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第93話 妖怪のしわざ?
良介たちは温泉宿に来ていた。
良介は誠と浴衣姿で通路を歩いていた。
「温泉街で失踪事件か・・・」
良介は顎に手をやった。
「ああ、犯人がいるのか、魔物の仕業かわからないらしい。」
誠がタオルで濡れた髪を拭いていた。
「まぁ、どっちかわからない以上、どちらでも対応できる俺たちは適任だな。」
すると、良介は1つのドアの前で止まった。
「んあ、どうした?」
「いや、ちょうどよく香ノ葉たちの部屋の前に来たから顔出しとこうかと思って。」
「ああ、なるほど。
そうだな、顔出しとくか。」
良介はノックすると、ドアを開けた。
「よぉ、来たぞ。」
「やぁん!
だ、ダーリン!
直接部屋来てしもうたん!?」
「あら~!
良介さん、誠さん。
遊びに来てくれたんですか~?
散らかしちゃってるから片づけますねぇ。
もう、来るなら言ってくれれば・・・」
「チッ・・・こっそり抜け出して、2人っきりで行こうと思うとったのにぃ・・・」
香ノ葉は小さく舌打ちした。
「どうしたの?
香ノ葉ちゃん、出かけるの?
あ、そっか。
巡回!
巡回しなきゃよねぇ!
そうだそうだ~。」
「あ、そういやそうだったな。
すっかり忘れてたな。」
誠は巡回のことを思い出した。
「う、ウチらで行ってくるし、あやせはんは誠はんとゆっくりしとってくれても・・・」
「だめだめ~、そうもいかないでしょう?
お仕事で来てるんだし。
まかせて。
わたし、ウワサ話とか聞き出すの得意なの~。
もしかして・・・失踪事件の影に、すっごいスキャンダルとかあったりして。
うう、気になってきた・・・本当はどうなのかしら。
魔物?
痴情のもつれ?
いてもたってもいられないわ~。
良介さん、誠さん、行きましょ!」
「え、ちょ、ちょっと・・・」
「ま、待って、まだ髪が乾いてな・・・」
あやせは2人の手を引っ張って行ってしまった。
「あああっ、ちょっと、あやせはん、ずるい!
ウチが最初に・・・って待ってぇな!
ダーリンは連れてかんといてぇ!」
香ノ葉も3人の後を追いかけていった。
***
温泉街に来た良介たちは聞き込みをしていた。
街の人と話をしていたあやせが戻ってきた。
「どうだ?
結構話し込んでたみたいだが・・・」
良介はあやせに聞いた。
「郵便局の裏のお土産屋さんの、温泉卵がおいしいって~。」
「い、いや温泉卵とかじゃなくてな・・・失踪事件のこと聞いたんよね?」
香ノ葉があやせに聞いた。
「そうねえ。
失踪事件に関しては、あのおばあさんが・・・湯けむり妖怪にやられたんじゃ~って言ってたわねえ。
地元に伝わる伝説なんですって。
良介さん、誠さん、知ってました?
温泉に行くとよくありますよね、こういうの。」
「俺は聞いたことねえな。
良介、知ってるか。」
誠は首を傾げながら良介に聞いた。
「民話だな。
さっきあった看板に書いてあったんだが・・・人を憎んでばかりいると妖怪の湯気にまかれて消える・・・って話らしい。」
「ふーん。
神隠しみたいなモンかいな?
なんや、魔物のせいならウチらがいてこましたら済む話なんやけどな。」
「妖怪と魔物は違うんじゃないかしら~?
あっ、でも妖怪伝説って、なんだかロマンがあるわよねぇ♪
温泉街の悲劇!
不倫妻と裏切りの湯けむり妖怪伝説・・・みたいな!」
「それ、完全にさっきやってたテレビやろ?」
「ええ~、でも現実にも絶対あるわよ。
ストーカー監禁事件とか。
愛欲のもつれ!
街ごと巻き込んだ権力者の、後継争い!
うわぁ・・・怖いわねえ、手に汗握っちゃうわねえ・・・」
「とりあえず、あやせさん。
サスペンスドラマから離れようか。」
良介は苦笑いをした。
***
少し経って、良介たちは雑談していた。
「それで、その女性を好きな元夫が襲い掛かるわけなんですけど・・・監禁しちゃったんですよ。
さらになびかない彼女の爪を1本ずつ・・・」
「やーん、こわーい。
ダーリン、あやせはんが怖い話するぅ。」
「それでそれで、ここからが面白くって~。」
「やだやだぁ、聞きとうないんよ~!
ダーリン助けて!
ぎゅ~!」
香ノ葉は良介に抱きついた。
良介は無反応だった。
「その元夫が、相手の職場にメールを1000通送って・・・」
「えっ?
1000通って多いん?」
「すごい情熱ですよねえ。
愛と狂気ですよねえ。
本人は、自分では大変なことをしているってわからないんでしょうね。」
「そんな大変かなぁ?」
「ともかく、ストーカーはわたしたちの日常に潜んでいるんですよ。
昨日の友は今日の敵・・・今回の事件も、可能性としては考えておいた方が。」
ずっと黙っていた良介と誠が口を開いた。
「私怨とか人間関係のセンは捨てきれないな。」
「魔物が襲ったとかはなさそうだな。」
「ウチの精霊さん、魔物は特に見つけとらんのやけど・・・なんやちらほら、あやしい人影を感知しとるんよ。」
「精霊さん?」
あやせが首を傾げた。
「ん?
