グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
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 それでもOKという方は、よろしくお願いします。


第23話 第7次侵攻①

翌日の早朝、学園の校門前。

兎ノ助のところに虎千代が走ってやってきた。

 

「兎ノ助、兎ノ助!

ここにいたか!」

 

「ああ、いるぜ。

わかってるよ。

第7次侵攻だろ?」

 

「伝わっていたか・・・未明に全世界で大規模な魔物の発生が確認された。

一番近いのは小鯛山だ。

風飛を目指して南下してきている。」

 

「小鯛山から南下か。

風飛を通って東京に向かってるのか?」

 

「ヤツらに東京を目指しているという自覚があるかはわからんが、そうだ。

国軍が風飛の北西に展開するのが1時間後。

いちおう、魔物の到来に間に合う。」

 

「学園への要請は?」

 

「全員出動だ。」

 

虎千代の言葉に兎ノ助は驚く。

 

「は!?

全員ってお前、今回は出動すらない可能性があったんじゃないのか?」

 

「事前の予想以上に魔物の数が多い。

厳戒態勢で小鯛山からの避難は迅速だが、それでも被害が出ている。」

 

「うーむ、学園からそんなに離れていないことが救いか。」

 

「進路上に風飛があるのは不幸中の幸いだ。

他の街なら被害はもっと拡大する。」

 

「風飛は歴史的に魔物の対応に慣れている地域だからな。

生徒たちも学園のバックアップの元戦えるし・・・だが、量が多い?

なんか嫌な予感がするな・・・俺はいつも通りでいいのか?」

 

「ああ、お前は3回の大規模侵攻を経験している。

学園生は不安がっているだろう。

勇気づけてやってくれ。」

 

「俺、多分第3次の時に死んでるから、それ含めると4回だな。」

 

「それは言うなよ。」

 

「わーってるって。

魔法が使えない今、俺にできるのはそれくらいだ。

いざとなったらこの身を盾にして、魔物の攻撃を受け止めてやらぁ。」

 

「ああ、頼んだ・・・アタシはすぐに学園生に通達する。

アタシたちができるのは風飛の防衛だ。

全世界を守ることはできない・・・

だがだからこそ、必ず風飛を守り通す。」

 

「お前、自分が強いからって油断するんじゃねぇぞ。

体調もまだ悪いだろ?」

 

「アタシは武田 虎千代だぞ。

学園を代表する、生徒会長だ。

学園生は全員守る。

見ていろ。」

 

その頃、良介はまだ自分の部屋にいた。

 

「う~ん・・・まだ6時かぁ・・・」

 

時計を見て、時間を確認したあと、再び眠りにつこうとする。

と、誰かが勢いよくノックしてきた。

 

「ん~?

誰だ、こんな朝早く・・・」

 

良介は寝ぼけながらドアの前に行く。

 

「良介さん!

早く起きてくだせー!」

 

風子の声だった。

ドアを開け、良介が部屋から出てきた。

 

「どしたぁ?

こんな朝早くから・・・」

 

「うわ、すごい寝癖・・・じゃなくて今日の朝のニュース見てねーんですか?」

 

「さっきまで寝てたからな。

で、どうした?」

 

「第7次侵攻・・・と言えばわかりますよね?」

 

その瞬間、半分閉じていた良介の両瞼が開く。

 

「・・・すぐに準備する。」

 

勢いよくドアを閉め部屋に戻っていった。

良介は準備を済ませ学園に向かう。

道中で誠と合流した。

 

「良介!

聞いたか、全員出動だ!」

 

「ああ、聞いた。

早く向かおう。」

 

学園の噴水前にほぼ学園生全員がいた。

その前に虎千代が立っていた。

 

「生徒諸君!

生徒会会長の武田 虎千代だ。

今朝のニュースで知った生徒もいるだろうが、ここから北西の小鯛山で・・・

大規模な魔物の発生が確認された。

時刻は午前2時。

規模は通常の42倍。

大規模侵攻の発生だ。

国連軍はこれを第7次侵攻と命名した。

そして、政府の要請でこの学園からも生徒が出動することになった。

国軍は日本各地、国連軍、IMFはすでに世界各地に展開し戦っている。

42倍だ。

これは過去の侵攻に比べても多い。

過去最大の規模と言える。

だが、我々人類の戦力も9年前とは比較にはならない!

