通信が入った。

 

 

『皆、聞いてくれ』

 

「んだよ?」

 

「蓮夜君!……何ですか?」

 

 

 『十三騎士団』であるレオンに対し失礼な態度をとった蓮夜に肘打ちをしてはやてが尋ねる。

 

 

『イヴァの居場所が分かった』

 

『へ?』

 

 

 これから探しに行こうとしていたのに、レオンはもう既に見つけてしまったようだ。

 

 

「な、何で分かったんですか!?」

 

『イヴァも十三騎士団の一員だ。このバッジには発信機の様な機能がついていて、これを付けていれば居場所が分かるんだ。ただ、結界の影響か少しばかり時間が掛かったが』

 

「そ、そうですか。何にせよ、ありがとうございます!」

 

『それから、もうこの世界にアスラが来ている様だ。白髪の大男だからすぐに分かると思う。俺も後から追うから君達は先に行っててくれ』

 

「了解です!」

 

 

 レオンからイヴァの居場所が記された地図を送信され、それを頼りにはやて達は空を飛んで向かう。吹雪の中を進むのは視界が悪く困難だが、イヴァの訓練のおかげでこれぐらいなら意図も簡単に突破できる。―――だから四人は目の前に多くの魔導師達がデバイスをこちらに向けて構えているのが目視できた。

 

 

「なっ!? 全員シールドを張れ!」

 

 

 蓮夜が叫んだ瞬間、魔導師たちから魔力弾の嵐が放たれる。蓮夜はベクトル操作で魔力弾を弾き、はやて達はシールドを展開してやり過ごした。

 

 

「おい! 俺達は管理局の―――」

 

「蓮夜・K・エラフィクスと八神はやて、フェイト・テスタロッサと高町なのはだな!」

 

 

 向うの指揮官らしき人が大声で叫んでくる。

 

 

「そうだ! 俺達は敵じゃない!」

 

「悪いがイヴァシリアの関係者は全て我らの敵と見なす! よってここで死んでもらう!」

 

「っ――ああ、そうかよ!」

 

「問答無用って事かいな!」

 

「どうするの!?」

 

「殺さないように、気絶させるしか……」

 

「んな甘ぇ事言えるほど、向うは甘くねぇ! 殺す気でやらねぇと死ぬぞ!」

 

『術式解放、第四の門を展開します』

 

 

 蓮夜は紅蓮の刃を散らせて自身の周りに纏わす。

 

 

「しゃーない! 皆、本気でやり! そやないと私らが死ぬで!」

 

「……わかった!」

 

「お兄ちゃんを助ける為だもん!」

 

「行くぞ!」

 

 

 蓮夜達は父の為に魔導師へと突撃して行った。

 

 

 

 

 アイセシアの何処かの洞窟の中。そこにイヴァとユーフェルナルの姿はあった。

 イヴァは焚火を熾し、ユーフェルナルを焚火の近くに寄せた。

 

 

「此処で少し休んでろ」

 

「それは此方の台詞だ。お前、私を背負ってずっと戦ってただろ。お前こそ休め」

 

「この結界を消す方法を探さないといけない。俺の『ゼロ』で消そうとしても時間がかかって、その間に奴さんがやってくる。この結界を一時的にでも消すか、弱める事ができれば良いんだが……どんだけ強力なんだ。正直、侮ってた」

 

「ミラとネロとガルドもまだ帰ってきてないし……あの三人がいれば少しは力になるんだが……」

 

「……力にはしたくないんだろ?」

 

「……そうだ。また造り直すのに手間が掛かる」

 

「だったら造らなければ良いのに」

 

「………」

 

「……悪い、失言だったな」

 

 

 イヴァは刀を出してユーフェルナルの横に置く。

 

 

「もし何かあればこれでも使え。鞘から抜けば一時的に強力な結界が展開されるように仕掛けた。俺が来るまで持ちこたえるだろう」

 

「……何処かに行くのか?」

 

「……ちょっと、挨拶にな」

 

 

 

 

 ダモクレスにある牢屋。そこにシグナム達は放り込まれている。リインは別室に厳重に拘束されているのだが、シグナム達は一箇所に集められている。

 

 

「チックショー! 出せ! 出しやがれ!」

 

 

 ヴィータが扉をガンガンを蹴って開けようとするが、まるでビクともしない。デバイスは勿論取り上げられており、手錠も付けられている。まだ子供であるミリィですら付けられている。苛立つヴィータにシグナムが落ち着くように言う。

 

 

「ヴィータ、煩いぞ。ミリィが怯えている」

 

「けどよ!」

 

「落ち着くのだ。今そうやって暴れても、今の我らには何も出来ない」

 

「魔法も使えないし、扉は頑丈。打つ手が無いわね」

 

「っ、クソッ!」

 

