Re:ゼロから始める連盟生活   作:zakuzaku

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どうも、zakuzakuと申します。
息抜きで書いてみました、しがないブラボ好きによる作品です。
あまり期待しないでいただけると助かります。


異世界

人間の本性を知っているだろうか。俺は知っている。人が思う以上に内に潜む本性は、汚らわしいものだ。我々はそれらを「虫」と呼ぶ。汚物のうちに潜み蠢くそれはまさしく害虫以外の何者でもない。人の淀みを体現しているそれを見つけ出し、潰すのが我々の使命・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――そう、我々「連盟」の使命なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ 

 

 

 

 

 

 

 

 

「馬鹿らしい・・・」

 

 

そう呟くには十分すぎるほど奇怪な状況だった。彼は連盟の使命を果たそうと今日も獣狩りにヤーナム市街に赴いた・・・はずだった。

 

 

「ここは何処だ・・・まさか誰かの夢に迷い込んだか?」

 

 

見たことも無い景色を眺めつつ、再度自身の状況を確認する。周りの建造物は確かに馴染みのあるものばかりで、ヤーナム以外のどこかの街と言われれば納得する。だが、周りには獣化したような・・・というか獣そのものの様な存在が二足歩行で闊歩している。さらに言えば、人間と思える者たちがそいつらと親しげに話しているのだ。獣と友好関係を築くことなど不可能。彼にとって想像すらしなかったことである・・・しかし、現に目の前でそれをされてしまっては認めざるを得ない。

 

 

「・・・頭が割れそうだ」

 

 

そう呟く男、連盟の狩人は頭を抱えていた。今すべきことは、状況を打開策を練ること。だが、さらに一つ問題点がある。これが今までと異なっていることで最も揶揄すべき問題なのだ。

 

 

「狩人の夢に帰れない・・・何故だ」

 

 

普段なら足元に使者たちが現れ、導いてくれるはずだがその影はない。そして夢への入り口であるランプもない。狩人の徴を脳裏に浮かべても戻る気配はない。手詰まりとはまさしくこのことである。故に人気のない裏路地に座り込んでため息をついている途中なのだ。

 

 

 

 

 

「―――ったく、なんだってんだ・・・俺の主人公補正どこ行ったよ」

 

 

ふと、人とすれ違った。ずぶ濡れで歩くその姿は目を引く。もっと言えば、着ている服が少々特徴的である。そして躊躇もなくその人物は狩人の隣に腰かけてきた。

 

 

「隣、いいか?」

 

「・・・まあ、構わんが」

 

 

もう座ってるだろ、と喉まで出かけたが寸前のところで止まる。行動もそうだが言動も中々に馴れ馴れしい。ふと見ればその少年が見たこともない装束を着込み、見ただけでは見当もつかない素材の袋を持っていることに気付いた。

 

 

「貴公、珍しいものを持っているな・・・この辺で手に入れたのか?」

 

「お、なんだおっさん。こいつに興味があるのか?だったら取引をしようぜ!」

 

「は?」

 

 

荒唐無稽な話題を吹っ掛けられた。ここまで来ると人間性さえ疑う。

 

 

「俺の名はナツキ・スバル!万物不当の1文無しだ!そんなわけで俺は今猛烈に金を欲している。この袋の中身が欲しいと言うならそれ相応の額で買い取って貰おうか!」

 

「別に欲しくはない」

 

「即答?!もうちょっとシンキングタイムあってもいいんじゃない?!」

 

 

騒がしい奴だと首を振る狩人。ふと、目をやると断った途端に露骨に気を落としている少年の姿があった。

 

 

「まあ、その程度の事気にするな。斯く言う俺も無一文だからな」

 

「え、おっさんも?失業でもしたのか?」

 

「いや、この国には初の来訪でな。俺のいた場所の通貨が使えなかったんだ」

 

 

そういうことにしている。というより、事実ここで手持ちの金貨や銀貨は使えなかったのだ。故に言葉の通り、初の来訪というのが妥当な誤魔化しということである。だがそう言った瞬間、少年の目は輝きを取り戻し、期待の視線を送ってくる。嫌な予感しかしない。

 

 

