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学校が始まり、1月も終わりに入った頃、良介は朝から鳴子に呼ばれた。
「鳴子さんから・・・か。
何もなければいいんだが・・・」
良介は鳴子の名前を見ただけで不安をよぎった。
報道部の部室に着き、ノックをして入った。
「失礼します・・・。」
「やぁ、良介君。
クエストに行こう。」
「・・・へ?
クエスト・・・ですか?」
意外な言葉が出てきたため、良介は驚きを隠せなかった。
「・・・・・行かないかい?」
「・・・なんか裏があったりしませんよね?」
「フフ、なにも企んでないさ。
僕も一度くらい君を独占したいだけだよ。
それに今は、君も少し学園から離れた方がいいと思う。」
「離れた方が・・・て、どういうことですか?」
「第7次侵攻からこっち、科研、魔道書と随分いろんなことがあった。
頭が混乱してると思ってね。
たまにはいつものクエストでリフレッシュしよう。」
「リフレッシュ・・・ですか。
(怪しいな・・・これは何か裏がありそうだ。)」
「僕は君のことをよく知ってるけど、君は僕のことをそれほど知らないと思うし。
ちょうど今はひと休み時期だ。
改めて自己紹介しようよ。
これを期に仲良くしてくれ。
お互いのためにね。」
「・・・まぁ、それなら構いませんが。」
「・・・フフ、実のところ、君の実力を間近に見ておきたいっていうのもあるんだ。」
「俺の?」
「僕が卒業したら次の部長は夏海にしようと思っている。
ただし夏海は少し力不足だ。
今はまだ、誰かの協力が必要だからね。」
「なるほど、それで俺ですか。」
良介は納得した。
「・・・君は夏海のいい友人だ。
だからとりあえず、僕が姑の役をしようってわけさ。
といっても、最優先は魔物、ミスティックの退治にかわりはない。
だからもののついでだよ。
気負わないでくれ。」
「・・・わかりました。
(とりあえず納得しといたが本当に何を考えてるかわからないな。
何もなければいいが・・・)」
「教室に荷物を置いたら集合。
クエストには申し込んでおく。
よろしく頼むよ。」
良介は報道部部室を後にし、荷物を置きに教室に向かった。
その後ろ姿を梓が隠れながら見ていた。
「・・・ホントにクエスト行っちゃったッス。
なんで今、わざわざ・・・
うーん、いちおう・・・報告しとくかなぁ、でも誰にしよう。
一番カドが立たないのは・・・やっぱり宍戸先輩ッスね・・・」
梓は研究室に向かった。
***
梓は鳴子のことを結希に報告した。
「・・・彼女が良介君を連れてクエストに・・・どうして今なのかしら。」
「確かに遊佐先輩、あの人に対して興味津々でしたけど・・・
今はもっと知りたいことがあるハズなんですよねぇ。」
「・・・もしかして、もう科研のことも魔道書のことも知ってるのかしら。
だから良介君を【調べ始めた】・・・」
「ええと・・・ちょっと理解が追い付いてないんスけど・・・」
「魔道書の件でわかったことは、時間停止の魔法がかかっていることと・・・
その魔法が使えたのは、1727年に死んだニュートンだけだったこと。
そして行使に莫大な魔力が必要であること。
問題は【その魔力を誰が用意したのか】・・・」
「莫大な魔力・・・ハハハ、まさか遊佐先輩、それがあの人だって思ってるスか?