 

 ヴィータは悔しそうに床に座り込む。この部屋には何も無い。机も椅子も窓も。あるのは冷たい床と頑丈な扉だけ。

 

 

「シグナム……パパとママは……?」

 

「大丈夫だ。絶対に迎えに来る。だから安心して待っていろ」

 

「うぅ……」

 

 

 ミリィは狼形態のザフィーラにしがみ付き、震える身体を抑える。こんな小さな子供にここまで恐怖を与えさせようとは、これが管理局のやることなのか。シグナム達は管理局こそが悪に見えてきた。

 

 

「私達が信じてきた管理局は……間違っていたのだろうか」

 

 

 シグナムがそう呟く。それに返す言葉が聞こえた。

 

 

「そうでもないさ。こんな馬鹿な事をするのは三割程度だ」

 

「そうか………ん?」

 

「ん?」

 

 

 シグナムは固まった。何故ならばシグナムの隣にイヴァが立っていたからだ。管理局に命を狙われているイヴァが、ここにいるのだから。

 

 

「い、いいいいいイヴァ!?」

 

「パパ!」

 

「おおっと、ミリィ。もう安心だぞ」

 

「兄ちゃん!? どうやって……!」

 

「ん? 気配も魔力も存在感も『ゼロ』で消して普通に入ってきたぞ?」

 

 

 イヴァはミリィを抱き上げて頭を撫でた。ただ、手錠は消さなかった。

 

 

「さて、時間が無いから必要な事だけ伝えるわ」

 

 

 イヴァは笑みを消してシグナム達にある事を伝えた。

 

 

 

 

 ダモクレスのリンディの部屋。そこでリンディは今回の件の書類を纏めている。

 

 

「………」

 

 

 いつものお茶を飲もうと手を湯飲みに伸ばし―――。

 

 

「っ―――!」

 

 

 その手を後ろに向けたが、誰かの手によって掴まれた。

 

 

「よぉ、リンディ。仕事に精が出てるな」

 

「イヴァ……シリア……!」

 

 

 イヴァはリンディの手を力強く握り締めニヤリと笑った。

 リンディはそんなイヴァを睨むが、手に走る苦痛に顔を歪める。

 

 

「どうやって……くっ!」

 

「仮にも俺は伝説とまで謳われた悪魔だ。人間如きが敷いた監視体制など、造作も無い」

 

 

 リンディの両腕を椅子の後ろに回し、バインドで拘束し、更に椅子ごと身体をバインドで巻きつけた。

 

 

「ふむ……中々良い絵だ。我ながら上出来だな」

 

「くっ……!」

 

「このまま胸でも揉みまくってやろうか? 日頃の恨みがあるわけだし」

 

「殺すわよ?」

 

「おーおー、怖い怖い。ま、今の俺は指名手配犯だし? もう何してもこれ以上重い罪にならないしな~」

 

 

 そう言ってイヴァはリンディの顎を掴んでグイっと動かして目線を合わせた。

 

 

「っ……」

 

「……冗談だ。俺にはリインが居るし。ついでにエスティも」

 

「……そのエスティナルさんは何処かしら?」

 

「さあ? 何処でしょうねぇ?」

 

 

 イヴァは部屋に備え付けられているソファーに座り、脚を組んで楽な姿勢をとった。それから空中にディスプレイを投影して何かを操作し始める。

 

 

「送信っと。……さて、んじゃあ本題に入ろうか」

 

 

 紫色の魔力剣を数本リンディの周りに展開して待機させる。何時でも攻撃できるようにと脅しをかけているのだ。

 

 

「俺の質問に全て正直に答えろ。先ず一つ、この任務の目的は俺とユフィの命か?」

 

「……第一に貴方。それから可能ならば彼女も」

 

「そうか。ところで、この作戦に参戦している奴ら、見たところな~んか訳あり共ばかりなんだが?」

 

「この作戦に参加して貴方を討ち取った人には、今まで犯した罪を免除されるの」

 

「やっぱり……あいつら汚職やら何やらやってる奴らばっかりだったな」

 

「良く知ってるのね」

 

「調査したからな。そんで……十三騎士団は誰が参加していて何で参加している?」

 

「……オーガスは純粋に貴方と戦いたいから。夜叉はオーガスがやり過ぎないようにとミュリオンの監視。ミュリオンは貴方に恨みがあるようだし。ユーリは分からないわ」

 

「ミュリオンか……厄介だな」

 

 

 イヴァとミュリオンの仲は最悪である。ミュリオンは戦場ならば敵をどんな殺し方で殺しても構わない、自分以外の奴は家畜同然、自分の快楽の為ならばどんな事でも平然とする、自分に従わない奴らは皆殺し。更にイヴァに何か恨みでもあるのか出会えば即殺しにかかり、イヴァもミュリオンを本能的に嫌悪、否、殺意みたいなモノを抱いており、いつも殺し合いをしているのだ。更にミュリオンの能力は少々厄介で、イヴァの『ゼロ』でも決着が付かないのだ。

