グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
 閲覧者様のイメージを壊す可能性があります。
 それでもOKという方は、よろしくお願いします。



第22話 ブレイクアウト

夕方、チトセは1人生徒会室にいた。

と、誰かノックしてきた。

 

「入るわ。」

 

結希が入ってきた。

 

「あら・・・いらっしゃい。

私しかいないけど、いいかしら?」

 

「【あなたしかいない】から来たの。

聞きたいことがあって。」

 

「答えられることならいいけれど・・・」

 

「・・・あなた、崩落の発生前にそれを神宮寺さんに伝えたそうね。」

 

「・・・それに答えればいいのかしら。」

 

「いいえ。

神宮寺さんから聞いた後に連絡を受けたから、それは間違いない。

聞きたいのは、あなたがどうしてそれを知っていたのか。

【崩落が起こる前に、なぜそれを知っていたのか】。」

 

「女のカンよ。」

 

チトセは笑いながら答える。

 

「予知の魔法が使えるのなら、すぐに教えて。

でないと・・・」

 

「科研の怖い人たちに攫われちゃう?」

 

「・・・そうよ。

科研の科学者は、あなたの引き渡しを要求してくる。」

 

「私が予知を使って・・・危険を顧みずに会長の身に起こる崩落を伝えて・・・

すばらしい自己犠牲ね。」

 

「はぐらかすのはやめてほしい。

世界に3人しかいない【予知】の魔法使い・・・

あなたも使えるとすると、4人になるわ。

人類にとって重要なこと。」

 

「仮に予知を使えたとして、私なら大丈夫よ。

科研の人たち、追い返すから。

あなたには私の心配より、もっと大事なことがあるでしょう?」

 

「・・・・・」

 

チトセに言われ、結希は黙る。

 

「良介君と一緒だから、会長が死ぬことはないわ。

そう・・・良介君がいるからね。」

 

少し経ち、研究室。

心が結希のところにやってきた。

 

「どうも。

この前のタイコンデロガ予測、そして今回。

ここのところ、ずいぶん頻繁ですね。」

 

「あなたの予測のおかげである程度地点が絞れたわ。

だから今回も、ミスティックが巣から出てくる前に対処できた。」

 

「私は博士のお手伝いをしただけです・・・ですが、お仕事はお仕事。

【心ちゃん】のことはお願いしますよ。」

 

「ええ・・・侵入してほしいところがあるの。

執行部、国軍、IMF、科研・・・」

 

「・・・それはまた、難しい所を。」

 

「あなたの魔法なら可能でしょう。

魔法使いのデータベースを洗って。」

 

「誰の情報でしょうか。」

 

「朱鷺坂 チトセ。」

 

心は少し不思議そうな顔をする。

 

「・・・確かに彼女は不思議な人です。

どことなく私に似ています。

不審なところは多い・・・けれど、どうしてこの時期に?」

 

「彼女は【予知】の魔法を使えるかもしれない。」

 

「予知・・・ですか・・・

それが本当なら、心強いですね。」

 

「まだ確定してないわ。

だからそれを調べて。

執行部にないのであれば望みは薄いけど・・・どこかにあるはず。

この地球で生まれた魔法使いなら、どこかに。」

 

「わかりました。

では、すぐに取り掛かります。」

 

   ***

 

洞窟内、良介と虎千代は奥に向かって進んでいた。

良介はまだ第1封印を解除したままだ。

 

「会長、さっきの魔物ですが・・・」

 

「あれはドラゴンだ。

長いこと空想の生き物だったが、もはや違う。

ドラゴン種の魔物はかなりの数が確認されている。

多くは討伐されたがな。」

 

「なるほど・・・ですが・・・」

 

「不思議だとは思わないか。

実在しない想像の幻獣を魔物はどうやって知った?

