グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
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 それでもOKという方は、よろしくお願いします。


第75話 天文部のクエスト

学園近くの山奥。

良介は天文部に呼ばれて来ていた。

ミナが良介を待っていた。

 

「サーヴァントよ・・・久しぶりだな。

我は長く苦しい戦いに趣いていた。

だが・・・ここに復活したのだ!

我ら円卓の騎士団は【組織】の魔の手から世界を守らねばならん!

しばらくできなかったが、パトロールに行くぞ!

そういうわけでサーヴァントも来い!

我らの手で世界を守るぞ!」

 

ミナは先に行ってしまった。

 

「普通にできないのかあいつは・・・」

 

良介はため息をついていると、梓がやってきた。

 

「いやー、ひさしぶりッスねぇ、この感じ。

なんか楽しくなってきたッス。」

 

梓が行くと、今度は心がやってきた。

 

「ひぃ・・・ま、まま魔物と戦うなんて・・・遺書、遺書を書きます!」

 

心が行くと、卯衣がやってきた。

 

「まだ部長の心拍は不安定。

どうなるか予想はつかないけれど・・・

魔物に関しては、私がどうにかする。

部長のことは任せていいかしら。」

 

「ああ、わかった。」

 

卯衣が行くと、最後に恋がやってきた。

 

「なんとか元気を出してくれたのはよかったが・・・

ふうむ、先は長い・・・良介よ、お主にあまり迷惑をかけたくないが・・・

ミナはお主を気に入っておる。

なにかあったら、そのときは頼むでな。」

 

「ああ、任せてくれ。」

 

2人が話しているとミナが大声で呼んできた。

 

「おーい!

はやく来ないか!

今日の魔物は幻術使いだ!

我が円卓の騎士にとって恐るまでもない!

我がやっつけてしまうぞ!

いいな!」

 

「やれやれ・・・空元気を出しおって。

まあ、このクエストがきっかけで、復活してくれればよいがな。

では行こうぞ、良介。」

 

「ああ・・・今回はいつもより疲れそうだなぁ・・・」

 

良介と恋もミナたちの後を追いかけていった。

 

   ***

 

山奥、良介とミナは2人きりになっていた。

 

「えー・・・サーヴァント!

状況を説明しろ!

我はどうしてこんなところにいるんだ!?

どうして恋たちとはぐれているんだ!?」

 

良介は片足をトントンと鳴らしながら黙ってミナを見ていた。

 

「ええい、もういい!

自分で考える!」

 

そう言うと、ミナは考え始めた。

 

「そうだな・・・たしかあれは曙光の優しい朝・・・

今日は強大な魔物が深淵から現れると、我が第六感が告げた!

その通りにクエストが発令されたから請けた!

我が円卓の騎士を連れ、やってきたが引き裂かれた!

うむ、完璧だ・・・完璧じゃない!

ダメじゃないか!

サーヴァント!

これより円卓の騎士の搜索に赴く!

暗黒の大魔王に立ち向かうためには騎士が揃わなければならん!

騎士が揃ってこそ、太陽の奔流が闇を穿つ最終兵器となる!」

 

「怖いなら怖いって言えよ。」

 

良介がそう言うと、ミナは少し狼狽えた。

 

「え、ええい!

怖いんじゃない!

みんなが必要なの!

では行くじょ!

・・・行くぞ!」

 

「はいはい、わかったよ。」

 

2人は他のメンバーを探しに向かった。

 

   ***

 

学園の訓練所。

龍季が魔法の制御をしようとしていた。

 

「またか・・・クソッ。

勝手に放電するのは・・・どうやって抑えりゃいいんだ・・・

やっぱ最初になにがなんでもやっとかなきゃダメだったのか・・・?」

 

すると、そこにチトセがやってきた。

 

「朝比奈さん、もしかして制御の訓練、してる?」

 

「あ?

