踏み台転生者ですが何か?   作:ジト民逆脚屋

16 / 23
短めですけど、ここで投下!

では、突然のクイズ。
スコールは今何を?

1:束と暗躍
2:組織内で根回し
3:既に千冬と合流

さあ、どうかな?


憐憫の嫉妬

何時もの夢、だけど何時もと少しだけ違う夢だ

自分が居て、マドカが居て、千冬が居て、そしてあの二人が居る。

三人家族が五人家族になって、温かな日々を過ごす夢。

あの二人は一体誰なのか。

一夏には分からない。きっと同じ夢を見ていたマドカにも分からない。

だけど、何故か分かる事がある。

 

今日、この夢の正体が分かる。

そんな根拠の無い確信がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「作戦内容を説明する。我々は京都に潜伏する亡国機業を攻撃し、連中を殲滅する。そして目下の最大戦力であるオータムは、私と織斑弟妹で撃破する」

「私達は後詰めという事ですわね?」

「そうだ。オルコット、ボーデヴィッヒは狙撃とAICで牽制しつつ全体のサポート。鳳、篠ノ之、デュノアは更識に着いて前線に立ってもらう。また、IS委員会経由で数人の増援が来る。各自連携を怠るな」

「了解しました」

「他、何もないなら準備に入れ。……いや、最後に一つ言っておく。これは今までにない程に厳しい戦いになる。だから、全員死ぬな。危険を感じたら逃げろ。以上だ」

 

いつになく厳しい表情で千冬はそう言うと、全員が頷いた。

そして、各々が行動を始める中、千冬は一夏とマドカを呼び止めた。

 

「織斑、……いや、一夏、マドカ」

「大丈夫だよ、千冬姉」

「ああ、私達は大丈夫だ」

「……そうか」

「なあ、千冬姉。俺達は何か予感がするんだ」

「予感?」

「うん、あの夢の正体が今日で分かる。そんな予感が」

「……っ、正体が分かったとして、お前達はどうする?」

「分からない。けど、正体を知らなかったら一生後悔すると思うんだ」

「あと、私達の夢には奴が、オータムが関係している。根拠も何も無いが、何故かそう感じる」

「そう、か……」

 

二人の言葉に、千冬は目を伏せる。

昨日のオータムは未練を断ち切る為に、二人の前に姿を現した。

だが、そんな安い行動で断ち切れるものではない。

オータムは断ち切ったつもりでも、二人はまだ本当の姿が見えぬオータムを、無意識に探している。

なら、千冬がやる事は一つだ。

 

「……お前達は予定通りに囮に徹しろ。奴とは私が当たる」

「でも、千冬姉」

「異論は認めん」

 

この子達にオータムを斬らせないし、自分もオータムを斬らない。

縛り上げて拳骨の一発を見舞って、そして全てに決着を着ける。

 

「作戦開始まで時間が無い。早く行け」

「分かった。けど、無理すんなよ」

「頼むぞ、姉さん」

「ああ、任せておけ」

 

今日この日、全てに決着を着ける。

大馬鹿者が贈る独りよがりの愛を終わらせ、家族全員で帰る。

きっと、その為に自分はこの強さを手に入れた。

 

 

──オータム、スコール。たんこぶの一つ二つで済むと思うなよ

 

 

千冬は強く拳を握り締め、特別なセッティングを済ませた機体の元へと足を進めた。

 

 

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

 

 

「一夏、マドカ。大丈夫なのか」

「ああ、大丈夫だ」

「お前が心配するとは、何かあるかもな」

「なっ! 私だって心配くらいする!」

 

軽口を叩きながら、三人は皆が待つ集合地点へ向かっていた。

軽口ではあるが、箒が二人を心配したのは本心だ。

二人から聞く夢の話は、日に日にその彩度を増して、何も知らない箒達でさえ、その夢の日々が現実だったのではないかと錯覚してしまう程に、温かさに満ち溢れていた。

 

「……本当に大丈夫なんだな?」

「ああ、さっきも千冬姉に言ったけど、今日でこの夢の正体が分かる気がする」

「根拠も無いのに、不思議なものだ。何故か確信がある」

「ふむ……」

 

二人の夢の正体、それは箒も気になるが、きっとそこは今の二人の根幹を為す場所、自分達が気軽に踏み込むべき場所ではない。

 

「二人共、一つ聞きたい。もし、夢の正体を知って、それが辛いものだとしたらどうする?」

「もしそうだとしたら、……うん、受け入れる」

「ああ、そうだな。私達は受け入れる。だが、それが辛いのではなく、悲しい失う事前提のものなら抗う。絶対に抗う」

「ああ、失わせない。絶対にだ」

「そうだな」

 

何故か、箒には嫌な予感があった。

根拠も無いが、奇怪で醜悪な怪物が自分達の見えない足下で這いずり回り、影でこちらを窺っている様な、そんな寒気を覚える感覚。

言い様の無い不快感、ひたすらに嫌な予感。

あの銀の福音の日の様な、これから最悪の事態が起こる。あの日と同じ悪寒が、箒の背を走った。

 

「……なら、私達を頼れ」

 

だが、箒は二人を止められない。

そんな嫌な予感と共に、今ここで二人を止めれば、自分達は一生後悔し、一生二人に顔を合わせられない。

そんな確信があった。

 

「分かった。頼む」

「ふん、仕方ないから頼ってやる」

「マドカ、お前はもう少し素直になれんのか?」

「お前よりマシだ」

「なんだと?!」

 

これから起こる事は、きっと今までで一番大切な事だ。

全てに決着が着き、全てが終わり、全てが始まる。

因縁の全てに終わりを告げて、二人は自分達の元へと帰ってくる。

その為には、自分達もやるべき事を成さねばならない。

 

「そうだ。これが終わったら、皆で京都観光に行かないか」

「またいきなりだな、兄さん」

「時間はあるのか?」

「あー、多分?」

「まったく、後で千冬さんに確認しておけ」

 

大丈夫、きっと全員で揃って帰れる。

箒は待機状態の紅椿をそっと握り締め、二人と並んで歩いた途中、三人を呼び止める声があった。

 

「どうも、どうも、織斑一夏さんとマドカさん、篠ノ之箒さんですか」

「はい、そうですが貴女は?」

「私、私、IS委員会から派遣されました赤染と申します」

 

初めの言葉を繰り返す変わった口調と、血の様に赤い髪の女は恭しく頭を下げ、赤染と名乗った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。