グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
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 それでもOKという方は、よろしくお願いします。


第43話 バレンタイン(後編)

誠は1人バラ園の近くを歩いていた。

 

「はぁ・・・全然貰えねぇな・・・」

 

誠は未だに1個もチョコを貰っていなかった。

それに対し良介は即に50個近いチョコを貰っているという話を耳にした。

 

「あいついくらなんでも貰い過ぎだろ。

1個ぐらいよこせよなぁ・・・ん?」

 

バラ園を歩いていると誰かいるのに気付いた。

秋穂と春乃の2人がいた。

 

「うーん・・・先輩どこいったんだろ・・・」

 

秋穂は誰かを探している様子だった。

 

「先輩・・・十中八九、良介か・・・」

 

それを聞いて2人の様子を見始める誠。

 

「秋穂、誰を探してるの?」

 

「あっ・・・おねえちゃん・・・べ、別に誰も探してないよ。」

 

「そう・

人探ししてるならお姉ちゃんも手伝ってあげるからね。」

 

「うん・・・」

 

「お姉ちゃん、秋穂の望むことならなんでもしてあげる。」

 

「春乃は相変わらずか・・・」

 

ため息をつく誠。

 

「あ・・・あのね、おねえちゃん・・・実は・・・」

 

「ん?

なあに?」

 

「お世話になってる人に、渡したいものがあって・・・」

 

「あれ?

もう渡したよね?

散歩部のみんなに、チョコ。」

 

「あの・・・・・その・・・・・せ、先輩に・・・・・」

 

「・・・先輩?

んー・・・あぁ、アイツ・・・?

渡したいって・・・チョコじゃないよね?」

 

「う、うん・・・」

 

「・・・見た限りでは、チョコは渡し終えて、それ以外に渡したいものがあるってところか・・・」

 

誠は様子を見ながら、推測していた。

 

「(チョコは朝渡せたから、渡し忘れたカードを渡したいんだけど・・・

正直に言ったら怒るよね・・・どうしよう・・・)」

 

「アイツねえ・・・今頃たらしこんできた女達のチョコの海に沈んでるかもねえ・・・」

 

「そんな、たらしこんでるなんて言っちゃ失礼だよ・・・」

 

「(たらしこんでるのは事実なんだよなぁ・・・一番問題なのは本人は自覚がないってだけで。)」

 

誠はそう言って2人の様子を見続ける。

 

「でも事実なのよ。

どうせチョコの数で優越感に浸りたいだけなのよ。

見境なく襲って来る霧の魔物と一緒なの。

妖怪チョコくれ男よ。」

 

「それは・・・たしかにモテるけど、妖怪って・・・」

 

「(あいつに優越感とか無いんだよなぁ。

チョコの数に関してはただの偶然としか思ってなさそうだし・・・)」

 

「大丈夫よ秋穂。

お姉ちゃんがついてる。

万が一つきまとわれたとしても・・・

そんな妖怪は捕まえて、晴れの時に天日干しにしてあげるからね。」

 

「(つきまとわれる心配無いよ。

晴れの日は風紀委員長と絶賛デート中だから。

つーか、今も見回りデート中だし。)」

 

「な、なんでそういうこと言うの!?

そんなに嫌い!?

わたし知ってるよ?

先輩がおねえちゃんのことも助けてくれてるの。

おねえちゃんだって、本気でそんなに悪い人だとは思ってないんでしょ!?」

 

「(へえ、そいつは初耳だな。)」

 

「・・・・・秋穂。」

 

春乃は秋穂を見つめる。

 

「・・・・・そっか・・・秋穂はちゃんとわかってるんだね。

・・・秋穂は・・・お姉ちゃんのこと、ちゃーんと見てくれてるんだねぇ~!」

 

「(・・・やっぱりかい。)」

 

「えぇ!?

そ、そういう話じゃな・・・・・あぁ~、もう~!」

 

「・・・はぁ、別のところ行くかぁ・・・」

 

誠はため息をつきながらバラ園を離れた。

 

   ***

 

誠は校舎に入り、廊下を歩いていた。

 

「あっちもカップル・・・こっちもカップル・・・一人もんにはきつい状況だな。」

 

誠は呆れ笑いをする。

 

「はぁ・・・ん?

