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「会長、宍戸博士から衛星写真が届きました。」
衛星写真が入った封筒を持った薫子が虎千代のところにやってきた。
「ああ、見せてくれ。」
虎千代は封筒を受け取り、中身を確認する。
一枚目には魔物しか写っていなかったが、二枚目を見た瞬間、虎千代は驚いた。
「・・・っ!
これは・・・!」
二枚目にはその魔物の群れ相手に戦う2人の男の魔法使いが写っていた。
青いマントに剣を持った男と弓を使って戦う男、紛れもなく良介と誠だった。
「薫子、今すぐ精鋭部隊と他の手の空いている生徒に声をかけてくれ!」
「え?
何かあったんですか?」
「魔物が来ない理由・・・これだ。」
虎千代はその写真を薫子に見せた。
「これは・・・良介さんと誠さん!?」
「ああ、たった2人で突破してきた魔物と戦っているらしい。
今すぐ頼む!」
「了解しました!」
薫子は生徒に声をかけに行った。
「まったく、あの馬鹿2人め・・・!」
その頃、防衛ライン。
「ぐっ・・・!
クソッ!」
良介は傷の影響で思うような動きができなくなっていた。
魔物は倒しているものの、攻撃がほとんど避けられなくなっていた。
「うりゃあっ!
良介、大丈夫か?」
誠が双剣で魔物を倒してやってきた。
「ああ・・・大丈夫だ。
だから、目の前の魔物だけ集中していてくれ。」
「・・・わかった。」
誠は再び魔物の方へ向かっていった。
良介はなんとなく左脇腹に手をやってみた。
「・・・やっぱりか。」
手が血で真っ赤に染まっていた。
「頼むから終わるまでもってくれ・・・!」
良介は脇腹の傷を手で押さえながら魔物に向かっていった。
***
「薫子、どうだ?
どれぐらい集まった。」
「はい、精鋭部隊に風紀委員、保健委員と良介さんのところのパーティが来れるようです。」
虎千代たちは防衛ラインのところに向かう準備をしていた。
「それにしても、こんだけの魔物どもを2人で相手にするってどんだけ狂ってんだよ。」
「だが、2人の行動もあながち間違いではない。
これだけの魔物が一気に来ればこちらもかなりの被害が出ていたかもしれん。」
メアリーとエレンは衛星写真を見ていた。
真理佳は良介たちのことを心配していた。
「センパイたち・・・大丈夫かな?」
月詠が真理佳に話しかけてきた。
「大丈夫よ。
2人ともバカみたいに強いから。」
「こんなときでもセンパイたちのこと信頼してるなんて・・・
守谷センパイ、すごいなぁ・・・」
「なっ・・・
べ、別に信頼なんかしてないわよ!」
風紀委員の方では、風子と紗妃が話していた。
「神凪は例の2人のところ、服部は天文部のところですか。」
「はい、なので実質私たち3人だけということになります。」
「そーですか、それにしても国軍を突破してきた魔物を2人だけで相手にするって、
どんだけ無茶してんですかね?」
「そうですね、というか一体何匹の魔物がいるのか・・・」
「宍戸 結希曰く、軽く300以上はいるらしーですよ。」
「さ、300!?
それだけの数をたった2人で!?」
「そーです。
しかも良介さんは別の写真からわかったことなんですが・・・
脇腹を負傷しながら戦っているみてーなんです。」
「え・・・ち、治療は?」
「包帯巻いてるだけみてーです。
あのままじゃ危険ですねー・・・」
「保健委員も来るみたいですけど・・・大丈夫でしょうか?」
「ま、ウチらが到着するまで無事であることを信じるしかねーですね。」
風子は防衛ラインのある方向を見る。
「(おねげーですから無事でいてくだせー。
良介さん。)」
「・・・よし、みんな準備ができたようだな。」
「はい、いつでも行けます。」
虎千代は薫子と他の生徒の様子を見ていた。
「よし、防衛ラインに向かうぞ。」
虎千代たちは防衛ラインに向かった。
その頃、防衛ライン。
「ぐ・・・この・・・!」
良介は魔物の攻撃を剣で防御したが傷のせいで踏ん張りが効かなくなっていた。
「ぐぁっ!」
そのまま良介は木に叩きつけられる。
「う・・・らぁっ!」
なんとか魔物の攻撃を弾き返し魔物に攻撃する。
「はぁ・・・はぁ・・・うっ・・・」
良介は脇腹を押さえ膝をついた。
「でやぁ!
