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ある日の夜。
良介は風飛市で行われている祭りの会場に来ていた。
集合場所には着物姿の聖奈がいた。
「来たな。
早速だが、見回りのルートを説明す・・・」
と、聖奈は良介の後ろにいる着物姿のありすがいることに気づいた。
「貴様、見回りをするのに楠木を連れて来たのか。」
「う・・・ぁ・・・たし・・・めん、なさ・・・ぃ。
かぇ・・・り、ま・・・」
「まぁ、待てって。
帰ることはない。
悪い、ありすのほうと先に約束してたんだ。」
「ぇ、も、良・・・介・・・さん、おし、ごと・・・」
話を聞いていた聖奈はため息をついた。
「あらかじめ申告しておけば、他に頼んだものを・・・しかし、こちらも人出が足りないのでな。
仕事はしてもらうぞ。」
ありすは聖奈の話を聞いていた。
「楠木、それでもいいか?」
「ぇ・・・?」
「良介と一緒に回れ。
1人では心もとないだろう。」
「いいのかい?
ありすもオレっちも遊びに来たんだぜ。」
クレプリが話に入ってきた。
「構わん。
目的がどうあれ、祭り会場を回ることにはかわりはないだろう。
良介、いいな。
仕事もだが、楠木をないがしろにするなよ。
お前を誘うのにどれだけ勇気が必要だったか、心に留めておくことだ。」
「わかった。」
「朝比奈や李、屋台の中で働いている生徒もいるようだが・・・魔法使いというだけでトラブルの可能性があるからな。
注意を払ってくれ。」
「なんならオレっちだって見回り手伝ってやるぜ。
なぁ、ありす?」
「ぁ、ぃ・・・」
クレプリの言葉を聞いてありすも頷いた。
「すまんな。
では、社務所が休憩所になっているから、そこを拠点に・・・」
「いえーい!
ありす、たこ焼き食べようぜー!」
クレプリはありすを引っ張って行ってしまった。
「あ、待て。
会場を回るついでに1つ頼みたいことがあるのだが・・・」
「頼みたいこと?」
「その、実は・・・立華が・・・」
「卯衣がどうした?」
すると龍季の声が聞こえてきた。
「うぉい!
割り込んでんじゃねー!
たこ焼き欲しいんなら並べっ!」
「げげっ!
威勢のいいヤンキーさね!」
「んだとコラァ!
今、誰がヤンキーっつった、あァ!?」
「あいつら・・・」
良介は呆れながら頭を掻いた。
「後で話す。
行ってやってくれ。」
「ああ・・・行ってくる。」
良介は面倒くさそうに屋台の方へと向かった。
***
少しして良介は聖奈のところに戻ってきた。
「特にこれといって異常はなかったぞ。」
「それならいい。
引き続き巡回してくれ。」
「わかった。
それより、さっき何を言おうとしたんだ?」
「ああ、さっき言いかけたことか。
実はな、天文部の連中が来ているようなのだが・・・立華 卯衣とはぐれたらしい。」
「おいおい・・・」
「立華は人造生命体だ。
活動の際は魔力を消費し続ける。
しかし、それは宍戸の研究室か、お前からしか供給できん。
彼女の魔力が尽きることは、自身の消滅を意味する。
巡回の際に見つけたら、すみやかに合流してほしい。」
「わかった・・・にしても大げさな話だな。」
「大げさなものか。
立華を失うことは、人類の損失に繋がる。
魔物にとってそれだけ強力な・・・いや、こういう言い方は良くないな。
友人だ。
万が一のことがあってはいけない。
もちろん、私の方でも探しておく。
デバイスで連絡は取れるだろうし、強制的に帰らせることもできるが・・・あまりそういう手段はとりたくない。
立華は、人間として暮らすことを望んでいる。
こういった学習の機会を奪ってはならないし・・・祭りを楽しむことは、人として当然の権利だろう。
生徒会は、学園生のより良い生活を守るため、尽力する義務がある。
私は、彼女を放っておけないのだよ。」
「ふーん、そうかい・・・」
良介はえらくニヤニヤしながら聞いていた。
「なんだ。
当然の理由を述べただけだぞ。」
「いや、なんでもない。
んじゃ、見回りついでに探してくる。」
良介はそう言って、見回りに向かうと、すぐにデバイスを取り出しだ。
「・・・もしもし、誠か?