「マジかよ!実は、俺もおっさんと同じ感じでさ。俺の国の通貨も使えなかったんだよ。いやぁ、こんなところで同じ境遇の奴に会えるなんてもはや運命じゃないか?!」

 

「そうか、お互い気張るとしよう。それじゃあな」

 

「おっさん話聞いてたか?!」

 

 

情報無き者に構っている暇はない。今は一刻も早く狩人の夢へ帰る方法を知りたい・・・というのは建前で、めんどくさくなってきたのが本音である。少年には悪いとは思いながらも退散しようと腰をあげようとした―――。

 

 

 

 

 

 

「おいてめェら。何騒いでんだ?」

 

 

振り向くとそこには、ちんちくりんなチビと血色の悪い細身の男、そして衛生面がよろしくなさそうな巨漢がいた。その内、細身の男が一歩前に出て、薄気味悪い笑みを口元に浮かべながら口を開いた。

 

 

「どうでもいいけどよォ、痛い目見たくなきゃ出すもんだしな」

 

 

目に見えた武装はないようであるが、恐らくナイフの一本や2本持っているだろうと仮定する。彼自身、こういった輩を何度も見てきたが、改めて迷惑千万だと再認識した。一方、少年の・・・ナツキ・スバルの様子といえば―――。

 

 

「やべェ、強制イベント発生かよ。穏便に手を引いてくれる手段とか・・・」

 

 

何を言っているかよく分からなかったが、この状況が実質3対1ということを認識する。最初から期待はしてなかったが、守りながらとなると面倒である。とにかく、路地からの脱出を試みるべく身構え―――。

 

 

 

 

 

 

「どけどけ~その奴ら~!」

 

 

・・・今度はなんだ。

 

 

そう思い、目を向けると路地の入り口から全速力で何かが駆けてくるのが見える。

 

 

「来たァ!今度こそ俺を召喚した美少女本人か?!」

 

 

スバルに至っては訳の分からないことを叫んでいる。もしかしすると、知り合いなのだろうかと狩人が思案する内に、その「何か」は目の前にまで接近してきた。近くで見ると思ったより小さな者だったことがわかる。目の前の「何か」もといナツキ・スバルの言った通り「少女」は怪訝そうな顔をして首を傾げた。

 

 

「んあ?何か知らないけどアタシ忙しいんだ。ごめんな強く生きてくれ!」

 

 

それだけ言って後方へと走り抜ける少女。突き当りを右に曲がるのだろうと誰しもが思った瞬間、その少女は壁を蹴り悠遊と屋根の向こうへ姿を消した。その場に残ったのは沈黙と微妙な空気のみ。そんな中恐る恐るスバルが口を開く。

 

 

「あの~・・・今ので毒気が抜かれて気が変わったりしませんかね?」

 

「むしろ水差されて気分を害した」

 

「ですよね」

 

 

その言動に狩人はまったく緊張感を知らない奴だと呆れる。感情の起伏が激しいのではなく、いちいち大袈裟な反応をしているだけなのだと再認識した。とはいえだ―――

 

 

「足が竦んでいるよりかずっとマシだな」

 

「え?」

 

 

 

 

―――ガッ!!

 

 

刹那、右側にいた巨漢が宙に舞った。誰もが唖然とする中狩人だけが目を爛々とさせ、次の標的へと体を向ける。それに対し、細身の男も気づくが既に遅い。首もとに得物を突き付けられ、動く隙など何処にもなかった。

 

 

「ぐッ・・・な、なんなんだよテメェ・・・。」

 

 

睨み付けることしかできない男を横目に、しっかりともう一方の刃でチビの方を制する。まるでこの場の空気が凍るような静けさが一同を包んだ。この空気を狩人は知っている。場を圧したときの空気。誰も自分に逆らうことはできない状態。この後、逆らえない相手に持ちかけるのは当然、「脅し」(ネゴシエーション)のみである。

 

 

「いやね・・・我々はちょうど職がない者同士でな。金目のものはおろか自身の生活すら危うい。そんな放浪者たちから剥ぎ取れるものなんてたかが知れている・・・そう思わないか、ね?」

 

 

それだけ言い放つと首もとに突き付けていた刃を引っ込め、男の胸元を押した。唐突に解放され、体勢を崩しながらも巨漢を担ぎあげる男たち。

 

 

