グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
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 それでもOKという方は、よろしくお願いします。


第102話 もうひと頑張り

11月某日、学園の校門前。

良介と聖奈がいた。

 

「うーむ・・・なぜ私が選出されたのか・・・」

 

「おいおい、せっかくの機会なんだ。

むしろ喜んだらどうだ?

この公演を観たかったって言ってる奴も結構いるんだぞ?」

 

「だからこそだ。

私はあまり芝居には興味がないからな。

できれば、希望をしている者を選出したほうが良かったのではないかと思っているぐらいだ。」

 

「そればかりは執行部のやることだから、俺たちからはとやかく言ったところで仕方ないと思うけどな。

もしかしたらだが、興味のない聖奈だからこそ選ばれたんじゃないのか?

警備をしながら、観劇も許可されてるし。」

 

「あぁ。

教養の一環として観てこいとのことだな。

だが、あくまで我々の仕事は警備だ。

ながら作業では集中できん。」

 

「今回は民間警備会社も入ってるから、そこまで気張る必要は・・・」

 

良介の言葉を聞いて、聖奈は良介を一喝した。

 

「何を言っている!

任された以上はきちんとこなさなければならない。

今回同行するメンバーにもきちんとその旨は伝える。

無論、貴様もだぞ。」

 

「そんなぎちぎちに固めても・・・」

 

「仕事さえきっちりこなしてくれれば私は何も言わん。

よし、行くぞ。」

 

聖奈は先に行ってしまった。

 

「はぁ・・・今回、萌木がいるのに・・・劇団のこと調べたりして一番楽しみにしてたのに・・・大丈夫かなぁ・・・おまけに龍季もいるし。

なんとかなるといいけど。」

 

良介も聖奈の後を追いかけた。

少し歩いたところで、聖奈はあることに気付いた。

 

「良介、誠はどうした?

あいつも選出されていたはずだが・・・」

 

「誠は魔法祭の時の腹痛がまだ治ってないから辞退したぞ。

智花の料理を食ったから当然だな。」

 

「それは・・・仕方ないな。」

 

聖奈は納得した。

 

   ***

 

良介たちは劇場に到着した。

 

「うわぁ~!

大きな劇場ですねぇ。

お席もたっくさんありますぅ~!

シロー、始まったら静かにしていてくださいねぇ。」

 

さらがそう言うと、シロー小さく鳴いて返事した。

龍季は何も言わずにその様子を見ていた。

 

「うぅぅ・・・緊張してきたぁ・・・!

あ、あの人もしかしてヒロイン役の・・・!」

 

萌木は少し興奮していた。

 

「あの様子、相当楽しみにしていたみたいだな・・・」

 

良介は萌木の様子を見て、苦笑した。

 

「さて、全員いるな。

これからクエストの内容を説明するぞ。

我々の任務はこの劇場内の警備だ。

各自、公演を観ることも許可されているが、第一の仕事は警備だ。

入口側の担当は民間警備会社が担っている。

公演中に大きなトラブルは起きないとは思うが、気を抜かないように。」

 

萌木はずっと劇場の舞台の方を見ていた。

そんな萌木にさらが話しかけた。

 

「もえぎさん、嬉しそうですねぇ。」

 

「じ、実はこの公演ずっと観たかったの!

でも倍率もすごいし・・・チケット取れないだろうなって思ってて、だから・・・」

 

すると、聖奈が萌木に話しかけた。

 

「霧塚。

先ほど言ったように今回は・・・」

 

「はい!

警備もちゃんとします!

警備して、観ます!」

 

「あ、あぁ。

よろしく頼むぞ。」

 

聖奈は少し引いていた。

 

「んじゃ、とっとと担当の場所行こうぜ。

さらと俺はあっちだな。」

 

龍季が先に行こうとすると、聖奈が注意した。

 

「サボるなよ。

私が見ているぞ。」

 

「けっ。

こっち見てばっかだとテメーが叱られるぜ。」

 

「たつきさんは大丈夫ですよぅ!

さぼったりしません!」

 

「仲月も劇に見とれるなよ。」

 

「はいぃ!

ちゃんとけいびしますよぉ!」

 

「おい、いつまでもダベってたってしゃーねーだろ。

俺はもう行くぜ。」

 

「では各自担当につけ。

開幕から閉幕まで目を光らせろ。」

 

「ようやくか・・・じゃ、行くかね。」

 

良介たちはそれぞれ担当の場所に向かった。

 

   ***

 

良介は歩きながら警備をしていた。

 

「はぁ・・・何の異常もなし。

これ、警備必要か?」

 

良介は黙って舞台の方を見た。

 

「(・・・オペラ座の怪人。

醜く生まれたせいで誰からも愛されなかった怪人が、惚れたコーラスガールを舞台の主役にしたいが為に悪さをする話・・・か。)」

 

良介は劇のあらすじを頭の中で思い浮かべると思わず鼻で笑った。

 

