グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
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第78話 一歩前進

汐浜ファンタジーランド。

望が魔物を分析していた。

 

「魔物は強くないけど、思ったより量が多いな。

ってゆーか・・・

この現れ方、もとから大量にいたってわけじゃなさそうだ・・・」

 

望のところに風子がやってきた。

 

「どうしました?」

 

「いや・・・なんてこたないんだけどさ。

1回倒した魔物って、どのくらいでまた魔物になるんだっけ?」

 

「それこそ魔物によりますがね。

一朝一夕で再度魔物化する、てのは聞ーたことありませんね。」

 

「うーん・・・ま、今考えてもしょうがないからなー。」

 

「倒した魔物がすぐ現れるよーなちょーこーがあります?」

 

「払った霧がどこに行くか見えないから、そうかもしれないってくらい。」

 

「ヤヨイ・ロカを連れてくるべきでしたかねー。」

 

「まあこの程度の魔物なら、いくら出てきても大丈夫だろ。

良介がいるし。

それより、そろそろキツ・・・ん?」

 

「む?」

 

望が何かに気づいた。

 

「あ、あっちだ!

魔物!」

 

「んー?」

 

風子は望が指差した方を見た。

 

「あそこは魔物を倒した後に回収した着ぐるみですよ。

あれが魔物って言うのは・・・」

 

そう言った瞬間、着ぐるみが動き始めた。

 

「う、動き出しましたね・・・なんでわかったんです?」

 

「そんなのどーだっていいだろ!

ボクを守れーっ!」

 

「釈然としませんが・・・ま、いーでしょ。

神凪、行きますよ。」

 

「はい。」

 

すぐにやってきた怜と共に風子は魔物に向かっていった。

望は残っているエリアの確認をしていた。

 

「えっと、残りはハートのお家エリアか・・・」

 

「さあ、ちゃっちゃとやっちゃいますよー。」

 

「避難者への道をふさぎます!」

 

「うー、気が散る・・・なんか頭も痛くなってきたし・・・」

 

すると、突然望がフラつき始めた。

 

「あ、あれ?

ヤバッ・・・」

 

望はその場に倒れてしまった。

 

「おい・・・保健委員を・・・」

 

「魔物の攻撃を受けてねーですか?」

 

「いえ、外傷は特に・・・」

 

怜と風子が話していると望は体を起き上がらせた。

 

「う・・・あ、いたっ!

頭痛い・・・」

 

「目を覚ましましたね・・・楯野 望、アンタさんを今から脱出させます。

ですが原因がわからないと対処しよーがありません。」

 

「だ、大丈夫・・・別になんてことない・・・」

 

「一点お聞きしますが・・・まさかアンタさんにも霧が入り込んでるとか・・・

ねーですよね?」

 

「違う・・・ボクはただの霧過敏症だ。」

 

「霧・・・過敏症?

聞ーたことありますが・・・なんでしたっけ。」

 

「字の通りだよ。

ボクは霧に敏感なんだ。

普通の人じゃ感じないような濃度の霧でも、気分が悪くなる・・・」

 

「せ、戦場に出ていい体じゃないんじゃないか?」

 

「閉鎖されてなきゃ、なんてことないんだ。

魔物が霧を吸収するから。

だから・・・こんなに早く体調が悪くなるなんて、ありえないのに・・・」

 

「わかりました。

とりあえず通常搬送で問題ありませんね?」

 

「うん・・・大丈夫。

でも頭痛いから優しく・・・」

 

望は保健委員に連れて行かれた。

 

「保健委員のみなさん、頼みましたよ。

霧過敏症・・・後で椎名 ゆかりに聞いてみましょーか・・・」

 

風子は他の魔物を倒しに向かった。

 

   ***

 

その頃、誠は1人で魔物を倒していた。

 

「ふぃー、やっぱ1人で行動するとキツイな・・・」

 

誠は二丁拳銃で魔物を撃ちながらため息をついていた。

 

「んー・・・シャルロットさんあたりと合流するか?

