グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
 閲覧者様のイメージを壊す可能性があります。
 それでもOKという方は、よろしくお願いします。



第4話 精鋭部隊

「つ、月詠ちゃん!」

 

挑発じみた月詠の発言に対して智花が声を張り上げる。

 

「みんなから期待されてても、

そうじゃなかったってこといっぱいあるからね。

ふふん、精鋭部隊のツクの方が絶対に強いわよ!」

 

見ただけでこの自信、一体どこから来るのか。

 

「もう、まだ転校してきたばっかりで、

魔法の使い方も教わってないんだよ?」

 

「な、なによ。

強さなんて見ただけでわかるわよ!」

 

その発言を聞いて良介はため息をつく。

 

「人は見た目によらないって言葉知らないのか?

そんなことで判断ばかりしてたら痛い目に遭うぞ?」

 

良介は鼻で笑いながら挑発するように言った。

 

「こいつっ・・・!

よーし、いいわよ!

こうなったら勝負しようじゃないの!

その体質、だっけ?

よく知らないけど、それ含めて能力も判定してあげるわ。」

 

そう聞いた瞬間、智花が慌て出す。

 

「え?ちょ、ちょっと待って!

もしかして・・・」

 

「訓練所に来なさい!

今からよ、今から!」

 

月詠は訓練所に向かってしまった。

 

「へ、いいだろう。

ちょうど魔法で試したい事があったんだ。

行ってやるか。」

 

「あぁ・・・案内行きたかったのに・・・

ちょ、ちょっとだけ行きましょうか。

今ならすぐ終わりますし、多分。」

 

良介と智花は訓練所へ向かうことにした。

 

「確かこの時間は、精鋭部隊が訓練所を貸し切ってるはずなので。」

 

「精鋭部隊が?

というか、精鋭部隊ってどんな部隊なんだ?」

 

良介は智花に質問した。

 

「精鋭部隊って言うのは、グリモアの軍隊みたいなものです。

ちょっとややこしいんですけど、私たち学園生は生徒会の管轄で、

精鋭部隊は執行部の管轄なんです。

この辺はおいおい説明しますね。」

 

「ああ、わかった。」

 

良介は訓練所に向かおうとしたが、智花が注意するように言った。

 

「それで・・・ビックリしないでくださいね。」

 

「・・・?

何が?」

 

「精鋭部隊の人たち、その・・・ビックリしないでくださいね?」

 

どういう意味なのかわからないまま、訓練所に向かった。

 

   ***

 

「ついたついた。

みんなー!」

 

訓練所につくと、月詠はその場にいた大勢に声をかけた。

すると、眼帯をつけた女性がこっちに来た。

 

「遅い!

10分も遅刻だぞ、守谷!

言っただろう!

私が着任したからには、だらけることは許さんぞ!」

 

中々、厳しそうな人である。

 

「わ、わかってるわよ、エレン・・・でも聞いて!

転校生、連れてきたわよ!」

 

「転校生?

それがどうした。

貴様の遅刻とはなんの関係もない。

私が転校生を連れてこいと言ったか?」

 

「うぅ・・・」

 

エレンと呼ばれた女性にかなりきつく言われ、落ち込む月詠。

 

「よーよー、まぁいいじゃねーか。

さっさと始めちまおーぜ。

遅刻の罪は体でわからせてやるよ。」

 

そういって金髪の女性が出てきた。

 

「(金髪・・・アメリカ人か?

それに二人共、明らかに雰囲気が違うな・・・)」

 

「あ、あの、訓練を始めるなら私たちは・・・」

 

智花は良介の腕を引っ張って帰ろうとする。

 

「いいや?

アタイはその【体質】と【能力】に興味あるぜ?」

 

「そんなぁ・・・メアリーさん・・・」

 

メアリーと呼ばれた女性にすぐに呼び止められてしまった。

 

「メアリー、やめろ。

精鋭部隊のエレン・アメディックだ。

守谷が勝手に連れてきて悪かった。

こちらの都合で悪いが、今は貸切だ。」

 

「みずくせーこと言うよなぁ、エレン。

せっかく来てもらったんだ。

見せてもらおうじゃねーか。

【人類の希望】様の実力をよ。」

 

「(【人類の希望】?

