何でも屋エリスでございます   作:魔帝

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あけましておめでとうございます。ちょくちょくと時間を作って描いております。今年もよろしくお願いします!




最終章第三話

 

 

 

 蓮夜とはやて、なのはとフェイトは吹雪の中を猛スピードで飛んでいた。何故ならば、先程からイヴァが居るポイント付近で大規模な魔力反応が発生しているのだ。もしそれが戦闘によるものならば、イヴァがたった一人で戦っていると言う事だ。

 

 

「……ッ、アレか!」

 

 

 遠くの方で爆煙が上がっている。蓮夜達は急いでその場所へと向かった。

 

 

 

 

「くっ!」

 

 

 炎の魔剣を刀で受け流し、上へと飛ぶ。だがそこに鉄槌が振り下ろされる。

 

 

「ぐっ!」

 

 

 鞘で受け流すが、それで防御を崩されてしまい、そこに拳が入る。

 

 

「ごはっ!?」

 

 

 雪の地面に叩きつけられ、すぐさま緑色のバインドで空中に絡め取られる。

 

 

「飛龍―――」

 

「っ!? しまっ―――」

 

「一閃!」

 

 

 巨大な炎の斬撃がイヴァを呑み込み、焼き切っていく。

 

 

「ぐああああああっ!」

 

 

 焼き切られた後もバインドで空中に固定されている。

 

 

「お前、ら……」

 

「許せ。お前を捕らえれば我らが主の罪は消えるのだ。我らのせいで被る事になった罪が」

 

「はやての為なんだ、ごめん」

 

「ごめんなさい」

 

「……すまん」

 

「……いいさ。それが、お前ら騎士の意思なんだから」

 

 

 『ゼロ』を使用してバインドを消し、全身血だらけで立ち上がる。この状態では『ゼロ』の使用も満足にいかない。加えて“家族”が相手だと、イヴァは刃を向けることが出来ない。

 

 

「お願いです。投降してください」

 

「そうすれば命だけは……!」

 

「それは、無理な相談だな」

 

 

 シャマルとシグナムの声に耳を貸さず、魔力波を地面に叩き込んで雪の煙幕を作り、その場から一瞬で消える。

 

 

「シャマル!」

 

「ええ!」

 

 

 シャマルの索敵魔法でイヴァの追跡を行なうが、別の魔力反応を発見してしまった。

 

 

「え……はやてちゃん!?」

 

「何!?」

 

「はやてが!?」

 

「ぬぅ……」

 

 

 この戦いの事をはやては知らない。はやてがこの事を知れば、恐らく絶対に怒りだす。だから戦いに参加していると言う事を知られる訳にはいかない。

 

 

「――――はい」

 

 

 シグナムは誰かからの念話を受けて頷く。

 

 

「皆、これを使え」

 

 

 シグナムは三人に何かを渡した。それを弄り、黒い靄が展開される。それが四人を包み込み、全身を包み込む黒い騎士甲冑の姿になる。魔力も抑え込められ、これではやて達に姿はばれない。後は戦闘をせずに後退するだけだ。

 

 

「そこの奴ら! 止まりやがれ!」

 

 

 紅い刃が四人の前を斬り込み、四人の動きを止める。

 

 

「テメェらさっきまで親父と、イヴァシリアと戦ってたろ!」

 

「………」

 

 

 黒い騎士甲冑の姿をしたシグナムが首を横に振る。

 

 

「嘘付け! 親父の魔力反応がここら一体にあんだよ!」

 

 

 蓮夜が紅蓮を突きつける。だがはやてが手で制す。

 

 

「……なぁ、アンタら十三騎士団か?」

 

 

 また首を振って答える。

 

 

「じゃあ、その部下か?」

 

 

 一拍の間があって頷く。

 

 

「そうか……一つだけ言っとくで」

 

 

 はやては鋭い目付きで四人を睨みつける。それも明確な敵意と怒気を孕んだ目付きで。はやてがここまで怒ったのはこれが初めてだろう。その証拠にはやてを知る皆は、こんなはやての姿に驚きを隠せないで居た。

 

 

「私達の父親に手出してみ。誰やろうと消したるからな」

 

 

 明確な怒気に四人は無意識に頷いてしまった。ただ純粋に恐かったのだ。はやての怒りが。はやてはそのままイヴァを探しに行き、蓮夜たちもはての後を追いかけた。

 