ただの暇つぶしだっつの。」

 

「あなたが・・・制御の訓練だなんて・・・珍しいこともあるものだわ。」

 

「ケンカ売ってんのか?」

 

「そんなまさか。

応援するわよ。

なんだったら手伝おうかしら。

 これでも魔法のことには自信があるからね。」

「いらねーよ。

前に言われたことをやり直ししてるだけだ。

こんくらい、すぐにやってやるさ。」

 

龍季は訓練所から出ようとした。

 

「待って。」

 

だが、チトセが龍季を呼び止めた。

 

「なんだよ。」

 

「あなたの体は、あなたが思ってる以上に雷と相性がいい。

それはもう、危険なほどにね。」

 

「わかってるっつの。」

 

「制御の訓練も、他の生徒と同じようにいくとは考えないように。

これから卒業までかかるつもりでいなさい。

それがあなたの体質なんだから。」

 

「見てきたようなことを言うじゃねーか。

余計なおせわだ。

チッ。

勝手にやるさ。

・・・それより、あっちの方を気にかけた方がいいんじゃねえか?」

 

そう言うと龍季は出て行った。

 

「なんてこと。

あの子が魔法制御の訓練を始めるなんて・・・

一体、どこにきっかけが・・・誰に触発されたの・・・?

仲月さんだけじゃ、あんなにやる気を出さなかったのに・・・

もう、私の手を離れて変わっていくのかしら・・・

それより、あの子言ってる通り、今は彼かしら?」

 

チトセは向こうの方を向くと、魔神化第二形態になっている誠がいた。

 

「グゥ・・・・ガァァ・・・ッ!」

 

体中から赤紫のオーラを出しながら苦しそうにしていた。

 

「誠く・・・っ!?」

 

チトセが話しかけようとした途端、誠は突然チトセに向かって魔法を撃った。

チトセは咄嗟に障壁で防いだが、障壁にはヒビが入っていた。

すると、誠の魔神化が解けてしまった。

 

「ハァ・・・ハァ・・・チ、チトセ・・・いきなり・・・話しかけるなよ・・・」

 

「驚いたわ・・・いきなり攻撃してくるなんて・・・」

 

「ちょっと意識が飛びかけてな・・・無意識に攻撃しちまった。」

 

「想像以上に扱いが難しいみたいね。

その魔法。」

 

「ああ、これ使ってるとどうも体に痛みが走って意識が飛びそうになるんだよな。

最初はそんなことなかったのにな・・・」

 

「体に・・・痛み?」

 

「ああ、時間が経てば経つほど痛みが増して・・・

て、どうしたんだチトセ。」

 

チトセは誠の話を聞いて、なにか考えていた。

 

「誠くん、あまりその魔法、多様しないほうがいいかもしれないわ。」

 

「へ・・・?

どういうことだよ。」

 

「自分の体を壊すことになるかもしれないからよ。」

 

「俺の体が・・・?」

 

チトセは訓練所から去っていった。

 

「俺の体が・・・か。

そんなこと言われてもなぁ・・・」

 

誠はただ呆然と立ち尽くしていた。

 

   ***

 

山奥、良介とミナは他のみんなを探していた。

 

「まだ見つからん。

一体どんな罠が我々を・・・」

 

「おい、デバイスは?」

 

「え?

そういえば・・・」

 

「お前・・・もしかして知らなかったのか?」

 

「ち、違わい!

光の小箱に仲間の場所が映るなんて知ってたもん!

お、お前が気づくか試してたんだ!

まあ、合格でいいぞ!」

 

「(忘れてたくせに・・・どうして誤魔化すかなぁ・・・)」

 

ミナはデバイスで他のみんなの居場所を確認した。

 

「では・・・うん。

結構近いな・・・

一番近いのはマインドシーカーだな。

1人で泣いているぞ、きっと。」

 

ミナはデバイスを直した。

 

「でも、なんでまた突然散らばっちゃったんだ?

やはりこれは魔物の卑怯な罠なんじゃいのか!?」

 

良介は呆れた顔でミナを見ていた。

 

「あ、信じてないな、サーヴァント。

自慢ではないが、我ら円卓の騎士の団結力は世界一だ。

これまではぐれたことなど一度も・・・い、一度も・・・」

 

ミナは良介の後ろを見て固まった。

 

「ん・・・?」

 

良介は後ろを振り向くと魔物がいた。

 

「な、なんだこいつ・・・うわあああ~っ!」

 

ミナは一目散に逃げてしまった。

 

「そうやって走るから逸れるんだよ。」

 

良介はそういうと、魔物のほうを向いた。

魔物は振り向くと同時に攻撃してきたが、良介はジャンプして避けた。

そして同時に魔物に風魔法で上から攻撃した。

 

「ルストトルネード!」

 

魔物は一撃で倒された。

 

「さて、ミナを探しに行くか。」

 

良介はミナが走っていった方向へと向かった。

 

   ***

 

学園の研究室。

結希が裏世界の鳴子のデータを解析していた。

 

「終わったわ・・・」

 

「終わった?

