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誠が温泉に行ってから2日後。
生徒会室には西原 ゆえ子(さいばら ゆえこ)と虎千代がいた。
「・・・・・この学園の地下、ですか。」
「転校早々、こちらの都合で悪い。
だがお前の魔法が必要だ。」
「ゆえ子の魔法は、近い未来を具体的に予知するのには不向きです。
レネイ女史やアンクル・ツォフのような預言者とは違います。
ご期待には添えられないかもしれませんが。」
「もともとお前は覚醒してそんなに日が経っていない。
承知の上だ。
アタシには年内にやっておきたいことがあった。
お前をダシに使ったようなものだ。」
「・・・むにゃむにゃ・・・生徒会長さん。
あなたの先は辛く険しいです。
ですがその先にある光を見失わないよう。
これをどうぞ。」
ゆえ子は虎千代に何かを差し出す。
「・・・・・?」
「ゴールデンカルサイト・・・栄光と繁栄の力を持つ石です。」
「ふむ・・・せっかくだがそれは受け取らないでおこう。
アタシの目標は国造りだ。
それを成し遂げるための力をつけねばならん。
自分の限界までやってみて、それでもだめだったら使ってみるとするよ。」
「そうですか。
お強いのですね。」
「さて、地下にいくわけだが、もちろんお前に護衛をつける。」
と、生徒会室のドアが開き、良介が入ってきた。
「会長、言われた通りに来ましたが。」
「こちらの方ですか?」
「ああ、早田 良介だ。
良介。
お前には西原の護衛を頼む。
もちろんお前だけではない。
何人か選んで行け。
アタシたち生徒会も行く。
見つけるのは【最奥部】だ。
この学園の地下迷宮の一番奥。
そこに何かがあるらしい・・・詳しいことはわからないが・・・」
「なるほど・・・地下ですか。
(地下・・・風子が言ってたあれか。)」
「第7次侵攻が終わった後に探すよう、代々の会長に受け継がれてきたんだ。
・・・1つ注意しておく。
学園の地下に少なくとも今、魔物は確認されていない。
だが霧はどこにでもある・・・アタシは地下に閉じ込めれられて、著しく消耗した。
日をまたいでの探索は厳禁だ。
それだけ、守ってくれ。
頼むぞ。」
「わかりました。
それじゃ、任せてください。」
良介はゆえ子と共に地下に向かった。
***
地下の洞窟。
瑠璃川姉妹、龍季、さら、ノエルがいた。
「・・・凄い。
コロシアムの地下がこんなになっていたなんて。」
「秋穂、危ない。
お姉ちゃんに任せて。」
シローがいきなり吠え始める。
「シロー、どうしましたか?
こわいですか?
だいじょうぶですよぉ。
たつきちゃんにはるのさんも来てくれましたし。」
「ノエルちゃんもいるからね!
バッチリサポートするよ!」
「・・・クソ。
来なきゃよかったぜ。
瑠璃川とかメンドクセーヤツがいたもんだ・・・
おいさら!
お前、わざわざ参加する必要なかっただろーが。」
「わたし、じゅうねんがくえんにいますから!」
「・・・だから?」
「がくえんのことはなんでも知ってるんですから!」
「・・・この地下のことも?
「いいえ・・・はじめて知りました。」
「だからなんなんだよっ!」
と、春乃がノエルに話しかけてきた。
「・・・冬樹。
コロシアムの地下、なにか情報はある?」
「うーん。
途中までの地図は渡されたけど、それがない所の探索だから・・・
あんまり役に立たないかも。
でも崩落の心配はないって。」
「魔物は?」
「魔物?
ううん、特に・・・それに、出てたらとっくに大騒ぎじゃない?
学園の敷地内は魔物は滅多に出ないし・・・」
「・・・・・魔物が、いない?
なら、こんな嫌な感じはしないわ・・・」
「・・・お姉ちゃん、どうしたの?
ううん!
なんでもないよ秋穂!
なにがあってもお姉ちゃんが守ってあげる!」
秋穂に抱きつく春乃。
「ひゃっ!
ち、近い、近いよお姉ちゃん!」
「・・・出なけりゃそれでいいけどね。
なんであろうと、妹に手出しさせないわ。」
その頃、良介たち。
月詠がゆえ子と話していた。
「・・・・・アンタが予知の魔法使い?」
「西原 ゆえ子です・・・むにゃむにゃ・・・」
「・・・最近の転校生って・・・いや、なんでもないわ・・・」
「・・・・・チッ。」
「予知の魔法使いって言うからもっと違うイメージ持ってたが・・・
結構幼い子が来たな。」
「幼いって・・・俺たちより年上だぞ。」
「え!?
