グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
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 それでもOKという方は、よろしくお願いします。


第110話 出発準備

地下鉄工事現場。

良介と香ノ葉は雑魚の魔物を倒したところだった。

 

「ほらみて~、褒めて褒めて~!」

 

香ノ葉は雑魚の魔物を2体倒して良介に褒めてもらおうとしていた。

 

「褒めてもらいたいようだが、雑魚に少し手間取りすぎじゃないか?」

 

良介はため息をついた。

 

「あ~・・・いや、まぁなぁ。

ウチ、自然魔法は苦手やから・・・

それなりに時間はかかるんよ。

ヒットアンドアウェイやったっけ?

ウチは正宗や家康での偵察が得意分野やからね。

でもこのくらいの敵ならなんとかなるから、心配せんといてね。」

 

「本当に大丈夫かよ・・・」

 

良介は不安そうな顔をしながら歩き始めた。

 

「ダーリンな、今日はウチに任せといて。

さっきも言ったけど、ダーリン、転校して来てからずっと忙しそうなんよ。

それに裏世界やら科研やら、いろんな問題に関係してるやろ?

魔力がいっぱいあっても、疲れちゃうやえ。

心配してるんやよ。

やから今日は、ぜえんぶウチがやったるからね!」

 

「さっきの魔物倒したの俺だけど?」

 

「残りの魔物はってこと!

ダーリンはちょこっとだけ魔力くれれば、後はなにもしなくてええんやえ。」

 

2人が話していると、魔物が現れた。

 

「ダーリン、さっき言った通りウチに任せといて!」

 

「わかった。

ほら。」

 

良介は香ノ葉に魔力を渡した。

すると、香ノ葉はすぐに魔法が撃てる状態になった。

 

「それーっ!」

 

魔物に向かって魔法を撃った。

魔物は一撃で霧散した。

 

「ほー、やるな。」

 

「ダーリン、見てた。

ウチもやるときはやるんやで。」

 

「できれば普段からそうしてほしいんだがなぁ。」

 

「あー、今回できたのはダーリンの魔力譲渡があったおかげであって、普段はちょっと・・・」

 

「無理なのか・・・」

 

良介はため息をついた。

 

   ***

 

歓談部部室。

あやせが1人でくつろいでいた。

 

「ふぅ・・・アイラちゃん、だんだんと歩き回るようになってきたわねぇ~。

立ち直ってくれるといいんだけど・・・エミリアちゃん、うまくやってくれるかしら・・・?」

 

あやせが窓の外を見ながら独り言を言っていると、誰かがドアをノックした。

 

「あら・・・どうぞ~。」

 

すると焔が入ってきた。

 

「まぁまぁ、珍しいお客さんねぇ~。」

 

「やっぱ・・・なんでもない。」

 

焔はすぐに立ち去ろうとした。

 

「まぁまぁ、別に用がなければいけないってわけじゃないし・・・お茶をごちそうするわよ~?」

 

焔は何も言わずにあやせを見た。

 

「1杯だけでも、どう?

飲んだら、無理に引き留めないから。」

 

その後、焔はあやせの入れたお茶を飲むことにした。

焔はお茶を飲み終えると湯呑をゆっくりテーブルに置いた。

 

「ごちそうさま。」

 

「ええ。

おいしかったなら嬉しいけど。」

 

「まずくはなかった。

おいしいかどうかは、わからないけど。」

 

「よかったらおかわりもあるわよ?」

 

焔はまた何も言わずにあやせを見た。

 

「なあ・・・あんた、話を聞くのが趣味って聞いたけど。」

 

「おしゃべりが好きなのは本当よ~?

盗み聞きとかじゃないからね。」

 

「うん・・・・・」

 

「いいお天気でしょ?」

 

あやせは外の方を見た。

 

「え?

