グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
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第46話 帰還

学園の研究室。

ミナと結希がいた。

 

「・・・なにしてるんだ?」

 

ミナが結希に尋ねる。

 

「大気中の成分を分析しているの・・・霧の濃さ以外はこちらと変わらないわね。

もういいわ、帰ってきて。

今回はここまでにしておきましょう。」

 

「・・・誰と話してるんだ?」

 

「東雲 アイラ。

それよりあなたの目、また見えるようになったと言ったわね。

眼帯の下、見せてもらっていいかしら。」

 

「い、1年くらいなんでもなかったのだ。

それが急に・・・」

 

ミナは眼帯を外し、結希に見せた。

 

「いつから?」

 

「・・・秋くらい。」

 

「それまでは普通の視力だった。

間違いないわね?」

 

「・・・・・うん。」

 

「なにが見えて気づいたの?」

 

「ええと・・・大垣峰の方に、魔法陣と真っ黒なもやが・・・」

 

「それは他の人に見えてない?」

 

「・・・うん、見えてないみたい・・・」

 

結希は顎に手をやり、考え始めた。

 

「(大垣峰が特級危険区域だということは、一般生徒には伏せられている。

この前、卯衣が代表生徒に選ばれたから?

彼女が教えたのかしら。

いえ、あの子は規則を破らない・・・他の生徒からは更にありえない。

知らない者から見れば、少しずれた場所に大垣峰という町は存在している・・・

そうではない正しいところに魔法陣ともや・・・霧が見えたとなれば・・・

・・・再発・・・)」

 

結希はミナの方を見た。

 

「少し検査しましょう。

このバイザーを当てておいて。」

 

「う・・・こ、これかぁ・・・」

 

ミナは嫌そうな顔をしながらバイザーを受け取った。

 

「私は作業を続けてるから、なにか変なことがあったら呼んでちょうだい。」

 

結希は再び作業へと戻った。

 

「(・・・次から次へと変化が起こるわね・・・異常事態が・・・起きつつある?)」

 

結希は不安になりながら作業を再開した。

 

   ***

 

良介とゆかりは見回りを続けていた。

 

「・・・さっきの・・・狼たちのボス、だよね・・・霧から生まれたのは間違いないけど・・・

あいつが狼たちを統率しているの?」

 

「そのように見えましたね・・・」

 

「魔物が野生の獣みたいな動きをするなんて、あったっけ?

私、そんなに学校の授業真面目に聞いてるわけじゃないけどさ。

毒を持つ魔物がいないかとか、結構自分で調べるのよ。

でも・・・そんな知能を持つ魔物なんて・・・」

 

良介は少し考えた後、口を開いた。

 

「これは・・・増援を待ってる時間はなさそうですね。

ゆかりさんはケガ人の方に・・・」

 

「私の他にも回復魔法が使える子がいるから、ケガ人はその子に任せよう。

また襲撃してくる前に、私たちで倒すの!

こっちから行こう!」

 

「・・・わかりました。

それじゃ、行きましょうか。」

 

良介とゆかりは魔物のところに向かった。

少し進むと魔物を見つけた。

 

「・・・やっと見つけた

なにしてるんだろう。

大人しいね。」

 

「・・・こっちに気づいてないみたいですね。」

 

魔物は屈んだまま動こうとしない。

 

「今なら倒せるかもしれないよ・・・!

気づかれる前にっ!」

 

「了解です!」

 

良介とゆかりは魔物の方へと向かった。

魔物は2人に気付き、咄嗟に立ち上がり、仲間を呼び寄せた。

 

「チッ、仲間呼びやがったか!」

 

良介が舌打ちしながら雑魚に斬りかかる。

ゆかりが後方から魔法を撃ち、援護する。

すると、魔物のさらに後方から雑魚が来ていることに気付いた良介は一掃することにした。

 

「まとめて倒す!