「次会った時はただじゃおかねえからな!」

 

 

捨て台詞を吐き逃走。鮮やかなものだなと狩人はため息を漏らす。そもそもまともな精神を持った人間を相手するのは久々の事だったのだ。脅しが効くこと自体が奇妙なものである。そんなことを思いながらも得物を懐にしまい、頭を掻いた。ああいった、軽い「淀み」を掃除すべきか否かを迷ったのだ。あの程度の「淀み」であればどんな人間も持つものである。だが、獣化のような理性を失う要素がこの国にもあるのかわからない現状、簡単に「虫の掃除」が出来ないのだ。そこの判断は材料がそろってからでも遅くはない・・・と、狩人は決めたらしい。

 

 

「・・・アンタ、すっげェ強いんだな」

 

 

そう呟いたのは、狩人の後方で立ち尽くしているスバルだった。そんなことはないと首を振りながら狩人も向き直る。

 

 

「いや・・・今のはただ、隙をついただけさ。貴公にだってその気になればできるだろう」

 

「いやいやいや、ありえねーって。そもそも初動が既に人間ができる速度じゃなかっただろ」

 

 

そういうものだろうかと腕を組む狩人。狩人の見立てでは、スバルには少なからず鍛えられた筋肉があるように見えた。彼自身、体は通常の人間とは異なってはいるが、できることは所詮人の延長上。故に、スバルにも自身のような動きも不可能ではないと思ったのである。

 

 

「まあ、互いが無事だったならそれで良しとしよう。とりあえず、路地を出るとしようか」

 

 

こんなところにいてはまた、面倒なものに絡まれると続けようとした刹那であった。

 

 

 

 

 

「そこまでよ」

 

 

透き通った声が路地に響いた。今日何度経験したかわからない悪寒が背中に走るのを感じながら、狩人はその声の方へと向き直る。そこにはやはり人影があった。さらに言えば、またしても狩人たちに対して何かしらの敵意を持っているようで、その表情は険しい。だが、先ほどと異なる点がある。その声の主の容姿はまるで―――。

 

 

「天使だ・・・」

 

 

スバルがぼやいた。だが、あながち間違ってはいない。それはスバルが思うだけでなく、狩人もこれほどの美人・・・いや、美少女は見たことが無かった。その容姿は確かに可憐で、美しく、高貴さすら感じとれる。

 

 

「今なら許してあげる。だから潔く盗んだ物を返して」

 

「・・・は?」

 

「お願い、あれは大切な物なの」

 

 

そう言いながら少女は狩人たちに歩み寄る。その真っ直ぐな瞳は2人を見据え、一時たりとも揺らがなかった。その眼差しを受け、狩人も彼女がどうやら本気であること悟る。そうと決まれば、こちらもそれ相応の対応で迎えるしかない。よって、言えることは一つであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまないが、全く以て身に覚えがない」

 

 

 

「え?」

 

 

 

―――大真面目に言い切った。実際そうなのだから致し方がない。真剣に答えた結果がこれなのだ。

その言葉を聞いて、あれほど真剣だった眼差しもどこへ消えたのか、少女本人も唖然としていた。その後、ハッと我に返ったような表情を見せ、再び狩人たちへと問いかける。

 

 

「えっと、本当に知らないの・・・?」

 

「うむ、知らん」

 

 

一切の躊躇なく知らぬと通す狩人に、気が付けば少女もたじたじである。だが、身に覚えがないのは盗んだという事実に対してだ。盗んだ犯人に心当たりがないわけではない。

 

 

「我々はただの無一文の放浪者だよ。恐らく、さっきこの路地の曲がり角から屋根に飛び移って行った少女が君の探し人だと思うが・・・」

 

「えっやだ嘘!?じゃあ、私本当にただ回り道しちゃっただけ?」

 

 

狩人たちの不関与を知った途端、唐突に焦燥の表情を見せる少女。そんな様子を見てさっきの連中よりは面倒ではないことを狩人は内心ほっとしていた。このまま話が進めば、目的である情報収集にようやく手を付けることが出来る。そのためにも出来るだけ早く別れの言葉を告げようと、狩人は口を開いた。

 

 

「早く追いかけた方がいいよお嬢さん。それでは我々は―――」

 