良介、お前は少し下がってろ!」
誠がこっちにやってきた。
「・・・そうは・・いかない。
この数を・・・お前に任せるわけには・・・いかないからな。」
「だが、さっきより減ったんだ。
タイコンデロガがいるとはいえ、俺でもやれるはずだ。」
「・・・タイコンデロガ一匹で苦戦してたくせによく言うぜ。」
「・・・うるせぇ。」
魔物はかなり数が減っていた。
すると、良介は剣に魔力を流し始めた。
「お、おい。
何する気だ!?」
「伏せてろ。
一掃する!」
恐らくこの一発で第1封印は解けるかもしれないが、それでも良介は放つことにした。
「はああぁぁぁぁ・・・!」
剣に魔力を流し、大きく上に振りかぶる。
「おりゃああぁぁぁっ!」
良介は思いっきり剣を振りかざした。
強力な衝撃波が発生し、魔物を次々と消し飛ばした。
「うっ・・・ぐっ・・・!」
良介の第1封印は解け、脇腹を押さえそのまま膝をつく。
「無茶しやがって・・・!
今ので傷開いたんじゃねえのか?」
「・・・その前から開いてるよ。
はは・・・もう包帯でも血が止められなくなったか。」
良介の脇腹は服の上から流血していた。
「このバカ野郎・・・!
もうほとんどいないんだ。
後は俺に・・・!」
「お前も人のこと言えねえんじゃねえのか?
その右肩でどうやって戦う気だ?」
誠もいつの間にか右肩を負傷していた。
右腕から血が滴り落ちていた。
「・・・お前に比べたらマシだ。」
「右腕、うまく動かないんだろ?
だったらフォローが必要なんじゃないのか?」
良介は脇腹を押さえながら立ち上がる。
「・・・もうあれだけなんだ。
2人で一気に終わらせよう。」
もう残りの魔物は10匹前後になっていた。
「・・・本当に大丈夫なのか?」
「ああ、だが時間がない。
行こう。」
「・・・わかった。
ただし無理ならすぐにでも下がれよ。」
「ああ、わかった。
行くぞ!」
良介と誠は魔物に向かっていく。
誠は弓で一気に魔物を射抜く。
魔物の数は減り、5匹になった。
「クソッ、でかいのはさすがに倒せないか!」
「任せろ!」
良介は剣に魔力を込め、一気に斬る。
3匹倒し、残りはタイコンデロガ2体だけになった。
「はぁ・・・はぁ・・・ここでタイコンデロガは・・・まずいな・・・」
「お互い満身創痍、おまけに全力が出せないときた。
もうここまでやったんだ。
そろそろ下がらないか?」
「・・・いや、逃げたところですぐ追いつかれるだろ。
だったらここで戦った方が・・・」
そう言って良介が構えようとした瞬間、二つの影が通り過ぎる。
「はぁああっ!」
「くらえっ!」
2体のタイコンデロガが倒される。
虎千代とつかさだった。
「はは・・・助かったな、良介。」
「・・・ああ。」
良介と誠は気が抜けたのか、そのまま倒れそうになる。
すると、良介を風子が、誠を真理佳が受け止める。
「大丈夫ですか、センパイ!」
「・・・ああ、真理佳か。」
「まったく・・・無茶しすぎですよ。
2人とも。」
「・・・悪い。」
2人の元に保健委員がやってきた。
「他の生徒は周りに魔物がいないか見回りを。」
虎千代は指示を出すと、2人のところにやってきた。
「・・・2人とも、無事でなによりだ。
だが、なんでこんな無茶を?」
「・・・ただ単に、あの魔物の群れを通したら・・・
大切なものを失くしそうな気がしたんで・・・」
「・・・それだけのなのか?」
「ええ、俺がそうした理由はそれだけです。」