ああ・・・うん。」

 

「そろそろ冬ね。

みて、ちょっと風が寒そうでしょう?」

 

「ああ・・・そうだな。」

 

「なんで部屋の中にいても、風が寒そうって思うのかしら~・・・っていうようなことを、話してるの。

いつもはね。」

 

「さあな。

12月だからじゃないか?

今が8月なら、暑そうに見えると思うぞ。」

 

「そうかもしれないわねぇ~。

わたしもよくわからないんだけどね。」

 

「ごちそうさま。

邪魔したな。」

 

焔は部屋から出ようとした。

 

「来栖さん。」

 

「?」

 

あやせは焔を呼び止めた。

焔は不思議そうにあやせの方を見た。

 

「無理する必要はないけれど、応援してるわよ。

でも・・・良介さんと、1度、ちゃんと話してみると・・・いいことがあると、わたしは思うわ~。」

 

「良介と?

あんた、なんでそんなこと・・・」

 

「ふふふ。」

 

「いや・・・とりあえず聞いとくよ。」

 

焔は部屋から去っていった。

 

   ***

 

生徒会室。

薫子と聖奈が話をしていた。

 

「宍戸さんが?

彼女は今月、すでに裏世界に行ったでしょう?」

 

「その裏世界で、自身に会っています。

次の調査で成長した自分に会い・・・確認したいことがあると。」

 

「ふむ・・・しばらく、彼女は戦いに出ていませんが・・・立華さんが同行するということであれば、問題ないでしょう。

ただし、宍戸さんに万が一があってはいけません。

保健委員を。

特に椎名さんに参加を要請してください。」

 

「わかりました・・・あの、副会長。」

 

「なんでしょう?」

 

「良介に関して・・・魔力が充実しているとはいえ、規定値を大幅に超えています。

確かにヤツの力は欠かせないものですが・・・来年もこれでは・・・」

 

聖奈の言葉に薫子は顎に手をやった。

 

「今回、彼を外すことはできないしょう。

ですが、考えておきます。

いつの間にか、重要な場面では良介さん頼みになっていますね。

私たちにとって、あまり良くありません。

改善を考えねば。」

 

「はい。」

 

聖奈は頷いた。

 

「ですが、会計が良介さんの体を気に掛けるとは・・・」

 

「労働には対価を・・・とはいえ金を払えば無限に労働をさせていい訳ではありません。」

 

「おや・・・真面目なんだから。」

 

「は?」

 

「いえ、なんでも。

そうですね・・・では、このクエストが終われば・・・ゆっくりしてもらいましょうか。」

 

薫子は優しく微笑んだ。

 

   ***

 

再び地下鉄工事現場。

良介と香ノ葉は雑魚の魔物を倒しながら進んでいた。

香ノ葉は肩で息をしながら歩いていた。

 

「おい、大丈夫か?」

 

「ぜぇ、ぜぇ・・・だ、大丈夫やよ。

ちょっと魔力使いすぎちゃっただけやから。

さっきダーリンに言ったばかりなのに、すぐ魔力もらってちゃダメなんよ!

ウチもダーリンの先輩魔法使いなんやから、がんばるえ!

頼りにしてぇな!

気合入れ直すえ、ふん!」

 

香ノ葉は両拳に力を入れた。

 

「ほら、もう大丈夫やよ!

どんと大船に乗った気持ちでいてな!」

 

「(本当に大丈夫か?)」

 

良介は少し心配しながら進んだ。

少し時間が経ち、かなりの雑魚の魔物を倒していた。

 

「さて、香ノ葉は・・・」

 

良介はため息をつきながら後ろを向いた。

香ノ葉はフラフラと今にも倒れそうになりながら歩いていた。

 

「本当に大丈夫か?」

 

「ぜーっ・・・ぜーっ・・・あ、ら、らいじょぶ・・・らいじょぶやから・・・」

 

「はぁ・・・魔力渡すぞ。」

 

「うん、ごめんな・・・分けてくれたら助かるわぁ・・・」

 

良介は香ノ葉に魔力を渡した。

 

「ふぅ・・・あんな、ウチのこと嫌わんといてな。

ダーリンのためって張り切りすぎちゃったんよ。

自分の力、ちゃんと考えといけんね・・・もっと頑張るんよ。

今度こそ、ちゃんとせなね!