「ちょっと待って。私、まだお礼をしてないわよ?」

 

 

 

 

 

 

「・・・は?」

 

 

突拍子の無い発言が少女から飛び出した。突然の話題変更に狩人も反応ができない。そんな中、少女は勝手に話を続ける。

 

 

「こっちが情報を提供してもらったのに、何のお礼も無しじゃ筋が通らないわ。何か私にできることをしないと・・・」

 

「・・・いや、身の潔白のために証言しただけで、礼をされるような事はしていないのだが?」

 

「そうはいかない。そもそも私が貴方たちを勝手に疑ったんだもの。実際はお礼と言うのもおこがましいわ。そうね、言うなればお詫び。私には貴方たちにお詫びをする義務があるの」

 

 

何を言っているんだお前は。喉まで出かかった言葉だが、寸前のところで狩人はその言葉を飲み込む。彼女の言っている意味はわからなくもない。だが、彼女自身窃盗にあって何か大事な代物を失う瀬戸際なのだ。そんな状況で何かしらの礼を考え始めるなど、狩人には理解不能である。表現は悪くなるが、それはお人好しとかいうレベルを通り越してもう「馬鹿」なのではないだろうか。

 

 

「じゃあさ、その『大切なもの』を探させてくれないか?」

 

「え?」

 

 

声の主は狩人ではない。つまり、彼しかいない。当然、どういうつもりだと言わんばかりの視線が彼、ナツキ・スバルに集中した。

 

 

「それじゃあ、また私があなたたちに借りを作っちゃうじゃない。私はお礼がしたいのよ」

 

「俺が手伝いたいって言ってんだ。俺のモットーは一日一善!」

 

「でも、手伝うって言ったって何も知らないんじゃ・・・」

 

「少なくとも顔は覚えてる。もう一度見ればわかるから。なっいいだろ?」

 

 

一歩も譲らないスバル。自分側にも大層な世話焼きがいることを思い知らされ、狩人は頭を抱えた。他人に対して至れり尽くせりなことは結構だが、度が過ぎればいつか自分が損をするだけである。狩人には全く以て理解できなかった。

 

 

「スバル・・・どういうつもりだ」

 

「あ?言葉の通りだよ。手伝うんだ」

 

 

振り返って小声で、それでいて確かに強い口調で狩人はスバルに問いかけた。それに対して悪びれる様子もなく、自分の意志を通すスバル。狩人にとってそんなことに巻き込まれるなど冗談ではない。

 

 

「俺は悠長に他人の探し物に手を貸せるほど暇じゃない。やるなら貴公ひとりでやれ」

 

「おいおいおい、何言ってんだ?俺はハナっからその腹だったぜ?誰もおっさんに手伝ってくれなんてひと言も言ってないんだが?」

 

「なっ―――」

 

「いやー、おっかしーなー?まさか自分も手伝うことを頭に入れてるなんて思ってもみなかったなー?もしかしておっさん、案外お人好しー?」

 

 

目に見えて煽るスバル。過酷な環境下で凄惨な光景や、狩人同士の心理戦に直面してきた狩人にとって煽りなんてものは当然無意味な行為である。しかしどうだろうか、スバルの煽りは今までのどんな挑発よりも癪に障る。何がそうさせるのかわからないが、狩人は珍しく頭を抱えた。

 

 

「誰がお人好しだ・・・チッ、さっさと夢に、元の世界に戻る方法を探さなきゃならんというのに・・・」

 

 

小声・・・で言ったつもりであった。だが、その煽りは予想以上に効いていたらしい。発せられた言葉は通常の会話と変わらない程の大きさでスバルへと伝わることとなる。

 

 

「・・・あ?おっさん今なんて言った」

 

「む・・・何でもない、ただの独り言だ」

 

「いーや聞いたね。おっさん元の世界っつったろ?絶対聞いた」

 

「・・・言ったとしても貴公には関係のないことだ」

 

 

しつこく絡むスバルを煙たがる狩人。自らボロを出したことに内心毒づきながら、知らぬ存ぜぬで通し続ける。そもそも、何故「元の世界」などというワードに反応するのか意味が解らなかった。

 

 

「ところがどっこい関係大アリなんだなこれが。そんなワード聞かされちゃ尚更俺と行動してもらうぜ。この異世界の情報を得るためにもなっ!!」

 

