グリモワール魔法学園【七属性の魔法使い】   作:ゆっけめがね

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※この作品の主人公は原作アプリの転校生ではありません。
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 それでもOKという方は、よろしくお願いします。


第87話 分かち合う

休憩を終えた良介は再び見回りに向かっていた。

すると、聖奈と合流した。

 

「見回りはどうだ?

問題ないか?」

 

「ああ、大丈夫だ。

そういえば、ありすは社務所で休憩するらしい。

人ごみで疲れたんだろう。

怜に任せておけばいいだろう。」

 

「そうか。

それでは、私はもう少し巡回してくる。」

 

「聖奈。」

 

「ん?

なんだ。」

 

「少しは休憩したらどうだ?」

 

「私はいい。

生徒達が無事に祭りを楽しめるほうが大事だ。

今のうちにめいっぱい息抜きしてもらおう。

来年は祭りが出来るかどうかわからんからな。」

 

「そうか・・・そういえば、さっき卯衣と会ったんだ。

1人でいいって言われて、逃げられてさ。

軽々と人を避けていってたけど、そういう機能でもあるのか?

多分、夜店を見ているはずだから、このあたりに・・・」

 

すると、聖奈が何かに気づいた。

 

「あれは!」

 

良介は聖奈が向いている方を見ると、卯衣が1人で歩いていた。

 

「いた!

あそこか!」

 

2人は急いで追いかけようとしたがすぐに見失ってしまった。

 

「見失ったか・・・どこだ?」

 

「多分、まだそう遠くに行ってないはずだが・・・もう一度話せば、立華も素直に同行してくれるだろう。

見つけたらすぐ合流してくれ。

頼んだぞ。」

 

「ああ、わかった。」

 

良介は卯衣を探しに人ごみの中に入っていった。

 

   ***

 

少し時間が経った頃、聖奈は1人で人ごみの中を歩いていた。

 

「どこへ行ったんだ・・・」

 

すると、そこへ良介がやってきた。

 

「よう、聖奈。」

 

「ああ、良介。

立華とは会えたか?」

 

「実は・・・さっき一度合流したんだが、一瞬目を離したらいなくなってな・・・」

 

「またはぐれたのか?

ううむ、この人の多さではな・・・魔力切れも心配だが、実は・・・立華と少し話がしたいのだ。」

 

「話?

何かあったのか?」

 

「いや、気になることがあってな・・・なあ、良介。

私は朱鷺坂や遊佐の話をどこか他人事のように聞いていた。

当事者意識が薄かったのだと・・・今になって思う。

お前は裏世界に行って、驚いたか?

動揺したか?

自分があちらに存在しないと知って、どう思った?」

 

「そりゃあ、驚きもしたし、動揺もしたさ。」

 

「そうだろうな。

私も・・・いや、聞き流してくれ。

なにかあったかと言われると、わざわざ話して不安を煽るものでもない。

あくまで推測だと、如月は言った。

けれど・・・なんの気なしの雑談が、謎の引き金になるとはな・・・すまない。

私が少し考えすぎなのかもしれん。」

 

「とりあえず卯衣を探そう。

会えたら、俺も一緒に聞こう。」

 

「ありがとう。

それでは、行こうか。」

 

2人は卯衣を探しに再び歩き始めた。

 

   ***

 

良介は1人で屋台の近くを歩いていた。

すると、話をしている天と龍季に会った。

 

「あら?

良介じゃない。

アンタもあちこち大変よねぇ。

もうすぐ花火だから、目ン玉かっぽじってよく見ときなさいよ?」

 

「良介。

オメー、立華と結城はどうしたんだよ。

放ってきたのか?」

 

「へー、あの羽コンビも来てるの?

こういうトコで遊んだりすんのね。」

 

「羽コンビ?」

 

「2人とも戦闘時に羽を出すでしょ。

知らないの?」

 

「ケンカ相手でもなきゃ、他人がどう戦うかなんてあんま興味ねーよ。」

 

「出た、分析をしないヤツ。

なんでも真正面から殴れば済むと思ってんでしょ。」

 

「あァ?

テメー、殴られてぇのか?」

 

「ほーらね。

好奇心のないヤツは、進歩しないんだから。

その分じゃアンタ、羽のことなんにも知らないんじゃない?

任へなはい。

はふっ・・・ふぁ、わかりやふ~く教えてはぇるわ!」

 

「おい、食いながら喋るな。」

 

食べながら喋る天を良介は注意した。

だが、天はそのまま食べながら説明し始めた。

 

「だぁら、忙しいっつってんだろ。

そういう話は良介に・・・」

 

龍季に話されても天は構わず説明を続けた。

 

「耳の穴詰まってんのか?」

 

「さて、必要以上に巻き込まれない内に行くか。」

 

良介は2人にバレないように静かにその場から立ち去った。

 

   ***

 

良介はその後、聖奈と再び合流し、卯衣を探していた。

すると、1人で歩いている卯衣を見つけた。

 

「結城さんに、良介くん?」

 

「やっと会えた・・・立華、お前と話がしたかったんだ。」

 

「構わないわ。

なんの話かしら・・・」

 

「2人とも、もう少し静かなところに行こう。」

 

3人は人があまりいない神社の近くにやってきた。

そこで、聖奈は卯衣と話をした。

 

「如月さんがそう言っていたのね。

私の羽について、あなたと関連する記録はない。

ドクター・・・宍戸 結希からそういった共有もない。

つまり私に心当たりはないわ。

羽の類似性については、ごくまれに見受けられる事象ではある。

しかし、その確率は低い。

まず、ないことという認識。

私から言えることは、このくらい。」

 

「そうか。

ただの空似だから考えすぎ、と言われたら・・・それまでだ。

確証はないし、勘だと言ったら笑われてしまうかもしれない。

だが、お前と私の羽が似ているのは、偶然ではないと思う。」

 

2人の話を聞いていた良介が話に混ざってきた。

 

「そう考えるのは自然だろうな。」

 

「でも・・・ごめんなさい。

私にも、これ以上はわからないの。」

 

「いい。

確か発見された当時、お前は記憶がなかったのだったな。」

 

「破損データになんらかの情報は含まれていたかもしれない・・・」

 

「なあ、卯衣。

お前はどう思ってるんだ?」

 

「私・・・私は・・・羽の類似性と私達の共通点について、極めて重要だと考える。

それを紐解くことで、私の存在について・・・大きな情報が得られる可能性がある。」

 

卯衣は一度少し黙ってから口を再び開いた。

 

「マスターの願いは、私の願い。

もしかして破損ではなく、最初から記録がない。

もしくは・・・」

 

「故意に消去された・・・か。」

 

「それを知るのは、マスターの意志に反する行為かもしれない。

けれど、あなたと私の類似点が示すことを・・・私も、知りたい。」

 

それを聞いて、聖奈は軽くため息をついた。

 

「どうしたの?」

 

「立華がそう言ってくれたら、なんだか力が抜けた。」

 

「なぜ?」

 

「ほっとしたんだ。

1人で抱えるには、その・・・」

 

「重い案件だったってことだな。」

 

「はは・・・なんだか情けないな。」

 

「そんなことはないわ。

悩みは分かち合うものだと、天文部で教わった。

ましてや、これはあなた1人の問題ではない。

私にも共有してほしい。

話してあなたの気持ちが軽くなるのなら、なおさら。

私にとっても、それは大切なことだと思うから。」

 

「立華・・・ありがとう。」

 

良介は2人の会話を見て、笑みを浮かべながら1人で見回りに向かった。

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