見といて!

ウチ、やったるんよ!」

 

「そう言うなら、もう少し俺を頼ってほしいがな。」

 

良介は前を向きながら剣を抜いた。

2人の前に魔物が現れていた。

 

「ダーリン、ウチがやるから、お願いな?」

 

「はいはい、サポートね。」

 

香ノ葉が魔法を撃つ準備をし始めると、魔物は香ノ葉に向かって突撃した。

だが、魔物の体は途中で止まった。

良介の拘束魔法で拘束されたからだった。

魔物が拘束を振り払おうとしている間に香ノ葉は魔法が撃つ準備が完了した。

 

「これでも、食らえー!」

 

香ノ葉が放った魔法を食らい、魔物は霧散した。

 

   ***

 

2人は最後の魔物を倒した後、周りに魔物がいないか確認した。

 

「よっしゃ!

討伐対象やえ、これ!

ふんふん♪

これでクエスト終わり・・・終わり・・・」

 

突然香ノ葉が止まった。

 

「ん?

どうした?」

 

「あああ~っ!

倒してしもうたやんかぁ!」

 

「何かダメなことでもあったのか?」

 

「まだ時間があるやんか・・・もっとダーリンと2人がいい~っ!」

 

「そんなこと言われても、クエストの報告しないといけないだろ。」

 

「うん。

帰らんといかんね。

そやかてダーリン、ウチの気持ちもわかってな。」

 

「だけどなぁ・・・」

 

「そーや!

後でお疲れ会やるえ!

2人でな、茶道部の部室でな!」

 

「え・・・」

 

「みんな授業中やからうるさくできひんけどな、きっと楽しいえ!」

 

「いや、けど・・・」

 

良介は早く自分の部屋に戻りたかったが、香ノ葉は話を聞いてくれそうになかった。

 

「そうと決まったら、ほら、帰るえ!

急いで準備せんと・・・」

 

「あの・・・」

 

「あ、ダーリン、もしかして予定とかある?」

 

「いや、別にないけど・・・」

 

「そうやね、今日はウチと討伐で一日潰れるかもしれんかったやよね。

やったら、今日の残り、ウチとおってもええと思わん?」

 

「う・・・」

 

「な?

な?

ええやろ、ええやろ?」

 

良介は頭を掻いた。

 

「まぁ・・・少しなら・・・」

 

「ふふふ~、今から楽しみやわ~。」

 

「(何もありませんように・・・)」

 

2人は出口へと向かって歩き始めた。

 

   ***

 

茶道部部室。

良介と上機嫌な香ノ葉が2人で座っていた。

 

「お疲れ様ー!

ダーリン、茶道部のみんなが来るまでは2人きりなんよ!

やからな、ウチな、あのな、ふふふ~っ!」

 

「お、おう・・・」

 

香ノ葉のテンションに良介は少し引いていた。

 

「ダーリンの好きなこと、しよ?

ええんよ?」

 

「えっと・・・じゃあ・・・」

 

少し経って、2人はあやとりをしていた。

 

「で、あやとりって・・・ダーリン、思いつきやろ。」

 

「うっ・・・」

 

適当に言ったため、良介は何も言えなかった。

 

「でも、指先がちょこちょこ触れるのはそれはそれで・・・というか、ダーリンと遊んでるだけで幸せなんよ。

あやとりするダーリン、可愛いんよ。

ふふふ。」

 

「そ、そっか・・・」

 

良介は引きながら笑った。

 

「なぁ・・・」

 

「な、なんだ?」

 

「ダーリンの競争率が高いのもダーリンが優しいのも知っとるんよ。

誰が好いてるとか、そーゆーのは卑怯やから言えへんけどね。

ダーリンも忙しいし、ウチばっか相手にしてるわけにはいかんと思う。

せやけど、ウチな、それでもダーリンに伝えておかんといけんのよ。

一番乗りしとかんと、いけんのよ。」

 

良介は香ノ葉の話を無言で聞いていた。

 

「あのな、ダーリン・・・」

 

香ノ葉が何か言いかけたところで誰かがノックしてきた。

 

「ひぃっ!?」

 

「誰か来たみたいだな。」

 

「へ・・・?