 

「……はやて」

 

「今は我慢するのだ。これが終わればイヴァも……」

 

 

 シグナムは拳を血が出るまで強く握った。

 

 

 

 

 イヴァは魔導師たちの攻撃を潜り抜け、再び洞窟に戻ってユフィを背負い、空を駆けていた。

 

 

「はぁ…はぁ……!」

 

「おい……! もう限界じゃないのか!?」

 

「まだまだだ……! こんな程度で終わるかよ……!」

 

 

 イヴァは口から血を吐き出して拭った。吐血するということは普通は致命的だ。だがイヴァは仮にも悪魔。確かにこの程度では死なない。が、今は人間の身体。限界はとうに超えている。

 

 

「それに、あんな人形共に後れを取ってたまるかよ」

 

 

 イヴァは後ろを飛んで付いて来るミラ達を見てそう言う。ミラ達も怪我をしており、所々血で真っ赤に染まっていた。

 

 

「イヴァ……」

 

「それに約束しただろ。俺がずっとお前を守ってやるってな。ずっと大昔だが、俺は覚えてるぞ」

 

「……馬鹿者。だったらあんな女じゃなくて私と結婚すれば良かっただろう」

 

「残念。俺の初恋はリインで、これからもずっとアイツしか愛さないんだよ」

 

「……ばか」

 

 

 ユフィはイヴァの背中に顔を埋める。イヴァは笑みを零すが、すぐに引っ込めた。そして急停止してシールドを展開。すると巨大な岩がシールドにぶつかり、それを粉砕する。

 

 

「き、急に止まるな!」

 

「……どうやら、もう場所の移動は出来ないようだ」

 

「何……?」

 

「ワッハッハッハッハッハ! イヴァシリアよ! 猛り狂おうぞ!」

 

 

 オーガスがイヴァの目の前に恐らく跳躍で現れた。イヴァのいる場所は遥か上空。その高さを跳躍で跳んできたのだ。

 

 

「オーガス!」

 

 

 イヴァはオーガスの拳を蹴りで受け止め、そのまま激しい打ち合いを繰り広げる。イヴァは右足で、オーガスは両腕の拳で一秒間の間に十はぶつかり合っている。

 

 

「ぬん!」

 

「くっ!」

 

 

 オーガスの重い一撃が入り、勢いを殺せずイヴァは地面に叩き落される。ユフィを庇い背中から地面に落ちる。幸いにも下は雪なのでそこまでダメージは無かった。ユフィを展開したシールドの中に放り込み、イヴァは拳を構えた。

 

 

「オーガス! そんなに俺と戦いたいか!?」

 

「当然よ! 我は常に強者を求める! 故に貴殿を求む!」

 

「ならかかって来い! 二度とそんな口を利けないようにしてやる!」

 

「行くぞ行くぞ行くぞ!!」

 

 

 オーガスは一瞬でイヴァの目の前に現れ両拳をイヴァに叩き込む。しかしイヴァも拳でオーガスの拳を受け止め激しく打ち合う。

 

 

「そらっ!」

 

「がふっ――ぬぇい!」

 

「がはっ――はぁっ!」

 

 

 殴られては殴り返し、殴られては殴り返す。それを幾多も繰り返し、やがてイヴァの拳がオーガスの顔面に入る。

 

 

「はああああっ!」

 

「むぐぅ!」

 

 

 オーガスは後ろに吹き飛ぶ。しかしイヴァはまた一瞬でオーガスの前に現れ、オーガスの顔を掴んで地面に叩きつけ、地面に押し込んだまま走り、大きく投げ飛ばした。更にイヴァは地面を蹴り、吹き飛んだオーガスがちょうど後ろにあった岩壁に背中から減り込んだところに、両脚で全体重を乗せた強烈な飛び蹴りをオーガスに叩き込んだ。

 

 

「ぞらぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」

 

 

 大きな衝撃が起こり、オーガスはそのまま岩壁の中に押し込まれてしまった。

 

 

「はぁ…はぁ……! 何っ!?」

 

 

 イヴァは前方に『ゼロ』を展開し、オーガスが消えた崖の穴から襲ってきた金色の衝撃波を消す。そして崖が吹き飛び、現れたのはオーガスが後腰にぶら下げていた大太刀を抜いて天に切っ先を向けている姿であった。