早くない?」

 

一緒にいた天が結希に話しかけた。

 

「あらかじめ分類されてたから。

あとは直近で必要な情報をより分けただけ。」

 

「で、いつ?」

 

「9月。

第8次侵攻は、第7次侵攻の翌年9月に発生する。

良介君と誠君の話とも一致するわ。」

 

「すぐじゃない!」

 

「来るかしら。」

 

「歴史が違うっていっても、第7次までの発生日時は同じだったのよね?

じゃあ、ほぼ確実に来るわよ。」

 

「でも、決定的に異なることがある。

今のわたしたちの世界は・・・

【年度が替わっていない】。」

 

「アンタ、あの子の言うことを本気にしてるの?

なんだっけ。

中二病?

なんでしょ?

そういう設定が好きな。」

 

「風槍さんに関しては、普通とは順序が違う。

彼女は【見たくないものが見えるから、そこから逃避している】。

だから、彼女が演技を忘れて、違和感を感じたことに注目すべき。

それに・・・朱鷺坂さんの言ったことも気になるわ。」

 

「確かに、妙なことはあるわよ。

ひっかかりはあるわ。

私が去年、入学したときは確か・・・

生徒会長は最終学年だったような気がしなくもないってくらいわね。

でも本当に時間が巻き戻ってるなら、ここにいる私はなんなのよ!

第7次侵攻の後に転校してきた私が今いるのはおかしいでしょう!?

それに・・・時間が巻き戻ってるっていうなら、第7次がもう一回来る!

そんなことがあると思う!?」

 

「そう、おかしい・・・でも時間が過ぎているならなおおかしい。

なぜ武田さんや生天目さんはまだ在籍して・・・それを気にしていないの?」

 

「【それこそが間違い】ってこともあるでしょう?

確かに1年も経ってない記憶が曖昧になるのはおかしいわ。

でも普通に考えて、ここいるってことは【卒業年度が違った】ってことよ。

武田 虎千代の卒業年度は今年だった。

それでいいでしょう。」

 

「どちらにせよ、今できることは・・・備え。

9月に起こるかもしれない、第8次侵攻への備え・・・でも・・・」

 

「でも?

まだ何かあるの?」

 

天は首を傾げた。

 

「良介君はクエスト中だったかしら。」

 

「霧の嵐に巻き込まれたって、アレも本当なの?」

 

「もう一度、彼らの話と照らし合わせるわ。

本当に裏に行ったのなら不思議でもないけれど・・・

JGJやアメディックさんの状況について、ほぼ一致している。

彼らの話は、裏世界の遊佐 鳴子が残した情報と一致しているの。

彼らから聞いた録音を、再精査するわ。

戻ってきたら話も聞きましょう。」

 

結希は準備を始めた。

 

   ***

 

風紀委員室に風子と薫子いた。

 

「これらの情報は確かに遊佐 鳴子が?」

 

「ええ。

とはいえ、どこまでが本当かわかりませんが。」

 

2人は鳴子から送られてきた情報の資料に目を通していた。

 

「ふーむ。

とはいえ、ウチらじゃできるこにゃー限りがあります。

とりあえず霧に護り手とJGJの動きには気をつけましょ。

間ヶ岾が死んだとはいえ、JGJを乗っ取るという計画・・・

それが本当なら、簡単には諦めねーでしょーし。」

 

「まさに。

その点をお願いしますよ。」

 

「それより、ウチにはもっと由々しーことがあるんですよね。」

 

風子はため息をついた。

 

「なんとなく、想像はつきますけれど。」

 

「5月に1回、そしてこの前に1回。

いくらなんでも【霧の嵐】が起きすぎです。

しかも両方とも関わっているのは良介さん。」

 

「誠さんもです。

どちらも偶然でしょう。

霧の嵐は自然現象ですから。」

 