もう授業終わったん・・・?」

 

「にしては早くないか?」

 

良介は時計を見た。

普通ならまだ授業をやっている時間帯だった。

 

「でも、葵ちゃんやソフィアちゃんならノックなんかせぇへんのに・・・」

 

再び誰かがノックしてきた。

 

「はいはい、どなた~?」

 

香ノ葉がドアを開けると焔が入ってきた。

 

「焔?」

 

「いた。」

 

「ほ、焔ちゃん・・・?」

 

「悪い、ちょっと良介に用があるんだ。

ここにいるって聞いて。」

 

「ダ、ダーリンに?」

 

「傷の魔物の時の、まだ礼言ってなかったから。

それに、ずっと邪険にしてたこと、謝ってなかった。

良介。

悪かった。

そんで・・・ありがと。」

 

「そんなことか。

別に気にしなくていいのによ。」

 

良介は笑いながら、手で畳を軽く叩いた。

焔は良介が叩いたところに座った。

香ノ葉は黙って2人を見ていた。

 

「それで・・・その・・・言いにくいことなんだけどさ。」

 

「ああ、なんだ?」

 

「アタシ、なんか訓練やらなんやら、うまくいってなくてさ。」

 

「ああ。」

 

そこで焔は口をつぐんだ。

 

「焔ちゃん・・・ウチ、外に出てるえ?」

 

「あ、いや、すぐ終わる。」

 

焔は1度深呼吸した。

 

「あのさ・・・アタシを、街とか連れてってほしいんだ。

変なこと言ってると思うけど・・・あんたに頼みたくて。」

 

「なるほど、そういうことか。」

 

「良介、あんたなら、いろんなこと知ってるだろ?

普通の暮らしっての、教えてくれないか。

訓練がうまく行くようになるには、そうした方がいいってエレンが・・・それと海老名が・・・あんたにって・・・今は、誰の言うことでも聞く。

訓練しかしてなかったからな。

だから・・・あんたのアドバイスがほしい。

それだけ。

別に引き受けなくてもいいよ。」

 

「いや、俺でよければいくらでも教えてやるよ。

教えてほしい時にいつでも来てくれ。」

 

「そっか、ありがと。

じゃな。

邪魔した。」

 

焔は少し嬉しそうに出て行った。

香ノ葉は黙って良介の方を見ていた。

 

「どうした?」

 

「あの子・・・この前から変やと思ってたけど・・・」

 

「ん?」

 

「ダーリン・・・やっぱダーリン、凄いなぁ・・・」

 

「そうか?」

 

「ライバル・・・増えてくなぁ・・・」

 

「ライバル?」

 

「え?

ううん、なんでもないんよ!

あのな、ウチの強みはな、ダーリンがどんな時も味方ってことなんよ。

今はわからんでもええんよ。

やけどもし・・・なんかあったらな・・・ウチの言ったこと、思い出してな。」

 

「ああ、わかった。」

 

すると、香ノ葉は突然手を叩いた。

 

「ほなら・・・ウチも協力するえ!」

 

「へ?

何を?」

 

「え?

なにって、焔ちゃんの平和な生活指南やよ。

聞いてしもたからには、やってあげんとなぁ。

前から素材はバツグンやと思っとったんよ・・・グフフ・・・」

 

「変なこと教えないだろな・・・」

 

良介は怪しく笑う香ノ葉を見て心配になった。

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