グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
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 それでもOKという方は、よろしくお願いします。


第101話 グリモワール魔法祭

体育館、良介は赤ずきんのコスプレをした風子に事情を説明していた。

 

「様子がおかしかった、とはどーゆーことです?」

 

「何かに気付いたような感じだったな。」

 

「なにかに気付いた・・・まさか、自分から怪しい連中に近づいてったんじゃ・・・アンタさんたち、脅迫文のことはきーてますよね?

げーのーかいでは日常茶飯事のことみてーですが・・・こーなったら全力で捜索です。

白藤 香ノ葉にも協力をあおいでくだせー。」

 

「香ノ葉か?

あいつ、学外警備のはずだが・・・」

 

すると、虎千代がやってきた。

 

「そろそろ観客がヒートアップしてきてるな。

スタッフも慌てだした。

宍戸たちに連絡を取ったが、学園外には出ていないそうだ。

どこかにいる。」

 

良介は顎に手をやった。

 

「念のため、人気のないところを重点的に探そうか。」

 

風子は良介の発言に無言で頷くと、虎千代に尋ねた。

 

「あ、そーだ。

白藤 香ノ葉はどこの警備でしたっけ?」

 

「白藤?

ちょっと待て・・・」

 

虎千代はデバイスで調べ始めた。

 

「確かバス停じゃなかったか?」

 

良介の言葉に虎千代はデバイスを見ながら頷いた。

 

「ああ、バス停だな。

学園側の。」

 

「よく知ってましたね良介さん。

それじゃ、彼女にもあとで協力よーせーを。

精霊さん達に活躍してもらいましょ。」

 

「後は・・・生徒会、風紀委員を総動員すれば・・・いや、ヤツに頼むか・・・よし、捜索は良介、水無月、お前たちに任せる。

アタシはこちらをどうにかしよう。」

 

「わかりました。

どーにかしてくだせー。

暴れだしたら手が付けられねーんで。」

 

風子は先に捜索に向かった。

 

「もう開演時間を過ぎているからな。

脅迫文のことが噂になり始めてるぞ。」

 

「そんなに広まってるんですか?」

 

そこに自由がやってきた。

 

「い、今のなんすかっ!?

鬼の風紀委員長が、あ、赤ずきん・・・!

やっべ!

すんげー睨まれて怖かったっすけど、激写しなきゃ!

ククク、アレは弱みっすよ!

弱み!

あのエラそーな態度は今日で終わり・・・あれ?

なんか深刻そーですね。

なんでライブ始まってないんです?

あ、もしかして例の脅迫文・・・」

 

「お前、知ってるのか?」

 

「事務所の話では、書きこまれてすぐに消したそうだが。」

 

「1度ネットに上がったものは、ずっと残るっすよ。

スクショとられて、通報されたり肴になったり・・・」

 

「つまり、会場のファンは、みんな知ってるということか・・・」

 

良介はため息をついた。

 

「まぁ・・・絢香ちゃんのファンなら知ってるっしょ。

自分が知ってるんだし。」

 

「それはまいったな・・・生半可なことでは納得しなそうだぞ。」

 

虎千代は頭に手をやった。

 

「なぁ、ところで誠知らねぇか?」

 

良介は自由に尋ねた。

 

「誠先輩っすか?

さっき保健室に担ぎ込まれてましたよ。

白目剥いてましたし。

噂では調理室で智花先輩の作った焼きそば食べたとか・・・」

 

「何やってんだ、あのバカ・・・」

 

良介は大きくため息をつきながら、捜索に向かった。

 

   ***

 

体育館、姫たち3人が虎千代から事情を聞いていた。

 

「なるほど。

皇さんが・・・では、私たちも探しましょうか。」

 

「こっちも手を借りたいんだ。

小鳥遊に聞いたが、脅迫文が出回ってるらしい。

それで観客の熱量が高くてな・・・」

 

「ふむ・・・では、私におまかせください。」

 

「おおっ!

姫殿には何か妙案がおありですか。」

 

「ロクでもなさそー・・・」

 

刀子は期待に満ちた目で姫を見ていたが、自由は嫌な予感がしていた。

 

「明日にやる予定だったお芝居、今からご覧いただきましょう。」

 

「ん?」

 

「ゲッ!」

 

「な、なんとっ!?」

 

自由と刀子は驚いた。

 

「なんだ、お前たちも・・・確かに、プログラムに組まれているな。」

 

虎千代はプログラム表を見て、確認した。

 

「だ、ダメっすよお嬢!