 

 

「フハハハハハハハ!! やはり貴殿には全力でを持って挑まんといかんな!」

 

 

 オーガスは大太刀を振り下ろす。すると大地に金色の斬撃が走り、大地を両断する。

 

 

「なっ……!?」

 

「行くぞぉ! イヴァシリアァ!」

 

「貴様ぁ……! 俺の友の故郷を……!」

 

 

 イヴァは刀を出して抜いた。そして地面を駆け、オーガスの大太刀と打ち合いを始める。

 

 

「オーガス! 貴様、この世界を壊すつもりか!?」

 

「戦いに犠牲は付き物! それがこの世界と言うことだ!」

 

「ふざけるな! この世界は……俺にとってもう一つの故郷なんだよ!」

 

 

 オーガスの大太刀を弾き、オーガスの胴体に刀を振るう。だがオーガスは刀の刀身を殴って地面に叩き付けた。

 

 

「甘いわぁ!」

 

「そうかよ。なら―――アスラァァァァア!!」

 

「何!?」

 

「ガァァァァァァァアアア!!」

 

 

 白髪の大男、十三騎士団ナンバー8のアスラがオーガスの顔面を殴ってオーガスを吹き飛ばした。

 

 

「助けに来てやったぞ、おっさん!」

 

「おっさんじゃない、師匠だ! アスラ、オーガスを頼む!」

 

「……任された!」

 

 

 イヴァはユフィを護衛していたミラ達を退かし、ユフィを背負って再び空を飛んだ。

 

 

「アスラァ! 何故邪魔をする!?」

 

「貴様は何をやっている!? アイツは仲間だろうが!」

 

「最早仲間ではないのだ! アレは敵だ!」

 

「ふざけるな! 俺達がこの世界に迷い込んだ時、導いてくれたのがアイツだろうが!」

 

「ふん! 確かに! だが今はそんな事はどうでも良い! 我は戦いたいだけなのだ! どちらが死ぬまで!」

 

「オォォォガスッ!!」

 

「退け、アスラァ!!」

 

 

 大男二人の拳がぶつかり合い、新たな戦いが始まった。

 

 

 

 

「はぁ…はぁ……! 見えた!」

 

 

 イヴァは目的の場所へと辿り着いた。そこは古い遺跡。ボロボロで、しかし神秘的な雰囲気を出す場所。イヴァは中に進もうとして足を止めた。

 

 

「っ――!?」

 

「ようこそ、イヴァシリア! 我が憎き男!」

 

 

 手を叩きながら遺跡の入り口から出てきたのはミュリオンだった。

 

 

「ミュリオン!」

 

 

 イヴァは刀を抜き、イヴァとユフィを庇うようにしてミラ達がイヴァの前に出る。

 

 

「ほぉー? “死体”が動いてる? 穢土転生? いんやぁ……ただ肉体に別の魂を入れて動かしてるだけかぁ?」

 

 

 ミュリオンはミラ達を見て厭らしい笑みを浮かべた。

 

 

「流石はユーフェルナル。伝記通りの化け物だ! 死んだ者の身体を使うとは!」

 

「取り消せ! ミュリオン!」

 

 

 魔力剣を展開し射出する。が、ミュリオンに当たる前に一体の生物が現れ、剣をその身で受け止めた。しかしその生物は死なず、鋭利な爪と長い舌、丸出しの脳みそを見せてイヴァを睨む。

 

 

「どうだ? とある世界の化け物でな。脳か脊髄を潰さない限り死なないんだよ。おまけに戦闘能力も高い。いや、手懐けるのには時間が掛かったよ。何せ見た目がこんなんだからな、お前の“女”と違ってやる気がねぇ……」

 

「―――――――何だ、と?」

 

 

 イヴァの表情が消え、ミュリオンを赤い瞳で睨む。ミュリオンはぎらついた眼でイヴァを見て笑う。

 

 

「おんやぁ? 聞こえなかったかな? お前の女と違ってやる気がねぇ……」

 

「………た」

 

「あぁん?」

 

「………した」

 

「聞こえないねぇ?」

 

「何をしたぁぁぁぁああああ!!!」

 

 