「(やれやれ、演劇好きだった父さんによく連れ回された影響かな。

こうも鮮明に内容を覚えているとは・・・。)」

 

良介はそのまま歩いていると、聖奈のところにやってきた。

 

「なんだ、良介。

持ち場はどうした。」

 

「ああ、扉のところに3人も必要はないみたいだったんでな。

歩いて見回りをしてるんだよ。

聖奈は?」

 

「私はずっとこうしている。

案内以外何もない。

平和なものだ。」

 

「芝居は観てないのか?」

 

「ああ、私はあまり観てはいない。

観客から目を離すのが心配でな。

ただでさえ暗いだろう。

何かしようと思えば簡単に・・・一般市民を疑うのは良くないが、念には念を入れておきたくてな。

それに、芝居を観てしまうと警備を忘れてしまいそうなんだ。

自制だよ。

自制。

素晴らしい芝居だというのは分かっているさ。

だが、仕事は仕事だ。

そういう良介は観ないのか?」

 

聖奈の質問に良介は遠い目をしながら舞台を見た。

 

「俺は・・・もう見飽きたからな。」

 

「見飽きた?」

 

「ああ、俺の父さんが演劇好きだったんだ。

オペラ座の怪人は序の口。

シカゴ、ライオン・キング、キャッツ、レ・ミゼラブル・・・有名な奴は嫌って言うほど一緒に観に行かされたよ。

少しマニアックなものならブック・オブ・モルモンとか、キンキーブーツとかマチルダかな?」

 

「す、凄いな・・・本当の演劇好きだな。」

 

「ああ、それを観に行くだけならまだしも、DVDまで持ってたからな。

本当、どんだけ好きなんだって話だ。」

 

「確かにそうだな・・・ところで、先ほどから霧塚が持ち場にいないのだが、知っているか?」

 

「萌木が・・・?

あいつ、もしかしてだが・・・」

 

良介は萌木を探しに歩き始めた。

 

   ***

 

良介は舞台のすぐ近くにいる萌木を見つけた。

 

「おい、萌木・・・」

 

「り、良介さん・・・!

あの、その、えっと大変なんです・・・!」

 

「何が大変なのか知らんが、お前持ち場はどうしたんだ?」

 

「ふぇ・・・?

持ち場・・・?」

 

萌木はキョトンとしたが、すぐに気が付いた。

 

「ご、ごめんなさい。

舞台を見ていたらどうしても気になることがあって・・・でも良く見えないから舞台の近くまできちゃって、あの・・・えぇと・・・」

 

「なんだよ、気になることって・・・」

 

「はっ!

違うんです!

良介さん、早く伝えないと!

関係者の方を探しているんですけど、さっきから見つからなくて・・・!」

 

「関係者?

関係者なら・・・」

 

すると、聖奈がやってきた。

 

「どうした霧塚。

持ち場から離れるなど・・・」

 

「結城さん!

あの舞台装置、様子がおかしいんです!

良く見るとぐらついていて・・・このままだと倒れちゃいます!」

 

「なに?

どこがだ?」

 

「あそこです!

あのシャンデリアがあるちょうど下の右壁です!」

 

萌木が指差した所を、聖奈は目を凝らしながら見た。

 

「たしかに。

だが目を凝らさないと見えないが・・・至急、関係者へ伝えてくる。

霧塚と良介は持ち場に戻っていろ。」

 

「で、でも・・・」

 

「公演が一時中断になるかもしれんからな。

案内はきっちり頼むぞ。」

 

そう言うと、聖奈は行ってしまった。

 

「舞台の事故は、装置の些細な緩みとかでも起こるからな。

そういうのが原因の舞台での事故って結構多いらしいからな。」

 

「よ、よく知ってますね。

私はいろんな記事を目にして知ったんですけど・・・」

 

「俺は・・・父さんが演劇好きだったから。

色々聞かしてもらったんだよ。」

 

「そうなんですか・・・」

 

「さて、どうなることやら・・・」

 

良介は心配そうに聖奈の後ろ姿を見ていた。

少しして聖奈が帰ってきた。

 

「お、帰ってきたか。

どうなった?」

 

「あ、あぁ、良介か・・・いや、舞台装置についてスタッフと話したのだが・・・」

 

すると、何故か龍季がやってきた。

 

「なんだよ、急に呼び出して。

さらを1人にしちまってるんだが・・・」

 

「朝比奈、一時、お前に監督の権限を移す。」

 

「はぁ?

どーいうことだよ。」

 

「わ、私はしばらくここを離れなければならん。

会長命令だ。」

 

「会長命令?

なにがあったんだ?

不審な工作の点でもあったか?」

 

「違う。

そこは心配するな。

ただ・・・ただ、私が・・・舞台に上がるだけだ・・・」

 

「はぁ?

聖奈が?