と、年上!?
あの見た目で・・・」
護衛には月詠と焔、良介と誠が来ていた。
月詠が良介に話しかけてきた。
「良介!
アンタたちとツクたち精鋭部隊がこの子の護衛よ!
万が一にも傷つけないよう、ツクが指揮をとるからね!」
「うぜー・・・」
「ちょっと!
なんか言った!?」
「うるせぇ。
そのキーキーわめくの、やめろ。」
「・・・な、な、何よ!
アンタなんぁねぇ!
今は偉そうにふんぞり返って・・・」
「黙れ、燃やすぞ。」
焔と月詠が揉めだした瞬間、紫のオーラを纏った誠が2人に割って入り双剣を突きつける。
「これ以上揉めたら話が進まないんだよ。
黙らねえと首、掻っ切んぞ。」
焔と月詠を紫に光った誠の瞳が睨みつける。
「ぐっ・・・・」
「うっ・・・・」
2人が引いたのを確認すると誠は元に戻った。
「・・・誠、今のはなんだ?」
「ああ、今のか?
侵攻が終わってから突然使えるようになったんだ。」
「へー・・・俺の封印能力みたいなものか。」
「ああ、そんな感じだ。
ただ違うところは少しばかり好戦的になっちまうところかな。」
「確かに少し性格変わってたよな、今。」
「だから、俺は【魔神化】って呼んでる。」
「・・・なんで魔神化?」
「なんか思いついたから。」
良介と誠が話していると奥から音が聞こえてきた。
「・・・・・・?
な、なに、今の?」
「・・・むにゃむにゃ。
この先は安全ではなかったんですか?
黒いもやが見えます。
きっと魔物でしょう。」
「・・・やっぱり出たか。」
「・・・そ、そんな。
だって学園の地下なのよ?
魔物がいたら・・・!」
「んなのわかってたことだろ。
アタシたちも生徒会も行くんだ。
なんも出ねぇワケあるか。
さっさと進むぞ。
魔物が出てきたら、全部アタシが燃やしてやるよ。」
「・・・いや、俺がやるから護衛に専念しててくれ。」
良介はそう言うと1人で進んでいった。
「ふざけんな!
魔物は全部アタシが燃やすんだ!」
焔もその後に続く。
「ちょっと待ちなさいよ!
ツクを置いてかないでよ!」
月詠も続く。
「・・・はぁ、結局俺だけで護衛しなきゃいけないのか。」
誠はため息をつく。
「むにゃむにゃ・・・誠さん・・・でしたか。
あなたは行かないんですか?」
「あんたの護衛しなきゃいけないからな。
そっちに合わせて進むさ。」
「そうですか。
それでは、お願いしますね誠さん。」
「ああ、任せてくれ。」
誠とゆえ子は3人の後を追った。
***
里奈と萌木が地下で魔物と戦っていた。
「うわーっ!
この魔物キモいのだー!
戦いたくないのだ!」
魔物から逃げようとする里奈。
「だ、大丈夫だよリナちゃん!
他の魔物と何も変わらないから!」
「見た目が違うだろーっ!」
「うっ・・・言い返せない・・・どうしよ、わたしもちょっと気持ち悪い・・・ん?
あれは・・・ま、まさか・・・!」
萌木が何かに気付き走り始めた。
「あ、お、おい!
萌木、待てーっ!
魔物を押し付けて行くなーっ!」
里奈は魔物を倒し、萌木の後を追いかけた。
萌木は村のような場所に来ていた。
「ひぃ、ひぃ、・・・も、萌木、お前酷い奴だな・・・おい?
おーい?」
「・・・魔法使いの村だ・・・」
「魔法使いの村?
なんだそりゃ。」
「昔、魔物は地下から来ると考えられてたんだよ。
最初に現れた魔物がそうだったし、地獄の悪魔だって認識だったから。
だから魔法使いは、地下に防衛拠点を作って魔物と戦っていたの。」
「・・・ふーん・・・ん?