風刃閃!」

 

良介は風の斬撃を雑魚目掛けて放った。

すると、魔物は雑魚の前に立ち、斬撃を防ごうとした。

 

「何!?」

 

良介はその状況に驚愕した。

しかし、魔物は斬撃を防げず、雑魚共々倒されてしまった。

良介は唖然としたまま立っていた。

 

「良介君・・・次、行こ?」

 

「え、あ、はい・・・」

 

良介はゆかりに言われて別の魔物がいる場所に向かった。

 

   ***

 

少し離れたところでももが怪我人を治療していた。

 

「ひぃ~っ・・・ほ、保健委員ってこんなに大変だったんだ・・・

椎名先輩も良介先輩も・・・すごい、あんなに走り回って・・・

・・・・・おに、あい・・・・・

ううん!

違うの!

そんなこと思ってない!」

 

すると、怪我人から文句を言われてしまった。

 

「ああっ!

す、すいません!

すぐに手当てしますね!

・・・あ、魔力が・・・

ちょっと待ってくださいね!

回復魔法が使えるようにしてくるので・・・!」

 

ももは少し走ったところでため息をついた。

 

「はぁ・・・どうしよう・・・」

 

別の場所ではシャルロット、あやせ、エミリアの3人がいた。

 

「ふぅ、こちらはある程度すみました。」

 

「こっちもだいたい終わりよ~。

すこし休めるわねぇ。」

 

「よかった・・・回復魔法でお役に立つことができました。」

 

「そういえばエミリアちゃん、回復魔法が使えるのよねぇ~。

どうして保健委員に・・・あ、留学生だからかしら。」

 

「そうですね。

留学生は委員会活動より文化を学べと言われてますから。

部活は自由なんですけどね。」

 

「まぁ、こういう時に使っていいなら、無駄にはならないわねぇ~。」

 

「羨ましいですね。

わたくしはあまり得意ではないので。」

 

「あはは・・・コツ、は人それぞれなんですけど、もし使えるようになったら・・・

概要をお伝えすることはできるので。

いつでもどうぞ。」

 

「お世話になります。」

 

すると、あやせはあることに気がついた。

 

「あら・・・ゆかりちゃんと良介さんの姿が見えないわねぇ。」

 

「本当ですね。

どこに行ったんだろう?」

 

「あらあら?

あらぁ~。」

 

あやせは周りを見渡した。

 

「どうしたんですか?」

 

エミリアはあやせに聞いた。

 

「まさか、クエスト中にないと信じていますよ。」

 

シャルロットの顔が真剣になった。

 

「やだぁ、冗談よ。

まだ国軍の援軍も来てないし、心配だわ。

少し探した方がいいかしら?」

 

「そうですね。

さすがに姿が見えないと心配ですからね。」

 

3人は2人を探すことにした。

その頃、良介とゆかりは魔物を探していた。

 

「あのさ・・・さっきの狼・・・子供を守ってたみたいだった・・・よね?」

 

「ええ、俺の攻撃を防ごうとしたように見えました。」

 

「ホントに魔物なのかな?

だって魔物にそんな感情はないって聞いてるし・・・

それとも新種なのかな・・・ううん。

考えちゃだめだよね、こんなこと。」

 

「魔物は魔物。

その脅威から守るのが俺たちの仕事。

多くの人は戦う力を持たない。

自分の持てる力で助ける。

それより嬉しいことはないですからね。」

 

「強制はしないけど、クエストをただの点数稼ぎとしか思ってない人も多いんだ。

独善的、なのはわかってる。

でも、私はただの突然変異で生まれたと思いたくないの。

魔法を授かって生まれてきた私たちには何か意味がある。」

 

「意味、ですか。」

 

良介はその言葉を聞いて少し考え込む。

 

「ごめん、シリアスになっちゃった。」

 

「いや、別に気にしてないですよ。」

 

すると、魔物が2人の目の前に現れた。

 

「見つけたよ。

倒さなきゃ!」

 

「ええ、行きましょうか!」

 

良介は刀身に土の魔法をかけ、地面に沿って斬撃を放った。

 

「疾空刀!」

 

しかし、魔物は斬撃を避け、良介に突進した。

 

「うおっ!」

 

良介はギリギリで避けることに成功した。

ゆかりが魔法で魔物に攻撃する。

と、良介は何かに気付いた。

奥から雑魚がやってきていた。

 

「クソッ、まだいやがったか!