何するんだよ。」

 

良介は驚いていた。

 

「魔法を使えば、公演を止めず、音も立てずに補強ができる。

私がセットに強化魔法をかけなければならん。」

 

「ここからじゃ無理なのか?」

 

「それでは魔法の軌跡が見えるだろう。

近づいて、直接触れねばならん。

霧塚。

お前が舞台に上がってもいいんだぞ。

やるか?」

 

「い、いえっ。

そんな・・・わ、わたし、多分気絶しちゃうから・・・」

 

「そうか・・・できれば任せたかったが・・・し、仕方ない。

衣装を着てくる。

お前たち、任せたぞ。」

 

そう言うと、聖奈は行ってしまった。

良介は聖奈の様子を見て、呟いた。

 

「喜んでるな・・・あれは。」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「あーもーちくしょ、見る範囲が増えるじゃねぇか・・・」

 

龍季は愚痴を言っていた。

 

「あ、で、ではわたしは・・・」

 

持ち場に戻ろうとした萌木を、良介は呼び止めた。

 

「待て、萌木。

お前はここにいろ。

聖奈は素人だ。

何するかわからん。

ここで見張るぞ。」

 

「わ、わかりました。

すぐに対応できるように待機しておきます。」

 

「さあ、どうなるかなぁ・・・」

 

良介は不安そうに舞台を見ていた。

 

   ***

 

少し経って、聖奈が帰ってきた。

 

「霧塚、良くやったぞ。

お前のおかげで、事故を未然に防ぐことが出来た。」

 

「わ、わたしは何も・・・舞台に見惚れてたら装置に違和感をおぼえただけで・・・それに、舞台装置を直したのは結城さんですよ!

中断することもなくさささっと補強しちゃうなんて・・・すごいです!」

 

「いや、あれはスタッフの誘導があったからであって・・・あ、あんな大量のフリルがついたドレスだとは思わなかったが・・・」

 

「確かに・・・中々豪華なドレスを着てたよな。」

 

良介はニヤニヤしていた。

 

「な、何をニヤニヤしてるんだ!」

 

「いやぁ、綺麗だったなと思ってな。

写真でも撮っとくべきだったかな?」

 

「勘弁してくれ・・・」

 

すると、龍季がやってきた。

 

「もう客が帰り始めてるぞ。

いつまでもダベってんじゃねぇよ。」

 

「まさかお前にそんな注意を受ける日が来るとはな。」

 

「浮かれてっからそうなるんだ。」

 

「う、浮かれてる!?

誰がだ!」

 

「誰だと思うよ・・・ちなみに言ってたのは良介だぜ。」

 

「な、何だと!

おい、良介!」

 

「実際、喜んでたじゃないか。」

 

「う・・・」

 

良介の言葉に聖奈は反論できなかった。

 

「さっさと働け。

まだ監督権は俺にあんだぜ。」

 

龍季の言葉を聞いて、聖奈はため息をついた。

 

「せっかくだ。

最後まで監督をまっとうしろ。

残りの仕事の確認をするぞ。

観客が全員帰り次第もう1度劇場内の見回りをして、我々の警備も終了だ。」

 

「はい。

お客様が完全に出るまでもう少し時間がかかりそうですね。

今回のクエストを請けられて良かったです。

またこういう機会があれば・・・」

 

「今回は特別に観劇の許可がされていたからな。

こういったことは、今後ないかもしれん。

だが・・・たまには、こういうクエストも刺激があって良いものだな。

さぁ、もうひと頑張りだ。」

 

聖奈は見回りに向かった。

 

「さて、俺たちも見回りに・・・ん?」

 

良介は見回りに向かおうとしたが、萌木の方を見て止まった。

 

「ふふ。

本当にお姫様みたい・・・」

 

「萌木?

一体何を見て・・・」

 

良介はデバイスを笑みを浮かべている萌木のところに来て、デバイスを覗いた。

そこにはドレスを着た聖奈が写っていた。

 

「おい・・・これ・・・」

 

「ひゃっ・・・!

良介さん・・・見ました・・・?」

 

「それ、聖奈・・・だよな?」

 

「だ、だってあまりにも綺麗だったから・・・」

 

「いつ撮ったんだ?」

 

「楽屋で着替えているときにぱしゃっと・・・」

 

すると、さらがやってきた。

 

「うわぁ~!

もえぎさん、そのお写真・・・さっきのせなさんですねぇ~!」

 

「わ!

さ、さらちゃん・・・!」

 

「やっぱり素敵ですぅ~!

わたしもそのお写真ほしいですぅ!」

 

「あ、じゃあ後でデバイスで送っておくね。」

 

「ありがとうございますぅ。

散歩部のみんなにも見せてあげますぅ♪」

 

龍季はその様子を見ていた。

 

「ま、いいや。」

 

「いいのかよ。

まぁ、本人にバレなきゃOKか。」

 

良介はそう言うと、最後の見回りに向かった。

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