実態化するまでは意思すら持たない、知能においては獣以下の怪物がだぞ。」

 

「確かに不思議です。

一体どうやって・・・」

 

「わからないんだ。

意味不明な相手はみんな怖い。

だがアタシたちは対処法を知っている。

ならば戦うのに恐れはないだろ。

他の誰が怖がっても、アタシは最後まで勇敢であり続けたいの願う。」

 

「勇敢・・・ですか・・・」

 

「アタシは生徒会長だからな。

それにふさわしくあろう。」

 

「・・・なんだか姫のヤツに似てますね。

言ってること。」

 

良介は少し笑みを見せる。

 

「・・・なるほど、野薔薇に似ているという印象をもたれるのも不思議ではない。

だがヤツとアタシには決定的に違うところがある。

わかるか?」

 

「・・・いえ、わかりません。

答えは・・・」

 

良介は持っていた剣を前に向ける。

 

「・・・答えはドラゴン退治の後だ。」

 

またも巨大なドラゴンが姿を現す。

 

「次はアタシがやる。

全てお前に任せるわけにはいかないからな。」

 

「・・・別に休んでても構いませんが?」

 

「生徒会長が守ってもらってばかりじゃさすがに示しがつかないからな。

それに、アタシもそろそろ暴れたい。」

 

「・・・後者が本音ですね。

ま、援護は任せてください。」

 

「ああ、頼んだ!」

 

虎千代がドラゴンに突っ込む。

良介は牽制として、光魔法を撃つ。

第1封印を解放した状態なので威力があがっていたはずだったが、ドラゴンはビクともしなかった。

 

「・・・頑丈だな。

なら・・・!」

 

良介はその状態で風の強化魔法をかけ、ドラゴンの周りの壁を八艘飛びのように飛び回りかく乱させる。

その隙に虎千代がドラゴンに殴りかかる。

 

「はっ!」

 

次々と連撃を決め、最後は真上に殴り飛ばした。

 

「吹き飛べっ!」

 

ドラゴンの巨体が浮き、空中で消滅した。

 

「・・・これが生徒会長、武田 虎千代・・・」

 

良介はその戦いぶりを見て、体を少し震わせた。

 

「ふぅ・・・どうした良介?」

 

「いや・・・さすが生徒会長だなと思いまして。」

 

「それほどでもない。

それよりお前の方が強いような気がするがな。」

 

「いや・・・俺はまだまだ・・・」

 

「・・・まだ、【力】を隠しているな。」

 

「・・・っ!」

 

良介は驚きを隠せなかった。

 

「隠しているのか、まだ制御しきれていないのか。

どちらかはわからんが、まだあるんだろう?」

 

「・・・・・」

 

「まぁ、そこまで聞く気はないが・・・いつかアタシと戦ってもらうぞ。」

 

「・・・わかりました。

その時、会長を満足できるようがんばらせてもらいますよ。」

 

虎千代は笑みを見せながら進んでいった。

 

   ***

 

外はもう夜になっていた。

そんな山奥に兎ノ助がやってきた。

 

「おーい!

おーい!」

 

兎ノ助が呼びかけると我妻 浅梨(わがつま あさり)がやってきた。

 

「あ、兎ノ助さん。

どうしてこんなところに?」

 

「虎千代と良介が行方不明って聞いてよ!

いてもたってもいられなくて・・・!

ぜひーっ、ぜひーっ・・・つ、疲れた・・・2時間くらい飛びっぱなしだったから・・・」

 

「兎ノ助さん、飛んだら疲れるんですね・・・大丈夫ですよ!

メアリーさん達が別ルートで向かってるので、すぐ見つかります!」

 

「ああ、そうだな・・・お前は留守番か?

ま、そうだよな。」

 

「あーっ、なんですかそれー。

実力不足って言いたいんんですか?」

 

「実力っていうか、洞窟の中、迷路みたいだって話だからな。」

 

「迷路だからこそ私の出番なんです!

とけない迷路はないんです!」

 

「そ、そうか・・・お前、なんでそんな自信満々なんだ・・・

しかしまた、厳重警備だな。

いくらタイコンデロガっぽいとはいえ・・・

生徒会と同時に精鋭部隊が出動してるなんて、第6次侵攻以来だぜ。」

 

「そうなんですよね。

すごく運がよかったというかなんというか。」

 

「運がよかった。」

 

浅梨の言葉に首を傾げる兎ノ助。

 

「はい。

あらかじめ別ルートの位置も地図に記載されていて・・・

普段より人員が多かったおかげで、迅速に救出に行けるって言ってました。」

 

「ふーん。

そりゃ確かに、運がよかったな。」

 

「あのクソビッチ、戻ったら何としても吐かせてやらぁ。」

 

「え!?