そんな風に言われてるのか、俺・・・)」

 

なぜか良介の能力を披露するはめになってしまった。

 

   ***

 

「・・・仕方ない。

今日は訓練時間を延ばすか。」

 

エレンは呆れたように言った。

 

「えっと・・・こ、こうなったらやってみましょう。」

 

「そうだな、試したいこともあるし。」

 

「試したいこと?

それってなんですか?」

 

「まぁ、見てたらわかるよ。」

 

そう言って、良介は変身する。

 

「おーし、準備できたな。

やってみろや。」

 

「ふん!

ツクより才能あるわけないでしょ。」

 

そう言われるなか、良介は魔法を準備する。

すると、一人の生徒が入ってきた。

 

「はぁ、はぁ・・・走ってきたぞ、エレン!

・・・あぁ?」

 

その生徒は現状を見て呆気にとられる。

 

「来栖、戻って来たか。

今、新しい転校生の実力を見るところだ。

貴様も見ておけ。

話が本当なら、いい経験になる。」

 

そう聞くと、その生徒はため息をついた。

 

「時間の無駄だ。

1人で訓練してくる。」

 

「来栖 焔(くるす ほむら)。」

 

「・・・チッ。」

 

焔と呼ばれた生徒は舌打ちしながら良介のいる方を見る。

 

「それじゃあ、あの的に向かってどうぞ!」

 

「よしっ!」

 

良介は両手を自分の前でクロスさせて溜めるような動作をする。

そして唱えるように言った。

 

「能力、第1封印・・・開放っ!」

 

そう言った瞬間、

良介の体から金色のオーラのようなものが出てくる。

 

「ええっ!!??」

 

あまりにも突然のことに変な声をあげる智花。

 

「(あの時ほどじゃないが、少しきついな・・・

でも、苦しいってわけでもない。

これなら・・・!)」

 

良介はその状態で光属性の魔法を的に向かって撃つ。

的はあまりの威力に粉々になった。

 

   ***

 

「・・・・・」

 

周りは完全に沈黙していた。

 

「ふぅ、こんな感じで・・・って、どうした皆・・・」

 

良介は周りの状況に驚く。

 

「・・・逆の意味で時間の無駄だったぜ。

あれのどこがいい経験になるんだよ・・・」

 

焔はため息をつく。

 

「・・・ありえない、ありえないわ!

ツクより才能があるなんてありえないわ!」

 

月詠は絶望したかのように言っていた。

 

「・・・ふむ、なるほど。

それがお前の能力か。

それじゃ、次は【体質】の方を見せてもらおうか。」

 

エレンは笑みを見せながら良介に言った。

 

「え?」

 

「南。

転校生の体質を使って、今度はお前が魔法を撃ってみろ。

それで終わりでいい。」

 

「は、はい・・・じゃあ、良介さん。

クエストの時みたいに・・・」

 

今度は智花が魔法を撃つ準備をする。

 

「わかった。

それじゃ、行くぞ。」

 

良介は智花に魔力を渡す。

 

「行きますよ!

えーいっ!」

 

智花が魔法を撃つと同様に的が粉々になった。

 

「・・・え、ええ?」

 

月詠さらに驚いたような声をあげる。

 

「・・・・っ!」

 

焔は睨むように良介の方を見る。

 

「・・・なるほど。」

 

エレンは笑みを浮かべる。

 

「なーにがなるほどだ。

ケッ。」

 

「な、なによ智花、その威力・・・」

 

月詠がそう言うと、メアリーが月詠に向かって言った。

 

「オラ、お楽しみは終わりだ。」

 

「つ、ツクの方が強いんだからね!

今度勝負しなさいよ!」

 

「勝負にならねーよ。

来いっつの。」

 

月詠はメアリーに引きずられるように連れて行かれた。

 

「・・・えーと、これでよかったのか?」

 

良介は引きずられていく月詠を見ながらぼやいた。

 

「よく、見せてもらった。

なるほど。

腑抜けた顔で心配していたが・・・噂通り、いや、それ以上の力はあるようだ。」

 

なんやかんやでよかったようだ。

 

   ***

 

「・・・な、なんとかなりましたね。」

 

訓練所を後にして、智花は再び学校案内をしていた。

 

「本当にこれでよかったのか?