 

 

「その四人だけなのか?」

 

「ええ、そうよ」

 

「そうか……。それじゃあ、一つ取引といこうじゃないか」

 

 

 

 

 リインは手錠を填められて部屋に閉じ込められていた。シグナム達がいる牢獄とは違い、窓もありベッドもある。ただ壁や扉、窓などは魔法でこれでもかと言うぐらいに頑丈に造られている。リインはベッドに腰掛けて窓の外、吹雪で視界が悪いが景色を眺めていた。

 

 

「……イヴァ、これからどうすれば良いのですか……?」

 

「ん~、取り合えずこっち見て笑顔を見せてくれれば良いと思うぞ?」

 

「え……?」

 

「よっ」

 

 

 イヴァが壁に背を預けて立っていた。リインは驚き思わず立ち上がる。だが両手を後ろで交差して拘束されているため、バランスが取りにくくグラついて倒れようとする。

 

 

「おっと」

 

 

 だがイヴァが一瞬でリインに近付いて受け止める。

 

 

「大丈夫か?」

 

「イヴァ……良かった……無事で……!」

 

 

 リインはそのままイヴァの胸に顔を埋めて涙を流してイヴァの温もりを感じる。イヴァは笑みを浮かべてリインを抱きしめた。

 

 

「悪い、心配かけたかな?」

 

「当然です! 一体何があったのですか!? 何故イヴァが命を狙われないと……!」

 

「ん~、まぁ事情が色々とあるんだよ。だが安心しな! 俺は絶対に生きて帰ってやるさ!」

 

「当たり前です! 貴方が死ぬなんて絶対に許しません!」

 

「はは、こりゃあ絶対に帰らないとな」

 

 

 イヴァはリインの手錠を消して改めて抱きしめる。強く優しく、ぎゅっと抱きしめる。リインも両手が自由になった事でイヴァを抱きしめる。

 

 

「けどごめんな。まだ帰れそうに無いわ」

 

「……どうしてですか?」

 

「俺の幼馴染を助けなくちゃいけねぇんだわ。それにまだ時間がかかりそうなんだよ」

 

「……浮気は駄目ですよ?」

 

「大丈夫、俺の心はリインのモノだし、お前の心も俺のモノだ」

 

「イヴァ……」

 

 

 二人はそっと顔を近づけ、深い口付けを交わした。それだけで終わらず、イヴァはリインをベッドにそっと押し倒した。リインは少し驚いたが、すぐに眼を閉じて身を委ねる。イヴァはイヴァシリアという存在をリインフォースという存在に刻み込むように、激しく彼女を求める。リインもリインフォースという存在にイヴァシリアという存在を刻み込む為に、激しく彼を求める。

 

 

 

 

 アイセシアの洞窟。ユフィはジッと焚火を見つめていた。やがて足音が聞こえ、其方の方に顔を向けて口を開く。

 

 

「挨拶は済んだのか?」

 

「ああ……。済ませてきた、しっかりとな」

 

「……消えるなよ、私の前からは」

 

「……善処しよう」

 

 

 イヴァはユフィに預けた刀を受け取り、赤く燃える瞳で外を睨みつける。イヴァが見る視線の先には、大勢の魔導師達が進軍して来ていた。中には十三騎士団の面子も見える。

 

 

「もう逃げるのは止めだ。この世界を戦場にはしたくは無かったが、ここで全てを終わらせる」

 

 

 刀を抜いて洞窟の入り口に立つ。洞窟の入り口横にはミラ、ネロ、ガルドの姿もあった。

 

 

「この俺に……無と孤独の悪魔と最後の歌姫(ローレライ)に刃を向けたことを後悔させてやる」

 

 

 四人は駆ける。最後の戦いに、己の刃を突きつけたのだ。

 

 

 

 

「……本当に、良いのね?」

 

「構わない。それで我らが主を救えるのならば」

 

「そう……。良いでしょう。ではこれよりヴォルケンリッター一同は、イヴァシリア・ムトス・エラフィクスの討伐に参加していただきます」

 

 

 この時からだろうか。いや、イヴァとリインが初めて出逢った時からだろうか。家族の運命は……。

 

 

「……んん……イヴァ……」

 

「……ケハハ! そうだよなぁ……やっぱ自分が愛した女に殺された方が良いよなぁ! なぁ? 闇の書ぉ?」

 

「……っ!? 誰―――!?」

 

「染まっちまえよ……闇になぁ!」

 

 

 崩壊の道へと進むことになってしまったのは。

 

 

 

 

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