 イヴァはユフィを落とし術式を完全に解放し、本来の姿に戻る。黒い機械的な鎧にボロボロの襟が逆立ったマント。そして溢れ出す黒い魔力。イヴァシリア・ムトス・エラフィクスとしての本来の姿に、悪魔の姿に。

 

 

「貴様!! リインフォースに何をした!?」

 

「何って……さぁ、何だったかな? ああ、でもこれだけは覚えてるなぁ」

 

 

 ミュリオンはニタァっと笑って天を仰いだ。

 

 

「あの女に闇を入れるとき……快感だったなぁ!」

 

「ミュゥゥゥリィィィィオォォォォォン!!!!」

 

 

 イヴァは黒い魔力で強化した刀を振り上げて襲い掛かる。爪を向けてくる生物はイヴァが発する魔力で消滅していく。そして刀を振り下ろして―――何かに受け止められた。

 

 

「―――なっ―――!?」

 

「………」

 

「………リ……イン……?」

 

「あああああっ!」

 

「ぐっ!?」

 

 

 イヴァの刀を受け止めたのはリインだった。ただ、リインの姿が違った。あの時の、闇の書事件と呼ばれたときの、闇の書の闇が存在していた時の姿だった。

 

 

「リイン……!」

 

「どうだぁ、イヴァシリア? 自分が愛した女を取られて、その上その女に殺されるんだぜぇ? たまんねぇよなぁ!?」

 

「貴様ぁ……!」

 

 

 イヴァはこれ以上に無い怒りを出し、ミュリオンを睨みつける。だがミュリオンはそれが心地良いのか笑みを浮かべる。

 

 

「そうだ……そうだそうだ! その顔だよ! その怒りに染まった顔! そこから絶望に満ちた顔にするのがたまんねぇんだよ!」

 

「この……下衆が!」

 

「この俺を散々見下してきた恨み……今此処で晴らァす!」

 

 

 リインの周りに先程の生物や、巨大な蛙と人が合体したような生物、肉が裂け内臓が丸見えな犬などが集まり、イヴァに襲い掛かった。

 

 バァン―――!

 

 

「ん?」

 

 

 イヴァに飛び掛った犬が何処からか飛来してきた蒼い閃光に貫かれ、息絶えた。そして次々と閃光が飛来し、生物達を撃ち貫き、殺していく。

 

 

「この射撃……レオンか!」

 

「レオン……! チッ、鬱陶しい奴め!」

 

『イヴァ!』

 

 

 レオンから念話が入った。

 

 

『レオン! 来たのか!』

 

『後十秒でそっちに着く! そのB.O.Wは俺に任せてお前は彼女を救え!』

 

『B.O.W? この生き物か……』

 

「チッ、まぁ良いか。じゃあな、俺は特等席でお前の死ぬところを見ててやるぜ」

 

 

 そういい残すとミュリオンは姿を消す。すると上空に巨大な戦艦、ダモクレスと似ている戦艦が姿を現した。恐らく、ミュリオンはあの中に居るのだろう。

 

 

「ああああああっ!」

 

「っ! リイン!」

 

 

 リインはイヴァに向けて拳を放つ。イヴァは拳を避けてリインから距離をとろうとするが、リインがそれを許さない。

 

 

「くっ! リイン! 俺だ! イヴァだ! 分からないのか!」

 

「ああああああっ!」

 

 

 リインは光を失った赤い眼でイヴァを睨みつけ拳を振るう。

 

 

「くそっ!」

 

「イヴァ! 大丈夫か!?」

 

 

 レオンが到着し、手持ちの銃でB.O.Wを撃ち抜いて行く。偶に接近してきた奴を蹴り飛ばしたりもしていることから、身体能力は高いようだ。

 

 

「レオン! 俺はリインを止める! だからお前は遺跡の中にある装置を破壊してくれ! それでこの世界を覆っている結界を弱める事ができる!」

 

「分かった! ああ、そうだ! お前の子供達がお前を助けに来てる!」

 

「……そうか」

 

「絶対に帰ってやれ! お前の居場所はそこにあるんだからな!」

 

 

 レオンは敵を撃ち抜いて前進していくが、突如上から黒いコートを着た大男が落ちてきた。

 

 

「なっ!? コイツは……!?」

 

 