なら・・・!」

 

良介は風の魔法を雑魚目掛けて撃った。

 

「ルストトルネード!」

 

すると、魔物が雑魚のところに向かい、良介の魔法を防ごうとした。

が、雑魚諸共そのまま消滅してしまった。

 

   ***

 

良介とゆかりは他に魔物がいないか確認していた。

 

「やっぱり、最後まで子供を守って・・・

しかも倒したら、子供たちも消えちゃった。

これって・・・」

 

良介とゆかりは魔法が当たっていないのに消滅した雑魚のことを考えていた。

 

「小さな魔物は、大きな魔物の一部だった、ってことでしょうね。」

 

「・・・やっぱりなんでもない。

考えないって言ったばかりだもんね。

ごめんね、なんか変な話しちゃって。

私たちはみんなの平和を守る。

これでいいんだよね。」

 

「ええ、それでいいと思います。」

 

「私にできるのは回復魔法くらいだから・・・

それを精一杯頑張るようにする。

今日はありがとね。

じゃあみんなのところに戻ろう?」

 

「はい、戻りましょうか。」

 

良介とゆかりは他の生徒たちのところに向かった。

同時刻、魔法使いの村。

アイラたちが戻ってきていた。

 

「ぷはぁっ!

戻ったぞ!」

 

「データをもらうわ。」

 

「ほいほい。

つまらん奴じゃの。

おかえりー、とってもしんぱいしてたのよーっ。

くらい言ってもバチはあたらんぞう。」

 

アイラはデータを結希に渡した。

 

「裏は予想以上だったようね。」

 

「・・・・・無視か。」

 

「フン。

ロクに探索もできなかったわよ。

次から次へとミスティックが・・・」

 

天が愚痴っていた。

 

「そうみたいね・・・でも相手のデータは取れたわ。

あれはブルイヤール・・・だと思うけど、見たことがない・・・」

 

「ブルイヤール。

原種だな?」

 

つかさが聞いてきた。

 

「ええ、通常の魔物がある程度モチーフを持って生まれるのに対し・・・

何ものでもない【霧の魔物】・・・それが原種、ブルイヤール。

現在確認されているのは3種。

トロワまで。」

 

「大垣峰にいたのはドゥだったかしら?」

 

今度はチトセが聞いてきた。

 

「ええ・・・ブルイヤールが確認されているのは全て特級危険区域。」

 

「つまり・・・少なくとも私たちが行った場所は、特級危険区域並ってことね。」

 

「けれど、大気分析の結果が少しおかしいわ。」

 

「霧が濃くなかった。

特級危険区域とは思えんぞ、ありゃ。

意味がわからん。

やっぱもう一度行くべきじゃな。」

 

「とはいえ、準備はすべきだわ。

向こうに世界があるとわかった・・・

指定でクエストを発注する。」

 

「指定でクエスト?」

 

チトセが首を傾げた。

 

「指定した生徒は必ず参加せにゃならんというクエストじゃ。

そうでもせんと・・・行きたがらん奴がおるでの?」

 

チトセはつかさの方を見た。

 

「なるほど。」

 

「ま、お主が考えとるんは遊佐じゃろ。

アイツは【行ったことがある】と・・・

そうゆーとったそうじゃないか。」

 

アイラは帰ろうとしたがあることに気がついた。

 

「む?

誠はどこいったんじゃ?」

 

アイラは見渡すと少し離れたところに誠がいた。

 

「誠、お主そこでなにを・・・」

 

アイラが近づこうとした瞬間、異変に気がついた。

誠の体から蒸気のように煙が出ていた。

 

「・・・誠?」

 

「はぁ・・・はぁ・・・あ?