「・・・誠は?」
「俺は・・・1人で突っ込もうとする良介を見捨てられなかった。
ただそれだけです。」
「・・・そうか。
2人とも、お前たちの活躍のおかげでグリモアには被害が出ずにすんだ。
礼を言わせてくれ。」
虎千代は2人に礼を言おうとする。
「・・・会長。
それは、侵攻が終わってからの方がよくありませんか?」
「そうでもない。
国軍は持ち直した。
それにお前ら2人で侵攻の6割近くの魔物を倒したんだ。
国軍が押し始めている。
もうアタシらの力も必要ないだろう。」
「俺ら・・・そんなに倒してたんだな・・・知らなかったぜ。」
誠が右肩を押さえながら、呆れたように笑う。
「さあ、治療が終わったら戻ろうか。」
***
虎千代たちは元の防衛線に戻ってきた。
「・・・・・長かったな・・・・」
つかさが虎千代に話しかけてきた。
「ふん、ふんぞり返っていたのでは長くも感じよう。
私にとっては至福のひと時だったぞ。
物足りんくらいだ。」
「可能な限り戦ってはいたんだがな・・・まあ、いい。
お前とあの2人のおかげだ。」
虎千代は包帯だらけになった良介と誠の方を見る。
「フン、おだてて何を期待しているか知らんが、無駄だ。」
「・・・だがこれだけの日数、これだけの魔物と戦ったのは初めてだろう?
私もこの前に思い知ったが、自分が考えるより、体は弱いものだ。
休め。
今回は乗り切れたのだから、後8年は大丈夫だろう。」
「そうなればいいがな。」
つかさは去っていった。
薫子が虎千代のところにやってきた。
「・・・生天目 つかさ、やはり常日頃、勝手に魔物討伐に出かけるだけはありますね。」
「ああ・・・いつもは対抗戦かタイマンだったからわからなかったがな・・・
まぁ、一番驚いたのはあの2人だ。」
虎千代は良介と誠の方を見る。
「ええ、無補給であれだけの魔物を、しかもあんな状態で戦っていたのですから。
継戦能力はあの2人がトップ・・・と、私が申し上げておきましょう。
会長が仰る必要はありません。」
「いつも変なところに気を使うな・・・さて、私の仕事だ。
ケリをつけよう。」
「はい。
生徒は集合させてあります。」
「疲れた体に無理をさせるな・・・短めにするか。
いや、一言でいいな。
・・・第7次侵攻は終わった。
勝ったぞ。」
その頃、学園の研究室。
結希と望と心がいた。
「・・・武田 虎千代が終結宣言をしたわ。
私たちの仕事も終わりね。」
「ぜーっ・・・ぜーっ・・・クッソ、こんな霧が濃くなった時に拉致しやがって・・・」
「お、終わったんですか?
みみ、みなさんは・・・」
「重傷者が2名。
軽症者はほぼ全員。
でも命に関わるケガはいないわ。
死者も。」
「ほ、本当ですか!?
よかったぁ・・・」
「フン、ボクの方が死にそうだったぞ。
いきなり状況分析なんかやらせて・・・
引きこもりなんかに重労働なんかさせんなっての。」
「おかげで国軍の消耗も最小限だったわ。
痛いのは間違いないけれど。」
「2割だっけ?
あんだけぶっ込まれてよくそれで済んだよ。
ま、RTSのプロだからな、ボク。」
「もう帰って大丈夫よ。
連日お疲れ様。
「あー、寝よ寝よ。
あ、新作やっとかないと・・・」
「そ、それじゃあ失礼します・・・」
望と心は研究室から去っていった。
「・・・・・」
結希が1人で研究室にいると、デバイスから電話がかかってきた。
「もしもし・・・・・あなた、どうしたの?
