グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
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 それでもOKという方は、よろしくお願いします。


第103話 碧万千洞へ

11月、学園の風紀委員室。

風子とイヴがいた。

イヴはクエストの内容が書かれた書類を見ていた。

 

「気のせいでしょうか。

パートナーが設定されているようですが。」

 

「そりゃそーでしょ。

クエストは最低2人からですよ。」

 

「私の役目は、外に漏れてはまずいのでは?」

 

「良介さんならだいじょーぶですよ。

ご存知でしょーけど。」

 

「ご存知ではありませんが・・・これは命令ですか?」

 

「ウチじゃねーですよ。

クエストの指名は執行部命令ですよ。

アンタさんの任務に最適な相手を選んでくれたんじゃねーですか?」

 

「命令なら仕方ありません。」

 

少し経って、学園の校門前。

イヴのところに良介がやってきた。

 

「と、いうわけで、不本意ですがあなたとパーティを組むことになりました。

以前、崩落のあった碧万千洞を調査します。」

 

「ああ、俺が生き埋めになったところか。」

 

「調査は私がやるので、見ているだけで結構ですよ。

表向きは、新たに表れた魔物の討伐です。

他にも学園生がいるので、クエスト中はテロリストのことは喋らないように。

では・・・時間が惜しいので、行きましょうか。」

 

「了解・・・相変わらず硬い奴。

誠の奴、前よりマシになったって言ってたが、本当か?」

 

良介はぼやきながらイヴの後を追いかけた。

 

   ***

 

良介とイヴは碧万千洞にやってきた。

 

「あなたと通常のクエストに出るとは思いもしませんでしたが・・・お節介なあなたのことです。

今日でなくとも、いずれその日は来たでしょうね。

ですから人の心に土足で踏み込んでくるあなたのことは・・・もう気にしないようにしました。

いくらでもどうぞ。

私はそんなことで負けませんから。」

 

「あっそ、別に好きで踏み込んでるわけじゃないんだがな。」

 

良介はわざと嫌味ったらしく言ったが、イヴは無視した。

 

「では行きましょうか。

あなたといっしょだろうが、単位にはなります。

気をつけてくださいね。

私は他の人とは違って・・・あなたを守るような戦い方はしませんから。」

 

「お前に守られる必要なんてねぇよ。

それに、そっちがそう言うなら俺もお前を守ってやんねぇし、魔力もそんなにやらねぇぞ?」

 

「魔力供給は有効打分だけで結構です・・・レギュレーションは以上。

質問が無ければ、行きましょう。」

 

イヴは先に行ってしまった。

良介は後ろ姿を見ながら、小さく舌打ちをした。

 

「チッ、やり辛いったらありゃしねぇ・・・」

 

良介はイヴについて行った。

 

   ***

 

学園の生徒会室、梓が虎千代に報告していた。

 

「ほーこくします。

件のガーディアンについてッスが・・・生徒会長や生天目先輩には絶対に突破できないッス。」

 

「ふむ?

アタシたちにはか・・・じゃあ、最適なのは誰だ?」

 

「えーとですね。

生徒会長、生天目先輩、朱鷺坂先輩、東雲先輩、良介先輩、誠先輩・・・以外。

よーするに強い人じゃなけりゃ大丈夫なんですよ。

きっといいんちょなんかもムリなんじゃないッスかね。」

 

「どうやって調べたんだ?」

 

「いや簡単でして、生天目先輩がいるとガーディアンが無限に湧いたんですが・・・自分1人で行ったら静かなもんでして。

で、生天目先輩1人で行ってもらったらまた出たんですよ。

前の時も、会長たちの方には出て精鋭部隊の方には出なかった・・・まりかっちが先行したときは出なかった。」

 

「しかし、基準がわからんぞ。

お前だって学園有数の実力者だろ?」

 

虎千代は手を顎にやった。

 

「そーいってくれて嬉しいッスけど、基準は魔法の力でしょーね。

強力な魔法使いを通さないようになってるんですわ。

生天目先輩も、強化魔法にかけては抜群ですからね。」

 

虎千代は少し考えた。

 

「なんでだ?」

 

「えっ?」

 

「ゲネシスタワーは人類最後の砦だ。

もちろん魔法使いも人類に含まれる・・・なのに、なんで強力な魔法使いが入れないようになってるんだ?

アタシたちで反応するんなら、始祖十家の面々にも反応するじゃないか。

始祖十家を締め出して、なんの目的が・・・」

 

梓は黙って話を聞いていた。

 

「さぁ、自分はその辺のこと、よくわかんねッスけど・・・入れたくないんなら・・・敵なんじゃないッスかね?」

 

「始祖十家が・・・裏世界では、敵・・・?」

 

「もしくはゲネシスタワーが、自分らが思ってるのと違う可能性もあるッスよ。

ガーディアンって霧の魔物、あの人に似てますし・・・気のせいかな・・・」

 

梓はガーディアンについて何か気にしているようだった。

 

   ***

 

その頃、学園の廊下。

誠が歩いていた。

 

「あぁ~、ようやく腹痛が治ったか。

智花の料理、段々ダメな方に進化してねぇか?」

 

誠は腹を撫でていた。

すると、誠は壁に貼ってある新聞に気付いた。

 

「お、報道部の新聞か。

北海道を取り返す・・・あれ、これいいのか?