どうせ、シャルロットさんなら1人で動いているだろうし・・・

ソフィアたちと合流するのもアリか。

さて、どうしたものか・・・」

 

誠は独り言を言いながら進んでいると、逃げ遅れた女子高生たちを見つけた。

女子高生たちは魔物に襲われそうになっていた。

 

「まだ避難していないやつがいたのかよ。

仕方ねえ・・・!」

 

誠は大きくジャンプすると、女子高生たちの真上に跳んだ。

 

「お前ら、そこ動くなよ!」

 

そう言うと、女子高生たちの周りにいる魔物だけを二丁拳銃で上から撃ち抜いた。

誠は撃ち終わると同時に着地した。

 

「よし、ケガはないか?」

 

「は、はい、ありがとうございます・・・あ、そうだ!」

 

「ん・・・どうかしたのか?」

 

「実は・・・友達がいなくて・・・」

 

「友達が・・・?

どのあたりにいるかとかわかるか?」

 

「ハートのお家ってところです!」

 

「ハートのお家・・・あそこ、あんまり隠れるないじゃねえか。

急がねえとな。」

 

「あ、その子、ここのこと凄く詳しくて・・・

たぶん裏道やバックヤードとか通って逃げ回ってると思うの。」

 

「それでも、やられるのは時間の問題だな。

よし、その子のことは俺に任せて君たちは避難するんだ。

避難場所はわかるか?」

 

「はい!

お願いします!」

 

女子高生たちは避難場所へと走っていった。

 

「ハートのお家か・・・よし、行くか!」

 

誠はハートのお家があるエリアへと向かった。

 

   ***

 

その頃、良介たちは魔物を倒し続けていた。

 

「だんだん・・・制御できているのではないですか?」

 

「そ、そうか?」

 

紗妃に言われ、龍季は少しの間黙った。

 

「おだててもなんも出ねーぞ。」

 

「そ、そういうことは好きではありません!

あいた・・・」

 

「紗妃・・・その指・・・」

 

良介は紗妃が指を怪我していることに気づいた。

 

「なんでもありません!

魔物の攻撃で少し怪我をしただけです!」

 

「そのケガ・・・どうみても火傷にしか見えないが・・・」

 

「っ!

こ、これは・・・その・・・」

 

「俺の電気がテメーに飛んでるじゃねーか・・・クソッ!

全然制御なんかできてねぇってことじゃねえかよ!」

 

「お、落ち着いてください!

隠したことは謝ります。

ですが・・・

私が油断しただけ・・・最初に比べたら、魔法が飛んでくる頻度が減っていたから・・・

ここに来た時と比べても驚くほど制御できています!」

 

龍季は黙って見ていた。

 

「ですから、自分を卑下しないでください!」

 

「チッ。

別に気を使ってもらうような人間じゃねーよ、俺は。

テメーはいつもみたいに説教してりゃいいんだ。

不良なんだからよ。」

 

「そんなことだからいけないのです!

いいですか!

あなたがこれまで授業欠席、街でケンカをしてきたのは事実!」

 

「な、なんでテメーがキレてんだよ!」

 

「あなたの不良というレッテル・・・

ちょっと努力をしたくらいで、帳消しになるなどと思わないでください!」

 

「ああ!?

んなこと言われなくてもわかってら!」

 

「わかってません!

それがさっきの言葉から明白です!

あなたが不良だったのは事実ですが、生まれ変わろうとしているのも事実!

それなのにいまだに自分で【不良】というなど・・・!

それではいずれ、元に戻ってしまいますよ!」

 

「だから何が言いてーんだよ!

おい、良介!

行くぞ!」

 

「お待ちなさい!

あなたが未だに自分を卑下しているのが問題なのです!

制御の訓練を始めたのですから、もっと自信を持ってください!」

 

龍季は黙って紗妃を見た。

 

「フン・・・勝手に言ってろ・・・」

 

「まだ終わってませ・・・」

 

「そこまでだ。

周りを見ろ。」

 

良介の言葉に2人は周りを見渡した。

 

「なんだ・・・1匹、2匹・・・7匹!?」

 

「し、しまった!

囲まれています!」

 

「クソッ・・・どこから生えてきたんだ?」

 

「すいません・・・頭に血が上ったばかりに・・・」

 

「いや・・・ちょうどいい。

ちまちました戦い方でイラついてたところだ。

囲まれたなら仕方ねぇ、全開で雷落としてやる。」

 

「い、いけません!