な、なに、急に!?」

 

浅梨のいきなりの言動に兎ノ助は動揺する。

 

「そうメアリーさんが言ってました。」

 

「な、なんだメアリーか・・・なんでいきなり口調をまねるんだよ。

しかし・・・その言い方、誰かからの助言でもあったみたいな言い方だな。」

 

「ですよねぇ、誰なんでしょう?」

 

「・・・ま、誰でもいいや。

今は虎千代の無事を祈ろうぜ。」

 

「そうですね・・・それじゃあ、魔物が出てないか、見回りに行ってきます。」

 

そう言うと浅梨は1人で見回りに行った。

 

「待て待て!

誰か一緒に連れていけ!」

 

同時刻、学園のグラウンドでは花梨が兎ノ助を探していた。

 

「兎ノ助ー、兎ノ助ー、どこ行ったんだー?」

 

すると智花がやってきた。

 

「あ、花梨ちゃん。

兎ノ助さん探してるの?」

 

「んだぁ。

科研のお偉いさんが呼んでるんだべ。

学園さ来てる。」

 

「科研・・・魔導科学研究所?

珍しいね、いつも兎ノ助さんが行ってるのに・・・」

 

「なーんか妙に焦ってたべよ。

結希も話聞いて、呼んで来いってよ。

 

と、どこからともなく鳴子が現れた。

 

「兎ノ助君を探してるのかい?」

 

「あ、ゆ、遊佐先輩・・・!」

 

「お、遊佐じゃねぇか。

兎ノ助の居場所知ってるっきゃ?」

 

「2時間くらい前、生徒会長の名前呼びながら飛び出して行ったよ。」

 

「はぁ?

どういうことだ?」

 

「僕にはちょっとわからないな・・・でも、目当てが会長なら・・・

今はクエストの場所じゃないかな?」

 

「・・・外出許可も取ってねぇでなにしてんだ・・・なんかあったっっきゃ?」

 

「さあ、なんとも・・・宍戸君なら場所はわかるだろう。

教えてあげなよ。

2時間前なら、空を飛んでることだし、そろそろついているだろう。」

 

「おー、わかったべ。

おめぇの言うことなら間違いないすけ。」

 

「なんなら僕も行こうか?」

 

「なんも大丈夫。

おらが伝えとくすけな。」

 

「・・・ふふ、このタイミングで兎ノ助を調べに科研が来た・・・

面白いよ、実に。」

 

そう言うと鳴子は去っていった。

 

「・・・・・まぁたなんか企んでるっきゃ。」

 

「か、花梨ちゃん、すごいね・・・」

 

いつの間にか少し距離を離していた智花が話してきた。

 

「智花?

なしたっきゃ?

そったら遠いとこに。」

 

「だって遊佐先輩、怖いんだもん・・・」

 

翌日、歓談部部室では朝からアイラが怒っていた。

 

「なぁにしとるんじゃあのアホわぁ~っ!

はよ帰ってこんか!」

 

「どうしました?

東雲さん、なんだか今日は変ですよ?」

 

エミリアがアイラに話しかける。

 

「ええい、バラしたいがバラせん!

なんとも不愉快よ!

妾はある心配をしとる!

しかし何が心配かなのかは話せん!

あーもうモヤモヤさせおるわ!

妾が行きゃ一発なんじゃが・・・!」

 

「よくわからないけど・・・アイラちゃんが行けばすぐ解決するのかしら?」

 

あやせがアイラに話しかける。

 

「まぁな!」

 

「じゃあ行けばいいんじゃないかしら。」

 

「それがそうもいかんくてな。

生徒会も精鋭部隊も出払っとるから・・・

万が一のために妾はこの学園に残っとらんといかんのじゃ。

すぐ終わるっつっても、往復で2時間はかかるからのう。」

 

「往復で2時間・・・生徒会長のクエストですか?」

 

エミリアが気付いた。

 

「あ、やべ。」

 

「昨日からずっとクエストなのよね。

大規模なうえに長いなんて珍しいわ・・・」

 

「会長がこんなに手こずるなんて、タイコンデロガくらいしかいないですよね。」

 

「・・・むぅ、妾の一言からここまで発掘するとは・・・妾、一生の不覚。

ええい!