でも魔物は霧から生まれるんだろ?」
「それが判明するまでに時間がかかったんだ。
地上で魔物が現れたときは・・・
魔法使いが止められなかったって非難を受けた。
そして霧から生まれることがわかったら、地下の防衛拠点は引き払われた。
ずっと前のことだし、破壊していったから遺跡みたいになってるのが普通なの。
でもここは・・・風化しているとはいえ、ほぼ原形を保っている。
風は入らなくても湿度が高いのに・・・不思議・・・」
「・・・おーい、萌木?
あちゃあ。
こうなったらしばらく動かないなー。」
「魔法でコーティングされてるのかな。
でもそれだったら術者は・・・」
「仕方ないなー。」
里奈はデバイスで連絡を取ることにした。
「こちら里奈。
萌木があっち行っちゃったからしばらく足止めだー。」
少し離れた場所。
良介たちも魔法使いの村に来ていた。
月詠が里奈と連絡を取っていた。
「・・・了解・・・まったくもう、萌木ったら!
ただの古い家じゃない!
てゆーかなんで魔物が出るのよ!
学園でしょここ!?」
「ここは・・・何だ?」
「あー、たぶん・・・魔法使いの村ってやつじゃないのか?
昔、本で見たことある。」
「誠、知ってるのか?」
「ああ、と言っても海外の遺跡化したやつだけどな。
日本にあるのは知らなかった。
・・・しっかしよー、よく魔物出るな。」
「・・・・・」
魔法使いの村を見て黙る焔。
「・・・焔、アンタなにか知ってそうね。」
「テメーには関係ねぇよ。」
「止めていた人がいたんですね。」
「え?」
「会長さんから聞きました。
精鋭部隊の一部優秀者だけがここに入れると。
ゆえはよく知りませんが、たまに魔物退治にきてたのですね、きっと。」
「・・・そんな、ツク、聞いてないわよ!」
「・・・知ってたか誠。」
「知らん。
初耳だ。」
「・・・クソッ!
あのヤローが許可されてアタシはダメだってのかよ・・・!」
と、突然誰かが呼びかけてきた。
「みなさーん!」
どこかともなく浅梨がやってきた。
「あ、アンタ・・・!
なんでここに!
討伐パーティには入ってなかったでしょ!」
「ええと、そうなんですけど・・・寮に帰ろうとしたらここを通らないと・・・」
「なんでよ!
・・・はっ!
アンタ、いつも通る洞窟ってここのことだったの!?」
「そうですよ?
皆さんも通りますよね?」
「どうやったら通るのよ!
いつもは封印されてて入れないじゃない!」
「そうなんですか?」
「・・・ずいぶん派手な方向音痴な子がいるんだな。」
誠は引いていた。
「(・・・誠はもしかしてこいつが男だってこと知らないのか?)」
「・・・・・むにゃむにゃ。
魔物は悪魔の使者。
扉を抜けて現世に姿を現し、人に害をなす。」
「・・・・・ああ?」
「・・・どっかで聞いた言葉だな。」
顎に手をやり、考え込む誠。
「魔物の脅威から人々を守るには最終儀式を行わなければならないのです。」
「・・・きゅ、急になにを言い出すのよ、この子・・・」
「我妻、浅梨さんですね。」
「はい?
そうですよ。
自己紹介しましたっけ。」
「こちらを。」
ゆえ子は何かを浅梨に手渡す。
「わぁ、かわいいお人形ですね!」
「身代わり人形と言います。
持ち主に降りかかる災厄をかわりに受けてくれます。」
「災厄?」
「はい。
いつかわかりませんが、最終儀式が行われるとき・・・
あなたの身に危険が迫るのです。
その時のために、持っててください。」
「はぁ・・・」
「・・・アンタね、預言者だか知らないけど、あんまり不吉なことばっか言わないの!」
「すみません。
謝ります。
ゆえ子の予知はあいまいで、ぼやけています。
でも見えたなら、それを止めるのがゆえの義務です。
では次は・・・こちらの道ですね。」
良介たちは先に進んだ。
***
良介たちは魔法使いの村の奥へと進んでいた。
魔物はかなりの強さになっていた。
「・・・クソッ。
魔物が強くなってきやがった。
霧が集まってんだ・・・」
「この奥から、霧が?
どこかに通じているのかしら・・・」
良介と誠は先頭で戦っていた。
「はぁっ!
魔物が強くなってきたな・・・誠!」
「でぇいっ!