ただでさえアレなのに、タイミングまで悪いと・・・!」

 

「しかり!

そも、姫殿の御芝居を場繋ぎの慰みものにするなど・・・!」

 

自由と刀子は姫を止めようとした。

 

「お黙りなさい。

これも我ら、人を率いる野薔薇の務め。

いらした方々には学園祭を楽しんでもらわねばなりません。

この野薔薇 姫が!

目の前の問題から逃げるわけにはいきません!

完璧に場を繋いで見せましょう!」

 

「いや、それはやはりやめた方が・・・」

 

虎千代も姫を止めようとした。

 

「私を止めるのであれば、一刻も早く皇さんを見つけてくださいまし!」

 

「む・・・しかたない。」

 

「あーっ。

もーちょっと熱心に止めてくださいよぉ~っ!」

 

「ひ、姫殿!

そこまでの覚悟がおありですか!」

 

「やらいでか!

自由、刀子!

すぐにバラを用意しますよ!

会長さん。

1点、魔法の使用許可をくださいまし。」

 

「くれぐれも観客を傷つけるなよ。」

 

「ただバラのつぼみを咲かせるだけですわ。

ご心配無用です。

ただし、それには良介さんの魔力が不可欠・・・少しお借りしたいのですが・・・」

 

「よし、わかった。

今から良介を呼び出す。」

 

「さあ、2人とも!

用意していたバラの鉢植えを持ってきますよ。」

 

「御意に!」

 

「げ、げぇ~っ。」

 

3人が準備を始めると、虎千代はデバイスを取り出し、電話をかけた。

 

   ***

 

姫たち3人は芝居の準備をしていた。

 

「姫殿!

バラの鉢植えの設置が終わりました!」

 

「こっちもいいっすよ・・・本当にやるんです?」

 

「結構!

では2人とも、休んでいてください。

後は私が完璧に仕上げますので!」

 

「いや、そういうわけにもいかんでしょ。」

 

「観客の怒りがいつ爆発するかわかりませぬゆえ・・・拙者がお側に侍り、なにかあれば一刀両断にしてみせましょうぞ!」

 

「お、おいおい。

そういうのは困るぞ。」

 

虎千代は心配そうにしていた。

 

「2人とも・・・気持ちは受け取りました!

では、3人で赴きましょう!」

 

「えっ!?

刀子先輩だけじゃないんすか!?

自分、一言も・・・」

 

そう言っている間に、上演の時間になった。

 

「何も心配いりませんわ。

お任せください!

本来なら咲く季節の異なる数種類のバラ・・・それを魔法で同時に咲かせます。

自然な咲かせ方ではないので、バラには負担をかけますが・・・これで、皆様の心が少しでも落ち着けば、まずはよし!

ただし、薔薇を一気に咲かせる魔力は私にはありません・・・ですから!」

 

姫は、先ほど戻ってきたばかりの良介の方を向いた。

 

「お願いしますよ、良介さん。」

 

「話は聞いたが・・・本気みたいだな。

仕方ない、わかったよ。」

 

良介はため息をついた。

 

「しかたないっすねー。

お嬢だけさらし者になったら本家に殺されそうだし・・・」

 

「曲者が現れた時のために、速やかに退場するルートを調べておかねば・・・」

 

「2人とも!

失敗を前提にしないように!」

 

「ですが、アイドルのファンにウケる内容じゃありませんし・・・」

 

「バラはよいものです!」

 

「は、はぁ・・・」

 

良介は姫に魔力を渡すと、虎千代のところにやってきた。

 

「野薔薇には悪いことをしてしまった。」

 

「けど、なにもせずに時間が過ぎることは避けられたのでよしとしましょう。」

 

「そうだな・・・よし。

アタシも皇捜索に向かう。

良介、お前も行ってくれ。」

 

「わかりました。

けど、すぐに見つかりますかね?」

 

「なに、すぐに見つかるさ。

白藤と・・・あいつにも頼んだからな。」

 

「あいつ・・・?」

 

良介は不思議そうに虎千代を見ていた。

 

   ***

 

少し経って良介は廊下を歩いて絢香を探していた。

 

「さて、絢香はどこに行ったのやら・・・」

 

すると、そこに顔色の悪い誠がやってきた。

 

