何でも屋エリスでございます   作:魔帝

9 / 37
最近忙しくて、パソコンに手を付けられない……!


第一章第七話

 

 

 

 あの後、プレシア、フェイト、アルフは拘束され、牢屋に入れられた。

 しかし、彼女達の顔には笑顔が出ていた。

 

 プレシアの膝に寄りかかるフェイト。

 フェイトの頭をぎこちないが優しく撫でるプレシア。

 その様子を涙を拭いながら眺めるアルフ。

 とても、犯罪を犯した人達とは思えない姿だった。

 

 それから、蓮夜はあの少年を葬り去った後、あの少年が作り上げた生物達を一掃していた。

 本当はなのは達の所へ向かいたかったのだが、その生物たちが邪魔をして行けなかったのだ。

 蓮夜が駆けつけたときにはもう既に終わっていた。

 だが蓮夜のお陰で被害が抑えられたのは確かである。

 あの少年が健在であったのなら、きっと何処かで何らかの被害を被っていただろう。

 それが認められてなのは、ユーノ共々表彰を受けた。

 ただ、その少年を殺したとは伝えていない。

 ファンが蓮夜のお陰であの生物の生成を止められたと言った為、それで表彰を受けたのであった。

 

 実は、ファンは蓮夜が何をやったのか知っていたのであった。

 何故黙っているのか、蓮夜は問うたが、ファンは答えなかった。

 

 そして、そのファンだが、何やらリンディと揉めていた。

 

 

「だーかーらー! 報酬としてくれって言ってんだよ!」

 

「駄目です。こればかりは貴方の言う事でも認められません」

 

「ザッケンな! 契約違反だぞ! 訴えるぞ!」

 

「百の確立で私が勝ちます」

 

 

 先程から揉めている理由は、ファンの報酬についてだった。

 リンディはファンに報酬として多額のお金を払うと言っているのだが、ファンはそれを拒否。

 そしてファンはあろう事かプレシア・テスタロッサの罪を軽くしろと言い出したのだ。

 

 

「結果的に次元震は起こらなかったし、管理局への公務執行妨害しかやってない!」

 

「いいえ。プレシア女史はロストロギアを暴走させ、危険な行動に出ました。それだけでも重罪です」

 

「……公開してやってもいいんだぞ?」

 

「何をかしら?」

 

「管理局が今までやってきた、闇に葬ってきた出来事を」

 

 

 ファンは知っている。組織の裏の部分を。

 だからこそ、ファンと管理局との間に色々な制約を取り決めている。

 その一つに、ファンの武器の使用を許可している。

 『ゼロ』で人間相手には威力を消してはいるが。

 

 

「それをしたら、貴方は世界の果てまで狙われるわよ?」

 

「俺を誰だと思ってる? 何でも屋エリス店主、ファン・フィクスだぜ? ―――嘗めてんじゃねぇぞ、リンディ」

 

 

 ファンはドスを効かせてリンディを睨む。

 同時に『ゼロ』をアースラ全域に流し込む。

 

 

「俺がその気になれば、世界の二つや一つ、ゼロにする事なんて容易い事だ」

 

「脅迫になるわよ? それでは意味が―――」

 

「勘違いしているようだが、これは取引だ。俺はプレシアの刑の軽減、お前達は闇を知らされなくて済み、俺の手綱を少しは確保できるって訳だ。悪い取引じゃないだろ?」

 

「……まるで悪魔みたいな人ね」

 

「残念。俺は“悪魔”だ」

 

 

 リンディは頭を抱え、考えた末に本局に連絡を取った。

 そして少しは揉めたようだが、話が着いた。

 

 

「管理局は貴方と取引します」

 

「そうこなくっちゃな」

 

「ただし」

 

「あん?」

 

「これから数ヶ月、貴方にはアースラで仕事もしてもらいます」

 

「……………………ナニ?」

 

 

 リンディはとても良い笑顔を浮かべてファンに告げた。それはもう楽しそうに。

 

 

「掃除、洗濯、食事の用意、整備の補助、局員との訓練、その他諸々。詳細は後ほど送るわ」

 

「ちょっと待て。何だその重労働は?」

 

「あら? 本来なら数百年の実刑なのに、それを数ヶ月にするのだから、これぐらいは当然よね?」

 

「なっ……!?」

 

 

 ファンは目の前にいる自分以上の悪魔を、悪女を見た。

 

 

「……ふっ、確かに、これぐらいで母と娘の絆が強まるのなら、お安い御用でさぁ」

 

「あら、なら私の身の回りの世話もして貰おうかしら」

 

「え……」

 

 

 かくしてプレシアとフェイトの時間は約束された。

 因みにフェイトは事情が事情な故に、本当に軽い罪にしか問われない。

 最悪で裁判をするだけだろう。

 

「この……悪魔ーーーーーーー!!!」

 

 

 

 

 時は流れ、平和な時間が過ぎていた。

 

 あの事件は首謀者、プレシアからとってプレシア・テスタロッサ事件、P・T事件、またはジュエルシード事件と名づけられた。

 

 そしてフェイトは保護観察を受けるのだがほぼ無罪となり、今は嘱託魔導師として管理局に協力している。

 それからプレシアは暫くはフェイトと離れる事にはなっているが、数ヶ月の実刑で済み、今は管理局の本局で身柄を拘束されている。

 色々とペナルティーも付くようだが、ファンとの取引上、厳しい事はされない。

 時折フェイトと面会しては親子らしい会話をしているようだ。

 

 それから、ファンは……。

 

 

「ファン、お茶~」

 

「はいはい」

 

「ファン、着替え持ってきて~」

 

「はいはい」

 

「ファン、ご飯持ってきて~」

 

「はいはい」

 

「ファン、この書類の整理お願いね~」

 

「はいはい」

 

「ファンファン、こっち手伝って~」

 

「はいは―――って、待てやコラ!何だそのペットみたいな呼び方は!?」

 

「あら、あと二ヶ月は私のペットでしょう?」

 

「初めて知った驚愕の内容!?」

 

 

 アースラでリンディにこき使われていた。

 

 

「あのな、俺にだって本業があるんだから、ずっとお前に構ってる訳には……」

 

「フェイトちゃんが可愛そうね~。永遠に母親と切り離されちゃうなんて……」

 

「もう、ご主人様は意地悪だなぁ! 冗談に決まってるじゃないですか!」

 

「キモイから止めて♪」

 

「チクショウ……!」

 

 

 親子の絆を守った代償は大きかったようだ。

 

 因みにだが、アリシアの遺体はプレシアの意向により、地球で葬式と埋葬を行なった。

 埋葬は土葬で、常に一般人が入ってこられないように結界をはり、海が良く見える場所に土葬した。

 プレシアも参加し、決して大きくはないが、ちゃんとした葬式をあげた

 

 

「ったく、早く本業に戻りたいよ」

 

「あ、そう言えば貴方宛に手紙が何通か届いてたわよ」

 

「え、手紙?」

 

「差出人は……『エスティナル・ヴァティ』」

 

「え………」

 

 

 何でも屋エリス。依頼があれば何処へでもはせ参じます。

 

第一章・終焉

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。