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洞窟内、良介と焔は次の魔物のところへと向かっていた。
「ふぅっ・・・いって・・・」
突然焔は右腕を押さえた。
「どうした?」
「なんでもねぇよ。
ただのかすり傷だ。」
「さっきギリギリで避けた時に受けたんだな。
ったく、仕方ねぇな。」
「あんたに心配されるほど弱くねぇや・・・お、おい、なにすんだよ!」
良介は懐から包帯と消毒液を取り出すと焔の右腕を治療し始めた。
「はぁ?
あ、あんた、手当て誰に習ったんだ・・・」
「ゆかりさんからだよ。
俺もよくケガするからな。
自分で治療できるようにってことで習ったんだ。」
「かすり傷だっつってんだろ・・・勝手にしろ・・・このくらいのケガ、精鋭部隊じゃいつものことなんだ。
慣れてる。」
「傷が残ったらどうするんだ?」
「傷が残ることなんか気にしてどうすんだよ。
そんな生易しいもんじゃねぇだろ。
相手は霧の魔物だぞ。
見た目を気にして戦える余裕なんてねぇだろうが。
そんな甘ったれた考えしてると、いつまでたっても強くなれねぇ・・・そうだろ?」
「ま、確かにそうだな。
けど、最低でもある程度の治療はしておいた方がいいぞ。」
「チッ・・・」
焔が舌打ちすると同時に良介の治療は完了した。
と、2人の目の前に魔物が現れた。
「おっと、向こうの方から来てくれたか。」
「あんたは下がってろ。
こいつも・・・」
「俺がやる。
お前が下がってろ。」
「なっ・・・!?
ふざけんな!
こいつもアタシが・・・!」
良介は焔の言葉には耳を傾けず、魔物に向かっていった。
良介は剣を抜くと、剣に光の魔法をかけ、下から剣を振り上げて斬撃を飛ばした。
斬撃が魔物に直撃すると、突然拘束魔法に変化し、魔物を拘束した。
「はぁっ!」
そのまま良介は剣で魔物を横に真っ二つに切り裂いた。
切り裂かれた魔物は霧散した。
「よし、次行くか。」
良介がそう言うと、焔は見向きもせずに黙って先に歩いて行った。
「ったく、返事ぐらいしろよな・・・」
良介は剣を鞘に直しながら焔の後を追いかけた。
***
夜になった学園の噴水前。
誠が歩いていると小蓮と明鈴が話していた。
「万姫からメッセージ?」
「こっちは自分がいるから心配する必要なしネ。」
「なに言ってるアル。
別に万姫がいるから安心してるわけじゃないのだ。
明露はすごくたくさん人がいるから、侵攻が来てもへっちゃらアル。」
「万姫って・・・あの始祖十家の周 万姫か?」
誠は2人の会話を聞いて混ざってきた。
「あ、誠。
その通りアル。」
「今ちょうど万姫と会話してたとこネ。」
「始祖十家と知り合いって・・・」
2人はそのまま会話を続けた。
「あと文句が来てるネ。
こっちに魔物よこす気かって。」
「魔物よこす・・・?
どういうことなのだ?」
「ワタシにわかるわけないネ。
だから今、聞き返してるヨ。」
すると、小蓮のデバイスが鳴った。
「お、来た来た。」
2人はデバイスの内容を見た。
誠も覗き込むように小蓮のデバイスを見た。
その頃、調理室。
花梨とましろがいた。
「とりあえず、侵攻が始まった場合に備えてチェックしとくすけ。
悪ぃけんど、協力してけろじゃ。」
「ええ、もちろん。
いつもおいしい食事、いただいてますから。」
「かりーん!」
すると、小蓮の声が聞こえてきた。
「マシローっ!」
「うおーんっ!」
小蓮と明鈴と誠とレナの4人が調理室に入ってきた。
「これホントカ!?」
「北海道アル!?」
「にく!
にく!」
「あれ?
レナ、いつの間についてきたんだ?」
誠がレナの頭を撫でた。
「にくくう!
オマエラ、いく、かりん、にくある!」
「俺たちまで腹ペコにしないでくれ。」
誠は苦笑した。
「うるさいぞーっ。
廊下は走るなって言ったべ?」
「あ、マシロいたアル!
万姫が北海道って言ってるアル!」
ましろは少し黙った。
「北海道、でっかいどう・・・フフフ・・・」
「ましろさん、寒いこと言ってないでこれを見てくれ。」
そう言うと、誠は小蓮のデバイスを渡した。
「あ!
誠、いつの間に取ったのヨ!」
「さっきすれ違った時に取ってたアル。」
「はいはい、拝見しますよ・・・はいけい・・・っ!?」
ましろはデバイスの内容を見て驚いた。
「なんだぁ?」
花梨もデバイスを見た。
「日本が北海道を取り返すらしい。」
「はぁ?」
花梨は誠の言葉を聞いて首を傾げた。
***
洞窟内の良介と焔は次の魔物のところに向かっていた。
「焔、休憩するか?」
「休憩なんかいらねぇっつってんだろ!
さっさとやって、終わらせたいんだよ!
ったく、どいつもこいつも・・・指図すんのはエレンだけで十分だ!