半年ぶりね。
・・・・・魔物の通り道・・・・・確かに、旧科研があったわね・・・・・なんですって?
魔物の到着に余裕があったのはそのせい?
・・・わかったわ。
こっちで対処する。
なに?
・・・そう、完成したのね。
安全装置はどうなってるの?
言ったはずよ。
あなたが転校してくるのはまだ早い。
魔法を使ったときの負担は、魔法使いでないと耐えられない。
【覚醒していない】あなたが、他の生徒と一緒に戦うのは無理よ。
・・・・・好きにしなさい。
忠告は何度もしたから。
研究のために命を捨てるというなら、もう止めないわ。」
***
「ん・・・あれ?」
良介は目を覚ました。
いつの間にか気を失っていたらしい。
体を起き上がらせると周りを見渡す。
「・・・保健室か。」
外はすっかり暗くなっていた。
時間を見ると11時を指していた。
「すー・・・すー・・・」
「ん?」
気がつくと椅子に座った風子が良介の寝ているベッドに顔を突っ伏して寝ていた。
「なんで風子が・・・」
「水無月さん、侵攻で疲れているはずなのにずっとあなたの看病してたのよ?」
ゆかりがやってきた。
「俺は・・・どれぐらい気を?」
「大体6時間ぐらいね。
その傷だからまだ目は覚まさないと思ってたけど、案外早かったわね。」
「そうですか・・・誠は?」
「隣よ。
まだ目を覚ましてないわ。」
仕切られていて見えないが、誠は隣で寝ているらしい。
「とりあえず、今日はここで大人しくしててね。
間違っても絶対に動いちゃダメよ!」
「・・・わかってますよ。」
ゆかりは保健室から出て行った。
「ん・・・」
風子が目を覚ましたようだ。
「よう、風子。
起きたか?」
「良介さん・・・大丈夫なんですか?」
「まだあちこち痛むが・・・ま、なんとかな。」
「そーですか・・・」
風子はそう聞くと少し俯く。
「・・・どうした?」
「どうして・・・あんな無茶をしたんですか?」
「言わなかったか?
魔物の群れを通したら大切なものを失くしそうだったからって。」
「その・・・大切なものってなんですか?」
「・・・それは、この学園のみんなだよ。」
「・・・みんな?」
良介は外に目をやる。
「ああ、今いて当たり前になっているみんなの中の誰かがいなくなるのが怖かった。
また、あの時と同じ目に合うんじゃないかって思ってな・・・」
「あの時?」
「・・・魔法使いに覚醒した日のことだよ。
家族、友達、住んでいた町・・・全部失くした日だよ。」
「全部失くした・・・」
風子は少し視線を下に向けたあと、謝ってきた。
「あ・・・ごめんなさい。」
「いや、別にいいよ。
あの日がなかったら今の自分はいないから。」
良介は風子の方を見て笑みを見せた。
「そういや、なんで風子は俺の看病を?」
「え・・・あの・・・その・・・心配・・・だったんで・・・」
「・・・そうか。
まぁ、誠よりやばい傷受けてたしな。
当たり前か。」
良介は左脇腹の部分に手をやる。
「・・・それだけじゃねーんですけどね。」
風子はボソッと囁いた。
「ん?
何か言ったか?」
「いえ、別になんでもねーです。」
風子は良介に笑みを見せると、椅子から立ち上がった。
「・・・今日は帰ります。
また明日、見に来ますから。」
「ああ、おやすみ。」
風子はそのまま出ていこうとしたが、ドアの前で止まる。
「・・・良介さん。」
「ん、どうした?」
「ウチをここまで心配させたんですから、傷が治ったらウチのお願い、叶えてもらいますからね。」
「はは・・・またあのカフェのパフェか?」
「そです。
おねげーしますよ?
良介さん?」
風子は良介の方を見て、ニコッと笑ったあと出て行った。
その後、誠は翌日に目を覚まし、2人は驚異的な回復力を見せ、1週間で傷を治してみせた。
そして、良介は後日、風子にりんごの高級パフェを奢るのであった。