あ、アイラか。」

 

誠は明らかに辛そうにしていた。

 

「お主、どうした?」

 

「たぶん・・・魔神化の使いすぎだろ。

ずっと発動させてたからな。

一日休んだら・・・治るさ。」

 

誠は帰ってしまった。

 

「・・・誠、あやつ・・・」

 

アイラはその後ろ姿を見送った。

少し経って校門前。

良介たちが帰ってきていた。

 

「報告終わり!

お疲れ様だね。

良介君、ケガ、大丈夫?

痛くなくたって、ケガしてるとことが見えてないだけだったりするからね。」

 

「はい、わかりま・・・痛っ!」

 

良介は左手の甲を抑えた。

手からは出血していた。

 

「ひゃっ!

手、すりむいてるじゃない!

こんなのガマンしちゃダメだよ!

ほら、手当てしてあげるから!」

 

「あ、いや、そんな大げさな・・・」

 

ゆかりは良介の手を治療し始めた。

 

「もう・・・なんだか良介君とは手当したりされたり・・・

変な感じだね。

フフ。」

 

「・・・そうですね。」

 

良介は少し顔を赤くしながら返事した。

 

「はい、おしまい。

クエスト終わっちゃったから、回復魔法は我慢してね?」

 

「すみません、ありがとうございます。」

 

治療を終えたゆかりが何かに気付いた。

 

「なんだか学園が騒がしいわね?」

 

すると、聖奈がやってきた。

 

「椎名!

戻ったな!」

 

「結城さん?

そんなに慌ててどうしたの?」

 

「生徒会室に来い!

伝えることがある!」

 

聖奈は行ってしまった。

 

「ど、どうしたのかしら。」

 

「さぁ・・・」

 

良介とゆかりは生徒会室に向かった。

 

「もう1つの世界?」

 

ゆかりは虎千代の言葉に首を傾げた。

 

「ああ。

信じがたいと思うが、そういう場所がある。

東雲たちが行って、戻ってきた。

詳細は今、副会長がまとめている。」

 

「誰かケガしたの?

それならすぐに見せて。」

 

「いや、そういうのはなかった。

だが向こうに強力な魔物がいることがわかった。

だから次のクエストに、桃世を連れて参加してほしい。」

 

「つまり、私もその・・・もう1つの世界に?」

 

「ああ。

良介、お前もだ。

予想していたことだが、向こうは酷い。

ゲートは一定時間で閉じ、また向こうで魔法を使わなければならない。

ゲートを開ける東雲と朱鷺坂はどちらも向こう側に必要だ。

だから次の探索のときには考えられる学園の最大戦力を用意して臨む。

戦闘要員、バックアップ要員を合わせて、侵攻後最大のクエストになる。」

 

「侵攻後最大・・・ですか。」

 

良介はため息をついた。

 

「フフフ・・・すでに仕事はないと思っていたが、ここにきてこれだ。

死人を出すわけにはいかない。

協力してくれ。」

 

「了解です。」

 

「わ、わかったわ。

でも無茶は・・・」

 

「なにも向こうの魔物を全滅させようってワケじゃない。

あくまで偵察だ。

危険だと判断したらすぐに帰る。」

 

「武田さんには前科があるんだからね。

良介君も。」

 

「それを言われると痛い・・・予期できないことは多いからな。」

 

「あれは少しばかり仕方ないような・・・」

 

良介は呆れ笑いをした。

 

「まぁ、いいわよ。

なにかあった時のために私がいるんだし。

日程が決まったら教えてね。」

 

「ああ、頼む・・・良介。」

 

「どうしました?」

 

虎千代が良介の方を向いた。

 

「向こうは少なくとも・・・ここのような平和な所じゃない。

お前の魔力と七属性の魔法を頼りにしている。

便利屋のように使ってすまないと思うが・・・

補給も満足にできない場所だ

お前の力が絶対に必要だ。

頼む。

アタシたちを助けてくれ。」

 

「言われずとも協力しますよ。

なので、安心してください。

それでは、これで。」

 

良介は生徒会室を後にした。

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