ど~も~、オータムです~。何が何だか解らないけど、オータムです~。
犬臭い女神にオータムとして、転生させられました。
……なんでや。
なして、オータムなんや。あれやん、オータムって言ったら、かませやん。蜘蛛やん。アホの子やん。レズやん。
待って、私はそんな趣味は無い。レズでは無い。バイでも無い。
……いや、でもスコール美人だし……
良し、待て。落ち着け私。冷静になれ。勝手知ったる己の体、転生してから『ピー』年付き合ってきた体だ。しかも中身は私、オータムに転生させられた人。
レズでは無い、ノーマルだ。ノーマルの筈だ。
……私、人だよね?なんか、前世の記憶?が凄い朧気なんだけど。人かどうか、自信が無くなってきたんだけど……
まあ、良しとしよう。良くないけど……
そして、現状も宜しくない。とても、宜しくない。
「オータム姉、飯出来たよ」
はい、何故に居る織斑一夏。何故に
何故居て、何故飯を作っている。
そして、何故に私を姉と呼ぶ。お前の姉は、あの歩くチート、立てば修羅、座れば鬼神、歩く姿は武神の織斑千冬の筈だ。
何故に私、アホの子オータムを姉と呼ぶ?
「今日は鰈の煮付けだよ」
「おう」
……うん、原因私だ。
第二回モンド・グロッソで誘拐されて、スコールの命令でそれを私が救助して、今に至る。
もっと詳しく言うと
一夏、女尊男卑主義者に誘拐される。
女尊男卑主義者にナノマシン注射される。
記憶の一部が吹っ飛んだ。
救助に来た私を何故か姉と認識した。
なんでや……
あれか?織斑家の脳は鳥か?
あれじゃん。記憶吹っ飛んだ後に見た私を姉と認識するとか、鳥の刷り込みじゃん。
いくらナノマシンで脳がパーンしたからって、初めて見たのを姉と認識とか……
「姉さん、どうした?」
はい、問題その2がいつの間にか、私の隣で鰈の煮付けを突っついていやがった。
織斑マドカ、いやまさかね。ドイツで誘拐されたのが、一夏だけでなくマドカまで誘拐されていたなんてね。
原作じゃ確か、私と同じ亡国機業所属の千冬クローン疑惑有りの奴だったか?ああ、ダメだ。記憶が朧気過ぎて話にならない。
そして、二人揃ってナノマシンで脳がパーンしたなんてね。んでもって、二人揃って私を姉と認識したなんてね。
……織斑さん家は、鳥から直接進化したのかな?
それとも、御先祖に鳥が居ませんか?鳥斑鳥兵衛みたいな?
「ん?ああ、気にすんな」
「オータム姉、肘つかないでくれよ。行儀悪いぞ?」
「姉さん、漬物取ってくれ」
「あいよ」
あんまりに姉さん姉さん煩いから、仕方無しに連れ帰ったけど、スコールに滅茶苦茶笑われた。
それはもう、サイボーグスコールがビクビク痙攣して呼吸困難になるぐらいに笑われた。
あんまりに笑われたから、腹が立って装甲脚を八本叩き込んだら、あの蠍なのか鋏虫なのか解らない機体の尻尾で払われた。
ムカついたから、複腕も展開したら土下座されたので許した。
私の機体『アラクネ』、どうやら私がオータムとして転生した為に、とんでもない改変が成されている様だ。
勿論、私オータムにも改変がある。多分、あの生まれてから一回も洗った事の無いラブラドールレトリバーみたいな臭いのする女神のせいだ。
なんでも、現在の亡国機業最高の個人戦力は私らしい。
なんでや……?
なして、私が最高戦力なん?
嫌や、これあれじゃん。将来的に千冬と戦う流れじゃん。
私死ぬじゃん。無理だって、ISの武装を生身で振り回して、ISを生身で止めるプレデター相手にするとか無理だってさ。
しかもそうなったら、絶対あの初代ブレオンキチガイ機体の『暮桜』出てくるじゃん。嫌だ、蜘蛛の三枚下ろしが出来上がっちゃう……!
「オータム姉、お茶は?」
「冷えた麦茶」
「はいはい」
それでまあ、慕われてるし今更元の場所に戻しに行くのも命の危機を感じるし、命の危機を感じるしで、仕方無しに私が二人の面倒を見る事にした。
二人を寄越せと、上から言ってきたらしいけど、スコールが交渉して無かった事にしたらしい。
その時に、私の名前を出したら一発で黙ったって言ってた。
ねえ、スコール?何言ったの?
私、上の会議とか出た事あんまり無いんだけど、何で私の名前を出したら一発で黙ったの?
ねえ、私ってどうなってるの?どういう扱いなの?
おう、こっち見ろや。
「仕方ないじゃない。私が知る限り『最強』が織斑千冬なら、『最凶』は貴女なんだから」
「だからって、私の名前勝手に出すなよ」
その『最凶』が面倒を見ると言ったから、手を出さないとか、私本当にどういう扱いなの?
でも、面倒見るのも期間限定だ。
ナノマシンで脳がパーンしたと言っても、大本の記憶自体は消えてはいないらしい。
蓋と言うか、上書きと言うか、そんな感じでナノマシンが脳の記憶に覆い被さっているとかなんとか。
よく解らないけど、そんな感じらしい。
あれだな、ナノマシン便利過ぎない?
あれもこれも全部ナノマシンのせいだったんだよ!
とか言っても、通用しそうなんだけどな。
……なんだろう?嫌な予感がしてきた。
ナノマシンは織斑千冬との記憶に覆い被さっている。まあ、物理的にじゃないだろうけど。
なんか、突き破って来そう。こうさ、ナノマシンを雪片で斬り裂いて、ズルリと出てきそう。
あのブラコンなら、やりかねない。
「オータム姉、スコールさん。風呂から出る時はちゃんとマット敷いてから出て」
「「は~い」」
ナノマシンをなんとかするまでの期間限定の家族ごっこ。これがどうなるのかは、解らないけど、せめてこの二人には幸せになってほしい。
私の元でじゃなくて、千冬達と一緒に幸せになってほしい。
テロリストのオータムである私にだって、子供二人の幸せを願う権利はある筈だ。