「にしてもできすぎです。

しかも移動した先が・・・

【2ヶ月後】の裏世界。

さらに裏の生徒と仲良くなって・・・

戦力として使い倒されないよう丁重に扱われ、無事に帰ってきた。

霧の嵐は【行って帰って】だけでも例がほとんど無いんですよ。」

 

「私も知っているのは、遊佐 鳴子の他には良介さん、誠さんがらみですね。

では、良介さん、誠さんが霧の嵐の原因だと?」

 

「んなわけねーです。

ふつーはね。

アンタさんの言うとおり自然現象です。

しかし彼らはふつーじゃない。

でしょ?」

 

「どうすれば?」

 

「いくつか憶測が立てられますがね、良介さんの体質が関係してるかも。

例えば魔力の多寡が霧の嵐に影響するとかなんとか。」

 

「まさか。

霧の嵐は一般人が巻き込まれる例のほうが多い。」

 

「もーろくせんでほしーですね。

一般人も魔力は持ってるでしょ。

誰かに調べさせてください。

もし良介さんが原因なら・・・

学園の治安を守る者として、良介さんを隔離しなきゃいけません。」

 

「そんなことをすれば良介さんも、誠さんも激しく抵抗すると思いますが・・・」

 

「他の学園生が巻き込まれるのは防ぎますよ。

なんとしてもね。」

 

薫子はため息をついた。

 

「結構です。

しかし、宍戸さんも如月さんも手がいっぱいです。」

 

「魔法に詳しー人ならいるでしょ、他にも。

朱鷺坂 チトセも手いっぱいってんなら、東雲 アイラを動かしてください。」

 

「彼女がおとなしく頼みを聞いてくれるかどうか・・・」

 

「聞きますよ。

なにせ良介さんは彼女のお気に入りですから。」

 

「わかりました。」

 

薫子は風紀委員室から出て行った。

 

「ふー・・・いちど、良介さん自身に話を聞きませんとね。

しかし、新しい学園長も頼りねーですし・・・

JGJからよそ者は入ってくるし・・・

裏世界ではそのJGJが人類に仇を為す、ですって?

この学園、呪われてんじゃねーですかね。

まあ、そこらへんも良介さんに話を聞くついでに愚痴でも聞いてもらいましょーかね。」

 

風子はため息をついた。

 

   ***

 

その頃、山奥。

良介はミナと合流していた。

 

「お、おい、サーヴァント。

ここ、どこだ?」

 

「魔物倒して、この辺に心がいるはずだが・・・」

 

「も、もう一度光の小箱を見ろ!

場所、違うって絶対!」

 

「デバイスね。」

 

良介はデバイスを取り出すと現在地を確認した。

 

「ん?」

 

「ほら、さっきと全然違うところにいる・・・ほらな!?

ほらな!?

ふん!

我の目に狂いはなかった!

でも・・・

いつの間にこんなに移動しちゃったんだ?

遠すぎやしないか?」

 

「さあ、なんでだろうな。」

 

良介はデバイスを直した。

 

「これは、やはり魔物の卑劣な罠・・・!」

 

「アホらし・・・」

 

良介はため息をついた。

 

「だから信じろってぇ!

いっつもいっつもバカにしてぇ!

それでも我のサーヴァントか・・・さ、行こう。

はやく見つけないと。」

 

「いい加減に名前で呼んでくれ。

行くぞ。」

 

行こうとすると、ミナは目を気にし始めた。

 

「どうした?」

 

「なんか変・・・目がかゆい・・・い、いや、うずくぞ・・・」

 

すると、魔物が現れた。

 

「ミナ、俺が援護するから止めはお前が刺せよ。」

 

「わ、わかった。

我に任せろ!」

 

良介は魔物に向かいながら、足元に落ちている葉っぱを複数拾った。

それを手のひらに乗せると、風魔法で魔物に向かって放った。

葉は刃物の如く魔物の体に刺さっていった。

 

「名付けるならリーフストーム・・・てところかな。」

 

魔物が葉に気を取られている間にミナは魔力を込めた風魔法を魔物に向かって撃った。

 

「くらえーっ!」

 

魔物はミナの魔法が直撃したと同時に消滅した。

 

「よし、早く他のみんなを探しに行こうか。」

 

「ああ、行こうサーヴァント!」

 

「あのー・・・名前で呼ぶつもりはないのか?」

 

良介はミナの発言に呆れつつ、他のメンバーを探しに向かった。


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