さすがに先輩が300歳って言うのはムリがあるッスよ。」
梓は呆れたように笑った。
「そこまでは言わないわ。
けれど彼女は理由がなければ動かない。
他の謎よりも良介君を優先したなら、その理由が必ずあるわ。」
「・・・ふうむ。
遊佐先輩のことッス。
後をつけても言葉にはしないッスよね。」
「良介君に対しても適当なことを言って本音は伝えないはずよ。
彼女自身を調べて出てくるものはないわ。
嘘やごまかしばかりのはず。
なら探すべきは、もっと別の・・・関係なさそうで、でも共通点がある・・・」
「朱鷺坂先輩ッスな。
自分があたりましょ。」
「今回はずいぶん積極的ね。」
「いやぁ、自分的に興味があるだけッスよ。
遊佐先輩、面白いッスからね。」
「・・・里の要請かしら。」
「まさかぁ、里のおじん達と遊佐先輩にどんなつながりが・・・
・・・・・あるんスかぁ。
ほんじゃ、行ってきます。
にんにん。」
梓は研究室から去っていった。
「科研、執行部。
どちらも秘密主義者の固まりのはずだったのに。
これまで隠匿されてきたものが、ここにきて露わになりだした・・・
・・・第7次侵攻、ただの大規模侵攻ではなかったということかしら・・・?」
その頃、校門前。
良介と鳴子がいた。
「ふふ・・・やあ、良介君。
やっと君と組むことができたよ。
君の体質と能力はたいそう重宝されているようだ。
順番待ちが長くてね。」
「そんなにですか。」
「だがどうも理由はそれだけじゃないらしい。
ま、いろいろ考えて・・・」
「考えて・・・?」
「一人の男子に女子がこれだけ群がるとは考えにくいからね。」
「は、はぁ・・・」
「別に君をけなすつもりはないんだ。
だけど、あの虎千代までが評価するとなると・・・
報道部部長として、俄然興味をそそられるわけさ。」
「そ、そうですか・・・
(この言ってることも本当かどうか怪しいな・・・)」
「今回のクエストも実に僕好みだ。
まさに一石二鳥ということだね。
取材は道中おこなうとして、まずは討伐対象の確認をしよう。」
「ええ、確か・・・」
良介はクエストを確認する。
「森のはずれから赤ん坊の泣き声がするって噂・・・でしたか。」
「ああ、そうだ。
どうも調べたところ、【いるはずのない赤ん坊】がいるらしい。」
「・・・調べたんですか。」
「僕も興味があって調べてたんだ。
どうも幽霊の類だね。」
「・・・幽霊ですか。」
「そう・・・お化け退治だよ。」
良介と鳴子はクエストの場所に向かった。
***
少し経って地下、魔法使いの村。
天、結希、アイラ、誠の4人がいた。
「ふん!
こんなジメジメしたところでよくカビが生えなかったわね!」
「・・・うるせーなぁ。」
「・・・おい、なんじゃあのやかましいヤツ。
なんでここにおる?」
「例の本のことを知って、参加を希望したの。
元科研よ。」
「なんとあの若さでか。
しかしお主・・・科研の人間ならなおさらではないか。」
「なぁにをコソコソしてるの。
面と向かって言ったらどう?」
「・・・ならば言うてやろ。
信用できんからさっさと出て行け。」
「なんですって?」
「結希の同僚ならば、こいつが疎まれてるのは知っとるじゃろ。
きゃつらの欲しがる情報を寄こさんからよ。」
「・・・私があの連中に、この本のことを漏らすって言いたいの?
あの○○○に?
×××に?
本気で言ってるの!?」
「フ、フフン・・・意外にやるのうお主。
まさか科研の連中を×××に例えるとは・・・」
「・・・下品な女どもだ。」
誠は小さくぼやき、ため息をついた。
「・・・クソ、妾だけが警戒しても仕方ないではないか。
おい宍戸。」
アイラは結希の方を向く。
「信用していいんか。
さっきからなにも言わんが。」
「・・・信用するもしないも、あなたの自由。
私はなにも言わないわ。
ただ彼女がいれば、謎は早く解ける。
それだけ。」
「ほーかほーか。
研究以外のことにはきょーみないか。
(・・・とはいえ、政治的な立場も考慮するこ奴のことじゃ。
信用の置けん人間を側に置くとは思えん・・・仕方ない。)」
アイラは天がいた方向へと向き直る。
「如月 天。
ゆーとくが妾はまだお主を信用したわけでは・・・」
だが、天はいなかった。
「・・・・・おや?」
「そっちだ、そっち。」
誠が指差す方向をアイラは向いた。
「だいたいアンタ、あの良介の魔素濃度が図化できるわけないでしょうが。
それもキルリアン法なんて前世期の遺物なんか持ち出してきて・・・」
「あなたの試した魔力量測定も意味がないわ。
デウス・エクスの魔素放出量なんて知れたものでしょう。
武田 虎千代のホワイトプラズマくらい使わないと。」
「あっそ?
ならアンタがそれをしなかったのは何ででしょうね?」
「彼の魔力量はホワイトプラズマでも僅かも減らないでしょうから。」
「あのねぇ!
魔力の受け渡しはわかるわよ!
できるかも、とは思う!
実用的なのもそっちよ!
だから理解できる。
でもね!
