グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
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 それでもOKという方は、よろしくお願いします。



第21話 タイコンデロガ出現

肝試しから数日後・・・

良介はいつも通りに登校していた。

すると、校門に虎千代が立っていた。

 

「おはようございます、会長。

どうかしましたか?」

 

「良介。

登校すぐですまないが手を貸してくれ。

アタシとクエストに行くぞ。

魔物が出た。

正確には昨日出たんだが・・・」

 

「魔物が・・・どうしたんですか?」

 

「どうやらタイコンデロガらしくてな・・・いや、まだ正体不明なんだ。

普通は出現してすぐ、執行部がだいたいのデータを出すものなんだよ。

それがない。

そしてそのまま、生徒会に出撃要請が出た。

様子がおかしいだろう?」

 

「・・・確かに。

ところで、どこに出現したんですか?」

 

「ああ、出現場所は洞窟の奥深く。

人的被害はまだ出ていない。

こういう魔物は、軍が余裕をもってあたるものだ。」

 

「軍はどうしてるんですか?」

 

「国軍は第7次侵攻の準備に手を取られているから・・・

マニュアルに従えば、通常の魔物はいったん放置される。

力量がわからない相手との戦闘はしないのが学園の方針だ。

だが来た。

この魔物は【すぐ退治しなければならない】と判断された。

しかも生徒会長のアタシをご指名の緊急出動だ。」

 

虎千代はため息をつく。

 

「会長をご指名・・・ですか。」

 

「十中八九タイコンデロガだな。

そういうわけで、アタシはすぐに出かける。

そしてアタシからお前への頼みだ。

同行してくれ。

生徒会役員を始め、万全の態勢で臨む。

お前の力が必要だ。」

 

「なるほど。

俺の魔法・・・どこまで役に立つかわかりませんが、ご一緒します。」

 

「さあ、みんなを守るぞ。」

 

その頃、生徒会室には朱鷺坂 チトセ(ときさか ちとせ)と聖奈がいた。

 

「・・・私が仲間はずれなのは、新参だからかしら。」

 

聖奈がチトセに話す。

 

「そうではなく、特級危険区域に行ったばかりだからだ。」

 

「あの程度の魔物で疲れたりしないわ。

ええと・・・もう何年も戦ってるもの。」

 

「その申告を額面通りに受け取るわけにはいかない。

我々は生徒を守り、学園の秩序を守るための組織だ。

可能な限り、生徒の規範でなければならん。

すなわち【役目を果たした後は休め】だ。」

 

「・・・つまんないわぁ。」

 

チトセはため息をつく。

 

「自信に見合う実力があるのは知っている。

だから万が一にも・・・

第7次侵攻の時、体調不良で動けないなどということがないようにすべきだ。

わずかな疲れもためないための措置と考えてくれ。」

 

「第7次侵攻をダシにするなんてズルいじゃない。

仕方ないわね。」

 

「わかってくれてなによりだ。

では私は出発の準備をする。

学園を頼んだぞ。」

 

聖奈は生徒会室から出た。

少しすると、初音が生徒会室に入ってきた。

 

「お姉さまーっ・・・あれ?

いない。」

 

椅子に座っていたチトセが初音に話しかける。

 

「みんな、クエストに行ったわよ。

知らなかったの?

副会長補佐さん。」

 

「むぅ。

えらそーなヤツだな。

アタシのこと知ってんの?」

 

「JGJのご令嬢でしょう。

ちょうどよかったわ、頼みたいことがあるの。」

 

「なんだ?

金欲しいの?」

 

「いいえ、クエストに出た討伐隊が【崩落で分断されたから】・・・

レスキューチームに出動を要請してほしいの。

もちろんデクも連れて。」

 

「崩落で分断?

どういうことだ?」

 

チトセの発言に首を傾げる初音。

 

「どうもこうもないわ。

宍戸さんにも伝えてちょうだいね。

私は休むように言われてるから。

この部屋で待ってるわ。」

 

「・・・・・変なヤツ。

ま、いいけど。」

 

初音は研究室に向かった。

 

   ***

 

「・・・討伐隊が分断?