「・・・なんだと?」

 

 

耳を疑った。だが、同時に一つの疑問が解消される。狩人は気付いたのだ。確かに、この男「ナツキ・スバル」には同伴するだけの価値がある。現状で、彼こそ最も自分の目的に近づくことのできる情報源なのだ、と。

 

 

「・・・なるほどな、選択肢はないというわけか」

 

「理解が早いようで助かるぜ。逆に考えてくれよ?彼女の探し物を手伝えば、聞き込みついでにかなりの情報を得られるはずだ」

 

 

さらに自身の欲するものを提示するスバル。よくもまあ、ここまでしたたかに出れるものだ、と狩人は苦笑する。自分が絶対その条件を飲むと信じて疑わないその自信は何処から湧いて出てくるのだろうか。だが、さても見事に心理戦を搦めとられた狩人に切り返せる手札など残っていない。

 

 

「分かった。貴公の案に乗ろう」

 

「そうこなくっちゃな!てな訳で、俺ら二人の意見は合致して君を手伝わせてほしいという願いなんだが、聞いてくれないか?」

 

「う、うーん。でも・・・」

 

 

あまり納得がいかないのか少女は指を頬に当て考える。先からみるに、やはりお人好しの性か、どうしても自分の面倒ごとに巻き込みたくないのだろう。

 

 

「悪意は感じないし素直に受け入れても良いと思うよ?」

 

 

何処からか声が聞こえた。この場の3人の誰のものでもない、初めて耳にする声。その正体は、少女の肩付近から唐突に現れた。

 

 

「うおっ、なんだこのぬこは!」

 

「お、いい反応するね。僕はこの子と契約している精霊だよ。うちの子が困ってるみたいだったから助言しようと思ってさ」

 

 

そう言って、さも当然のように空中で浮きながら自己紹介する猫。その光景になんでもありかと狩人は溜息を吐いた。

 

 

「でも、迷惑になるんじゃない?」

 

「本人たちの意志が一番だよ。まあ、彼らにもなんか目的があるみたいだしね」

 

 

自身を精霊と主張する猫の言葉を聞く限り、どうやら心が読める、あるいは感情を読み取れる能力があるらしい。そう解ると、狩人は自然に身を構えてしまう。

 

 

「そっちのみょうちくりんな髪形の子は全然だけど、君は警戒心が強いね。そんなに身構えなくても、まだ(・ ・)何もする気はないのに」

 

「・・・危害を加えるつもりはない。ただ、自己防衛だけはさせてもらう」

 

「うーん、まあそりゃそうか。大丈夫、この子に何もしない限りは僕も何もしないから」

 

 

口調は穏やかだが、その言葉には「その気になればいつでも殺すことが出来る」という意味が十分に込められていた。狩人にはこの精霊がどれほどの力を有しているかなんて想像すらつかない。見た目は愛らしい猫なのも相まって不気味である。そんなことはいざ知らず―――。

 

 

「みょうちくりんってひでぇな。結構上手く切れたと思ってんだけど?」

 

「へぇー自分で切ったんだ、ごめんごめん。でも的は射ていると思うから表現の訂正はしないよ?」

 

「おっとぉ!見た目によらず棘のある発言も辞さないタイプか?」

 

 

自身の髪型を指摘されても、あっけからんとした態度で返答するスバル。まるで緊張感のない光景を前にして、狩人は深く考えることをやめた。元より、少女に危害を加える気なんてなかった。起こす気のない事実の報いに一喜一憂していても仕方がない。

 

 

「まあ、パックがそう言うなら・・・けど、本当にいいの?」

 

「ああ、大丈夫。俺たちに任せとけ!」

 

 

そう言うと、親指を自信ありげに胸にドンッと突きつけ、屈託のない笑顔をスバルは見せた。後先考えないのか、本当に自信があるのかは狩人には分からない。ただ、掴みどころのない少年だ、と自身の中で結論付けた。

 

 

 

こうして、狩人による異世界探索は幕を開けた―――。

 

 

 




ラノベ一巻分の総文字数の平均は約140000~150000らしいです。
そう考えるとこの文字量でも・・・まだ、5%ぐらい?

ラノベ作家って大変なんですね・・・。

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