そんなにアタシが弱く見えるかよ!
バカにしやがって!」
「ああ、俺に比べれば弱いな。」
「チクショウ・・・生天目くらい強けりゃ、こんな思いしなくて済むんだ・・・!」
すると、焔は1人で進み始めた。
「1人で行く。
ついてくんな。
こんなクエスト、1人でやれなきゃダメだ。
2人以上で受注とか関係ねぇ。
アタシができるかどうかだ。
この程度の魔物で躓いてたら・・・仇討ちなんて夢のまた夢だ。」
「おい、待て。」
「助けなんていらねぇ!
放っとけ!
アタシがどうなっても、あんたには関係ねぇだろ・・・っ!?
し、しまっ・・・」
突然、目の前に魔物が現れ、焔に突進してきた。
「ったく、しゃあねぇな!」
良介は第1封印を解放し、光の肉体強化をかけ、一瞬で焔の前に移動した。
そして、魔物を片手で軽々と受け止めると、魔物に強烈なアッパーを食らわせた。
魔物は洞窟の天井に叩きつけられると霧散した。
「ふぅ・・・」
良介は元に戻ると、両手で服を軽く払いながら、一息ついた。
***
魔物を倒し終えた良介は焔の方を向いた。
「礼は言わねぇぞ。
頼んでねぇし。」
「そうかい。」
「クソ、なんで助けたんだ。
放っときゃそれでよかっただろ。
会話はログにとられてる。
あんたがどうこうなるわけじゃねぇ。
なんで助けたんだよ・・・1人で強くなれるわけねぇってのかよ・・・」
「俺に言われても困るんだがな。」
「悪かった。
あんたにはいうことじゃねぇな・・・わかってんだ、ホントは。
魔法使い1人の力はたかが知れてる・・・生天目や生徒会長、あんたや新海の奴は例外だって。
天才でもなんでもねぇアタシは、エレンたちの言うように数を揃えるしかねぇ。」
「普通はそうだろ。」
「ずっと1人で訓練してたんだ。
それが役にたたねぇって言われたら・・・ムカツクだろうが。
で、意地になってんのが今のアタシだ。
笑いたきゃ笑え。」
「いや、笑わねぇよ。」
「あんた、お人好しすぎるぜ・・・とにかく、討伐対象は倒した・・・帰ろう。」
「俺も・・・1人でガムシャラになってた時があったから笑えないよ。」
「え・・・?」
焔は驚いた顔で良介を見た。
「1人でガムシャラになりすぎて、倒れるはめになったしな。」
「倒れた・・・?」
「ああ、クエスト行って、戻ってきて即1人で訓練。
また、クエスト行ってはのその繰り返しだ。
おかげで他人に迷惑をかけるはめになった。
そして1人でやれることに限界があると初めて知ったよ。
ちょうど第7次侵攻が起きる手前あたりだ。」
焔は良介を黙って見ていた。
「今のお前を見てると・・・その時の俺を思い出すよ。」
そういうと、良介は先に洞窟の出口に向かった。
「何してるんだ、早く行くぞ。」
「え、あ、あぁ・・・」
立ち尽くしていた焔は、良介を追いかけていった。
***
学園に戻ってきた良介と焔は食堂に来ていた。
「クエスト中にメアリーからメッセージがあった。
アタシたちが行ってたあたりで、ちょうど傷の魔物の出現報告があった・・・」
「ほう、傷の魔物か・・・」
良介は傷の魔物のことは、一応名前だけ知っていた。
「おかしいじゃねーか。
あの執行部が、アタシの仇討をサポートするはずがねぇ。
クソッ!
結局あっち行ったりこっち行ったり、夜までかかった!」
良介は食堂の定食の味噌汁を啜りながら時間を確認した。
ちなみに良介は普段、自室で晩御飯を作っているがこの日は時間がなかったため食堂で食べていた。
「今は8時か。
裏世界での侵攻発生時間は過ぎてるな。
後は4時間待てば、侵攻は回避されたことになる。」
「だろうな。
しばらくは厳戒態勢が続くだろう。
アタシはもう行くぜ。
精鋭部隊詰所で、4時間待つつもりだ。」
「そうかい。
俺も後4時間は学園内をうろつくつもりだ。」
焔は席を立ったが、何かを思い出したかのように良介の方を向いた。
「さっきは・・・」
「ん?」
「いや、なんでもない。
じゃあな。」
焔は精鋭部隊詰所に向かった。
良介も食堂から出ると、少し学園内をうろついた後、噴水前のベンチに座っていた誠と合流した。
「よう、良介。
戻ってきたんだな。」
「ああ、それで、時間は?」
「あと5分だ。」
良介はデバイスで時間を確認した。
「これで来なかったら、俺たちの歴史は裏世界と決裂することになる。」
「その後はどうするのかねぇ・・・」
「さぁな、それは生徒会が決めることだ。」
良介はデバイスで時間を見ていた。
「残り5秒・・・」
そうして、日付が変わった。
良介はデバイスをズボンのポケットに入れた。
「帰るか。
もしかたらすぐに何かあるかもしれない。」
「そうだな、そのために帰って寝るか。」
良介と誠は男子寮へと戻っていった。