どういうこと?」

 

初音が結希に事情を話していた。

 

「知らねーよ、アタシも。

でもあの新しい生徒会のヤツが言ってたぜ。

崩落で分断されたって。」

 

「崩落・・・いえ、そんな情報はどこにも・・・待って・・・」

 

突然デバイスが鳴り、結希は内容を確認する。

 

「・・・今、エレンから連絡があったわ、洞窟内で大規模な振動。

連絡は取れたけど、虎千代と良介君が行方不明・・・

崩落した岩石の向こう側に取り残されて」いる可能性があるわ。」

 

「エレンって軍人だろ?

なんでいるんだ?」

 

「国軍の手がいっぱいだから、クエストの進行監視をしているの。

だから彼女からの情報が一番早いはず・・・でも、朱鷺坂 チトセはより早い・・・」

 

「そーそー、なんか来るときモヤモヤしてたんだ。」

 

「なんのこと?」

 

「いや、あの女さぁ、なにか見ながらじゃなかったんだよ。

アンタは今、デバイスで情報を確認してるだろ?

それがなくってさ。

生徒会室って通信機器ないし、どこでそんな情報仕入れたんだ?」

 

「盗聴・・・・・?

いや、説明がつかない。

彼女の方が早かったわ・・・

いえ、今は置いておきましょう。

JGJへのレスキュー要請は?」

 

「ガセだったらまずいからまだしてねーけど、やるよ。

やるやる。

沙那ーっ!

聞いてたなーっ!?」

 

初音は沙那を呼んだ。

すると、どこともなく沙那が現れた。

 

「承知しております。

今、初音様の権限で要請を済ませたところでございます。」

 

「じゃ、アタシたちも行くか!

生徒会として!」

 

「レスキューチームに任せましょう。

タイコンデロガが相手であれば・・・」

 

「私も執行部にかけあってくるわ。

向こうにも伝わってるでしょうし。

今、武田 虎千代を失うのはまずい・・・」

 

その頃、洞窟内。

 

「・・・マジか、崩落しちまった。」

 

洞窟内には良介と虎千代がいた。

 

「・・・揺れはおさまったようだな。

だが・・・脆い洞窟のようだ。

退路がふさがれた。

魔法で掘ることはできるが、どこまで埋まっているかわからん。

他の生徒は心配だが、土砂をどうにかしようとするのはやめた方がいい。」

 

「・・・確かにそうですね。」

 

「お前の魔力が膨大なのは知っているが、永遠に尽きないわけでもないだろう。

ここはおとなしく先に進もう。

運が良ければ合流できるだろう。」

 

「そうしましょうか。

退路をどうにかできないのは歯痒いですが・・・」

 

「念のため、現状を確認するぞ。

今回の討伐対象は不明。

洞窟の奥にいるなにものかだ。

霧から生まれたには違いないが・・・どれほどの強さかもわからん。

ゆえに最小の人数で最大の力を発揮できるメンバーが選抜された。」

 

その選抜されたメンバーには誠もいた。

 

「だが、おそらくその魔物の影響だが・・・地震が起き、洞窟が崩れ・・・

少なくともアタシたちと他のメンバーが離れ離れになった。

最悪なのは今の崩落で死傷者が出ていることだが・・・今は確認できん。

みんなを信じるしかない。

行くぞ。」

 

「・・・ええ、わかりました。」

 

良介と虎千代は洞窟内を進んでいった。

 

   ***

 

同時刻、外。

 

「・・・・・もともと開いていた洞窟を、魔物が掘り進めたようです。

強度が下がっていたのでしょう。

そのため、崩落が起きたと考えられます。」

 

その場には、薫子とエレン、選抜された良介と虎千代以外のメンバーがいた。

 

「ああ・・・椎名がこちらに向かっている。

負傷者は手当を受けろ。」

 

「そのような時間はありません。

別ルートから、すぐ会長と合流せねば・・・」

 

「それは精鋭部隊が引き受ける。

崩落は直接的な被害だけではない。

粉塵が肺や目に入り、傷つける。

これ以上の作戦行動は許さん。」

 

「・・・・・執行部の指令でしょうか。」

 

「執行部の思惑は関係ない。

国連軍の兵士である私が命じる。

あとは任せておけ。

すでに他の入り口に向かって、メアリーが動いている。」

 

「いいえ、聞けません。

私は武田 虎千代の僕です。」

 

「安心しろ。

この程度であいつらが死ぬとは思えん。

必ず見つける。

そして私の予想が外れ、死体として見つかった時は、貴様が生徒総代だ。

責任を自覚するんだな。」

 