個人的にはイマイチなんだが・・・」

 

「エレンさんがああ言っていたのでいいと思いますよ。

それよりも、精鋭部隊の人と話すときは、いつも緊張しちゃうんですよね。

あちち・・・」

 

智花が手を押さえる。

 

「ん?

智花、手、どうかしたのか?」

 

良介は智花に尋ねる。

 

「え?

あ、さっきの魔法でちょっと火傷しちゃって。

だって、良介さんが馬鹿にされたことに頭にきたというか・・・

だからちょっとムキになっちゃったって言うか・・・」

 

そういうと、智花は笑みを見せる。

 

「私が勝手に暴走しちゃったんで、気にしないでください。」

 

「そうは言ってもなぁ・・・」

 

良介は回復魔法が使えたら・・・と思った。

 

「でも、ちょっと保健室に寄っていっていいですか?」

 

「え?

ああ、別にいいけど。」

 

二人は保健室に向かった。

保健室はそんなに離れていない場所にあった。

 

「こんにちは~・・・」

 

智花が開けながらそういうと奥から声が聞こえてきた。

 

「はいは~い。

ちょっと待ってね。」

 

そういうと一人の生徒が出てきた。

 

「南さん。

あら、どうしたの、その手?」

 

「ちょっと魔法で失敗しちゃって。

手当てしてもらっていいかな。」

 

そういうと、その生徒は笑いながら言う。

 

「ええ、もちろん・・・あら?」

 

その生徒が良介に気づく。

 

「あぁ!

転校生の人ね!

ようこそグリモアへ!

クラス委員長、兼保健委員の椎名 ゆかり(しいな ゆかり)です。

よろしくね。」

 

「早田 良介です。

よろしく。」

 

お互いに自己紹介する。

 

「本当は私が案内するはずだったんだけど、忙しくて南さんにお願いしたの。

ごめんね、ありがとう。」

 

「えへへ、任せてもらって嬉しいよ。」

 

そういって早速智花はゆかりに治療してもらう。

 

「クエスト終わりだったんでしょ?

魔物の攻撃・・・じゃないわね、火傷?

南さんが珍しいわね。」

 

「ちょっと、ね。

でも本当に軽い火傷だから。」

 

智花がそう言うと、ゆかりは注意するように言った。

 

「軽いからって油断しちゃだめよ。

よく見せてね・・・」

 

ゆかりは回復魔法を使って火傷を治した。

 

「はい、これでよし。

訓練所でのケガだから、回復魔法の使用許可が下りてよかったわ。」

 

「(回復魔法を使うのに許可なんかが必要なのか・・・)」

 

良介は回復魔法ぐらいいいのでは、と思った。

 

「ありがとう。」

 

智花はゆかりに礼を言った。

 

「無茶はしないでね。

それじゃ、改めて良介君。」

 

「ん?

何ですか?」

 

「学園では対抗戦やクエストなんかで、戦ったりする機会が多いの。

もちろんケガも多くなる。

魔物との戦いでは重傷を負ったりもする。

あんまりひどい時は入院もあるけど、大抵はここで何とかなるわ。

だからケガをしたら、なにはともあれ、ここに来てね。」

 

「わかりました。(回復魔法を覚えればいいか・・・)」

 

回復が自分でできればいい、とういう風なことを少し考えた。

 

「間違っても、自分でなんとかしようと思わないこと。

場合によっては回復魔法を使って治したりもするからね。」

 

自分の考えが見抜かれたのではと、良介は一瞬躊躇した。

 

「回復魔法、使える人が少ないんですよ。

適正がない人はどれだけ訓練しても使えないし、貴重なんですよ。」

 

「(なんだそういう意味か・・・)」

 

良介は少し安堵する。

 

「普通は物理的な手当てをするから、過度な期待はしないでね。」

 

すると、智花は元気よく良介に呼びかけた。

 

「よし、それじゃあ、案内行きましょうか!」

 

「気をつけてね。

ケガしたら、いつでもいらっしゃい。」

 

二人は保健室を後にした。

 

   ***

 

一通り案内を終え、下駄箱の所にやってきた。

 

「お疲れさまです!