私からしてみたら、あの魔力量の方が異常よ!
異常!
魔力はビタミンCみたいな、貯蓄できない要素なのよ!」
「(長くなりそうだな・・・・あっちで魔神化のコントロールの練習でもするか・・・)」
誠は少し離れる。
「・・・フ、フフフ。
妾を無視するとはいい度胸じゃ・・・
(しかし・・・ちょいと聞いてみるか・・・)」
アイラは2人に近づく。
「魔力は栄養素とは違う。
その仮設は覆されているわ。」
「【再考の余地あり】でしょうが!
もし貯蓄できたとしてもね!
人間が摂取したエネルギーが数パーセント、意味不明に消えていた!
今ではそれが【魔素の精製に使われている】ことがわかってる!
その数パーセントじゃとてもね!
彼の体を満たす魔素なんて作れないの!」
「おおっと、ちょい待ち。
それ以上話す前に前提を思い出せ。」
「・・・・・」
「魔素は現代物理学に反逆する】。
魔素それ自体に質量はない。
ならば体内に摂取した数パーセントが、莫大な魔力に変わってもよかろ?」
「そ、そんな・・・個人差は僅かじゃない・・・」
「個人差はある!
今はそれでよしとしろ。
墓穴を掘ったお主が悪い。
それと邪魔するならホントに出てけ。
魔導書が調べられん。」
「・・・・・っ!」
「なぁに、ここで論破されても、どうせ違う材料を見つけるじゃろ。
論争ならヒマな時にいつでも付きおうてやる。
じゃから先に魔導書じゃ。」
「・・・わかったわよ。」
天は向こうに行ってしまった。
「さぁて、あの女が来る前にあらかた調べておかんとなぁ。」
「・・・・・女?」
「ああ、あの女じゃ。
絶対に来る・・・妾の推測が正しければな。」
「お、やっと終わったか。
これで魔導書が調べられるな。」
魔神化状態の誠がこっちにやってきた。
「・・・なんじゃ、お主。
それはいったいどうした?」
「・・・とんでもない力ね。」
「ああ、魔神化って俺は呼んでるんだけど・・・」
「・・・・!」
「・・・アイラ?」
誠の言葉の一瞬反応したアイラ。
「・・・どうしたの?」
「いや・・・なんでもないわ。
さっさと調べてしまおう。」
「ああ、わかった。」
誠たちは魔導書を調べ始めた。
***
良介と鳴子は山奥に来ていた。
「ことの発端はこう。
かつてこのあたりには貧しい村があった。
草をはみ、泥をすすり、生きてゆくのにも苦労したらしいよ。」
「そうだったんですか。」
良介は鳴子の方を見ずに聞いていた。
「ずっと耐えてきたけれど、とある年の大寒波でいよいよ作物がなくなった。
食べるものはない。
だが食べねば餓死は必然・・・それで、人々はどうしたと思う?」
「・・・カニバリズムですか。」
「・・・そう、食べた。
本来、食べるべきではないものをね。
それ以来、この地域には犠牲になった子供たちの霊がさまよい出て・・・
こう尋ねるんだそうだ。
【あなたを食べさせて】・・・って。」
「はぁ・・・そうですか。」
良介は鳴子の方を見て、立ち止まりながら聞いていると鳴子がこっちを見ていた。
「・・・?
どうしました?」
「・・・おい、良介君、君の後ろ・・・」
「はい?
後ろ?」
良介はきょとんとした顔をした。
「後ろにきてるぞっ。」
「・・・え?」
良介は振り向くと、巨大な赤ん坊、魔物がいた。
魔物は良介が振り向くと同時に攻撃してきた。
が、なぜか良介の姿が消えていた。
「良介君!?
どこに・・・」
鳴子も見失ってしまったようで見回していると近くの木の上から声がした。
「ここですよ、ここ。」
「良介君、いつの間にそこに・・・」
木の枝の上に良介は立っていた。
良介の体は帯電していた。
雷の肉体強化をかけていた。
「そんじゃ、さっさと終わらせますよ。」
良介は剣を抜くと、雷の魔法をかける。
鳴子はそれに合わせ、雷の魔法を魔物に撃った。
魔物が鳴子の魔法で怯んだ隙を逃さず、良介は魔物を上から一刀両断にした。
「お見事だ。
それじゃ、次に向かおうか。」
「了解です。」
良介と鳴子は次の魔物の元へと向かった。