「よ、よう・・・絢香、探してるんだってな。

俺も探すぜ。」

 

「お前・・・大丈夫なのか?」

 

「へ、へへ・・・大丈夫だ。

少し眩暈と吐き気と腹痛があるだけだ。」

 

「十分ダメじゃねえか。

休んでろよ。」

 

「そうは言われても・・・俺、保健室から抜け出してきたから、戻ったら何言われるか・・・」

 

「ったく、仕方ねえな。

わかったよ。

ただし、俺から離れるなよ。

後、俺がこれ以上無理だと判断したら力づくでも保健室に戻ってもらうからな。」

 

「お、おう・・・安心しろよ。

全て終わったらすぐに戻るからよ・・・」

 

「さて、人気がないところってどこがあったか・・・」

 

良介は考えていると何かに気付いた。

 

「なあ、誠。

屋上って今、立入禁止になってたよな?」

 

「え・・・?

あ、ああ。

魔法祭中は危ねえから立入禁止になってるな。」

 

すると、良介は手を叩いた。

 

「そうか!

俺としたことが盲点だった!

人気がないところばっかり探していたが、立入禁止の場所のこと忘れてた!」

 

そう言うと、良介は屋上に走って向かっていった。

 

「り、良介・・・ちょ、待って・・・ハウッ!

は、腹が・・・」

 

誠は顔を青白くさせ、腹を抑えながら良介の後を追いかけた。

その頃、虎千代は絢香を探して掲示板前に来ていた。

 

「もし動き回ってるなら、すぐに見つかるはずだが・・・ということは、動いていないのか?

やはり捕まってるんだろうか・・・」

 

すると、虎千代のデバイスが鳴った。

 

「ん、アタシだ・・・なに?

わかった。

すまん、遊佐。」

 

虎千代はデバイスを直した。

 

「場所はわかったが踏み込むな、とは・・・どういうことだ?」

 

虎千代は首を捻っていると、またデバイスが鳴った。

 

「もしもし、白藤か・・・ああ。

ふむ。

なるほど。

協力感謝する。」

 

虎千代はデバイスの電話を切った。

 

「なるほど。」

 

すると、虎千代は誰かに電話をかけた。

 

「ああ、ロカ。

実は見つかってな・・・うん。

お前の言ってる場所と同じだ。

問題は踏み込む人員だが・・・アタシや水無月はダメだな。

ん?

もう向かっている生徒がいるのか?

じゃあ、任せてみるか。」

 

虎千代はデバイスを切った。

 

   ***

 

良介は屋上にやってきた。

 

「よし、着いた。

あれ?

誠、まだ来てないのか?

まあ、いいか。

で、絢香はっと・・・」

 

良介は屋上を見渡した。

 

「しーっ!

しーっ!」

 

そこに子供と一緒にいる絢香がいた。

 

「絢香!

ったく、何やってるんだこんなとこで。

みんな探してるんだぞ?

ていうか、その子供どうしたんだ?」

 

「あ、や、やっぱり探してるよね・・・謝んなきゃなぁ。」

 

「その子供、寝てるのか?」

 

子供は絢香の膝の上で寝ていた。

 

「うん。

誰かがこの鍵、閉め忘れたみたいで。

それでドアが開放されてた時に、迷子になったこの子が入り込んじゃったの。

で、ドアが閉まって、ノブに手が届かないから締め出されて・・・泣き声が聞こえたから、あたしがね。」

 

そこに、いつの間にか虎千代が来ていた。

 

「慰めてたら寝てしまって、身動きが取れなくなっていたのか。

誰かに連絡をくれればいいものを。」

 

「すいません。

デバイスの充電が切れて・・・それに・・・えっと、その、母親から離れて凄く寂しがってるんです。

あたしが来て安心しきってた・・・もし起きた時にあたしがいなかったら・・・」

 

今度は風子がやってきた。

 

「母親、特定しました。」

 

「あっ・・・あの、お願いがあって・・・この子、あまり怒らないであげてください。

親に黙っていなくなったこと、とっても後悔してるんです。

悪いことをしたって知られたら、親に怒られるからって。」

 

「そもそも屋上に入れたのがこちらの手落ちです。

その子は悪いことしてやしません。

さ、親が来ます。

子供はウチらに任せて、アンタさんは行ってくだせー。」

 

良介は風子に聞いた。

 

「風子、会場は今どうなってるんだ?」

 