あ、えーと・・・ふふふ~。」
「香ノ葉ちゃんったら。
今、笑ってごまかそうと・・・」
「な、なにす・・・きゃあぁーっ!」
突然、悲鳴が聞こえてきた。
「今の悲鳴・・・あっちか!」
良介たちは悲鳴が聞こえてきた場所へ向かった。
すると、そこにエミリアが倒れていた。
「エミリア!」
良介はエミリアに駆け寄った。
「しっかりして!
エミリアちゃん・・・エミリアちゃーん!」
あやせの声がその場に響いた。
「ただ気絶してるだけなのに大げさすぎるだろ。」
良介はあやせを見て呆れた。
***
良介たちは起きたエミリアと話していた。
「で、すすき野原で転んだと?」
良介は頭を掻いた。
「は、はい・・・お恥ずかしいです。
すすきが見事だったので、少しはしゃぎすぎて転んじゃいました。
汚れてしまったので、この近くの温泉で洗っていこうと思ったら・・・」
「そしたら、何者かにエミリアちゃんが襲われた・・・ってこと!?」
「ええと、何者か、というか・・・」
「大事件やん!」
「え?」
香ノ葉の言葉を聞いてエミリアは啞然となった。
「そうね、これは大事件よ!
陰謀と愛情のサスペンスだわ・・・!」
「え?
陰謀って、え?」
「怖かったわねぇ、でも、わたしたちに任せて!
犯人をつきとめてみせるわ!」
「あぶないとこやったなぁ。
なんにせよ命があってよかったわ。」
「もしストーカーに捕まってたら、監禁されたうえにあんなことやこんなことや・・・あ、あまつさえ、そんなことまで・・・ううっ、エミリアちゃん!
助かってよかったわ、本当に!」
「・・・とりあえず、バカ2人は放っといて、話を・・・」
「あれ?
先輩、みなさんも。」
良介がエミリアに話を聞こうとしたところで秋穂がやってきた。
「秋穂か。
風呂に入ってきたのか?」
「はい、さっぱりしました。
これからさらちゃんと待ち合わせです!
巡回中なんですよね?
わたしたちも聞き込みがんばりますね。」
「ヘンな人がウロついているみたいだから、気をつけてね。」
「せやで。
さっきもエミリアちゃんが襲われてなぁ。」
「そうなんですか?
あっちのすすき野原のほうへ行こうと思うんですが・・・」
「エミリアが転んだところか。」
「ふあぁ、あ、あまり広めないでください!」
良介の発言にエミリアはあたふたした。
「あはは。
そうなんですか?
気をつけますね。
さっき通ったらけっこう賑やかみたいでしたし、大丈夫だと思います!」
「え?」
秋穂の言葉にエミリアは首を傾げた。
「そうか。
なにかあったらすぐに声を上げろよ。」
「はい!
行ってきます!」
良介に対して元気に返事すると、走っていった。
「元気だなぁ。」
誠は笑顔で秋穂の姿を見ていた。
「あの・・・すすき野原、さっき私行ってきたんですけど・・・」
「ん?」
「あそこ、賑やかどころか、誰もいなかったですよ・・・?」
「・・・は?」
エミリアの言葉に良介は固まった。
***
良介と誠は温泉宿に戻ってきた。
「ふぅ、歩き疲れたな。
休憩するか。」
「結局、妖怪の話しか聞けなかったな。」
すると、ゆかりと秋穂が戻ってきていた。
「あれ、ゆかりさんと秋穂?
さらはどうしたんだ?」
秋穂は落ち込んでいる様子だった。
「良介くん、誠くん!
どうしよう、さらちゃんが・・・」
「どうしたんだ、ゆかりさん。」
取り乱しているゆかりを誠は不思議そうに見ていた。
「約束した時間に帰ってこないの。
秋穂ちゃんと待ち合わせしてたみたいなんだけど・・・」
「さらちゃん・・・会えなかった・・・」
「おいおい、もう暗くなるぞ。
1人でウロついてたらダメだぞ。」
誠は外を見ながら言った。
「一応さらも魔法使いだし、シローも一緒だが・・・心配だな。
万が一ってこともあるしな・・・ん?」
突然、良介が何かに反応して後ろを振り向いた。
「誰だ、今そこにいたのは・・・」
「へ?
誰もいねぇけど・・・」
「そうか?
今、気配を感じたんだがな。」
「や、やめてよぅ・・・怖いこと言うの・・・」
ゆかりは良介の発言に怖がっていた。
「心配だな。
やっぱり俺たちでさらを探しに行くか。」
良介はそう言うと、外へと向かった。
「あ、良介くん。
まって、上着。
そろそろ冷えてくるから。」
ゆかりは上着を持って追いかけていった。
「良介の奴、今誰かいたって言ってたが・・・白藤じゃねぇのか?」
誠も外へと向かった。
「さらちゃん・・・湯けむり妖怪に、連れてかれちゃったの・・・?」
秋穂は外を見ながら言った。