オッケー、良介、言わなくてもわかるぜ。」
良介と誠は同時に第1封印と魔神化を発動させた。
「よし、行くぞ!」
「おう!」
良介は剣で、誠は双剣で次々と魔物を切り裂いていく。
「あの2人頼もしいけど強すぎでしょ。
侵攻のときよりも強くなってるんじゃないの?」
「・・・チッ、気に入らねえ。
後から来たくせに・・・!」
「わぁ・・・2人ともお強いですねぇ。
お姉ちゃんが見たら喜びそう。」
「ふぅ・・・ふぅ・・・」
ゆえ子は息が上がっていた。
「ん?
・・・あ、アンタ、もうへばったの?」
「すいません・・・ゆえはずっと寝ていたので・・・体力がないのです・・・」
「寝てた?
お寝坊さんなんですね。」
「器用にボケないでよね!」
「ふぅ・・・あまり自分から言うことではないですが、ご迷惑をかけてますね。
ゆえは生まれつき虚弱だったのです。
ニュージーランドに住めるほど。」
「ニュージーランドにいたの?」
「はい。
なぜか300年で、1度も魔物が現れていない国・・・
ゆえが生まれてすぐ、家族のニュージーランド居住許可が出ました。
ゆえは・・・日本では生きられないと判断されたのです。」
「・・・で、でも魔法使いに覚醒したんなら、普通の人よりは体力が・・・」
「だからニュージーランドを退去したんだろうが。
言わせんな。」
「あ・・・そ、そうよね。
ごめんなさい。」
「ご迷惑をおかけします。
まだゆえは長時間の運動に慣れていません。」
「魔力だな。
俺が満タンになるまで入れてやるよ。」
前方にいる魔物を全て倒した良介と誠がやってきた。
「・・・・・?」
「ゆえ子、魔力が漏れてるぞ。
予知の魔法が発動しっぱなしだ。」
「体力がねぇのもそうなんだろうが、魔力ほとんど残ってねぇだろうが。」
焔も口を挟んできた。
「そのようですね。
ゆえの予知は・・・自分で制御できないので・・・」
「魔力が充実してりゃ、疲れが取れるのも速い。
アタシはさっさと進みてぇんだ。
動けねぇんなら良介か誠が背負いな。
クソったれが。
テメーがいねぇとこの迷路は抜けられねぇ。
なにをしてでも連れていくからな。」
「・・・とりあえず、魔力を渡す。
動けなくなったら言ってくれ。」
「・・・わかりました。
ありがとうございます。」
良介たちはさらに奥へと進んだ。
***
「ぜーっ、ぜーっ・・・つ、疲れた・・・どんだけ広いの、この地下・・・」
さらに深くまで良介たちは進んでいた。
村はまだ続いていた。
「・・・もうどれだけ下ったんだ?
さすがにこんな広さ・・・
ここまで施設があるなんて異常だ。
深すぎるぞ。」
「こんな深くまで施設あるのか・・・そんなところにまで魔物は出てきていたのか。」
「しかも深くになるにつれ魔物も強くなってやがる。
下手したらタイコンデロガレベルの魔物が出てきてもおかしくねぇな。」
4人が愚痴を言っていると、ゆえ子がまた何か言い始めた。
「・・・むにゃむにゃ・・・ですが、そんなに遠くではないです・・・
変な景色が見えるのです。
きっとそれが1番奥なのです。」
「でもちょっと休みましょう・・・変な景色って、なに?」
「・・・空です。」
「空?」
「はい・・・空が見えます。
それに・・・削り取られた山、地平線・・・」
「どういうこと?
地下に降りて行ってるのに、なんで空なのよ。」
「むにゃむにゃ・・・すいません、これ以上は・・・ぼやけていてはっきりしません。」
「チッ・・・今はそんなのはいい。
それよりなにもなかったらただの無駄足だ。」
「なにかはあります。
それが目的のものかはわかりませんが・・・」
「アタシはアンタを信じてねぇ。
ついてからだ。
今は余計なことは言うな。
ただ分かれ道さえ指してればいい。」
良介たちはさらに奥へと進む。
と、行き止まりになっていた。
「・・・おい、行き止まりだ。」
「も、もーだめ・・・はぁ、はぁ・・・歩けない・・・え?
