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校門前、虎千代と兎ノ助が話していた。
「まずは第8次侵攻が来なくてよかった・・・けど、すぐさま出る必要あんのか?」
「軍備は1日経つごとに金を食う。
もともと、第8次侵攻が起きない場合は・・・すぐに、用意していた国軍、JGJ傭兵部隊と共に裏世界へ行く計画だ。」
「なるほどなぁ。
国軍もJGJも、裏世界には興味を持ってる。
決定的証拠がないまま軍事増強してくれたのもそれが理由か。」
「ああ。
少し騒がしくなるが、頼んだ。
薫子たちと服部を置いていく。
念のため、警戒は続けてくれ。
9月27日を過ぎた以上、問題はないはずだ・・・が、ゼロじゃないからな。」
「え?
お前も行くの?
会長が?」
「今回はワケありでな。
つかさも、朱鷺坂も、東雲も連れていく。
精鋭部隊と、あとは良介と誠もだ。」
「ま、マジか。
なんだっけ、結希を探しに行くんだっけか?」
「そうだ。
2月に裏世界に行った際、ドローンを打ち上げた。」
「結希と天が地形を把握するために使ったヤツのことか?」
「ああ。
そいつがしばらく、向こうの捜索をしてくれてな。
東の方に、見慣れないビルが建っていた。」
「それは・・・こっちにはない建物ってことか?」
「そうだ。
破壊されつくした裏世界で、植物に埋もれながらも形を残した・・・住居たりうる建物だ。
裏世界の遊佐の情報が決め手になった。
その建物はゲネシスタワーという。」
「ゲネシスタワー・・・仰々しい名前だな。」
「国軍の建てた、人類の最終防衛拠点だ。」
「えっ?」
兎ノ助は虎千代の言葉を聞いて驚いた。
「第8次侵攻後、再起をはかった国軍は、戦力をそのタワー周辺に集めた。
おそらくは・・・宍戸 結希も。」
「それが、鳴子の情報に?」
「全て書かれていた。
宍戸がいるか確証はないが・・・もはやそこ以外に、安全に暮らせるところはないということだ。」
「だから、アイラやチトセ、良介や誠を連れていくのか。」
「そうだ。
ゲネシスタワーには宍戸以外にも生存者がいる可能性がある。
可能ならば・・・そこの人間全員を、表世界に連れてくるぞ。」
虎千代はゲートがあるところへと向かった。
***
裏世界、グリモアの生徒たちはゲネシスタワーの近くまで来ていた。
良介たちはゲネシスタワーへと繋がる道を歩いていた。
「しかし朱鷺坂の奴め。
妾を強引に連れてきおって・・・前から思うとったが、ヤツはなにがやりたいんじゃ?」
つかさはアイラを見つめた。
「まさか貴様、気づいていなかったのか。」
「なにをじゃ。
お主、ヤツの目的を知っとるのか。」
「いいや。
私の知っていることはもっと別だが・・・ククク、貴様も意外と抜けているんだな。」
「はぁ?
お、お主、急になにを・・・」
「生天目、そのことを誰かから聞いたのか?」
虎千代はつかさに尋ねた。
「なぜだ。
戦ってみればすぐにわかるではないか。」
「お前、いつ朱鷺坂と・・・ああ・・・最初にここを訪れたときか。
気づいていたならもっと早く言え。」
「まるで同じなのに、貴様も気付かなかったのか?
フン、呆れたものだ・・・」
「ええい、生天目までバカにしおって!
早う言わんか!」
「せっかくの機会だ。
自分で考えてみろ。」
つかさは先に行ってしまった。
「お、おのれ!
ヤツにバカにされるのがこんなにも歯がゆいとは・・・!」
「東雲。
朱鷺坂がお前に頼んだんだな。
この捜索に参加するようにと。」
「ああん?
そうじゃよ。
なんじゃ、お主もなんか知っとるんか。」
虎千代は少し黙った。
「そうか、なら・・・全て話すつもりか。」
「おい、お主、ヤツから聞いておるのか。」
「全て、聞いた。
アタシに話したのは、心に区切りを付けるためか・・・?」
「じゃからなぜ言わん!
そこまで引っ張ったんじゃ、言えっつの!」
「おそらくアタシから言っていいことじゃない。
朱鷺坂が自分で伝えなければならないことだろう。」
「なぜじゃ。
妾とあやつに関係しとる・・・アイザックのことか?」
「それもあるかもしれん。
とにかく、タワーを目指そう。
アタシたちの目的は宍戸だ。
それを忘れるな。」
「けーっ。
どいつもこいつも。
妾をのけ者にしおって。」
「東雲センパイ!
僕も皆さんがなにを言ってるかわかりません!」
真理佳が話に混ざってきた。
「よーしよし、お主は妾の味方じゃな!