周辺諸国との問題って・・・おいおい、これダメなんじゃ・・・ん?

これ・・・野薔薇の・・・」

 

すると、姫が走ってやってきた。

 

「通して、通してください!」

 

「あ、野薔薇。

これ、お前の親父じゃねえの?

このいかつい顔の人。」

 

誠は新聞に掲載されている写真を指差した。

 

「ひ、ひぃっ!

お父さまの写真まで・・・っ!

報道部ですねっ!

こんなことをすっぱ抜くなんて・・・!

北海道奪還作戦が確定しているかのように書いているではありませんか!」

 

「なんだ、まだ決まってないのか?」

 

「北海道には10年かけて霧が集まり、その濃度は大変なものです!

下手に取り返そうとすると、周辺諸国にその霧が流れ・・・魔物が大発生してしまう可能性があるのです!」

 

「なるほどねぇ。

そうなったら、一生取り返すことができないな。」

 

「そのため、今お父さまと冷泉さんのお父さまが交渉にいっているのです!

早ければ来年の初め!

そのあたりには作戦が開始されるはずです!」

 

「ほうほう、なるほどねぇ・・・」

 

誠は納得したように頷いていた。

 

「あ・・・そ、それを言っては・・・」

 

少し離れたところにいた葵が姫の発言に固まった。

姫も自信の発言に固まった。

 

「わ、私、なにも言いませんでした!」

 

「遅いっつの。

もう大声で言ったじゃねぇか。」

 

誠は呆れていた。

 

   ***

 

碧万千洞、良介とイヴが魔物を探していた。

 

「それにしても、イヴは裏世界のことを知っても変わらないな。」

 

「ええ、私は平静ですよ。

異世界の存在が明らかになったとして・・・そこに魔物がいるとして、戦うなら力は必要ですから。

なにも変わりません。

魔物がいるなら、倒す。

私にはその異世界がなにかなど関係ないことです。

そういうのはやりたい人に任せておけばいい。

気にならないと言えば嘘になりますが。」

 

「気にはなるのか?」

 

「気になると言っても、参考書の片隅にあるなぞなぞの答えが気になるという程度。

大したことではありません。」

 

「大したことない・・・ね。

果たして、本当にそうか?」

 

すると、イヴはため息をついた。

 

「あなたもよくよく、他人のプライバシーを踏みにじる人ですね。

そんなことより、目の前のクエストをこなすことに力を割いたらどうです?

異世界の魔物は、後に災いとなるでしょうが・・・私たちの討伐対象は、すでに人的被害を出しているんですよ。」

 

「そうだな・・・今は先に目の前にいる魔物を倒すか。」

 

2人の目の前に魔物が現れた。

 

「あなたは下がって・・・」

 

イヴの言葉を無視して良介は前に出た。

良介は第1封印を解放すると、髪が水色に変わり始めた。

 

「水、極限強化。」

 

髪が水色に染まると同時に魔物が攻撃してきた。

だが、良介は攻撃を片手で簡単に受け流した。

そのまま、良介は横から魔物に水の魔法を撃つと、魔物は霧散した。

 

「おし、このまま・・・」

 

良介はイヴに話しかけようとしたが、イヴは何も言わずにそのまま先に行ってしまった。

 

「はぁ、少しぐらい何か言えよなぁ・・・」

 

良介は愚痴を言うと、イヴの後を追いかけた。

 

   ***

 

学園の研究室。

結希は盛山研究所について調べていた。

 

「盛山研究所・・・確かにあった。

でもなぜ、秘匿されているのかしら。」

 

そこに天がやってきた。

 

「まだ調べてるの?

どうすんのよ。

この前の。」

 

「来栖 焔が科研にいた記録はないわ。

指図してくる権利もない。

それに、学園生には手は出させない。

これが私たちの総意。」

 

「そりゃ、理由も言わないんだから私だって嫌だわ。

でも処分って、他の生徒と明らかに扱いが違うじゃない。」

 

「彼女にどんな事情があるのかはわからない。

きっと本人も知らない。

調べる必要はあるわ。

でも、だからといって私たちの姿勢は変わらない。

いいわね?」

 

「フン・・・わかってるわよ、そのくらい。

でも私たちが何もアクションしないと・・・むこうから送り込んでくるわよ。

それにクエスト指名の件。

執行部もグルじゃないの。

めんどくさい。」

 

天は嫌そうな顔をした。

 

「科研の要請に従ってるだけで、事情は知らないでしょう。

知ってたらもっと露骨だったはず。」

 

天は少し黙った。

 

「疑問なんだけど、執行部は誰の味方なのよ。

政府?

科研?

それとも・・・学園?

