グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
 閲覧者様のイメージを壊す可能性があります。
 それでもOKという方は、よろしくお願いします。


第86話 社務所でひと休み

ある日の夜。

良介は風飛市で行われている祭りの会場に来ていた。

集合場所には着物姿の聖奈がいた。

 

「来たな。

早速だが、見回りのルートを説明す・・・」

 

と、聖奈は良介の後ろにいる着物姿のありすがいることに気づいた。

 

「貴様、見回りをするのに楠木を連れて来たのか。」

 

「う・・・ぁ・・・たし・・・めん、なさ・・・ぃ。

かぇ・・・り、ま・・・」

 

「まぁ、待てって。

帰ることはない。

悪い、ありすのほうと先に約束してたんだ。」

 

「ぇ、も、良・・・介・・・さん、おし、ごと・・・」

 

話を聞いていた聖奈はため息をついた。

 

「あらかじめ申告しておけば、他に頼んだものを・・・しかし、こちらも人出が足りないのでな。

仕事はしてもらうぞ。」

 

ありすは聖奈の話を聞いていた。

 

「楠木、それでもいいか?」

 

「ぇ・・・?」

 

「良介と一緒に回れ。

1人では心もとないだろう。」

 

「いいのかい?

ありすもオレっちも遊びに来たんだぜ。」

 

クレプリが話に入ってきた。

 

「構わん。

目的がどうあれ、祭り会場を回ることにはかわりはないだろう。

良介、いいな。

仕事もだが、楠木をないがしろにするなよ。

お前を誘うのにどれだけ勇気が必要だったか、心に留めておくことだ。」

 

「わかった。」

 

「朝比奈や李、屋台の中で働いている生徒もいるようだが・・・魔法使いというだけでトラブルの可能性があるからな。

注意を払ってくれ。」

 

「なんならオレっちだって見回り手伝ってやるぜ。

なぁ、ありす?」

 

「ぁ、ぃ・・・」

 

クレプリの言葉を聞いてありすも頷いた。

 

「すまんな。

では、社務所が休憩所になっているから、そこを拠点に・・・」

 

「いえーい!

ありす、たこ焼き食べようぜー!」

 

クレプリはありすを引っ張って行ってしまった。

 

「あ、待て。

会場を回るついでに1つ頼みたいことがあるのだが・・・」

 

「頼みたいこと?」

 

「その、実は・・・立華が・・・」

 

「卯衣がどうした?」

 

すると龍季の声が聞こえてきた。

 

「うぉい!

割り込んでんじゃねー!

たこ焼き欲しいんなら並べっ!」

 

「げげっ!

威勢のいいヤンキーさね!」

 

「んだとコラァ!

今、誰がヤンキーっつった、あァ!?」

 

「あいつら・・・」

 

良介は呆れながら頭を掻いた。

 

「後で話す。

行ってやってくれ。」

 

「ああ・・・行ってくる。」

 

良介は面倒くさそうに屋台の方へと向かった。

 

   ***

 

少しして良介は聖奈のところに戻ってきた。

 

「特にこれといって異常はなかったぞ。」

 

「それならいい。

引き続き巡回してくれ。」

 

「わかった。

それより、さっき何を言おうとしたんだ?」

 

「ああ、さっき言いかけたことか。

実はな、天文部の連中が来ているようなのだが・・・立華 卯衣とはぐれたらしい。」

 

「おいおい・・・」

 

「立華は人造生命体だ。

活動の際は魔力を消費し続ける。

しかし、それは宍戸の研究室か、お前からしか供給できん。

彼女の魔力が尽きることは、自身の消滅を意味する。

巡回の際に見つけたら、すみやかに合流してほしい。」

 

「わかった・・・にしても大げさな話だな。」

 

「大げさなものか。

立華を失うことは、人類の損失に繋がる。

魔物にとってそれだけ強力な・・・いや、こういう言い方は良くないな。

友人だ。

万が一のことがあってはいけない。

もちろん、私の方でも探しておく。

デバイスで連絡は取れるだろうし、強制的に帰らせることもできるが・・・あまりそういう手段はとりたくない。

立華は、人間として暮らすことを望んでいる。

こういった学習の機会を奪ってはならないし・・・祭りを楽しむことは、人として当然の権利だろう。

生徒会は、学園生のより良い生活を守るため、尽力する義務がある。

私は、彼女を放っておけないのだよ。」

 

「ふーん、そうかい・・・」

 

良介はえらくニヤニヤしながら聞いていた。

 

「なんだ。

当然の理由を述べただけだぞ。」

 

「いや、なんでもない。

んじゃ、見回りついでに探してくる。」

 

良介はそう言って、見回りに向かうと、すぐにデバイスを取り出しだ。

 

「・・・もしもし、誠か?