どっちにせよ妾は学園から離れられんのじゃ。

関係ないわー。

寝よ。」

 

「ね、寝る・・・?

東雲さん!

これからホームルームですよ!」

 

「吸血鬼は夜行性じゃ。

妾、朝の光嫌いじゃ。

妾、授業免除じゃし。」

 

「まぁまぁ、望ちゃんみたいなこと言ってるわねぇ。」

 

「(・・・・・しかし、まさかホントに死んどらんじゃろうな?

あの女が2日かかるなぞ初めてのことじゃわ・・・)」

 

その頃、掲示板前で夏海がうろうろしていた。

 

「良介と会長が・・・行方不明・・・ど、どうしよう・・・まだ誰も知らないのよね・・・

もう1日経っちゃったじゃない・・・どうすんのよ・・・!」

 

と、怜がやってきた。

 

「夏海。」

 

「ぎゃーっ!

ま、まだ何も言ってないわよ!

言ってないからね!」

 

「・・・なんだ?

なにかあったのか?」

 

「え?

な、なんでもないなんでもない・・・言えないわよ、こんなの・・・

れ、怜こそどうしたの?

なんか用?」

 

「ああ、冬樹を見なかったかと思ってな。」

 

「冬樹・・・ノエル?

イヴ?

どっち?」

 

「イヴだ。

これから風紀委員のミーティングでな。

デバイスにも反応がない。

外出許可は出てないから学園内にいるはずなんだが・・・」

 

「さぁ、見ないわね・・・風紀委員でミーティング?

中休みよね、今?」

 

「ああ、緊急だ。

次の彼女の授業は・・・ノエルに聞いてみるか?」

 

「イヴのことノエルに聞いてもしょーがないでしょ。

萌木に聞くのがいいわよ。

イヴ、よく図書室で本読んでるから。

知ってるならあの子でしょ。」

 

「なるほど。

ではそうしよう。

すまない、助かった・・・」

 

怜は去ろうとしたが戻ってきた。

 

「霧塚の次の授業はなんだろうか。

居場所がわからん。」

 

「えーと、それはリナちゃんに・・・リナちゃんの授業はえーと・・・」

 

   ***

 

洞窟では良介と虎千代はさらに奥に進んでいた。

 

「野薔薇は野薔薇の家に生まれた。

だが私は違う。

それだけだ。

ヤツは強くなることを運命づけられていたが、私は自分で選んだ。

ただ一人、武田 虎千代として強くなるのだ。

この学園の生徒たちを守るためにな。」

 

「学園を守るために強くなる・・・か。」

 

「・・・だが、協力してくれるものは多い。

それは喜ばしいことだ。

お前は転校してきたばかりだが・・・

もし学園をさらによくしたいと思うのなら、手を貸してくれ。」

 

「そうですね・・・こいつを倒したら考えときますよ。」

 

良介は剣を抜き、構える。

 

「さあ、あと少しだ。

運よくアタシたちの前に魔物が現れた。

他のものと合流する必要もあるまい。

このままカタをつけよう。

あそこだ。

援護を頼む。」

 

「了解、任せてください!」

 

虎千代は魔物に突っ込む。

良介は光の魔法で牽制しながら、さっきと同じように相手をかく乱させようとする。

第1封印はまだ解放したままである。

風の強化魔法を自分にかけ、壁に飛び移った瞬間、魔物が良介を攻撃してきた。

 

「なっ!?」

 

良介は回避することができず、攻撃をくらい地面に叩きつけられる。

 

「良介っ!」

 

虎千代が呼びかけると、良介はすぐに飛び起きた。

 

「痛えなこの野郎!」

 

どうやら第1封印に強化魔法をかけていたのでたいしてダメージは入っていないようだ。

だが、剣は落とした上に、魔物の向こう側まで飛んでいってしまった。

 

「チッ・・・どうするか・・・ん?」

 

良介は虎千代の戦い方を思い出す。

 

「・・・よし、やってみるか。」

 

良介は指を鳴らし、構えをとる。

 