アイツらがなにやりたいのか、よくわかんないわ。」

 

「魔導兵器開発局は科研寄りよ。

精鋭部隊は・・・前は政府寄りだったわ。

今は見ての通りだけど。」

 

「で、執行部本体は?」

 

結希は少し黙ってから、答えた。

 

「よくわからない。

最近はどこにも協力しているし・・・どこにも肩入れしていないように見えるわ。

なにをしたいのかといえば・・・学園を独立勢力として存続させること。

だから八方美人なのよ。」

 

「フン。

それで生徒を差し出してりゃ世話ないわ。

とにかく、私は執行部も科研もムカツクからアンタに歩調を合わせるわよ。

来栖 焔は他の生徒と同じで、アンタの元で面倒を見る。」

 

「学園生である間は、手出しさせない。

それで十分でしょう。

とりあえず。

後は、このことを誰かに共有すべきか・・・よくあなたに連絡がきたわね。」

 

「アイツら、まだ私のこと仲間だと思ってるのよ。」

 

すると、結希は少し考えた。

 

「なら、ケンカしてみましょうか?」

 

そのタイミングで誰かがドアをノックした。

 

「おーい、誠だ。

入っていいか?」

 

「誠?

なんでこのタイミングで・・・」

 

「私が呼んだの。

さっきの話は後にしましょう。

入っていいわよ。」

 

研究室に誠が入ってきた。

 

「それで、話があるって言ってたが・・・一体何だ?」

 

「私は居てもいいのかしら?」

 

天は結希に尋ねた。

 

「ええ、いいわよ。

いや、居た方がいいわね。

あの時、あなたも見たのだから。」

 

「見たって・・・」

 

結希は天に構わず、誠と話をし始めた。

 

「誠くん、いきなり呼んで悪かったわね。」

 

「別に構わねぇよ。

それで、話ってなんだ?」

 

「あなたの・・・魔神化。

それについてよ。」

 

すると、誠は顔が少し険しくなった。

 

「なんで魔神化を知ってるんだ?」

 

「色々と調べたのよ。

だからあなたの能力も全て把握しているわ。」

 

「そうか・・・つまり、魔神化がどういった能力かもわかったってことだよな?」

 

「ええ、そうよ。

あなたも魔神化がどういう能力か知りたいんでしょう?」

 

「結希、アンタ、前に起きたアレの理由、わかったの?」

 

天が尋ねると、結希は頷いた。

 

「あれは誤作動ではなかった。

ちゃんとしていたわ。

あの反応は正しかったのよ。」

 

「なんの話だ?」

 

誠は結希に聞いた。

 

「傷の魔物を倒した後、別のところに霧散した反応があったのよ。

その場所は・・・」

 

「俺・・・か?」

 

結希は頷いた。

 

「なぜなのか・・・私なりに調べてみたわ。

あなたが訓練所で魔神化を使ってる時にね。」

 

「そうか・・・で、どうだったんだ?」

 

「その前に聞きたいんだけど・・・魔神化に何か変化はあったかしら?」

 

「変化・・・ね。

あれから魔神化するたびに羽が出てくるようになったな。

オーラの色も紫だったのに、赤紫のままだし。」

 

「そう・・・それじゃ、今から教えてあげるわ。

あなたの魔神化について。」

 

誠は黙って結希を見ていた。

 

「あなたの魔神化は・・・ただの強化魔法ではないわ。

あれは、霧を使ってあなたの能力をあげているのよ。」

 

「どういうことだ?」

 

「わかりやすく言えば、魔神化を使うと、周りにある霧を吸収して、それを体の中で魔力に変えて、あなたの能力の強化に使っているのよ。」

 

「霧を・・・吸収?」

 

「ええ、そうよ。

あなたは自ら霧を吸っているの。

それも、常に魔物に変わってもおかしくない位の霧をね。

もちろん、そんな量の霧を全て魔力に変えられるわけがない。

あなたの体には確実に霧が溜まっていってるわ。」

 

それを聞いて天は絶句した。

 

「ちょっと待ちなさいよ!

それじゃ・・・こいつの体から羽が生えるようになった理由って・・・」

 

「ええ・・・誠くん、あなたに羽が生えた理由は・・・あなたの体が魔物化している証拠よ。」

 

誠は驚いていた。

 

「俺が・・・魔物に?」

 

「ええ、なぜ魔神化を解けば元に戻るのか・・・それは不明だけど、あまり使わない方がいいと思うわ。

今はまだ戻れるからいいけど、これ以上魔物化が進行すると・・・」

 

「人間に戻れなくなるかもしれない・・・か。」

 

「ええ、そうなってしまったら例え自我を保っていたとしても、魔物として区別されてしまうわ。」

 

「そう・・・か。」

 

誠はそのまま何も言わずに研究室を後にした。

 

「ねぇ、誠のヤツ、魔神化使わないようにするかしら。」

 

「いや、使うでしょうね。

彼が今、学園の実力者に数えられる理由はあの能力のおかげなのだから。

恐らく使い続けるでしょうね。

例え、自分の体にどんな変化が起きようとね。」

 

結希はため息をついた。

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