い、行き止まり?」
「・・・どうなってるんだ?」
良介が周りを見渡し何かないか探す。
「何もありませんでしたってのは勘弁してくれよ。」
誠も一緒になって探す。
と、焔が何かを見つけた。
「なにかあるぞ。」
「なんでしょう?」
焔と浅梨が見つけた物へと近づく。
「ロクなものじゃなけりゃいいが・・・」
「・・・こんなところに何があるんだ?」
良介と誠も向かった。
「あっ!
ふ、ふしんなもの・・・近づいちゃ・・・らめ・・・」
「・・・行き止まり・・・変ですね・・・」
「変って、な・・・なによ・・・はぁ・・・最奥部、よかったじゃない・・・」
「ですが・・・この先には空が・・・空が、見えるのです・・・」
「・・・適当言ってるわけじゃないみたいだけど・・・なさそうよ、空なんて。」
「はい・・・ゆえも行ってみるのです。
なにかわかるかも。」
ゆえも向かった。
「・・・うーん・・・動けない・・・」
月詠は身動きができなくなっていた。
良介たちは見つけた物のところに来ていた。
「・・・なんだこれ。」
誠は呆れたように嘆いた。
本が置いてあった。
「これは・・・本・・・魔道書か?
なんでこんな深い所に・・・んっ。
・・・・・ぐっ!
ぐぐぐ・・・!
なんだこりゃ、開かねぇ・・・!」
「貸してください。
私なら・・・
えいっ!
開きません・・・」
「貸してくれ。」
焔は良介に手渡す。
良介は第1封印に土の肉体強化をかける。
「おいおい、良介、大丈夫なのかそれ。
肉体強化の重ねがけと一緒だぞ。」
「大丈夫だ。
何回も試してるから。」
良介は本を開こうとする。
「うおおおおっ・・・!
ぐっ・・・この・・・・!」
渾身の力で開こうとするが開かない。
「・・・別に糊付けされてるとかじゃねぇな・・・」
「良介で開かないなら、俺の魔神化でも意味はないな。」
「・・・土の肉体強化かけようか?」
「体ぶっ壊れるからやめてくれ。」
話しているとゆえ子がやってきた。
「魔法がかかっているようです。
変な色になっています。」
「魔法?
本が開かなくなる魔法なんてどこのアホが作ったんだってんだ。」
「・・・何か封じ込めてるのか?」
良介は本を色々な方向から見た。
「理由はなんとも。
魔道書には危険な魔法がかけれているものもあるのです。」
「読むだけでどーにかなっちまうってのかよ。」
「ネクロノミコン血液言語版とかか。」
「良介、よく知ってるなそんなの。」
「あるいは開いただけで。
許可された人以外が読まないようにしたり・・・
単純に、読んだ人を害するための悪意であったり。」
ゆえ子の瞳が怪しく光る。
「・・・っ。
どっちにしろ開かねーんだ・・・だけど、これしかねぇってことは・・・
これが生徒会の探していたものなのか確認しねぇとおわらねーぞ。
・・・クソッ。
この表題・・・なんだ?
テスタ・・・」
「・・・テスタメント・・・かな?」
良介と焔が英語で書かれている表題を読もうとする。
「TESTAMENTです。
ええと・・・日本語ではなんていうんでしたか・・・」
と、どこからともなく萌木が現れた。
「テスタメント・・・聖書、もしくは遺書という意味です。」
「ああ?
なんだ追いついてきたのか・・・聖書って宗教かよ。」
「いえ、この表題・・・やっぱり、表紙をナイフで彫ったものですね。
これが聖書なら、旧約や新約を示す単語が無ければ不自然です。
どちらかと言えば、遺書と訳すのが正しいかと・・・」
「そうか・・・なら、問題は誰の遺書かってことになるな。」
良介は本を見つめる。
「・・・誰が書いたのかわかるか?」
「貸してください・・・いえ、そもそもこの本自体が無銘ですね・・・
TESTAMENTの傷をつけた人も、名前を残していません。」
良介から本を手渡された萌木はそう言った。
「・・・魔法の力で開かねぇなら・・・結局、意味わかんねぇんじゃねぇか。」
そのまま立ち往生していると守谷がやってきた。
もうしばらくしていると、秋穂たちのグループがやってきた。
「あ、守谷さん。」
「秋穂・・・アンタたちもついたのね・・・ふぅ・・・やっと体力が回復してきたかも・・・」
「ここが一番奥ですか?」
「まだあるでしょ。
この先に。
そんな気がする。」
春乃は向こうの方を見る
「この先・・・行き止まりだったがな。
俺も何かあるような気がするが・・・」
良介も向こうを見た。
「・・・魔法で道隠されてたりとかか?」
誠が呆れたように言った。
「アンタまで変なこという・・・そんなわけないでしょ。
この先の土壁が見えない?