さすが下僕2号!」
「下僕・・・2号?」
「1号は良介。
じゃから2号じゃ。」
「いつ俺がアイラの下僕になったんだよ・・・」
「それで、良介、お主はなにか知っとるか?」
「・・・さあな。」
「その様子・・・知っとるようじゃな。
妾の下僕のくせに生意気な。」
「良介、知ってるのか?」
誠が良介に尋ねた。
「話とかしてたら雰囲気的になんとなく、な。」
「なら、3号、お主はどうじゃ。」
アイラは誠を指差した。
「え、俺、3号なの?」
誠は呆れた顔でアイラを見た。
「それで、どうなんじゃ?」
「悪いけど、俺も・・・」
「なんで、お主まで・・・!」
「誠、どうやって知ったんだ?」
「俺も話とかする機会が多くてさ。
そのときにもしかして・・・って思ってさ。」
「その感じだと本人には聞いてないみたいだな。」
「いや、聞いちゃまずいかなって・・・」
話をする2人を睨んでいたアイラに虎千代が話しかけた。
「東雲。
悪いが円野を借りるぞ。
円野。
お前はこのパーティでは機動力に優れている。
ひとっ走り、タワーまで行ってくれ。
まずあそこに人の気配がするか、確かめて欲しい。」
「は、はい!
僕1人でですか?」
「むこうのチームからも1人出る。
この途上になにか無いか・・・終点のタワーになにか無いか、チェックしてくれ。」
「了解しました!
すぐに行きます!」
真理佳は虎千代の指差した方向へと走っていった。
「へぇ、あいつしばらく見ないうちに動き変わったな。」
良介は真理佳の動きを見て感心した。
「アレで実戦を積めば、まだまだ伸びるぞ。」
アイラは笑みを浮かべた。
「ああ、だが・・・裏世界はなにが起きるかわからん。
まずは様子見からだな。
成長は表のほうでしてもらおう。」
虎千代は真理佳の後姿を見ていた。
***
鳴子はデバイスで良介たちの会話を聞いていた。
「生天目君と良介君と誠君が気づいていたとはね・・・しかし、そうなると・・・風槍君はなぜなにも言わなかった?
そういう機会がなかったのかな。」
「会長パーティの話、なんのことなんだ?
みんな、なんか深刻そうに話してるけど。」
望が鳴子に話しかけてきた。
「どうやら会長は状況を把握しているらしい。
答え合わせも近いと言ったところか。
僕の推測が正しければいいけど。」
「えっと、それって、わたしたちも聞いていい物なんでしょうか?」
智花が鳴子に聞いてきた。
「もちろんだ。
僕たちはパーティの状況を把握しておかなくちゃいけない。
デバイスからもたらされた情報・・・決して聞き逃さないように。」
「は、はい・・・」
「ちょっと推理してみるか。
これでもボク、人狼ゲームは得意なんだ。
さっきの会話から、朱鷺坂が話すことは、結構重要なことらしい。
わざわざ東雲を連れてきたと言うことは、ヤツに関係がある。」
「2人の共通点はなんだい?」
「どっちも偽名を使っていることと、魔法が強いってことかな。」
「東雲君が偽名?」
「だってアイツ、本当に300年生きてるんだろ?
江戸時代にそんなハイカラな名前のヤツがいるかよ。」
「そっちが嘘だとは?」
「思えないね。
ボクは定期的に宍戸の検査を受けてるんだけど・・・宍戸が、東雲のことを300年生きているって前提で扱ってるから。」
鳴子は黙って話を聞いていた。
「後は、さっき言ってたアイザック・・・アシモフ?
ニュートン?」
「ニュートンだよ。」
「ニュートンはなんだったっけ。
魔法の・・・研究で、なんとかかんとか。
そうだ・・・アルテフィウスの秘本だったかな。」
「妙に詳しいね。
正直、驚いてるよ。」
「文明を育てるゲームのこと、知ってる?
下手な授業より歴史わかるよ。
アルテフィウスの秘本は、ニュートンが残した魔導書だ。
ボクは中身まで知らないけれど、当時としては先進的なことが書かれていたはず。
後は、生天目の言ってた戦ってみれば一目瞭然・・・戦闘スタイルのことかな?
コンパチキャラ?」
望はデバイスを取り出した。
「これが朱鷺坂の戦闘データで・・・」
「(驚いたな・・・発想が恐ろしく柔軟だ)」
「あーっ!
ま、マジか!」
智花は少し離れたところで2人の会話を聞いていた。
「なんか、難しい話してるなぁ・・・」
智花は周りを見渡した。
「なんだろう・・・前に来たときも思ったけど・・・ここ・・・とっても・・・」
「とっても、なに?」
智花の後ろにいつの間にか鳴子が立っていた。
「ひゃっ!
あ、あの・・・なな、なんでもありません!」
「南君。
悪夢についてだが・・・夏海に悪意はないと言っておく。
誤解しないでくれ。
君を心配してのことだ。」
「あ、はい。
それは大丈夫です。
夏海ちゃん、悪い子じゃないですから。
ちょっと・・・やんちゃですけどね。」
「うん。
ところでさっきのとってもって、なんだい?」
「特別な理由があるわけじゃないんです。
なんとなく・・・なんとなく、この裏世界・・・見覚えがあるような・・・」
「そりゃ、表世界と基本的には同じ場所だ。」
「いえ、そうじゃなくて・・・そうじゃないんです。」
鳴子は少しの間、黙って智花を見つめた。
「裏世界はどこでも代わり映えしない廃墟だ。
2月に来たときの光景が目に焼き付いてるだけだろう。」
「そうかも・・・しれないんですけど・・・」
鳴子は深刻そうな顔をしている智花を黙って見ていた。