あなた1人では・・・」

 

すると、1体の着ぐるみがやってきた。

 

「ひっ!?」

 

着ぐるみは紗妃の手を引っ張った。

 

「きゃあっ!?」

 

「な、なんだテメェ!」

 

「待て、龍季。」

 

着ぐるみに向かおうとした龍季を良介が止めた。

着ぐるみは龍季に話しかけてきた。

 

「たまにはストレスを発散しておけ。

良介。

障壁かけて、アイツに魔力を渡してやれ。」

 

「なるほど・・・そういうことか。

わかった。」

 

そう言うと、良介は自分自身に障壁をかけた。

 

「氷川はアンタの魔法が届かないところに避難させる。

好きに暴れろ。」

 

「て、テメー、妹のところにいなくていいのかよ。」

 

「アンタが心配することじゃない。

すぐに戻る。」

 

着ぐるみは黙って龍季を見た。

 

「制御できるようになれば、妹の側にいることを許してやる。」

 

「ちょ、ちょっと!」

 

「アンタは過保護すぎだ。

少しくらい放任した方が朝比奈にはあってる。」

 

「(過保護なのはお前も一緒だと思うんだけどなぁ・・・)」

 

良介は着ぐるみの発言に苦笑いした。

 

「勘違いするな。

妹のためだ。

制御できないままだったら・・・

仲月 さらが妹のそばにいるときは、絶対に近寄らせないからな。」

 

「ま、待ってください!

ああ・・・!」

 

紗妃は着ぐるみに連れて行かれてしまった。

 

「わざわざ着ぐるみまで着やがって。

そんなに顔見せるのが恥ずかしいのかよ。」

 

龍季は着ぐるみの方を黙って見た。

 

「アイツ・・・あんなヤツだったのか・・・」

 

「おい、龍季!」

 

龍季は良介の声を聞いて魔物が近づいていることに気づいた。

 

「あぶねぇ。

魔物のこと忘れてたぜ・・・

よし!」

 

龍季は魔法を撃つ体勢に入った。

 

   ***

 

龍季は魔法を撃つ前に良介に話しかけた。

 

「良介!

いちおうテメーに魔法が当たらねぇように努力する!

だけど感電したら言え。

あとでワビいれらぁ。

まず・・・一匹!」

 

龍季は魔物に向かって雷撃を放った。

 

「(別に当たっても問題ねぇし、よっぽどな威力じゃない限り壊れないようにしてるが・・・

さて、龍季の全力はどれほどの威力なのか・・・)」

 

良介は龍季が次々に魔物を倒していく姿を見ていた。

 

「ふぅっ・・・まだ終わらねぇのかよ、ゴキブリみてぇに湧きやがって。

こうなりゃまとめてぶっ飛ばしてやる。

良介!

魔力よこせ!」

 

「別に構わないが・・・どんな魔法を撃つつもりだ?」

 

「俺が魔法で1つ信用してるのが、雷の威力だ。

危険すぎる程相性がいい・・・障壁があっても怪我するかもしれねぇ。

覚悟しとけよ!」

 

「上等だ。

俺の障壁を破るつもりで撃つといい。」

 

良介は笑みを浮かべた。

その頃、着ぐるみは紗妃をある程度離れたところで離した。

 

「ぷはぁっ!

あ、あなた瑠璃川さんですか!?

なぜ魔物の中に朝比奈さんと良介さんを・・・協力しなくては!」

 

「過去を調べた。

魔法使いに覚醒したとき、友人を傷つけたそうね。」

 

「え、ええ。

そう記録されています。」

 

「朝比奈にとって、ずっと魔法は傷つけるものだった・・・

その力で誰かを守ろうとするには、自信が必要だ。

この力をうまく使えれば、守ることができるという自信。」

 

「それと、私を遠ざけたことになんの関連が・・・」

 

「魔法が嫌いなあいつは、きっと全力で戦ったことがない。

一度それをさせて・・・

自分の雷がどれだけ強いかを認識させる必要がある。」

 

着ぐるみを着た春乃は良介たちがいる方向を向いた。

その頃、龍季は魔法を撃とうとしていた。

 

「いくぜ・・・

蒸発しちまえっ!」

 

龍季が魔法を撃とうとした瞬間、魔物は少女を盾にしていた。

 

「いや!