ここで行き止まりよ。」
「・・・・・」
春乃は黙って進んだ。
ノエルが秋穂に話しかけてきた。
「お姉さんのカンが外れたのって珍しいね~。
あ、まだ外れてないか。
もしかしたら壁の向こうになにかあるかも知れないもんね。」
「うん・・・でも変な感じ。
お姉ちゃん、いつもはカンが外れても・・・
どうでもいいって風なのに。
こんなに気にするなんて初めて。」
「あ、壁叩いてる。
確かに、いつもは確かめたりしないのにね。
蹴りだしたよ・・・それでもビクともしないから・・・魔法・・・」
「・・・ちょっと皆下がっててくれ。」
「え、良介。
何する気だ?」
良介は春乃のところに向かうと、第1封印を解放する。
「お、おいおいまさか・・・」
右手に光の魔力を集中させる。
「きゃーっ!
やめて!」
秋穂が悲鳴をあげると同時に良介は思いっきり壁に魔法を撃った。
***
結果、ビクともしなかった。
「一体どうなってんだ・・・」
途方に暮れているとアイラがやってきた。
アイラは本を見ていた。
「俺の魔神化で強化された魔法も効かない壁って・・・
あっちも魔法がかかってんのか?」
誠は壁の方を見て呆れていた。
「よう、アイラ。
その本にかかってる魔法、わかるか?」
「ふぅむ・・・お、良介か。
お主も気になっとるのか?」
「そりゃあ、開かない本なら気になるのが普通だろ。」
「アイラさん、そろそろ戻らないと・・・お姉ちゃんが・・・」
「わかっとるよ。
しかし虎千代のヤツめ、どっから情報を仕入れてきた。」
「・・・・・
私立グリモワール魔法学園・・・グリモワール・・・」
春乃が何やらブツブツと言い始めた。
「・・・どうしたんだ、あいつ。
グリモワールがどうした?」
良介が呆れる。
「フフフ・・・お主、ホンキで全部カンかそれ?
その通りじゃ。
この魔道書があるからこそ【グリモワール】魔法学園なんじゃろ。」
「・・・何?」
「え?
え?
どういうことですか?」
「中身を見んと断定はできんがな。
コイツは多分、魔道書に間違いない。
なぜならコイツにかかっとるのは時間停止・・・妾にかかっとるのと同じ魔法じゃ。」
「時間停止?
そんな魔法、聞いたことない。」
春乃がこっちにやってきた。
「(時間停止・・・どっかの本でそんな魔法があるって読んだことあるな。)」
「そりゃそうじゃ。
妾とアイザックが一緒に作った魔法じゃもの。」
「・・・アイザック?
魔法使いのアイザック・・・ニュートン?」
「お主、ちょっと気味悪いくらい鋭い・・・ま、今のところはそれでよいでな。
おそらくグリモアは、この魔道書を守るか・・・あるいは封印するか・・・
そのために作られたんじゃろ。」
「なんでわかるんですか?
偶然かも知れないですし・・・」
「時間停止はともかく、もちだせないようにする魔法は時代が浅い。
学園ができてからも、定期的に魔法をかけとったんじゃろな。
やっとったのは精鋭部隊の一部・・・フフフ、つまりこれは執行部管轄か。
新参のエレンたちも多分知らんな。
しかし妾からも隠すとは・・・犬川のジジイめ。」
「・・・東雲。
時間停止の魔法、今も使える?」
「ん?
・・・ククク、妾の話を本気にするとは珍しいヤツ。
どうした?
誰かかけたい相手でもおるんか?」
「・・・秋穂を・・・
秋穂を天使のまま保存したい・・・!」
「・・・お姉ちゃん・・・」
「(・・・今、少しだけ春乃の様子がおかしかったような・・・気のせいか?)」
秋穂は呆れたが良介は少し疑った。
「・・・ふーん?