「あいつ・・・素手で?」

 

魔物が攻撃してくると、かわして懐に入り込む。

手に魔力を込め、思い切り殴る。

 

「はぁっ!」

 

すると、一発で魔物体が浮く。

すかさず、良介は魔物にラッシュを食らわす。

 

「でやあぁぁぁぁっ!」

 

最後に足に魔力を込め、蹴り上げる。

 

「吹っ飛べぇっ!」

 

魔物が空中で消滅した。

 

「ふぅ・・・素手で戦うのもいいな。」

 

虎千代が話しかけてきた。

 

「アタシは援護を頼むと言ったんだがな・・・」

 

「う・・・すいません。」

 

「別に気にする必要はない。

結果的には魔物を倒すことができたからな。」

 

虎千代は魔物がいた方向を見る。

 

「・・・うむ。

やはり魔物だ。

あのような巨体が霧散するなど、他では考えられん。

よし、と言いたいところだが、アタシたちにはまだ仕事が残っている。」

 

「・・・仕事ですか。

何かありましたか?」

 

「クエストは原則、受けた全員で報告せねばならんからな。

他の生徒を探し、無事を確認。

その後脱出路を探すぞ。」

 

「わかりました。

それじゃ、早速・・・」

 

良介が行こうとすると、虎千代が話してきた。

 

「・・・おい、良介。」

 

「はい?

なんでしょうか・・・」

 

「一度組んだだけだが、確かにお前の魔力と魔法は心強い。

後ろからの注意掛けも危なげない。

助かったぞ。

興味が出たらで構わん。

この虎千代とともに学園の守護者となりたいなら・・・

その時は、いつでも声をかけろ。

アタシはそれに応えるぞ。」

 

「・・・考えときます。」

 

その頃、外ではつかさと梓がいた。

 

「・・・・・・む?

・・・・・風が・・・・・来るのか。」

 

「生天目先輩~。

早く戻らないと、また風紀委員がうるさいッスよ~。

魔物退治もいいッスけど、ちゃんとクエストを請けて・・・」

 

「黙れ。

耳を澄ませろ。」

 

「はい?

どうしたんスか、急に。」

 

「ヤツラの音がするぞ。」

 

「・・・・・音?」

 

「ククク、虎千代よ、早く戻ってこい。

少しでも遅れれば、私が全て喰ってしまうぞ。」

 

いきなりつかさは笑い始める。

 

「・・・なに言ってるッスか?

生天目先輩、詳しく話してくださいッス。」

 

「明日、いや・・・今夜か・・・

いいぞ、私を楽しませてくれよ・・・!」

 

「・・・生天目せんぱ~い?」

 

学園の研究室。

初音と結希がいた。

 

「眠い・・・今日はもう出ないんじゃね?」

 

「小鯛山にミスティック多数、出現確認。」

 

「げっ。

それってまさか・・・」

 

「・・・・・多い・・・!」

 

「おおい、沙那、沙那ーっ!」

 

初音が沙那を呼ぶとすぐに沙那が現れた。

 

「こちらに。」

 

「きやがったぞ!

本社に連絡しろ!」

 

「かしこまりました。

出動を要請いたします。」

 

「連絡は南。

避難開始。

国軍が出動したわ・・・警戒の甲斐があったわね。

けれどこの量、どうしても漏れる・・・学園に出動要請が来るわね。」

 

「マジで?

や、やだなぁ・・・」

 

「生徒会も精鋭部隊も疲労しているわ。

まさかこんな誤算が生まれるなんて・・・

朱鷺坂 チトセと東雲 アイラを呼んで。

あの2人が一番の戦力だわ。

可能なら生天目 つかさと服部 梓も。

最悪の場合・・・

卯衣も出すわ。」

 

「お、おう。

わかった。

沙那、聞いたな?」

 

「承りました。

それでは生天目 つかさは私が探して参ります。」

 

「頼むぞっ。」

 

初音と沙那は研究室から出て行った。

 

「・・・早い・・・国軍の対応がとても早い・・・私の知らないことがある・・・

まるで予知だわ・・・まさか、朱鷺坂 チトセ・・・

学園に来る前は、国軍に・・・?」

 

同時刻、洞窟内。

精鋭部隊が中に入り込んでいた。

 

「ケッ。

いやがったぞ!

