私は“先生”にその科学力を認められて、研究員となってから毎日が発見の連続だ。
噂には聞いていたが、“個性を奪い・与える個性”が実在するとは!
だが、普通の人間の何倍もの時を生きてきた“先生”ですら、『個性』には謎が残っている。
私は、“先生”のもとで行った実験が、今後の『個性』研究の助けとなることを願い、ここに書き記すものである。
『個性付与実験について』
この実験の目的は2つ。
1.“先生”の個性付与の際の負荷を減らすメカニズムを見つけること。
2.対ヒーロー用の改造人間の改良。
以上である。
1.に関して、“先生”による個性の付与は、場合によっては与えられた対象が負荷に耐えられず、物言わぬ人形のような廃人となることがある。
この事実は、“先生”の後継者である“S”が、“先生”のすべてを引き継ぐことになった際に懸念される問題の一つだ。せっかく育て上げた後継者を、“先生”自らの手で壊させるわけにはいかない。
2.に関して、先にあげた問題と関わってくるのだが、現在造られている対ヒーロー用の改人“
これにより、並の人間には対抗できないほどの戦闘能力を身に着けた反面、思考力が極端に低下。
命令がなければ動くことも不可能な人形と成り果てた。
戦闘訓練と経験を積んだヒーローによる連携や戦術に対応できるほどの知能がなければ、“脳無”は容易く討ち取られるだろう。特にトップヒーローと呼ばれる者たちが相手ならば、身体能力のスペックだけで圧倒できるようにするにはコストの面で現実的ではない。
つまり、新しい改人のコンセプトは「戦闘能力と思考力の両立」である。
最終目的の個性付与の際のリスク削減のためのデータ採取。それが実験の主旨であるわけだ。
既に第一次から第三次実験まで終了しており、もともと個性を持っていたチンピラを実験体として、最後には“脳無”の素体とした。
今回の第四次実験からは『無個性』を対象に行う、個性付与の負荷耐久実験だ。
個性を与える・奪うを繰り返し、どの程度で廃人となるかデータを採るのだ。
数の少ない『無個性』の人間を探して連れてくるのが手間ではあるが、まぁ、『無個性』の人間など今の社会では役立たず扱いだ。
いなくなったところでまともに取り扱われることもあるまい。
しかし、この実験には“先生”曰く、もう一つの目的があるとのことだが……
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『被検体No.B004 実験記録』
無個性実験第四番被検体について。
コードNo.B004 被検体名「緑谷出久」14歳
一回目 “風を操る個性”付与。 ――――被検体、心理的動揺が見られるも身体・意識共に正常。
二回目 “筋力増強個性”付与。 ――――身体・意識ともに異常なし。
三回目――――――――
―――――――
58回目の実験 被検体、体力の消耗が見られるものの身体・意識は正常な数値を示している。
驚くべき結果だ。
これを持って、“先生”により、実験の中止が言い渡される。
被検体No.B004は、特殊な個体らしい。“先生”自らがお調べになるとのことだ。
どのような結果がでるのか楽しみだ。
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まさかまさかまさか!
こんなことがあるとは!!
やはり『個性』の研究はいまだ未知数だ。
まさか他人から『個性』を
“先生”によれば過去にもそのような事例があったらしい。
この『無個性』への実験には、そうした「個性を持っているが、本人が気づいていない、もしくは意味のない個性」を見つける目的もあったのだという。
過去の事例では、『個性』を与えられたことで強力な『個性』が発現したという。
柳の下の泥鰌という言葉があるが、“先生”にはそれを狙って引き当てるほどの強運を持っていたということだろう。
……興奮しすぎて、本題からそれてしまった。
『無個性』であると思われていた被検体No.B004が持っていた『個性』は、「個性を引き受ける個性」という。
まさに“先生”がいなければ、意味のない個性だ。
この『個性』の持ち主が我々のもとに来てくれたというのは、なんという幸運だろう。
この結果より、被検体No.B004を「次期対ヒーロー用改造人間素体」に選出。
コードナンバーをNo.B004から、No.G01と変更した。
科学のさらなる発展のため、また、“先生”の栄光のために、今夜は祝杯をあげよう。
というわけで、緑谷出久がどうして狙われて、どんなことをされたのかの一幕でした。
オリ個性を原作主人公につけちゃったけど、問題ないよね?
次回は雄英体育会編です。
エンデヴァーが吐血するぞ! お楽しみに!
活動報告を更新しました。よければ見てください。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=135652&uid=28246