「・・・・・結構です。

では私たちはここの瓦礫を掘りましょう。」

 

「なんだと?」

 

エレンは薫子を睨む。

 

「私たちはろくに戦っていないうちに分断されてしまいました。

魔力は有り余っております。

それを用いて、この道を開けましょう。」

 

「待て。

崩落したということは、構造全体が弱体化しているということだ。

下手に刺激を与えると、さらに危険が・・・」

 

「百も承知ですよ。

細心の注意を払いましょう。

生徒会にとって、武田 虎千代は欠かせぬ光。

他人の手に預けるわけにはいきません。

なんと言おうと掘ります。」

 

「・・・・・好きにしろ。

こんな議論で時間を取られてはかなわん。

だが忠告はしたからな。」

 

「ええ、痛み入りますわ。」

 

と、2人に誠が近づいてきた。

 

「副会長、それなら俺も連れていってくれないか?」

 

「誠さん?」

 

「貴様、さっきの話を聞いていたのか?」

 

「悪いが、どっちが何を言おうが止まる気はないぜ。

武力行使をしてでも押し通らせてもらう。

俺も魔力は有り余ってるし、瓦礫をどける、壁に穴をあける。

それなりの威力の魔法なら持ってる。

どうだい、副会長。」

 

「・・・いいでしょう。」

 

「言っておくが、副会長。

俺は会長のためじゃなく【親友】のために動く。

そこんとこ間違えないでくれ。」

 

「親友・・・良介さんのことですね。

いいでしょう、お互い助けたいという気持ちが一緒であれば構いません。」

 

「恩に着るぜ。」

 

その話を聞いてエレンは呆れる。

 

「・・・もう好きにしろ。

私は知らん。」

 

少し経って風紀委員室、風子と紗妃がいた。

 

「水瀬 薫子が新海 誠を連れて洞窟に再突入ですか?

報告するよーなことじゃねーですよ。」

 

「し、しかしすでにクエスト進行の権限は精鋭部隊に移ったわけで・・・

緊急時に執行部の裁定を無視するのは校則違反です!」

 

「現場指揮のエレンが許可したんですから別にいーでしょ。

エレンの判断も正しいですよ。

あんな石頭、受け流すくらいがいーんです。」

 

「い、石頭?

水瀬 薫子がですか?」

 

「トンカチで殴っても割れませんよ。

虎のこととなると頑として聞きませんし。

水瀬 薫子にとっては虎は神様仏様。

いや、唯一神の方がちけーですからね。

とにかく、彼女には虎より優先すべきものなんかねーんですよ。」

 

「・・・・・ええと、それはいったい・・・」

 

「虎の命令であれば人も殺す・・・ま、そんなシチュエーションはねーですけどね。

極端に言えばそんなとこです。

法律も校則も、彼女には障害足りえねーです。」

 

「そ、そんな人が副会長を・・・?

なぜ今まで放置していたのですか・・・!」

 

「虎の下にいる限り安全です。

虎は極端な理想主義者ですからね。

虎が道を誤らないかぎり、有能な副会長で居続けるでしょー。」

 

と、風子は少し血相を変える。

 

「さて・・・ここで問題がありましてね。

精鋭部隊に連絡しなきゃいけません。」

 

「あ、で、ではデバイスを・・・しかし、なにを・・・水瀬 薫子ですか・・・?」

 

「慌てて助けに行くくらいなんで、事態はちょいと深刻です。

万が一、虎が・・・

自分の命より大事な相手が死んだら・・・そのとき、彼女はどうすると思います?」

 

「・・・・・ま、まさか・・・・・」

 

「そのまさかですよ。

自殺しないよう、監視です。

水瀬 薫子は仮にも副会長。

会長になにかあったら、仕事はしてもらわねーと。」

 

と、風子の血相が戻る。

 

「ま、その心配はねーと思いますがね。

虎には良介さんがついていますし。」

 

「良介さんですか?

そんなに強くなってるんですか?」

 

「ええ、今のところ虎、生天目 つかさに一番ちけー実力者だと思ってます。

何かしら力を隠し持ってるみてーなんで。」

 

「隠し持ってる力?

それは一体・・・」

 

「詳しくは知らねーですが、訓練所で金色のオーラを纏っている良介さんが目撃されているよーで。」

 

「・・・金色のオーラ?」

 

「そです。

それが何かは知らねーですがかなりの力を持っているのは確かでしょー。

それより、薫子もですが誠さんがついて行ったのは心配ですねー。」

 

その言葉に紗妃は首を傾げる。

 

「・・・誠さんが?