私立グリモワール魔法学園もまた、9年前とは比較にならない!

虎千代が宣言する!

この防衛戦では誰も死なせない!

そして風飛の街は、一歩たりとも魔物に侵させない!

ここで魔物を退け、北海道奪還の・・・人類反撃の嚆矢とするぞ!

各自、割り切りに従い10人規模のパーティを作り出発!

風飛市の北に陣取り防衛戦を敷く!

これほどの規模の作戦は各人初めてだろうが、怖じることはない。

指示に従い、持てる力をじゅうぶんに発揮すればなにも心配はない!

なにかあればアタシを呼べ。

すぐに駆けつける!」

 

生徒はパーティを編成し防衛線に向かった。

 

   ***

 

良介と誠は同じパーティに組まれた。

 

「誠、後ろからの援護頼むぞ。」

 

「おう、任せとけ。」

 

1人見慣れない生徒がいた。

 

「よろしくお願いします、円野 真理佳(まどかの まりか)です!

先日転校してきました!

噂の良介さんについて行動するようにとのことなので、一緒に行きましょう!

センパイの体質と魔法のことは知っています。

魔物は僕に任せてください!」

 

「・・・テンション高いな。」

 

真理佳の元気さに呆れる良介。

 

「アンタ、エラい元気ね・・・最初っからそんなだとバテるわよ?」

 

「魔法使いに覚醒したときのために、毎日トレーニングしていました!

体力には自信あるので、心配はいりません!」

 

「(そういう問題じゃないんだがなぁ・・・)」

 

「ふうん・・・ん?

転校してきたの、この前?

クエストには出たことある?」

 

「今回が初めてです!」

 

「はぁ・・・で、俺は基本的にどうすればいいって言ってたっけ?」

 

「・・・・・ああ、良介、アンタたちはいろんなパーティの助っ人だって。

魔物が多い所に行って、魔力を渡したり状況を目で把握したり・・・

後は魔物の殲滅をしたりとかしてもらうらしいけど、注意しなさいよ。」

 

「ふむふむ・・・注意しなきゃ、と。」

 

「アンタと他の生徒!

そしてパーティの司令官はアンタなんだからね。

他の生徒がケガしたらアンタのミスだと思いなさい!」

 

「・・・了解、絶対にヘマはしない。」

 

「司令官はセンパイ・・・メモメモ・・・」

 

「・・・何やってんだ、あいつ。」

 

真理佳の行動を見て良介は呆れる。

 

「な、なんかやりにくいわね・・・とにかく!

わかったわね!?

アンタは貴重な戦力なの!

大ケガなんかしたら承知しないんだから!

そこんとこ覚悟しなさいよ!」

 

「・・・・・わかった、善処しよう。」

 

良介たちは魔物の方へ向かった。

 

「良介・・・守谷が言ったこと、守るのか?」

 

「だいたいは守るさ。

大ケガをするなというのは無理かもしれんが。」

 

「・・・したらどうするんだ?」

 

「その状態でもできる限り戦うさ。

できる限り、な。」

 

少し離れたところに虎千代と薫子がいた。

 

「・・・・・」

 

「会長。

国軍と魔物との戦闘が始まりました。

まだ時間はあります。

まだ疲れが残っているでしょうし、今のうちに休まれては・・・」

 

「半日寝たんだ。

これ以上は甘えられん。

ほとんどの生徒が初めての実戦だ。

怖くないはずがない。

そういったとき、アタシの姿を見て安心してくれるだけでも違うからな。」

 

「そうは言っても、せめてもう少し下がってもよろしいのでは。」

 

「薫子。

アタシは生徒会長だ。

その役目を全うするだけの体力はある。

心配してくれるのは嬉しいが、それ以上はアタシを不機嫌にするぞ。」

 

「・・・・・はい、申し訳ありません。

控えます。」

 

「さぁ・・・国軍は上位の魔物は何としてでも食い止めると言っていた。

少なくとも最初はみんなに任せて大丈夫だろう。

東雲やつかさもいるしな。」

 

「グリモアの戦力はここ数年でもっとも高いでしょう。

まるで侵攻に備え、誰かが集めたかのようですね。」

 

「ああ、在籍生徒としてはベストだろう。

特に今年来たのが大きい。

来年はアタシもつかさも、遊佐も雪白もいないからな。」

 

「・・・・・そうですね。」

 

   ***

 

「はぁっ!