ま、残念じゃと言っておこう。
あれはアイザックの魔法じゃ。
妾には使えん。
つまり・・・
(この魔道書にもヤツがかけたということになる。
妾に隠しごととは、さすがアイザックじゃ。
一筋縄ではいかんのう。)」
アイラはゆえ子の方を見る。
「それにしても、に、にしはら?」
「さいばらです。」
「そうじゃ。
お主が言うとったことも気になるでな。
この先に空が見える・・・地平線も見える・・・とゆーとったそうじゃないか。
春乃よ。
お主もここが最奥だと信じとらんじゃろ?」
「帰る。」
「えっ?」
「魔物が出たら危ないから、帰るわ。
どうせクエストは終わりなんでしょう。」
「あ、お姉ちゃん・・・東雲さん、すいませんすいません!」
春乃は去っていき、秋穂はその後を追った。
「なんとドライなヤツめ・・・本気で妹以外に興味ないのか・・・
ま、よいわ。
今はこの【遺書】の存在意義じゃわ。」
「ど、どういうことよ!
意味わかんないわよ!」
月詠がこっちにやってきた。
「中が読めんと遺書とはこれいかに。
この傷をつけた輩は・・・
妾たちに謎かけをしとるようじゃの。
中身が気になるではないか。
時間停止の魔法を使ってまで見られたくない遺言とはなんぞや?」
「・・・アンタ、知ってるんでしょ。
アンタの知り合いの魔法なんでしょ、これ?」
「そうじゃとも。
ヤツは優秀な科学者じゃったが、晩年に魔物が出現してからは・・・
魔導科学を専門にした。
妾もいっしょに魔法の研究をしたものじゃ。
・・・じゃが、ヤツの魔法をここで見るとは思わなかった。
(そもそも時間停止の魔法は莫大な魔力を必要とする・・・
妾に匹敵する魔力を持つ輩がホイホイ見つかるわけがないんじゃが・・・
この時間停止、アイザックは【誰と】やった?)」
アイラは少し考え込むと西原のほうを見る。
「のう西原。
まだ空や大地は見えるか・・・」
「むにゃ・・・はい、見えるのです。
ぼんやりと霧に包まれたようですけど。」
「じゃがこの先はない。
レーダーや魔法で探索してみたが、ずっと地中じゃ。
お主が嘘を言ってるのではなく、ポンコツでもないのなら理由はなんじゃ?」
「・・・ここに、まったく違う場所への入り口があるのです。」
「そう。
物理学的にどうだろうが説明がつくのはそれじゃ。
空間同士をつなぐ魔法はもう少しで実用化できるし、不思議でもなんでもない。」
「・・・アンタ、が言いたいのって・・・まさか、魔物が・・・」
「じゃよ?
風景が見える【予知の魔法使い】、アイザックが封じた魔道書・・・
ちなみに妾もそうなんじゃが・・・時間停止の魔法は1年に1度、効力が弱まる。
この本にかけられた魔法が弱まる時期・・・それが今として・・・
時間停止で抑えられていたこの本が【開いて】霧と魔物が現れた。」
「・・・テメェ、マジで言ってやがんのか!」
「モチ、大マジじゃ。
これらの要素を繋ぐものは1つ。
この【テスタメント】は、どっか知らんが地球でない場所と繋がっておる。
というか開いたら繋がる。
いわゆる【魔物の故郷】への入り口・・・
そういう話はどうじゃ?」
「だ、誰が信じるのよ!
ただの侵略説じゃない!」
「しかし政府上層部でもまことしやか【ゲート】とゆー単語が飛び交う。
上はすでに知っとるかもしれんのう。」
「・・・クソッ!
聞いたアタシがバカだったぜ!
帰る!」
焔は帰っていった。
「・・・状況証拠ばっかりじゃない。」
「霧に関しての研究はいつもそうじゃ。
今の説以外にも可能性はあろう。
・・・次にこれが弱まった時、もし道が開くのなら・・・飛び込んでみてもいいのう。
そう思わんか、良介。
もしかしたら魔物を一網打尽にできるやもしれんぞ。」
「・・・一網打尽にね・・・そう都合よくできたらいいがな。」
良介はため息をつく。
時間が時間なので良介たちは帰ることにした。
「(開かない魔道書・・・ゆえ子にしか見えない空と大地・・・謎が深まるばかりだな。)」
良介は色々考えながら学園に戻った。
人物紹介
西原 ゆえ子(さいばら ゆえこ)18歳
世界で3人しか確認されていない【未来予知】を使える魔法使いの1人。
オカルトに傾倒しており、パワーストーンを始めとした怪しいグッズを持ち歩いている。
いつも眠そうな顔とマイペースが特徴。
とても小さい。