「野薔薇のお嬢さんが、お客さんの怒りを肩代わりしてます。

その子はもう大丈夫。

今度は彼女らを助けてやってくだせー。」

 

「はい!」

 

すると、そこに顔を真っ白にさせた誠がやってきた。

 

「ぶ・・・無事に・・・見つかった・・・みたいだな・・・」

 

「ま、誠・・・大丈夫か?」

 

虎千代が心配そうに駆け寄った。

 

「だ、大丈夫ですよ・・・眩暈と吐き気と腹痛があるだけ・・・ですから・・・」

 

「誠さん、なんか白粉つけたみてーになってますが。

本当に大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫なわけねーだろ。

智花の料理食って、保健室に担ぎ込まれたんだから。

しかも、そこから抜け出してきてるわけだし。」

 

良介の話を聞いて、風子はため息をついた。

 

「もー、仕方ねー人ですね。」

 

「まったくだ。

仕方ない、アタシが保健室に連れて行くとしよう。」

 

虎千代は誠に肩を貸した。

 

「ハウッ!

あ、あの会長・・・あまり・・・急に動かさないで・・・腹が・・・」

 

「本当に大丈夫か?」

 

虎千代は心配そうに誠を見た。

良介は絢香の方を向いた。

 

「さあ、会場に行こうか。」

 

「あはは・・・はい!」

 

絢香は引き気味に笑った。

その頃、体育館では罵声が飛び交っていた。

姫は肩を落としていた。

 

「な、なんという罵言雑言。

ヤツら鬼畜か。」

 

「お嬢、お嬢。

まともに聞かない方がいいっすよ!

そもそもお嬢の舞台と客の好みが違う上に、もともと怒ってる人らですから!」

 

「もちろん、わかっておりますよ。

しかし、Magic☆Starのメンバーの方でも抑えきれないとは・・・」

 

「マジスタはよくも悪くも、絢香ちゃん人気が大きいですからね。

魔法使いって点が1番の注目ポイントなんで、他の子はどうしても・・・」

 

「このまま芝居を続けても得るものはなさそうですが・・・いかがしますか?」

 

「やり遂げねばならないでしょう。

得る得ないの問題ではありません。」

 

すると、そこに良介がやってきた。

 

「悪い、ようやく到着だ!

絢香、客の温度感高いから注意しろよ!」

 

衣装に着替えた絢香が舞台に上がった。

 

「みんな!

遅れてごめんなさい!

でももう大丈夫!

待たせちゃった分、楽しんでいってね!」

 

「皇さん・・・」

 

「あ、あの無礼者!

我らに一言もなく始めるつもりか!」

 

「わーっ!

ダメです刀子先輩!

これで自分ら、許されるんですから!」

 

「そういうことだ。

ほら、退散するぞ。」

 

良介は姫たちを連れて退散した。

 

「Magic☆Starの魔法祭特別ライブ!

1曲目、スタートの合図、行っくよーっ!」

 

こうして絢香のライブが始まった。

 

   ***

 

少し経って、生徒会室。

虎千代と風子と良介がいた。

 

「ふぅ・・・なんとか、無事に終わりそうだな。

一時はヒヤヒヤしたが。」

 

「結局、脅迫文は悪戯だったってことですか。

なんともお騒がせな・・・こんなのがよくあるなんて、げーのーかい怖いですね。」

 

「お騒がせといえば・・・会長、誠はどうなりました?」

 

「ああ、無事保健室に連れていけたが、椎名にかなり怒られていたぞ。

今日一日、絶対安静だそうだ。」

 

「そうですか・・・はぁ、普通のクエストよりも疲れた気がするな。」

 

「そですね。

あ、良介さん、約束覚えてます?」

 

「ああ、覚えてるよ。

まさかと思うが・・・その服のまま行く気か?」

 

良介は風子の赤ずきんの服を見た

 

「見回りがてら、ですからね。

そいじゃ、行きましょうか。」

 

風子は良介と一緒に行こうとしたが、虎千代が呼び止めた。

 

「ああ、そうだ。

実は気になる警備依頼が来てな。」

 

2人は止まると良介が答えた。

 

「その依頼、年末の歌謡フェスのことですか。」

 

すると、風子は嫌そうな顔をした。

 

「まさか、これにも脅迫文が?」

 

「本当怖いな・・・芸能界。」

 

良介は引き気味に笑った。

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