別ルート開始です。
緑谷出久は課題を出されました(プロローグ)
――――雄英高校 会議室
期末試験を終え今後の対策を話し合う雄英教師のヒーローたち。
だが、その表情は決して明るいものではない。
ヴィラン連合の台頭。それに伴って活性化し始めたヴィランたち。
そして、それらに対処しきれていないヒーローたちに対する不安から
なかにはヒーローへの不信感が強く、ヒーローをも敵視する過激な集団も存在して社会問題となっている。
会議の報告でのぼるのは悪い話題ばかりだ。
そんな中、トップヒーローであるオールマイトは一つの提案を投げかけた。
「今こそヒーローが団結するときだ。事務所の垣根を越えて協力できるようになっていなければ、集団で動き始めたヴィランたちに対抗できない」
「その通りだね。そのための顔つなぎを出来るのは多くのヒーローのOBがいる我々学校だろう」
「それならば、OB・OGたちに声をかけるだけでなく、学校同士の連携も必要でしょう」
オールマイトの発言をきっかけに、雄英高校を中心としたヒーロー同士の協力体制を作り上げることが決まる。
これにより、ヒーローたちは協力体制を作ることで今まで以上にヴィランたちと戦うことができるようになっていく。
だが、一つに集まろうとするのはヒーロー側だけの動きではなかった。
――――某所 ヴィラン連合 アジト
「それじゃァ、今後の我々の栄光とかわらぬ友好を願って……」
死柄木の音頭でグラスを掲げる者たち。
ヤクザ、マフィア、闇ブローカーに窃盗団、闇金、殺し屋etc……
多種多様なヴィラン組織・犯罪組織の長達がここに集まっていた。
ヴィラン連合を核とした闇組織間の不可侵協定・相互協力協定がここに結ばれたのだ。
お互いの利害が一致するためだけに結ばれた砂の城のような関係だが、それでも悪は一つに束ねられたのだ。
いままでにない巨悪の組織の誕生。
これにより、ヒーローたちはさらに苦しい立場に追い込まれていく。
「フフッ、弔はうまくやったようだね」
隠しカメラで死柄木の様子を見ていた“先生”は、モニターに映るその姿を満足そうに見ていた。
自分勝手だった教え子が他者を引き込み、自分の力として利用する術を覚えたことは上々の成果であった。
「なら、次はキミの番だね。骸無」
「……はい」
そばに仕える骸無に振り向き、声をかける。
口調は穏やかながら、その言葉には叱責する意思が込められていて骸無は思わず震える。
先日も自分が任務を果たせていないことを責められたばかりなのだ。
これ以上、失点は許されない。
「なぁ、君は誰だ?」
「はっ……はい?」
覚悟を決めて〝先生”の言葉を待っていた骸無はどこかの認知症の老人のようなセリフを投げかけられて思わず面食らう。
驚く骸無の返事を待たずに“先生”は言葉を続けた。
「君は自分が何者なのか定まっていない。先日君が仕留め損ねた
出来の悪い生徒に優しく説明するように〝先生”は語る。
「君が何者なのか定まらない理由はね、君の中に迷いがあるからだ。いまだにヒーローに憧れる“緑谷出久”を捨てきれていない」
違うかい? と、尋ねる“先生”の言葉に表情が固くなる骸無。
両目を失ったその異形の顔は、光の代わりに人の心を見透かしているようで恐ろしく感じられた。
「無邪気にヒーローに憧れ、
だが、いい加減気づくべきだ。そんなモノは君を救ってくれないのだと」
救われなかった。救ってくれなかった。だから君はここにいる。
ヤツらのいう〝正義”は君を苦しめるばかりで、なんら救いにはならなかった。
その言葉を骸無は否定できない。緑谷出久が苦しんだ10年間は事実なのだから。
「君はヤツらの言う“正義”や〝希望”なんていうタチの悪い病原菌に感染しているんだよ。だが、そのままでじゃあ、ただただ苦しみ続けるだけだ」
「“先生”……ボクは、どうすれば?」
縋りつくように言葉を発する骸無に“先生”は口角をあげて微笑み、告げる。
「簡単だ。“緑谷出久”であることに未練を感じているのなら、その未練をなくしてしまえばいい」
善良なる“緑谷出久”を壊しつくせ、と。
「さぁ、君の手で、“緑谷出久”が一番大切にしていたモノを壊してくるんだ。
そうすれば、君はもう嘘まみれの“正義”とやらの誘惑に負けることはなくなるだろう」
裏社会の魔王はそう言って骸無を手招きして誘っている。
不穏な感じで始まりました。
いやあ、久しぶり過ぎて全然筆が進みませんでしたよ(泣)
次、本編です。