お前、今どこにいるんだ?」

 

良介は誠に電話をかけた。

 

「なるほど、見回り中ね。

俺も一緒だ。

それでなんだが卯衣の奴なんだが・・・」

 

良介は誠に卯衣のことを話した。

 

「ああ、そういうことで見つけたら連絡くれ。

それじゃ。」

 

良介は電話を切るとデバイスを直した。

 

「さて、行くか。」

 

良介は見回りに向かった。

 

   ***

 

祭り会場。

卯衣が一人で歩いていた。

近くを歩いていた良介が卯衣に気づき、卯衣のところにやってきた。

 

「卯衣!」

 

「良介くん。

こんばんわ。」

 

卯衣は挨拶をしてきた。

 

「ミナたちとはぐれたって聞いたから、探してたんだ。

見つかってよかった。」

 

「もしかして、迷惑をかけたかしら。

そうだとしたらごめんなさい。」

 

「俺は別に構わないよ。

それより、魔力は大丈夫なのか?」

 

「ええ。

記録量が多いから消耗もそれに比例するけれど、許容範囲内よ。」

 

「そうか・・・全く、あいつらも不注意だな・・・」

 

「そういえば・・・部長が初田村でお世話になったそうね。」

 

「ああ、そうだ。

ミナの様子はどうだ?」

 

「しばらく元気がなかったのだけれど、戻ってきたら回復していた。

あなたの働きもあったのだと推測する。

ありがとう。」

 

卯衣はお礼を言ってきた。

 

「別に礼を言う必要はないさ。

それより、卯衣だ。

俺と行動してもらうぞ。」

 

「どうして?」

 

「卯衣の体質で単独行動は危ないからさ。

ミナたちと合流するか、学園に帰るまで俺が同行する。」

 

「けれど、あなたは見回りの仕事をしているのでしょう?

私が一緒にいると、業務に支障をきたすと思うのだけれど。」

 

「何も問題はないさ。」

 

「残存魔力は充分。

あなたの手をわずらわせるまでもないと思う。

大丈夫よ、お祭りの学習記録を取ったらすぐに帰るから。」

 

「待ってくれ、もしなにかあったら・・・」

 

「気にかけてくれてありがとう、良介くん。」

 

「あ、ちょっと・・・」

 

卯衣の姿が人ごみの中に消えていった。

 

「クソッ・・・見失ったか・・・」

 

卯衣を見失った良介は舌打ちをした。

 

   ***

 

神凪神社社務所。

誠が歩いてやってきた。

 

「あぁ~、歩き疲れた。

足が痛ぇ・・・」

 

すると、怜がやってきた。

 

「誠、社務所はこっちだ。

少し休むといい。」

 

「怜、ありがと。」

 

「麦茶もあるから、自由に飲め。」

 

そこに、良介もやってきた。

 

「はぁ・・・」

 

「良介、疲れたか?

社務所で休むといい。

お前と生徒会が巡回を手伝ってくれているから、とても助かっている。」

 

「怜も家の仕事が忙しいんだ。

任せてくれ。」

 

「ありがとう。

不自由があれば、なんでも言ってくれ。

風紀委員として、お前達と協力できるのは嬉しく思う。」

 

すると、そこに虎千代がやってきた。

 

「ああ。

生徒同士、常に歩調を合わせていたいものだ。」

 

「会長?

なんでここに・・・」

 

良介は不思議そうな顔をしながら聞いた。

 

「あれ、知らないのか?

祭囃子に参加させてもらえることになったんだ。」

 

「え・・・」

 

良介が唖然としていると、誠は驚きのあまり麦茶を口から噴き出した。

 

「げほっ・・・ごほっ・・・はぁっ!?」

 

「祭りはいいなぁ。

血が騒ぐよ。」

 

「会長・・・祭囃子に参加って・・・」

 

「太鼓を打たせてもらうことになっている。」

 

「太鼓!?」

 

「練習は充分したから大丈夫だぞ。」

 

「いやいや、そうじゃなくて・・・」

 

「そうだ。

少し時間があるから、夜店を回ってみるかな?」

 

虎千代はそう言うと、行ってしまった。

 

「大丈夫・・・なのか?」

 

「さぁ・・・」

 

良介と誠は呆然としたまま虎千代の後ろ姿を見ていた。

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