 レオンはこの大男を知っていた。故に前進を止め後退し、銃を撃つ。しかしいくら弾丸を喰らわせても大男はビクともしない。

 

 

「イヴァ! 少し時間がかかる! コイツは手強い!」

 

「くっ……!」

 

 

 イヴァは空を飛んでリインから逃れようとするが、リインの足元に魔法陣が展開され、そこからオレンジ色の鎖が召喚される。イヴァはその鎖に腕を捕られ、大きく引っ張られて地面に叩きつけられた。

 

 

「がっ!」

 

「あああああっ!」

 

「っ!」

 

 

 リインがイヴァの目の前に手を翳し、その手から闇の収束砲が放たれた。

 だがイヴァは『ゼロ』で消していく。闇とゼロがぶつかり合い、衝撃を撒き散らしていく。

 

 

「きゃあっ!」

 

「っ、ユフィ!」

 

 

 ユフィの悲鳴が聞こえそちらを向くと、ヤシャがミラ達を叩き伏せてユフィを肩に担いでいた。

 

 

「ヤシャ!」

 

「……すまない、イヴァシリア。私はミュリオンがやり過ぎないように監視していたのだが……まんまと出し抜かれた」

 

「ユフィをどうするつもりだ! ぐっ!」

 

 

 闇が力を増してゼロを押し込もうとするが、悪魔の状態であるイヴァにはまだ及ばない。

 

 

「……可能ならばこの女性も始末する。まぁ、“不老不死”をどうやって殺すかはまだ分からないが」

 

「……ざけるな!」

 

 

 この時、イヴァはやっと反撃に出た。闇を右手の一振りで掻き消し、魔力波でリインを怯ませ、ヤシャの前に一瞬で現れて拳を顔面に喰らわせた。

 

 

「ぐぅ!」

 

「俺の幼馴染を返してもらう!」

 

 

 ヤシャからユフィを奪い返し、更にヤシャを蹴り飛ばそうとするが、その蹴りはヤシャに受け止められた。

 

 

「忘れたか? 純粋な体術では私のほうが上だ!」

 

 

 イヴァの脚を捻り、イヴァがバランスを崩した瞬間にユフィを奪い取り、イヴァを蹴り飛ばした。

 

 

「ぐぅっ!?」

 

「ああああああっ!」

 

「っ! ごはっ!?」

 

 

 リインの拳がモロにイヴァの腹に命中し、そのままリインはイヴァの上に跨り、何度も殴っていく。

 

 

「ぐっ! リインっ! 止せ!」

 

「ああああ! あああああああ!」

 

 

 イヴァは腕を交差させて拳を防いでいくが、リインの拳は重く、威力が強すぎる。

 いくらイヴァでもずっと喰らい続けていたら腕が砕けてしまう。

 

 

「……許せとは言わん。恨んでくれ。その方が楽だ。……ユーリ」

 

 

 ヤシャがユーリを呼ぶと、ユーリは音も無く現れた。

 

 

「この女性を頼む。私は奴が放ったこの化け物共を駆逐―――」

 

「クリムゾンブラストォ!」

 

 

 ヤシャだけを狙った紅い閃光が襲撃する。ヤシャは咄嗟に上に飛び、ユーリはユフィを抱えて後ろに飛んで閃光から離れた。

 

 

「何だ!?」

 

「ディバイン―――バスター!」

 

「くっ!」

 

 

 ピンク色の砲撃をヤシャは拳で受け止め弾く。だが弾いて視界が開けた先には金色の少女が鎌を振り上げていた。

 

 

「ハァァアア!!」

 

「何!?」

 

 

 ヤシャは両腕に蒼い光を纏わせ、鎌を腕で受け止めた。

 

 

「何者だ!?」

 

「悪魔の―――妹だ!」

 

 

 鎌を振りぬき、ヤシャの腕を弾く。そのままフェイトは鎌を振り回し、ヤシャの身体に一撃を与えた。

 

 

「フレースベルク!」

 

 

 フェイトは高速移動でヤシャから離れ、その瞬間、ヤシャに白銀の砲撃が襲い掛かった。

 

 

「くっ! 嘗めるな!」

 

 

 ヤシャは拳一つで砲撃を打ち消し、手刀で空を切り裂く。すると蒼い斬撃が飛来し、はやてを襲う。

 

 

「させねぇよ!」

 

 