お前、今どこにいるんだ?」
良介は誠に電話をかけた。
「なるほど、見回り中ね。
俺も一緒だ。
それでなんだが卯衣の奴なんだが・・・」
良介は誠に卯衣のことを話した。
「ああ、そういうことで見つけたら連絡くれ。
それじゃ。」
良介は電話を切るとデバイスを直した。
「さて、行くか。」
良介は見回りに向かった。
***
祭り会場。
卯衣が一人で歩いていた。
近くを歩いていた良介が卯衣に気づき、卯衣のところにやってきた。
「卯衣!」
「良介くん。
こんばんわ。」
卯衣は挨拶をしてきた。
「ミナたちとはぐれたって聞いたから、探してたんだ。
見つかってよかった。」
「もしかして、迷惑をかけたかしら。
そうだとしたらごめんなさい。」
「俺は別に構わないよ。
それより、魔力は大丈夫なのか?」
「ええ。
記録量が多いから消耗もそれに比例するけれど、許容範囲内よ。」
「そうか・・・全く、あいつらも不注意だな・・・」
「そういえば・・・部長が初田村でお世話になったそうね。」
「ああ、そうだ。
ミナの様子はどうだ?」
「しばらく元気がなかったのだけれど、戻ってきたら回復していた。
あなたの働きもあったのだと推測する。
ありがとう。」
卯衣はお礼を言ってきた。
「別に礼を言う必要はないさ。
それより、卯衣だ。
俺と行動してもらうぞ。」
「どうして?」
「卯衣の体質で単独行動は危ないからさ。
ミナたちと合流するか、学園に帰るまで俺が同行する。」
「けれど、あなたは見回りの仕事をしているのでしょう?
私が一緒にいると、業務に支障をきたすと思うのだけれど。」
「何も問題はないさ。」
「残存魔力は充分。
あなたの手をわずらわせるまでもないと思う。
大丈夫よ、お祭りの学習記録を取ったらすぐに帰るから。」
「待ってくれ、もしなにかあったら・・・」
「気にかけてくれてありがとう、良介くん。」
「あ、ちょっと・・・」
卯衣の姿が人ごみの中に消えていった。
「クソッ・・・見失ったか・・・」
卯衣を見失った良介は舌打ちをした。
***
神凪神社社務所。
誠が歩いてやってきた。
「あぁ~、歩き疲れた。
足が痛ぇ・・・」
すると、怜がやってきた。
「誠、社務所はこっちだ。
少し休むといい。」
「怜、ありがと。」
「麦茶もあるから、自由に飲め。」
そこに、良介もやってきた。
「はぁ・・・」
「良介、疲れたか?
社務所で休むといい。
お前と生徒会が巡回を手伝ってくれているから、とても助かっている。」
「怜も家の仕事が忙しいんだ。
任せてくれ。」
「ありがとう。
不自由があれば、なんでも言ってくれ。
風紀委員として、お前達と協力できるのは嬉しく思う。」
すると、そこに虎千代がやってきた。
「ああ。
生徒同士、常に歩調を合わせていたいものだ。」
「会長?
なんでここに・・・」
良介は不思議そうな顔をしながら聞いた。
「あれ、知らないのか?
祭囃子に参加させてもらえることになったんだ。」
「え・・・」
良介が唖然としていると、誠は驚きのあまり麦茶を口から噴き出した。
「げほっ・・・ごほっ・・・はぁっ!?」
「祭りはいいなぁ。
血が騒ぐよ。」
「会長・・・祭囃子に参加って・・・」
「太鼓を打たせてもらうことになっている。」
「太鼓!?」
「練習は充分したから大丈夫だぞ。」
「いやいや、そうじゃなくて・・・」
「そうだ。
少し時間があるから、夜店を回ってみるかな?」
虎千代はそう言うと、行ってしまった。
「大丈夫・・・なのか?」
「さぁ・・・」
良介と誠は呆然としたまま虎千代の後ろ姿を見ていた。