あれ・・・メアリーか?」

 

誠はメアリーが他の女子と話をしてるのを見つけた。

 

「アイツにやんねーの?

仲いいんだろ?

よく魔力分けてもらってんじゃねーか。

アタイは味方だぜ?

大丈夫だって、誰も来ないように見張っといてやるよ。

ぜってー嬉しいから。

断られるとかねえ、保障するって。」

 

「(魔力を分ける・・・また良介か。

あいつ、魔力と一緒に何か変なもんでも送り込んでるんじゃねえだろうな。)」

 

すると、メアリーが何かに気付いた。

 

「・・・ん?

ちょい待ち・・・なんだあのトラックは・・・JGJのヤローか・・・?」

 

「なんだあのトラック・・・JGJのトラックなのはわかるが・・・何入ってんだ?」

 

メアリーが見ている方向を見ると、グラウンドに一台のトラックが来ていた。

そのトラックの前には初音がいた。

 

「くひひ・・・こんだけありゃ、お姉さまの一人勝ちだろ。

自分が学園で一番モテてるなんつったら、お姉さま喜ぶぞー。

さてと、この量のチョコをどうやって生徒会室まで運ぶか・・・」

 

「初音の差金か。

何考えてんだあいつ・・・」

 

誠は窓から様子を見ながら呆れた。

すると、初音のところに良介と風子がやってきた。

 

「なんだこのトラック。

もしかして全部チョコか?」

 

「おやおや、何事かと思って来てみれば・・・」

 

「う、うわあっ!

ふ、風紀委員・・・!」

 

風子と良介を見て後ずさりする初音。

 

「(お、夫婦登場だ。)」

 

誠は風子と良介がやってきたのを見て、笑みを見せた。

 

「どーしたんですか?

こんなに沢山のチョコ。」

 

「ば、ば、バレンタインだよ。

そう、バレンタインの!

みんなに配るヤツ!」

 

「・・・ほお?

この数なら学園みんなになるな。

太っ腹だな。」

 

良介は笑いながら初音の方を見た。

 

「まあ・・・誰か1人にこれ全部あげる、なーんてことは・・・ないですもんねぇ?」

 

「ははは・・・あったりまえじゃねーか。」

 

「なら、風紀委員が見回りがてら手伝うのがいいな。」

 

「え?

い、いやいいって!

そんなことしたら・・・」

 

「そういえば神宮寺 初音。

アンタさんにちょっと聞きたいことがあったんですよ。

どーですか?

このチョコをいただきながら、お茶でも。」

 

「お、そいつは名案だな風子。

それじゃ、ちょっとご同行願えるかな?」

 

良介と風子は初音に近づいた。

 

「いやアタシは・・・く、くそっ!

誰だよチクったの・・・!」

 

誠はその様子を見て呆れた。

 

「何考えてたのかは知らんが・・・バカだろ。」

 

すると、メアリーは初音の方を見て笑い始めた。

 

「プッ・・・これでアタイの一人勝ちだな。

詰めが甘すぎんだよJGJ。

日本円ならいくらあっても困らねーし万々歳だぜ。

あとは集計を待つだけ・・・間違いなく1位はアイツだ。

ククク・・・」

 

「(・・・1位?

集計?

なんのことだ?

あ、そういえば噂でトトカルチョやってるって聞いたような・・・

あー、こうなるなら俺もやればよかったなぁ・・・)」

 

誠はため息をつきながらその場を離れた。

 

   ***

 

少し経って夕方、ある教室にメアリーと鳴子がいた。

 

「メアリー・ウィリアムズ。

約束のデータだ。」

 

「おっせーよ。

いつまで待たせやがる。」

 

「遅れてすまない。

集計に時間がかかってしまった。

今年はやけに風紀委員がよく見回りしていたから少し手間取ってね。」

 

「いいから早くよこせ。

結果が見れりゃなんでもいい。」

 

「今日の17時までのものでいいんだったよね?」

 

鳴子はファイルから紙を一枚取り出した。

 

「デバイスでも見られるよ。

できればオフラインの端末の方が安全だけど。」

 

「別にこれ自体は大した情報じゃねえだろ。

今確認するわ。」

 

「フフフ、ひどいな。

結構大変だったんだよ?」

 

「そりゃご苦労さん。

じゃーこれ、そっちも確認してくれ。」

 

メアリーは一つの封筒を手渡す。

 

「はい、毎度どうも。」

 

封筒を受け取ると、鳴子は集計した紙をメアリーに渡す。

 

「・・・?