案内はこれで終わりです!」

 

「うん、お疲れ様。

おかげでよくわかったよ。

ありがとう。」

 

良介は智花に礼を言った。

 

「いえいえ、どういたしまして。

そういえば、初めてのクエスト、どうでした?

楽しい、とは思わないでしょうけど・・・

意外と弱かったとか、そう感じてくれたら嬉しいです。」

 

「まぁ、ちょっと弱かったかな。」

 

良介は笑みを見せた。

 

「私たち学園生が戦う魔物は、弱いものが多いです。

でも初めて魔物と対峙したとき、やっぱり恐怖を覚える人はいて、

クエストを拒否しちゃうようになったりするんですよね。」

 

「なるほどね、まぁ、少なくとも俺はそうは感じなかったけど・・・」

 

良介は腕組みをして軽く息を吐く。

 

「私たちが全力でお守りします。

だから、よければ、これからもよろしくお願いしますね!」

 

「ああ、これからもよろしく。」

 

そういうと、智花は良介の手を引っ張る。

 

「それじゃあ行きましょう!

実は歓迎会があるんです!」

 

「歓迎会?

俺の?」

 

良介は智花に引っ張られながら、聞く。

 

「はい!

歓談部の子たちが用意してくれているので、ご案内しますね!」

 

「わかった、それは楽しみだな。」

 

良介は歓談部の部室に向かった。

 

   ***

 

生徒会室に虎千代が一人で誰かを待っていた。

 

「さて・・・む、来たか、東雲。

転校生は見てきたか?」

 

東雲と呼ばれた少女が入ってきて、虎千代に質問される。

 

「遠目からじゃったが、しかと見たぞ。」

 

少女は笑みを見せる。

 

「そうか。

彼の体質と能力、どう思った?」

 

「どいつも欲しがるはずじゃ。

まだ本格的な魔力測定はやっとらんのじゃろ?

さっさとやらせてみろ。

目ん玉飛び出すような結果が出るぞ。」

 

その言葉に虎千代は顔をしかめる。

 

「そこまでか?」

 

「ああ、膨大な魔力と、それを他人に受け渡す力、

底がわからない強力な七属性の魔法・・・

ちょっとシャレにならんな。

他に渡す手はない。

絶対に科研に付け込ませるなよ。」

 

そう言うと、虎千代は少し手に力を入れる。

 

「ああ、もとよりあいつは学園生だ。

そのつもりだ。」

 

虎千代は窓の方に向かい、目を瞑ってぼやくように言った。

 

「世界で唯一の力・・・か。」




人物紹介

エレン・アメディック 17歳
国連軍機甲師団に所属していた元軍人。
対魔物戦闘の経験者だけあって戦闘慣れしており、
特に指揮において卓越した技術を誇る。
平和ボケした学園生に喝を入れようとヤル気満々、
根性さえあれば優しく厳しくシゴいてくれる。
血ヘドを吐かないように注意。

メアリー・ウィリアムズ 17歳
国連軍歩兵師団に所属していた元軍人。
人類の最前線で魔物と対峙していた対魔物戦のエキスパート。
相手を蹂躙することが大好きで、そのためならばどんな卑怯な手も使うし、
睡眠時間を削って作戦を練る。
ある種徹底したリアリストである。

来栖 焔(くるす ほむら)13歳
常日頃より集団からはぐれて過ごすネクラな少女。
魔物に対して異常ともいえる憎悪を燃やしており、
通常授業をフケてまで魔法の練習に励む。
弱冠13歳でありながら精鋭部隊に所属するだけあって実力は高いが、
まだまだ幼いのも事実。

椎名 ゆかり(しいな ゆかり)17歳
見た目通りのクラス委員長で見た目通りの保健委員で見た目通りの世話焼き。
頼みごとをされれば最後まで付き合うし、
怪我をしたら優しく優しく手当てしてくれる。
校則や学園の文化を懇切丁寧にレクチャーしてくれる隣のお姉さんタイプ。
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