離して!

やめて!

きゃあっ!」

 

「何っ!?」

 

「っ!?

しまっ・・・と、止まら・・・

ねぇっ・・・!」

 

龍季の雷撃が放たれ爆発が起きた。

 

「う・・・うぇっ・・・ま、魔力がカラになっちまった・・・気分悪ぃ・・・

や、ヤベェ!

さっきのヤツ・・・ど、どこだ!?」

 

龍季が爆発が起きた方を見た。

良介も爆発が起きた方を見た。

すると、少女を背中から黒煙を出している誠が抱き寄せていた。

 

「ぐっ・・・!

こいつは・・・効くなぁっ・・・!」

 

誠は少女を地面に下ろすと、その場に倒れた。

 

「りっ、良介!

誠とそいつだっ!

魔法が止まらなかった!

クソ、クソ・・・止まらなかったんだ!」

 

良介は誠の側に駆け寄った。

 

「誠・・・大丈夫か、誠!」

 

誠は顔を顰めながら良介に聞いてきた。

 

「り、良介・・・女の子は・・・無事か?」

 

「待ってくれ・・・今確かめる!」

 

良介は少女の体を揺すった。

 

「う、うぅ・・・」

 

「お、おい・・・生きてるのか?」

 

「だ、大丈夫ですかっ!?」

 

紗妃と春乃も戻ってきた。

春乃は少女に駆け寄った。

 

「お、俺の魔法で・・・人が・・・」

 

「あ、あんなタイミングで盾にされたら、誰だって止められません・・・!

あの威力で生きているのは誠さんが自らを盾にしてくださったおかげです!

保健委員を・・・」

 

春乃は少女の様子を見続けていた。

 

「あたしが障壁を張ったから、どっちにしろ死にはしなかった。」

 

「そ、そうか・・・だよな、信用できねぇもんな・・・」

 

「だけど、当たってない。

障壁に全く損傷がない。

魔法の影響範囲が制限されていた証拠だ。」

 

「ということは、朝比奈さんが?」

 

「誠は庇う直前で当たっただけ。

奇蹟みたいなものよ。」

 

「痛ぇー・・・結構痛いな。

ということは、俺の怪我がこの程度で済んだのも奇蹟ってことか。」

 

誠は背中を押さえながら立ち上がった。

 

「その通りだ・・・もう一度やれって言われてもできねぇよ・・・

死んでないなら・・・いい・・・」

 

数十分後、クエストに来ていた皆が無事か確かめるため、一度集まっていた。

誠は背中を押さえながらため息をついていた。

 

「はぁ・・・生きてたのはよかったけど、魔物の攻撃で重傷・・・しばらく入院が必要・・・か。」

 

誠は肩を落としていた。

 

「まぁ、怪我する前に助けれなかったのは残念だったが、結果的には助けること自体はできたからよかったじゃないか。」

 

良介は誠の肩に手を置いた。

 

「名前は・・・ちひろっていうのか。」

 

誠は再びため息をついていた。

 

「おい、俺は帰るぜ。」

 

龍季が帰ろうとすると、誠が龍季を呼び止めた。

 

「おい、待ってくれ。

あの子から伝言がある。」

 

「はぁ?

伝言?」

 

誠は手紙らしきものを懐から出した。

 

「【ありがとうございました】・・・だってよ。」

 

誠が手紙の内容を読むと、龍季は少しの間黙っていた。

 

「フン・・・なにも出ねぇよ。」

 

そう言うと龍季は行ってしまった。

 

「正直じゃないな、龍季は。

ところで誠。

お前、背中は大丈夫なのか?」

 

良介は誠の怪我の具合を聞いた。

 

「ああ、問題ない。

言うほど重度な火傷とかじゃなかったからな。」

 

「おいおい、あれだけの爆発が起きたのにか?

クレーターできてたんだぞ?」

 

「どうも、【奇蹟的】に威力調整までできていたらしい。」

 

「奇蹟的に・・・か。

つまり本来なら・・・」

 

「俺もこの程度の傷で・・・あの子も無事じゃなかったってことだ。」

 

誠は背中を摩りながら龍季の後ろ姿を見ていた。

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