何故ですか?」

 

「氷川は知らねーかもしれませんが・・・誠さんは、仲間を助けるためなら手段を選ばない人なんですよ。」

 

「・・・手段を選ばない?」

 

「彼はおそらく良介さんを助けるために動いたんでしょー。

良介さんを助けるためなら自分の命も投げ出すことも厭わない。

対抗戦でも自分の身を盾にしてパーティを庇っているところがよく見られてるみてーです。」

 

「・・・本当に大丈夫なんでしょうか・・・」

 

「ま、最悪な事態にならないことを祈るしかねーですね。」

 

   ***

 

洞窟内、良介と虎千代は奥へと進んでいた。

 

「ふぅ・・・会長、大丈夫ですか?」

 

「ザコ相手なら心配するな。

だてに生徒会長はやっていない。

問題は討伐対象だが・・・まあ、相手が魔物である限りどうにかなる。

どれほど強くとも、全ての魔物には対処法がある。

魔法が効かない魔物はいないからな。

今のところ、という条件付きだが。」

 

「魔法が効かない魔物・・・そんなのが出たら絶望的ですね。」

 

「ヤツらは霧でできているが、形を伴ったものの特性を得る。

目があるのならば潰せば見えなくなり、耳を潰せば音が聞こえなくなるんだ。

どうだ?

【魔物】であること以外が不明でも、恐ろしくなくなるだろう。

全ては敵を知ることからだ。

アタシは今までずっとそうしてきたよ。

生徒会長選挙のときも・・・そして、これからもだ。」

 

「なるほど・・・俺もそのやり方、見習いますか!」

 

良介は咄嗟に剣を抜く。

 

「気を抜くなっ!

戦闘準備だ!」

 

良介と虎千代の前に巨大なドラゴンが現れた。

 

「・・・これが、タイコンデロガ・・・」

 

「・・・怖気づいたか?」

 

「逆ですよ。

こんな大物とやり合える・・・最高ですよ!」

 

良介は笑みを見せる。

 

「会長、試したいことがあるんで任せてもらえないですか?」

 

「何?

お前はタイコンデロガとは初戦闘だ。

そう簡単に・・・」

 

良介は真っ直ぐな目で虎千代を見つめる。

 

「・・・わかった。

ただし、ヤバイと思ったら即刻、アタシと交代して援護に入れ。」

 

「すみません。

ありがとうございます。」

 

良介は前に出る。

と、目を瞑り、両手に握り拳を作る。

 

「はああぁぁぁぁ・・・・」

 

良介の体から金色のオーラが出てき始める。

 

「・・・あれは・・・」

 

「第1封印・・・解放っ!」

 

良介の体が金色のオーラで包まれ、目も金色に変わり光り輝いていた。

良介は体の感覚を確かめる。

 

「(・・・痛みも・・・苦しさもない。

使いこなせるようになった証か。)」

 

と、ドラゴンが攻撃してきた。

 

「良介っ!」

 

「っ!」

 

と、良介はドラゴンの攻撃を片手で受け止める。

 

「なっ・・・タイコンデロガの攻撃を・・・片手で・・・」

 

「(力が・・・溢れてくる・・・!)」

 

ドラゴンの攻撃を押し返し、思いっきり剣を下から上へと斜めに斬り上げる。

 

「せぇぇぇいやっ!」

 

ドラゴンは斜めに斬り裂かれ、消滅した。

虎千代が良介に近づく。

 

「・・・見事だ良介。

まさかそんな力を隠し持っていたとは・・・」

 

「隠しているつもりはないんですがね・・・とりあえず、これで少しは会長の手助けになりますかね?」

 

「少しどころじゃない。

百人力だ。

頼むぞ、良介。」

 

「ええ、任せてください。」

 

良介と虎千代は奥へと進んだ。




人物紹介

朱鷺坂 チトセ(ときさか ちとせ)不明
本人が申告したものを除き、年齢、出身など一切の素性が知れない謎のお姉さん。
かなりのベテランと思われるが、なぜこれまで発見されなかったのかも不明。
余裕のある穏やかな態度と、まれに見せる訳知り顔が特徴。
戦闘能力は武田虎千代に匹敵する。
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