帰っていいぞ。

もう用事ねーよな?」

 

「データに不備があったら困るかと思ってね。」

 

「まーいいけどよ・・・」

 

メアリーは集計されたデータに目を通し始める。

 

「・・・ん?

んんん!?

おい、これ本当に合ってるヤツか?」

 

「どうしたんだい?

正真正銘、チョコを一番多くもらった人の名前だよ。」

 

「あぁ!?

ウソだろ!?

どうなってんだよ!!

だってアイツは・・・!?」

 

「武田 虎千代。

毎年沢山のチョコをもらっている。

結果としては例年通りだね。」

 

「・・・クソ、なんだそりゃ・・・狂ってるぜ・・・!」

 

「フフフ・・・なにか不都合でもあったかい?」

 

「・・・んっだよ・・・良介じゃねーのかよ・・・」

 

「まあ体感だとそうかもしれないね・・・だけどうちの情報はいつでも正確だよ。

また知りたいことがあったらいつでも言ってくれ。

今後とも報道部をよろしく。」

 

鳴子は笑みを見せながら教室を後にした。

その頃、屋上。

良介と風子の2人がいた。

 

「協力、ありがとごぜーます。

おかげでなんとかなりましたよ。」

 

「ああ、別に構わないよ。

また何かあったら言ってくれ。」

 

良介はそのまま帰ろうとする。

と、風子が良介の上着を掴み、引き止めた。

 

「ん、どうした?」

 

良介が風子の方を向いた。

 

「渡すものがあるってウチ、いーましたよね?」

 

「・・・ああ、言ってたな。

すまん、忘れてた。

で、何をくれるんだ?」

 

「・・・これです。」

 

風子は懐から小さな包装紙で包まれた物を取り出した。

 

「それって・・・」

 

「チョコです。

ウチの手作り・・・ですから。」

 

風子は少し顔が赤くなっていた。

 

「ありがたくもらうよ。」

 

「あの・・・できればここで食べてほしいんですけど・・・」

 

「ここで?

いいのか?」

 

「・・・はい。」

 

「じゃあ、遠慮なく・・・」

 

良介はチョコを取り出し、早速一つ口に入れた。

 

「お・・・おいしいな。」

 

「そうですか、それはよかったです。」

 

風子は嬉しそうに笑った。

 

「ありがとな、風子。」

 

良介は風子の頭を優しく撫でた。

 

「・・・どーいたしまして。」

 

風子は顔を赤くしながら、嬉しそうに笑った。

 

「よし、それじゃ、帰って・・・ん?」

 

帰ろうとしたところ良介は何かに気付いた。

 

「・・・どーしました?」

 

風子は良介が向いている方向を見た。

ちょうど校庭に誠がいた。

 

「・・・はぁ、結局貰えず終いかぁ・・・」

 

誠はため息をつきながら歩いていた。

 

「良介・・・あいつ貰い過ぎだろ・・・まぁ、一番貰ったのは会長らしいが。」

 

誠は校庭の自動販売機のジュースを1本買い、近くのベンチに座った。

 

「・・・来年は貰えると思っとくか。」

 

誠はそうぼやくとジュースを1本飲み干した。

 

「・・・帰るか。」

 

誠はベンチから立ち上がり、帰っていった。

 

「誠のやつ、結局1個も貰えなかったのか。

あんなこと言ってきたくせに。」

 

「あんなこと?

何言ってきたんですか?」

 

「どちらが多くもらえるか勝負だって。」

 

「それはそれは。

残念な結果になってしまいましたねー。」

 

「ま、俺も来年貰えるか怪しいが。」

 

「最低でも1個は貰えるのは確定ですよ。」

 

「ん?

何でだ?」

 

「アンタさんの目の前にいる人は渡すでしょうから。」

 

風子は笑いながら良介を見る。

 

「そうか。

それじゃ、来年も期待して待ってるよ、風子。」

 

良介は風子の頭を優しく撫で、風子と共に屋上を後にした。

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