誰か上に連絡しろ!」

 

「えっ!?

い、いたの!?

どこ!?」

 

「・・・・・」

 

「テメーら、ここから動くな。

アタイが下に降りるからな。

・・・魔物の気配がねぇ。

まさか、2人で霧を払いやがったのか。」

 

メアリーは焔と月詠に動かないように指示を出し、下に降りた。

 

「タイコンデロガ相手に無補給で2日・・・椎名のヤローがいて運がよかったなぁ。」

 

「なに、良介のおかげで魔力には事欠かなかった。

魔物を倒せたのも、全力を出し続けられていたのと良介の魔法と能力のおかげだ。」

 

「あっそ。

だが魔法は人体に負担をかける。

アンダンスタン?

くらーいくらーい闇の中で、ないかもしれない出口を探して・・・

魔物と延々戦う。

どれだけ体力を消耗するか知ってっか?」

 

「アタシは元気だぞ。

すぐにでも次のクエストを請けられる。」

 

「俺もそんなに疲れてないぞ。」

 

「ククク・・・そうかよ、無敵の生徒会長サマの意外な弱点か・・・

その言葉、聞かなかったことにしといてやるぜ。

感謝しろよ。

・・・ところで良介、それなんだ?」

 

「・・・あ、まだ解放したまんまだった。」

 

良介はすぐ第1封印を解除する。

すると、良介からオーラが消え、目の色も金色から黒色に戻った。

 

「なんだ今の?」

 

「うーん・・・俺の能力の1つかな。

詳しくは言えないけど。」

 

「あっそ。

興味ねえから聞かねえでおく。

オラ、さっさと出るぞ。」

 

洞窟から抜け出し、学園に戻り生徒会室に入った。

 

「ふぅ・・・この椅子に座ると、やはり落ち着くな。

良介も座れ・・・今回はすまなかったな。

アタシが巻き込んでしまった。」

 

良介は近くの適当な椅子に座る。

 

「いえ、別に気にしてないので・・・」

 

「瓦礫を魔法でふっ飛ばすこともできたんだが、それは危険だったからな。

結果的にドラゴン型を倒すことができたとはいえ・・・うん、少し無茶だったな。

メアリーの言っていたことが少しわかってきたぞ。

知らないうちに、アタシはどうやらかなり消耗していたようだ・・・

体がだるくて、しばらくここから動けないな。

ハハ・・・」

 

「・・・大丈夫ですか?」

 

「お前も疲れているだろう。

クエストの後は授業免除だからな。

帰って寝るといい。

今のままだと女子の人気がなくなるぞ。」

 

「いや、人気とかどうでもいいんですが・・・

そうさせてもらいます。」

 

「では、また明日な。」

 

良介は部屋に戻るなり速攻で寝てしまった。

そして夜、生徒会室。

 

「・・・このような寝顔を晒すとは・・・悪条件が重なったとはいえ・・・

タイコンデロガよりも、洞窟深くに無装備だった方がきいているようですね・・・

会長。

お休みの所申し訳ありません。」

 

寝ていた虎千代を薫子が起こす。

 

「む・・・・・うん?

なんだ、薫子か。

今何時だ?」

 

「午前2時です・・・宍戸 結希から連絡がありました。」

 

「こんな時間に?

・・・まさか・・・」

 

「はい。

魔物の大量発生が始まりました。」

 

「よし、関係各所に連絡・・・しまった、体が動かん。」

 

「会長は朝までお休みください。

簡易寝台を用意しています。

会長は生徒を率いて立っていただかねばなりません。

それまでは私にお任せを。」

 

「・・・わかった。

甘えよう。」

 

虎千代は簡易寝台の方へ向かった。




人物紹介

我妻 浅梨(わがつま あさり)13歳
始祖十家と呼ばれる由緒正しい魔法使い一族【我妻】に生まれた生粋のエリート。
素直で前向きだが、その生い立ちからかゆるぎない自信を見せることも。
方向オンチですぐ迷子になるが、全く自覚はない。
母や姉のように立派な魔法少女になることを夢見る、男の子。
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