このっ!」

 

「良介、行くぞ!」

 

良介ができる限り魔物を倒し、残りを誠の矢で全て射抜く。

真理佳はもう息があがっていた。

エレンが真理佳に話しかけてきた。

 

「ハァ、ハァ、・・・つ、疲れた・・・」

 

「どうした、まだ緒戦が終わっただけだぞ・・・ああ、新入生だったな。

充分に訓練を積むまでは実戦で無理をするな。

倒す必要はない。」

 

「ハァ・・・ハァ・・・で、でも魔物は全部倒さなきゃ・・・

コズミックシューターは、対峙した魔物は逃したことがないんです・・・!」

 

「覚醒したばかりの自分とヒーローを比べるな。

馬鹿のすることだ。」

 

「なっ・・・ぼ、僕はヒーローを目指しているんです!

1日も早くヒーローになるためには、多少の無理なんか苦じゃありません!」

 

「なにふざけたこと言ってんだ、この大馬鹿野郎。」

 

魔物を倒し終えた良介と誠が戻ってきた。

 

「今は作戦行動中だ。

良介、お前が言っておけ。

この戦いが終わったら、私がマンツーマンでしごいてやろう。」

 

エレンは去っていった。

 

「・・・でも、覚醒したばかりの僕だって、魔物を倒せてるんだ・・・!

そうですよね、センパイ!?」

 

「・・・ふざけんな、調子乗るのも大概にしろ。」

 

「・・・っ!」

 

と、月詠がやってきた。

 

「アンタ、良介を困らせるような話の振り方しないの。」

 

「も、守谷センパイ・・・」

 

「エレンはああ言ったけどね、ツクは言ってやるわよ。

アンタ、今日だけで終わりだなんて思ってないわよね?」

 

「え・・・・・?」

 

「魔物の攻撃は明日も、明後日も・・・一週間くらい続くかもしれないの。

いつ終わるかもわからないのに、初日からそんなにヘバっててもつと思う?」

 

「あ・・・・う・・・・」

 

「良介!

こーゆーのはアンタが言ってあげないとダメじゃない!」

 

「・・・今言おうとしたらお前が先に言ったんだよ。」

 

ため息をついて良介は頭を掻く。

 

「ま、ツクの方が優秀だから?

しょうがないけどね。」

 

「あっ?」

 

「まーまー、落ちつけって良介。」

 

イラつく良介を抑える誠。

 

「ま、さっきの戦いでこの辺の魔物は一掃できたし、しばらく休憩ね。

アンタ達も今のうちに休んでおきなさい。

特に良介。

アンタよ、アンタ。」

 

「・・・俺?」

 

「武田 虎千代と一緒に2日も冷えた洞窟にいたんだから、風邪ひくわよ?」

 

「うわぁ・・・良介センパイの心配までできるなんて、凄いなぁ・・・」

 

「しっ、心配!?」

 

「やっぱり戦い慣れてる人って凄いんですね!

よーし、こうしちゃいられない!

僕も頑張って、一人前のヒーローにならないと!」

 

「ちょっと待ちなさいよ!

し、心配なんてしてないわよ、心配なんて!」

 

「弱ってる良介センパイの心配をしてない・・・これが心の通じ合った信頼ですね!」

 

「信頼!?

ち、ちがっ・・・!」

 

「僕だって負けませんよ!

仲間たちとの信頼関係を築いて見せます!」

 

「違うってば!

ツクはこいつのことなんてなんとも・・・」

 

「みんなにも教えてあげないと・・・!」

 

真理佳は走り去っていった。

 

「な、なに言い出すのよ!

良介、アンタ、早く止めてよ!」

 

「・・・たく、しゃあねえな。」

 

良介も真理佳の後を追いかける。

 

「うーっ!

最近の転校生、変わり者が多すぎよ・・・」

 

誠はその様子を見ていた。

 

「(なるほど・・・守谷はツンデレか・・・良介のヤツ、モテるねぇ・・・)」

 

その状況を見てニヤニヤしていた。




人物紹介

円野 真理佳(まどかの まりか)16歳
幼いころからヒーローに憧れて育ったヒーローマニアな女の子。
魔法使いに覚醒したことで、本格的にヒーローを目指し始めた。
困っている人を見かけるといてもたってもいられず助けに飛び込むが、まだ未熟なため状況が悪化することもしばしば・・・
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