 しかし蓮夜が前に出て紅蓮で切り裂いた。

 

 

「遅い!」

 

「なっ!?」

 

 

 ヤシャが蓮夜の後ろに現れ、蓮夜に掌底を放っていた。ただ触れているだけの掌底なのに、凄まじい衝撃が放たれ、蓮夜は吹き飛ばされた。ベクトル操作が働いているのにも拘らず、それを押し込んでだ。

 

 

「蓮夜君!」

 

「他人の心配をしている場合か!」

 

「ああっ!」

 

 

 続いてはやてがヤシャに蹴り落とされた。

 

 

「はやてちゃん!」

 

「はやて!」

 

「お前達もだ!」

 

 

 ヤシャはなのはを叩き落し、フェイトを蹴り飛ばした。四人はヤシャの圧倒的な力により雪の中へと叩き落された。

 

 

「む……先程の少年、僅かだが私の力を跳ね返した?」

 

 

 ヤシャの右手は僅かだがダメージを受けていた。

 

 

「ヤシャァァァアア!!」

 

 

 イヴァがリインの拳を掴んでバインドで拘束した。身体全体にもバインドで何重にも拘束し、動けないようにした。そして自分の子供達と妹に手を出したヤシャに怒りの形相で襲い掛かった。

 

 

「貴様! 俺の……子と妹に手を出したなァ!」

 

 

 ヤシャの下に潜り込み、刀を振り上げた。ヤシャは咄嗟に反応して顎を引いて刀を避けた。しかしイヴァはただ刀を振り上げたのではなく、斬撃を飛ばしたのである。つまり刀自身は避けたヤシャであったが、斬撃は避けられなかった。斬撃はヤシャの身体を切り裂き、ヤシャからオレンジ色の血が流れた。

 

 

「ぐぅっ!」

 

 

 ヤシャは次の一撃が来る前にリインに向けて蒼い斬撃を放つ。するとイヴァはリインの前に一瞬で移動し、斬撃を消した。その数秒はヤシャが距離をとるのには十分だった。

 

 

「ヤシャ! 貴様はァ!」

 

「くっ……!」

 

「――――何だよ、これ?」

 

 

 信じられない、という声が聞こえた。ヤシャとイヴァはその声がする方を向いた。イヴァは眼を見開き、ヤシャは警戒の色を表した。

 

 

「義父さん……? 何で、蓮夜達が倒れてんだ……?」

 

 

 剣誠は震える声で、震える手で剣誠達を指した。

 

 

「それに……何で義母さんが……暴れてんだ……?」

 

「お前は……」

 

「剣誠! 神楽を連れて逃げろ! お前ではコイツに―――!」

 

 

 剣誠の後ろから鋭い爪を持った化け物が飛び掛った。だが剣誠は見向きもせずにその生物を―――“塵へと変えた”。

 

 

「なぁ……何だよ、これ? 何でこんな事になってんだよ……? 家に帰ったら皆捕まってるし、神楽が俺を庇って怪我しちまうし……」

 

「小僧、貴様……何をした?」

 

 

 ヤシャは剣誠の異様な雰囲気に気が付き、拳を構えて剣誠に向かった。

 

 

「っ、剣誠!」

 

「ああああああっ!」

 

「っ!?」

 

 

 イヴァは剣誠を守ろうとしたが、リインがバインドを破って拳を振り下ろしてきたので助けに行けない。

 

 

「小僧、すまないが眠ってもらうぞ」

 

「――――アンタがやったのかよ」

 

 

 ヤシャの拳が剣誠の顔面に触れる直前、剣誠の眼が赤く光り、瞳に六亡星の紋章が浮かび上がる。するとヤシャは拳を止め、後ろに跳び下がった。

 

 

「ハァ――ハァ――!」

 

 

 ヤシャは今までに無い身の危険を感じて後ろに下がったのだが、それは正解だった。何故ならさっきまでいた場所、剣誠の前が消滅していたのだ。

 

 

「小僧……貴様は一体……」

 

「―――消してやる」

 

「何……?」

 

「神楽を……義父さんを……皆を……傷つける奴は……!」

 

 

 天空に紅い魔法陣が現れて空を紅く染め上げる。

 

 

「全部! 消してやる!」

 

 

 天を剣誠の怒りが貫いた。

 

 

 

 

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